觀放白鷹,二首之二
寒冬十二月,蒼鷹八九毛。
寄言燕雀莫相啅,自有雲霄萬里高。
そうであれば、この鷹に狙われる燕雀どもは、けっして多く集まってさえずりなどしてはならないが、この鷹にしても、一たび羽ばたきをすれば、雲霄萬里の高さに飛び上がり、その間にいる鳥どもをことごとく打ち落とすに違いない。
234 《巻23-51 觀放白鷹二首其二 (寒冬十二月)》 <234> Ⅰ李白詩1477 kanbuniinkai紀頌之の漢詩ブログ5933
年:734年開元二十二年35歳
卷別: 卷一八三 文體: 五言絕句
詩題: 觀放白鷹,二首之一
(改訂版)《巻23-50 觀放白鷹二首其一(八月邊風)》
觀放白鷹二首其一
(秋の末、白鷹を放つ鷹狩りを見て作った詩)。
八月邊風高,胡鷹白錦毛。
秋の中ごろ八月は,国境付近の岩山の上、晴れた空高く秋風が吹きすさびねけてゆく。我われが鷹狩に使っているのは優秀な胡地産の鷹で、寒くなればなるほど錦毛はうるわしく銀白色にかがやき颯爽としてくる。
孤飛一片雪,百里見秋毫。
子の鷹を放てば、一片の雪が孤飛し、空中に舞ったかのようである。白鷹は、周囲百里にわたって、きわめで微細なものを秋毫までも目に見えるほど、決して獲物を逃すまい頭い意気ごみである。
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(白鷹を放つを観る)
八月 辺風高し、胡鷹 白錦毛。
孤飛す一片の雪、百里 秋毫を見る。
年: 未編年
卷別: 卷一八三 文體: 雜言古詩
詩題: 觀放白鷹,二首之二
觀放白鷹,二首之二
寒冬十二月,蒼鷹八九毛。
寄言燕雀莫相啅,自有雲霄萬里高。
(觀放白鷹,二首の二)
寒冬 十二月,蒼鷹 八九毛。
言を寄す 燕雀 相い啅する莫れ,自ら雲霄 萬里の高き有り。
『觀放白鷹,二首之二』 現代語訳と訳註解説
(本文)
觀放白鷹,二首之二
寒冬十二月,蒼鷹八九毛。
寄言燕雀莫相啅,自有雲霄萬里高。
(下し文)
(觀放白鷹,二首の二)
寒冬 十二月,蒼鷹 八九毛。
言を寄す 燕雀 相い啅する莫れ,自ら雲霄 萬里の高き有り。
(現代語訳)
(寒冬の侯、新たに飼われた蒼鷹を見て、この鷹のために気を吐いて作った詩)。
寒い冬の(陰暦)十二月の侯、新たに飼われた蒼鷹は、その勁翮を剪りさられ、遠挙颺去できなくしたので、間もなく狩にもちいられるだろう。
そうであれば、この鷹に狙われる燕雀どもは、けっして多く集まってさえずりなどしてはならないが、この鷹にしても、一たび羽ばたきをすれば、雲霄萬里の高さに飛び上がり、その間にいる鳥どもをことごとく打ち落とすに違いない。
(訳注)
觀放白鷹,二首之二
(寒冬の侯、新たに飼われた蒼鷹を見て、この鷹のために気を吐いて作った詩)。
作時は不明であるが、太原旅行時、觀放白鷹二首之二が秋の終わりで、冬になってのものとした。
寒冬十二月,蒼鷹八九毛。
寒い冬の(陰暦)十二月の侯、新たに飼われた蒼鷹は、その勁翮を剪りさられ、遠挙颺去できなくしたので、間もなく狩にもちいられるだろう。
寒冬十二月 寒い冬の(陰暦)十二月に。前漢、蘇武《詩四首 其四》「寒冬十二月,晨起踐嚴霜。」(寒冬 十二月,晨に起きて 嚴霜を踐む。)寒い冬の(陰暦)十二月の侯、朝起きて、ひどい霜をふむ。
蒼鷹八九毛 王琦 鷹は一歳色黄、二歳色變じて次に赤、三歳にして色はじめて蒼、故にこれを蒼鷹という。 八九毛とは、是初めて獲たるの鷹、その勁翮を剪り、遠挙颺去せざらん。
寄言燕雀莫相啅,自有雲霄萬里高。
そうであれば、この鷹に狙われる燕雀どもは、けっして多く集まってさえずりなどしてはならないが、この鷹にしても、一たび羽ばたきをすれば、雲霄萬里の高さに飛び上がり、その間にいる鳥どもをことごとく打ち落とすに違いない。
啅 多く集まった鳥のさえずり。仕角切,音數。衆聲。又《集韻》《類篇》𠀤陟敎切,音罩。啅啅,鳥聲。
雲霄 雲を浮かべる大空。雲を浮かべるはるかな天。「霄漢・霄壌」
萬里高 天高く万里の先までつづく。
詩四首 其四 前漢、蘇武(蘇子卿)
燭燭晨明月,馥馥秋蘭芳。
芳馨良夜發,隨風聞我堂。
征夫懷遠路,遊子戀故鄕。
寒冬十二月,晨起踐嚴霜。
俯觀江漢流,仰視浮雲翔。
良友遠別離,各在天一方。
山海隔中州,相去悠且長。
嘉會難再遇,歡樂殊未央。
願君崇令德,隨時愛景光。
四首 其の四
燭燭たり 晨の明月,馥馥として 秋蘭 芳し。
芳馨 良夜に發し,風に隨ひて 我が堂に聞こゆ。
征夫 遠路を懷ひ,遊子 故鄕を戀ふ。
寒冬 十二月,晨に起きて 嚴霜を踐む。
俯して 江漢の流るるを 觀,仰ぎて 浮雲の翔るを 視る。
良友 遠く別離し,各〻 天の一方に在り。
山海 中州を隔て,相ひ去ること 悠にして且つ長し。
嘉會 再び遇ふこと難ければ,歡樂 殊に未だ央きず。
願はくは 君 令德を崇くし,時に隨ひて 景光を愛せよ。