清平調詞 三首 其二 李白 :Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白155

清平調詞 其の三
名花 傾国両つながら相い歓ぶ,長えに 君王の 笑いを帯びて看るを得たり
解釈す 春風無限の恨み,沈香亭北 閲千に侍る
『清平調詞 三首 其二』 現代語訳と訳註
(本文)
清平調詞 三首 其二
一枝紅艷露凝香、云雨巫山枉斷腸。
借問漢宮誰得似、可憐飛燕倚新妝。
(下し文)
其の二
一枝の紅艶 露香を凝らす、雲雨 巫山 枉しく断腸。
借問す 漢宮 誰か似るを得たる、可憐なり 飛燕 新妝に倚る。
(現代語訳)
一と枝の紅く艶やかな牡丹の花、露を含んでただよわせる濃密な香り。雲となり雨となる巫山の神女との契りさえも、この美しさの前ではいたずらなやるせないきもちになってしまう。
お聞かせ下さい。漢の後宮の美女のなかで、だれがこの貴妃に似ることができるというのでしょうか。
ああ、なんと華やかでいて可憐な、「飛燕」が新しいよそおいを誇るその姿であろう。
(訳注)
宋の楽史の『李翰林集別集』序や『楊太真外伝』にも載っている。開元中、玄宗は、牡丹(木芍薬)を重んじた。紅、紫、浅紅、裏白の四本を興慶池の東、沈香亭の前に移植した。花の真っ盛りのときに、玄宗は昭夜白の馬に乗り、楊貴妃は手車で従った。梨園の弟子の特に選抜された者に詔をして楽曲十六章を選んだ。李亀年は当時の歌唱の第一人者である。この李亀年に梨園の楽人を指揮して歌わせようとした。李亀年は紫檀の拍子板をもって楽人の前で指揮して歌おうとしたとき、玄宗は、「名花を質し、妃子に対す、いずくんぞ旧楽詞を用いんや」といって、そこで李亀年に命じ、金花箋を持ってこさせ、翰林供奉の李白に命じた。李白は立ちどころに「清平調詞」三章を作ってたてまつった。天子は梨園の弟子たちに命じ楽器に調子を合わさせて、李亀年に歌わせた。楊貴妃は、玻璃七宝の盃を持ち、涼州のぶどう酒を飲み、歌意をさとりにっこりし、また玄宗も、みずから玉笛を吹いて曲に和し、曲の移り変わりのときには、調子をゆるめて妃に媚びた。玄宗はこれ以後、李白を特に重視するようになった。七言絶句、清平調詞三首である。
○枉 いたずらに、甲斐もなく。
○断腸 はらわたがちぎれる。恋慕の情の激しさ、言葉の意味の中にセックスの意味が込められた悲痛を表わす慣用語。
○可憐 激しい感情の動きを表わす慣用語。プラスにもマイナスにも用いる。ここでは、美人の愛らしさに用いている。
○飛燕 前漠の成帝の皇后、趙飛燕。やせ形で身の軽い、漢代随一の美人だったとされる。(「宮中行楽詞、其の二」)。
〇倍新粧 新たに化粧した容貌を誇らかに示す。「俺」は、悼みとして自信をもつこと。
