題長安主人壁 孟浩然「峴山懐古」関連 Kanbuniinkai 紀頌之の漢詩 李白特集350 -328

題長安主人壁
 久廢南山田,叨陪東閣賢。
しばらく鹿門山の澗南園にある田畑を耕すのをやめて久しくなる、そして、自分の気に沿わないまま「東閣に詔せられた賢人」のように陪席している。
 欲隨平子去,猶未獻甘泉。
平津侯がなされたように待詔の身分になることを辞めて隠棲したいと思っているのだが、今なお楊雄が「甘泉賦」を奉献したようなことができていない。
 枕籍琴書滿,褰帷遠岫連。
書籍を枕にし、音楽と読書という風流な事ばかり満ち溢れている。とばりをかかげてみるとはるか遠くに山の峰々が連なっている。
 我來如昨日,庭樹忽鳴蟬。
わたしが澗南園を離れ長安に来たのがまだほんの昨日のようである。荘園の木々には蝉が鳴いていることだろう。
 促織驚寒女,秋風感長年。
やがてコオロギが鳴き始めると貧しい女が寒くなるのを思って驚くのである。そして秋風の西からの風が強くなると長くここにいることを感じさせるのだ。
 授衣當九月,無褐竟誰憐。

冬の衣を準備する九月になっている、着物もなく、毛織物もなければ竟に誰も憐れんではくれない、わたしの情況がまさしくそうなっているのだ。


久しく南山の田を廢し、明りに東閣の賢に陪す。
平子に隨ひて去らんと欲するも、猶は未だ甘泉を献ぜず。
枕籍 琴書満ち、帷を褰ぐれば 遠岫連なる。
我来ること昨日のごときも、庭樹 忽ち蝉鴫く。
促織 寒女を驚かし、秋風 長年を感ぜしむ。
衣を授く 九月に當たる、褐無きも竟に誰か憐れまん。

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現代語訳と訳註
(本文)

久廢南山田,叨陪東閣賢。
欲隨平子去,猶未獻甘泉。
枕籍琴書滿,褰帷遠岫連。
我來如昨日,庭樹忽鳴蟬。
促織驚寒女,秋風感長年。
授衣當九月,無褐竟誰憐。

(下し文)
久しく南山の田を廢し、叨【みだ】りに東閣の賢に陪す。
平子に隨ひて去らんと欲するも、猶は未だ甘泉を献ぜず。
枕席 琴書満ち、帷を褰ぐれば 遠岫連なる。
我来ること昨日のごときも、庭樹 忽ち蝉鴫く。
促織 寒女を驚かし、秋風 長年を感ぜしむ。
衣を授く 九月に當たる、褐無きも竟に誰か憐れまん。


(現代語訳)
しばらく鹿門山の澗南園にある田畑を耕すのをやめて久しくなる、そして、自分の気に沿わないまま「東閣に詔せられた賢人」のように陪席している。
平津侯がなされたように待詔の身分になることを辞めて隠棲したいと思っているのだが、今なお楊雄が「甘泉賦」を奉献したようなことができていない。
書籍を枕にし、音楽と読書という風流な事ばかり満ち溢れている。とばりをかかげてみるとはるか遠くに山の峰々が連なっている。
わたしが澗南園を離れ長安に来たのがまだほんの昨日のようである。荘園の木々には蝉が鳴いていることだろう。
やがてコオロギが鳴き始めると貧しい女が寒くなるのを思って驚くのである。そして秋風の西からの風が強くなると長くここにいることを感じさせるのだ。
冬の衣を準備する九月になっている、着物もなく、毛織物もなければ竟に誰も憐れんではくれない、わたしの情況がまさしくそうなっているのだ。


(訳注)
久廢南山田,叨陪東閣賢。
久しく南山の田を廢し、叨【みだ】りに東閣の賢に陪す。
しばらく鹿門山の澗南園にある田畑を耕すのをやめて久しくなる、そして、自分の気に沿わないまま「東閣に詔せられた賢人」のように陪席している。
南山 孟浩然の耕作している澗南園のこと。○東閣賢 漢の公孫弘が丞相となり、平津侯に封ぜられ、東閣を開いて賢士を招いた。ここは孟浩然が試験場に受験生と一緒に入ったことをいう。杜甫『奉贈鮮於京兆二十韻』で試験の内幕を詠っている。


欲隨平子去,猶未獻甘泉。
平子に隨ひて去らんと欲するも、猶は未だ甘泉を献ぜず。

平津侯がなされたように待詔の身分になることを辞めて隠棲したいと思っているのだが、今なお楊雄が「甘泉賦」を奉献したようなことができていない。
平子 平津侯。子は尊敬の語。孔子という様○献甘泉 揚維か「甘泉賦」を奉った時の話をふまえる。揚雄の文章が司馬相如に似ていると孝成帝に推薦する名があり、そのおかけで彼は承明殿に待詔となったというものである。その後、掲雄は「甘泉賦」を奉っている。ここでは、揚雄のように自分を推挙する人物が現れ、文学の臣として仕えることを願うのである。
田園作』。
弊廬隔塵喧,惟先養恬素。卜鄰近三徑,植果盈千樹。
粵余任推遷,三十猶未遇。書劍時將晚,丘園日已暮。
晨興自多懷,晝坐常寡悟。沖天羨鴻鵠,爭食羞雞鶩。
望斷金馬門,勞歌采樵路。鄉曲無知己,朝端乏親故。
誰能為揚雄,一薦甘泉賦。
聖明なる君主に文学の侍臣として仕え、活躍することをねがいとしいることから抜け出せない日々を過ごしている。


枕籍琴書滿,褰帷遠岫連。
枕席 琴書満ち、帷を褰ぐれば 遠岫連なる。

書籍を枕にし、音楽と読書という風流な事ばかり満ち溢れている。とばりをかかげてみるとはるか遠くに山の峰々が連なっている。
枕籍 1 互いの身を枕として寝ること。寄りかかり合って寝ること。 2 男女がともに寝ること。同衾(どうきん)。 3 書物を積んで枕とすること。また、書物が高く積んであること。○琴書 琴と書籍。また、音楽と読書。風流人の高尚な趣味のこと。○褰帳  即位式や朝賀の際、高御座(たかみくら)の御帳(みちょう)を女官によりかかげひらくこと。とばりあげ。○岫 1 山の洞穴。2 山の峰。


我來如昨日,庭樹忽鳴蟬。
我来ること昨日のごときも、庭樹 忽ち蝉鴫く。
わたしが澗南園を離れ長安に来たのがまだほんの昨日のようである。荘園の木々には蝉が鳴いていることだろう。


促織驚寒女,秋風感長年。
促織 寒女を驚かし、秋風 長年を感ぜしむ。

やがてコオロギが鳴き始めると貧しい女が寒くなるのを思って驚くのである。そして秋風の西からの風が強くなると長くここにいることを感じさせるのだ。
促織 蟋蟀こおろぎ。中国ではこおろぎの鳴き声は機織りを促す声のように聞こえた。○寒女 貧乏な女。冬支度は井戸端で砧をたたいて冬着の準備をするため、その光景から冬支度をする女を寒女とする。 「擣(う)つ砧を臼にいれ、布を杵(棒杵)でつく。砧でつくのは洗濯ではなく、冬用の厚いごわごわした布を柔軟にするため。○秋風 あきかぜ。西からの風。砂漠を越して山越えをし、砂塵の吹き降ろしの風になる。


授衣當九月,無褐竟誰憐。
衣を授く 九月に當たる、褐無きも竟に誰か憐れまん。
冬の衣を準備する九月になっている、着物もなく、毛織物もなければ竟に誰も憐れんではくれない、わたしの情況がまさしくそうなっているのだ。
授衣 1 冬着の準備をすること。冬の用意をすること。2 陰暦9月の異称。
『詩経』豳風(ひんぷう)「七月」(ふみづき)
七月流火、九月授衣。
一之日觱發、二之日栗烈。
無衣無褐、何以卒歲。
三之日于耜、四之日舉趾、同我婦子。
饁彼南畝、田畯至喜。

(七月には流る火あり、九月衣を授く。
一の日は觱發たり、二の日は栗烈たり。
衣無く褐無くんば、何を以てか歲を卒へん。
三の日 于(ここ)に耜(し)し、四の日 趾(あし)を舉ぐ、我が婦子とともに。
彼の南畝に饁(かれひ)す、田畯至り喜ぶ。)
に基づく句である。
<大意>七月には火星が西に流れる、九月には家族に衣を与えねばならぬ、十一月には風が寒くなり、十二月には激しく吹く、衣がなければ、どうして年を越せようか、明けて三月には鋤の手入れをし、四月には足を上げて耕さねばならぬ、我が妻子とともに、南の畑で働いていると、田んぼの役人さんがやってきて、喜びなさるだろう(流火:火は火星のこと、それが西へ流れるのを流火という、一之日:十一月をさす、田畯:田んぼを管轄する役人)


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