漢詩李白 222 玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹、日晚乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御 李白 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350 -222
#1
昨玩西城月。 青天垂玉鉤。
朝沽金陵酒。 歌吹孫楚樓。
忽憶繡衣人。 乘船往石頭。
草裹烏紗巾。 倒披紫綺裘。』
兩岸拍手笑。 疑是王子猷。
酒客十數公。 崩騰醉中流。』
#2
謔浪棹海客。 喧呼傲陽侯。
半道逢吳姬。 卷帘出揶揄。』
我憶君到此。 不知狂與羞。
一月一見君。 三杯便回橈。
舍舟共連袂。 行上南渡橋。
興發歌綠水。 秦客為之搖。』
#3
雞鳴復相招。 清宴逸云霄。
翌朝また招かれお相いした、清々しい時の宴の盛り上がりは大空高くひろがっているのだ。
贈我數百字。 字字凌風飇。
私に贈ってくれた数百字、字と字はつむじかぜを凌ぐ勢いのあるものである。
系之衣裘上。 相憶每長謠。』
この詩文を衣裳のように身に着けていく、そうしてこの長謡を歌う時はいつも思い抱いていることだろう
玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹日晚、乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御 #3 現代語訳と訳註
(本文) #3
雞鳴復相招。 清宴逸云霄。
贈我數百字。 字字凌風飇。
系之衣裘上。 相憶每長謠。』
(下し文)
雞鳴に復た相い招かれ、清宴は雲霄に逸る
我に贈る数百字、字字風飇を凌ぐ
之を衣裘の上に繋け、相い憶うて毎に長謡せん
(現代語訳)
翌朝また招かれお相いした、清々しい時の宴の盛り上がりは大空高くひろがっているのだ。
私に贈ってくれた数百字、字と字はつむじかぜを凌ぐ勢いのあるものである。
この詩文を衣裳のように身に着けていく、そうしてこの長謡を歌う時はいつも思い抱いていることだろう。
(訳注)
雞鳴復相招。 清宴逸云霄。
翌朝また招かれお相いした、清々しい時の宴の盛り上がりは大空高くひろがっているのだ。
○雞鳴 朝食を庭のテーブルでとる。
贈我數百字。 字字凌風飇。
私に贈ってくれた数百字、字と字はつむじかぜを凌ぐ勢いのあるものである。
○風飇 こころにつむじかぜをおこすこと。
系之衣裘上。 相憶每長謠。
この詩文を衣裳のように身に着けていく、そうしてこの長謡を歌う時はいつも思い抱いていることだろう。
○系之 この詩文、長詩。○衣裘 きもの。
翌朝また招宴にあずかり、その宴会の盛んな気は空にも上るほど。きみはつむじ風をしのぐ勢いある数百字の長詩を贈ってくれた。これを身につけて、いつも思い出して歌い続けよう」。
この詩は崔侍御との友情の詩であるが、前半は遊興にふける歌で、徹底的に酒に酔う、しかも乱れに乱れていくほど、風流を味わえる。友情もしっかり確認し合えるというのが李白である。儒教の人たちから、理解されないのが、酔い乱れることと、風流を味わうというところであろうか。
鉤。樓。頭。裘。/笑。猷。流。侯。揄。羞。橈。橋。搖。/招。霄。飇。謠。
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玩月金陵城西孫楚酒樓達曙歌吹日晚、乘醉著紫綺裘烏紗巾與酒客數人棹歌、秦淮往石頭訪崔四侍御
昨玩西城月。 青天垂玉鉤。
朝沽金陵酒。 歌吹孫楚樓。
忽憶繡衣人。 乘船往石頭。
草裹烏紗巾。 倒披紫綺裘。』
兩岸拍手笑。 疑是王子猷。
酒客十數公。 崩騰醉中流。』
謔浪棹海客。 喧呼傲陽侯。
半道逢吳姬。 卷帘出揶揄。』
我憶君到此。 不知狂與羞。
一月一見君。 三杯便回橈。
舍舟共連袂。 行上南渡橋。
興發歌綠水。 秦客為之搖。』
雞鳴復相招。 清宴逸云霄。
贈我數百字。 字字凌風飇。
系之衣裘上。 相憶每長謠。』
(金陵城の西の孫楚の酒楼にて月を玩しみ、曙に達するまで歌吹す。日晩れて酔いに乗じて紫綺裳、烏紗巾を著け、酒客数人と、秦淮に樟歌し、石頭に往きて、崔四侍御を訪ぬ)
昨(きのう)西城の月を翫(たの)しむ、青天に玉の鉤を垂る。
朝に金陵の酒を清い、孫楚の楼に歌い吹く。
忽ち繍衣の人を憶い、船に乗って石頭に往く。
烏紗巾を草かに豪り、紫椅裳を倒に披る。』
両岸のもの手を拍ちて笑い、疑うらくは是れ王子献ならんかと。
酒客は十数公、崩勝れて中流に酔う。』
諺浪れて海客を綽い、喧呼びて陽侯に倣る。
半道にて呉姫に逢い、簾を巻きて野でて椰拾う。
我は君を憶いて此に到る、狂と差とを知らず。
月下に一たび君に見えは、三杯にて便ちに槙を廻らさん。
舟を捨てて共に袂を連ね、行きて南渡の橋に上る。
興発こりて綠水を歌えば、秦客之が為に揺らぐ。』
雞鳴に復た相い招かれ、清宴は雲霄に逸る
我に贈る数百字、字字風飇を凌ぐ
之を衣裘の上に繋け、相い憶うて毎に長謡せん。』
『金陵城の西の孫楚の酒楼にて月を玩しみ、曙に達するまで歌吹しつづけた。それでも朝からさらに飲んで、日暮れになって酔いにまかせて朝廷の制服、紫綺裳、烏紗巾を着て、酒客数人と、船に乗り込み秦淮に行き着くまで舟歌の樟歌をうたった。そして石頭に着いたので、崔四侍御を訪ねたのである。』
昨晩、金陵の西にある孫楚亭で月を楽しむ。大空はいっぱいに広がっていて、三日月は光り輝く鉤をを垂らしたようである。
朝になると金陵の売り酒を持ってこさせた、孫楚楼に楽曲を歌い笛を吹いて楽しんだ。
それから長安の朝廷で刺繍のある着飾った宮廷人をおもいだし、船に乗って石頭に往くのである。
烏紗巾をおふざけで阿弥陀にかぶり、紫椅裳を裏返しに着てみたのだ。
両岸にいた人たちは手をたたいて笑いっている、これは風流のひとであった王子猷の再来かと驚いている。
舟の中では十数人がぐでんぐでんに酔っぱらってくずれている。
たわむれて海客をのせたまま竿を持ち舟をこいだり、どなりあって、陽侯たちをたかぶらせたりしている。
船を進めていく途中にて呉の美人妓女に逢った、簾を巻きあげて顔をだして、野卑な声をかけて冷やかすのだ。』
わたしは崔君のことを憶い逢いたくてここ石頭まで来たのだ、途中でこんなに酔いつぶれてしまって、だから恥ずかしくて仕方がない。でも大目に見てこんな醜態知らないことにしくれないか。
月がこんなに美しいし、君にこうして会えた、だから、ほんの三杯でも飲んだら、舟のかいをこいで帰るよ。
舟から上がって共に袂をそろえよう、そして南渡橋を渡っていこう。
ともに、風流な興が湧いてきて昔の歌曲、『綠水』を歌うと、長安(秦)から来た崔侍御も、それにつれて調子を合わせている。
翌朝また招かれお相いした、清々しい時の宴の盛り上がりは大空高くひろがっているのだ。
私に贈ってくれた数百字、字と字はつむじかぜを凌ぐ勢いのあるものである。
この詩文を衣裳のように身に着けていく、そうしてこの長謡を歌う時はいつも思い抱いていることだろう。