春日獨酌 二首  李白104
五言古詩  春日に独り酌む 二首
 

春日獨酌 二首 其一
東風扇淑氣、水木榮春暉。
東の風は おごそかな新たな気持ちを引き起こしてくれる、水や木は 春の暖かい陽光につつまれている。
白日照綠草、落花散且飛。
日中の輝く太陽は 緑の草を照らしている、落ちる花びらは 散り、そして、ひるがえる。
孤雲還空山、眾鳥各已歸。
ポツンとした雲は 人気ない山にかえっていく、あつまって鳴き騒いでいた鳥達も それぞれねぐらに帰った。
彼物皆有托、吾生獨無依。
それらすべてのものは皆身を寄せるところがある、吾が生きるところ、独り身を寄せるところはない。
對此石上月、長醉歌芳菲。

このようなことに対し、石の上にのぼる月があり、ひたすら酔うことは草花のかんばしい香りを歌うことである。



東の風は おごそかな新たな気持ちを引き起こしてくれる、水や木は 春の暖かい陽光につつまれている。
日中の輝く太陽は 緑の草を照らしている、落ちる花びらは 散り、そして、ひるがえる。
ポツンとした雲は 人気ない山にかえっていく、あつまって鳴き騒いでいた鳥達も それぞれねぐらに帰った。
それらすべてのものは皆身を寄せるところがある、吾が生きるところ、独り身を寄せるところはない。
このようなことに対し、石の上にのぼる月があり、ひたすら酔うことは草花のかんばしい香りを歌うことである。



 其の一
東風 淑気(しゅくき)を扇(あふ)ぎ、
水木 春暉に栄ゆ。
白日 緑草を照らし、
 落花 散じ且つ飛ぶ。
孤雲 空山に還り、
衆鳥 各(おのおの)已に帰る。
彼の物 皆 托する有るも、
 吾が生 独り依る無し。
此の石上の月に対し、
 長酔して芳菲に歌ふ。



東風扇淑氣、水木榮春暉。
東の風は おごそかな新たな気持ちを引き起こしてくれる、水や木は 春の暖かい陽光につつまれている。
東風 春風。○淑気 おごそかな気。○春暉 春の暖かい陽光。


白日照綠草、落花散且飛。
日中の輝く太陽は 緑の草を照らしている、落ちる花びらは 散り、そして、ひるがえる。


孤雲還空山、眾鳥各已歸。
ポツンとした雲は 人気ない山にかえっていく、あつまって鳴き騒いでいた鳥達も それぞれねぐらに帰った。
 雲は山奥の岩間、洞窟から生まれ帰っていく。○空山 隠者の住む山。人気のない山。 ○ 衆。


彼物皆有托、吾生獨無依。
それらすべてのものは皆身を寄せるところがある、吾が生きるところ、独り身を寄せるところはない。
 身を寄せる。


對此石上月、長醉歌芳菲。
このようなことに対し、石の上にのぼる月があり、ひたすら酔うことは草花のかんばしい香りを歌うことである。

芳菲 草花のかんばしい香り。春のことをいう。
 
○韻 氣、暉、飛、歸、依、菲。