登鹿門山懐古 李白「峴山懐古」関連 Kanbuniinkai紀頌之の漢詩 李白特集350 -320
孟略然は、故郷の鹿門山に自適の暮らしをし、季節の訪れも気づかず、あくせくと過ごす俗人の世界に対して、悠然と自然にとけ入った世界が歌われている。
「ぬくぬく春の眠りを貪っている」のは、宮仕えの生活を拒否した、つまり世俗の巷を低く見ている入物であり、詩人にとってあこがれの生活である。立身出世とは全く縁のない世界、悠然たる『高士』の世界である。この詩は、内容からして孟浩然の若いころの作品である。
卷159_35 登鹿門山懐古孟浩然
登鹿門山懐古孟浩然
#1
清曉因興來,乘流越江峴。沙禽近方識,浦樹遙莫辨。
漸至鹿門山,山明翠微淺。岩潭多屈曲,舟楫屢回轉。
昔聞龐德公,采藥遂不返。
#2
金澗餌芝朮,石床臥苔蘚。
黄金に輝く谷川の透きとった水際に貴重な薬草を育てている。その岩壁には緑の苔がびっしり生えている。
紛吾感耆舊,結攬事攀踐。
わたしの心の中では複雑なものがある。「襄陽耆舊記」の龐德公のように生きたいとは思っている。もう一方では、家族からも期待されている頭髪を束ねて結い直し、官位に付き上り詰めるということも考えるのである。
隱跡今尚存,高風邈已遠。
確かに、龐德公が隠棲された史蹟は今なお残っているのであるが、『高士』の風はぼんやりとして来て今や遠くなりつつあるのだ。
白雲何時去,丹桂空偃蹇。
龐德公の隠棲という雰囲気を残した白雲がいつしかきえさって、その丹桂遺跡はその場所に空しく広がっているだけなのである。
探討意未窮,回艇夕陽晚。
鹿門山のあちこちを奥深く隅々までさぐり調べたのだがその気持ちはいまだ窮まってはいない。今すぐ隠棲するわけではないので夕日が落ちて暮れてきているなかで、船を廻して帰ろうと思う。
#1
清暁 興来るに因り、流れに乗りて江峴を越ゆ。
沙禽 近づきて方に識り、浦樹 遙かに辨ずる莫し
漸く鹿門山に至れば、山明らかにして翠微浅し。
岩潭 屈曲多く、舟楫 屡々回り転ず。
昔聞く 龐徳公、業を採りて遂に返らずと。
#2
金澗に芝朮(しじゅつ)を養ひ、石床 苔蘇に臥す。
紛として 吾 耆舊(ききゅう)に感じ、攬を結びて攀踐(はんせん)を事とす。
隠跡 今尚は存するも、高風 邈(ばく)として已に遠し。
白雲 何れの時にか去らん、丹桂 空しく偃蹇(えんけん)たり。
探討 意未だ窮まらず、艇を回らす 夕陽の晩。
現代語訳と訳註
(本文) #2
金澗餌芝朮,石床臥苔蘚。
紛吾感耆舊,結攬事攀踐。
隱跡今尚存,高風邈已遠。
白雲何時去,丹桂空偃蹇。
探討意未窮,回艇夕陽晚。
(下し文)#2
金澗に芝朮(しじゅつ)を養ひ、石床 苔蘇に臥す。
紛として 吾 耆舊(ききゅう)に感じ、攬を結びて攀踐(はんせん)を事とす。
隠跡 今尚は存するも、高風 邈(ばく)として已に遠し。
白雲 何れの時にか去らん、丹桂 空しく偃蹇(えんけん)たり。
探討 意未だ窮まらず、艇を回らす 夕陽の晩。
(現代語訳)
黄金に輝く谷川の透きとった水際に貴重な薬草を育てている。その岩壁には緑の苔がびっしり生えている。
わたしの心の中では複雑なものがある。「襄陽耆舊記」の龐德公のように生きたいとは思っている。もう一方では、家族からも期待されている頭髪を束ねて結い直し、官位に付き上り詰めるということも考えるのである。
確かに、龐德公が隠棲された史蹟は今なお残っているのであるが、『高士』の風はぼんやりとして来て今や遠くなりつつあるのだ。
龐德公の隠棲という雰囲気を残した白雲がいつしかきえさって、その丹桂遺跡はその場所に空しく広がっているだけなのである。
鹿門山のあちこちを奥深く隅々までさぐり調べたのだがその気持ちはいまだ窮まってはいない。今すぐ隠棲するわけではないので夕日が落ちて暮れてきているなかで、船を廻して帰ろうと思う。
(訳註)
金澗餌芝朮,石床臥苔蘚。
金澗に芝朮(しじゅつ)を養ひ、石床 苔蘇に臥す。
黄金に輝く谷川の透きとった水際に貴重な薬草を育てている。その岩壁には緑の苔がびっしり生えている。
○金澗 谷川の透きとった水の巌底に太陽光線が当たった景色をいう。王維『遊化感寺』「瓊峰當戸拆、金澗透林鳴。」(瓊峰 戸に当たりて拆け、金澗 林を透して鳴る。)『澗南園即時貽皎上入』 孟浩然
○養芝朮 貴重な薬草をそだてる。
紛吾感耆舊,結攬事攀踐。
紛として 吾 耆舊(ききゅう)に感じ、攬を結びて攀踐(はんせん)を事とす。
わたしの心の中では複雑なものがある。「襄陽耆舊記」の龐德公のように生きたいとは思っている。もう一方では、家族からも期待されている頭髪を束ねて結い直し、官位に付き上り詰めるということも考えるのである。
○紛 入り混じること。○耆舊 「襄陽耆舊記」龐德公と劉表、諸葛孔明らと問答をまとめて書いた史書。○結攬 攬結 刈り取った稲束のようにとりまとめる。とりあつめる。【攬】[漢字項目]の意味は?国語辞書。 [音]ラン(呉)(漢) 取り集めて持つ。手中に収める。「 収攬 ・ 総攬 」○攀踐 官位に付き上り詰めること。孟浩然は『高士』にあこがれる。
隱跡今尚存,高風邈已遠。
隠跡 今尚は存するも、高風 邈(ばく)として已に遠し。
確かに、龐德公が隠棲された史蹟は今なお残っているのであるが、『高士』の風はぼんやりとして来て今や遠くなりつつあるのだ。
白雲何時去,丹桂空偃蹇。
白雲 何れの時にか去らん、丹桂 空しく偃蹇(えんけん)たり。
龐德公の隠棲という雰囲気を残した白雲がいつしかきえさって、その丹桂遺跡はその場所に空しく広がっているだけなのである。
○丹桂 鹿門山にある龐徳公の隠居跡。○偃蹇(えんけん) 1 物が延び広がったり高くそびえたりしているさま。また、多く盛んなさま。2 おごり高ぶるさま。
探討意未窮,回艇夕陽晚。
探討 意未だ窮まらず、艇を回らす 夕陽の晩。
鹿門山のあちこちを奥深く隅々までさぐり調べたのだがその気持ちはいまだ窮まってはいない。今すぐ隠棲するわけではないので夕日が落ちて暮れてきているなかで、船を廻して帰ろうと思う。
○探討 奥深く隅々までさぐり調べること。調べ究めること。探究。
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