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金子勝ブログ

慶應義塾大学経済学部教授金子勝のオフィシャルブログです。

2012年12月

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思考停止のTPP――総選挙に問う(2)

都合悪い情報は隠すもの?

福島第1原発事故によって、東電も政府(とくに原子力ムラ官僚たち)も国民に対して本当の情報を隠すものだということが分かりました。メディアも、知ってか知らずか、それを検証もせずに垂れ流すことも分かりました。

TPP
(環太平洋包括経済連携協定)の問題でも同じです。
 

当初、メディアはTPPで問題なのは農業・農産物だとしていました。たしかに、関税撤廃でおよそ40%の食料自給率がさらに低下すれば、大問題です。とくに、ただでさえ基地があるのに、食料までアメリカに依存するとなると、国の存立そのものにかかわります。実際、欧州諸国は、食料の安全保障という観点もあって、日本の数倍の個別所得補償を農業者に支払ってでも食料自給を達成しています。


しかし、実は問題はこれだけにとどまりません。


TPP21の交渉分野に及び、郵政民営化、高額医療の保険外診療の拡大と「混合診療」の解禁、医薬品や医療機械の規制緩和、農薬の安全基準、一定の周波数の入札と外国資本への開放、公共事業の入札条件の緩和、移民労働規制の緩和、看護師・介護士・医師・弁護士の資格問題などが、交渉分野になる可能性があることが分かってきました。


ちらほら報道されているのは、TPPに対する米国内の自動車業界の反対を和らげるために、日本に軽自動車の税金が軽いとか日本のディーラーシステムが排他的であるとか言い出していること、郵政民営化見直し法案の凍結、あるいはBSE問題で月20ヶ月以下という米国産牛肉の輸入条件を緩和しろ(これは厚生労働省が先取りして緩和を準備しています)と米国側が要求してきていることくらいです。


政府は何が問題になるのか、十分な情報開示をしていません。にもかかわらず、とりあえず参加すべきだとか、交渉に参加しないと本当のところは分からないと言います。原発問題と同じ構図です。米国追随路線を突き進む政府は、自らに都合悪い情報を隠している可能性が高いと考えられます。


TPP参加で日本の雇用が増えるのか?

ここで間違ってはいけません。TPPはオバマ大統領の200万人の雇用創出計画の一貫として出されてきているのであって、決して日本の雇用を増やすためのものではありません。


内閣府の試算でもアジアへの輸出が増えることでプラスになっていますが、後で述べるように、TPPが「成長するアジアを取り込む」というのは眉唾ものです。実際、ASEANが中国を巻き込んで、TPPに対抗してRCEP(東アジア包括経済連携協定)を打ち出しており、日中韓自由貿易協定やRCEPこそが「成長するアジア」を取り込むものです。TPPはアメリカに進出している一部大企業を当面やりやすくするだけで、日本国内へのプラスはほとんどありません。


途中で抜ければいいではないか?

TPPに問題が多いことがわかってくると、「とりあえず交渉に参加して、イヤだったら途中で抜ければいいじゃいか」と言い出しています。電力不足だの電力料金が上がるだのと次々と理由を変えていくのと同じ構図です。


しかし、問題は日本政府にそんな交渉力があるかどうかです。残念ながら、過去を振り返るかぎり、全くと言ってよいほど、日本政府にはそのような交渉能力はありません。


証拠もないイラク戦争に対して、米国と同盟関係にあったヨーロッパ諸国やカナダでさえ反対しているにもかかわらず、日本はイラク戦争協力に突っ込んでいき、日本外交は国際的信用を失墜させてしまいました。その反省も検証もきちんとなされているとは思えません。


事実、墜落事故が頻繁に起きており、ハワイでも配備を拒否されたオスプレイを、沖縄県民の強い反対を押し切ってまで強行配備しました。夜間外出禁止令が出ている中にアメリカ兵が何度も犯罪行為を繰り返しているのに、日米地位協定の改定について交渉もしていません。今だにアメリカについていけば、何とかなるという思考停止状況に陥っているのです。


こんな状況で、日本の外交力を考えた場合、国益にそぐわない場合でも交渉から離脱することはできるでしょうか?いったん交渉に参加すれば、例によって「途中で抜ければ、対米関係を悪化させる。今さら抜けるなんてありえない」と主張することは目に見えています。「振り込め詐欺」にご注意です。


推進派はカナダ・メキシコも参加を表明したと言いますが、すでに交渉国間で合意された内容を無条件で受け入れることとなっています。カナダ・メキシコは北米自由貿易協定を結んでいるからまだしも、日本はそうはいきません。


より問題なのは、これまで日本のFTAEPAは一部をのぞいて基本的に自由化対象だけを記載するポジティブ・リスト方式をとってきましたが、これに対して、TPPはリストに掲載したものだけを適用対象としないネガティブ・リスト方式をとっており、この例外以外は基本的に自由化を求められるという点です。


さらに、これに企業が国を相手取って訴訟を起こすことのできるISD条項が入ってきます。もしISD条項が入ると、米国は基本的に訴訟社会なので、日本市場に入れないと、米国企業が日本政府を相手取って訴訟を起こしてくる可能性が生じてきます。他国の裁判所の判決で自国のルールが歪められる危険性があるのです。こうした米国ルールに日本政府や日本企業は耐えられるでしょうか。ノーです。


成長のアジアを取り込む?

しばしば「TPPに参加して、成長のエンジンとしてのアジアを取り込む」という主張がなされてきましたが、TPPには肝心の中国、インド、韓国、などが参加していません。しかも、先に述べたようにASEANTPPに対抗する形で、中国を巻き込んで東アジア包括的経済連携協定(RCEP)の交渉をスタートすることを打ち出しました。TPPに参加すれば、アジアを取り込めるどころか、逆に孤立してしまう可能性もありえます。


TPPは当初言われたような「自由貿易」の仕組みではなく、明らかにアジア市場をめぐる現代版ブロック経済の動きなのです。1930年代のそれは、宗主国と旧植民地・植民地の間で行われましたが、現在はルール圏をめぐる攻めぎ合いです。TPPとは、アメリカン・ルールによるアジア市場の囲い込みの動きと考えてよいでしょう。


では、このような東アジア市場をめぐる動きの中で、日本政府はどのように対応してきたのでしょうか。少し振り返ってみましょう。


2009年総選挙で政権交代した民主党政権は、まず東アジア共同体構想を打ち出しました。しかし、鳩山政権が普天間基地移転問題でつまずいて交代してから、次第に対米追随路線へと逆戻りしてきました。こういう状況で、石原前知事が尖閣問題に火を付け、野田首相が胡錦濤前主席との立ち話で制止されたにもかかわらず、翌々日に国有化を打ち出したために、尖閣問題が深刻化してしまいました。その結果、自動車をはじめ日本製品は、世界一の自動車市場である中国市場から徐々に閉め出されつつあります。


TPPは、すでに交渉参加国間で決まったルールを受け入れなければならず、参加国のほとんどが資源小国で、日本と同じような立場の国はなく、孤立する可能性もあります。


これに対してRCEPは交渉が始まったばかりで、日本の要求が出しやすく合意が得られやすいでしょう。しかもTPPとは違って「成長するアジア」が直接交渉相手になります。日本の輸出先は、中国と韓国で約3割を占め、アジア諸国全体では半分以上を占めます。日本経済にとって、TPPRCEP+日中韓自由貿易協定のどちらが有利かは明らかでしょう。


では、RCEPや日中韓自由貿易協定を優先させて、将来、どのような環太平洋包括連携協定(FTAAP)を目指すべきでしょうか。


RCEPや日中韓自由貿易協定の場合、FTAEPAを締結する時に衝突しやすい農業も、アジア諸国との間では起きにくい点が大きなメリットです(もちろん、簡単ではありませんが)。東アジア諸国は稲作中心の小規模農業であり、日本と比較的似ています。アジアは成長して富裕層が形成されており、すでに一人当たりGDPではシンガポール・台湾に抜かれており、まもなく韓国にも追いつかれると見通されています。こうしたアジアの富裕層は日本の農産物を選好しています。RCEPや日中韓自由貿易協定によって、日本の農業は輸出産業に生まれ変わることも可能になります。アジア諸国から一部低価格の農産物が入ってくるかもしれませんが、TPPと比べればまだ個別所得補償などで対応可能でしょう。かつてより、アジアレベルでずっと市場統合がやりやすい状況が生まれています。


一方、もしアメリカがアジアと貿易関係を結びたいなら、アメリカは一方的に有利なルールを押し付けるTPPではなく、RCEPなどで合意されたアジアのルールに従っていかなければなりません。将来、環太平洋包括連携協定(FTAAP)ができるとすれば、日本は自国の利益を考え、より自国に有利な状況を作るように動くのが外交戦略の基本になるはずです。


小泉「構造改革」の焼き直し

TPPが貿易上の利益がないと分かると、今度はTPPが押し付けるアメリカン・ルールを「グローバル・スタンダード」としてTPPを正当化する主張が表に出てきています。規制緩和や民営化で、日本経済に活力が生まれ、日本の雇用が増えるというのです。


手を変え品を変え、ですが、これって、どこかで聞いたフレーズではありませんか?


そうです。TPPは小泉「構造改革」の焼き直しなのです。これは、いわゆる“ショック療法”で日本は立ち直るという「議論」ですが、それが散々な結果に終わったことは明らかです。


先のブログにも書いたように、小泉「構造改革」の間に、情報スーパーハイウエイ構想を掲げる米国にスパコンでもIT革命でも後れをとり、電機産業の悲惨な経営状況を招いてしまいました。また小泉「構造改革」は貧困と格差の拡大をもたらし、デフレを定着させてしまいました。失敗の反省がない無責任大国ニッポンです。


いま、「失われた20年」の間に、日本は売るモノが次第になくなりかけていることが最大の問題です。小泉「構造改革」の焼き直しであるTPPに入っても、状況が改善する見込みは全くありません。むしろ、グリーンイノベーション、ライフイノベーション、農業の6次産業化による地域経済の強化など、自らの成長戦略を急ぐことが何よりも必要なのです。


ところが、それを妨げているのが、原発や電力会社の既得権益を守るために「抵抗勢力」と化している財界首脳なのです。もはや日本の経済界は“戦艦大和”と化しています。政治だけでなく55年体制のままである財界も改革が必要とされています。


1

地域分散ネットワーク型のシステムへ――総選挙に問う(1)――


 

20089月のリーマン・ショック以降、100年に一度と言われる世界的な経済危機が続いています。欧州の経済危機は簡単には収束しそうになく、米国も「財政の崖」に直面しています。欧州経済危機はアジアにも及び、中国も韓国も経済成長率が低下しています。

 

一方、日本では、大手金融機関の経営責任を問えないまま不良債権処理が長引き、さらに小泉「構造改革」などの新自由主義的な経済政策が貧困や格差の拡大を引き起こし、「失われた20年」をもたらしました。このままでは、深刻な原発事故を引き起こした東京電力の経営責任も原子力ムラ行政の責任も問えないまま「失われた30年」になりそうです。

 

そうした中で、2大政党は政策の違いがなくなり、問責決議に明け暮れ、毎年のように首相が替わり、メディアが大本営発表を繰り返す中で、ナショナリズムと右傾化が急速に進んでいます。かつてドイツでは、バイエルンの地域政党であったナチスが台頭していきました。ベルリンとミュンヘン、東京と大阪……。まるで1930年代とそっくりです。

 

日本全体を閉塞感が覆っています。しかし、これを古い仕組みが壊れ、新しい仕組みが生まれてくる過渡期の現象だと捉えれば、将来目指すべき新しい経済・社会システムが見えてくるはずです。時代の底流にある流れを見据えなければ、選択を間違えてしまいます。


 

集中メインフレーム型から地域分散ネットワーク型へ

 

では、どのようなシステム転換が起きているのでしょうか。

 

20世紀型システムは、重化学工業を軸にした「集中メインフレーム型」でした。それは、大規模化によって効率化とコスト削減を図るやり方であり、大量生産・大量消費の経済社会システムを生み出しました。

 

これに対して、21世紀型システムは、コンピュータの大容量化・高速化・小型化による情報の総記録技術を基礎にして、大量の情報から利用者のニーズにあったソフトやコンテンツを提供することが勝負になってきました。スマートフォンや携帯端末はその典型でしょう。

 

物作りは、単にデバイスという箱を作っているだけではダメになりました。デジタル化で機能がチップ化されて基盤の上に乗ってしまうと、日本が得意な、多数の部品を組み合わせていく「すり合わせ」の技術も不要になってしまいます。むしろ消費者の選好の基準は箱の中のソフトやコンテンツになってきます(『新興衰退国ニッポン』講談社、2010年、第8章参照)。

 

薬作りでも、ヒトゲノムが読まれ、大量のゲノム情報をスパコンで記録することが可能になると、スパコンによるシミュレーションでできるようになってきます。

 

経済社会システムは、「集中メインフレーム型」から「地域分散ネットワーク型」に次第に変わってきます(『「脱原発」成長論』筑摩書房、2011年、第3章参照)。

 

たとえば、高度成長時代に出てきたスーパーマーケットを思い浮かべてみましょう。スーパーマーケットは大量に仕入れることで、価格を引き下げ大量に販売する「集中メインフレーム型」の典型例の一つです。実際、人口が増え、成長がある社会では、大量仕入れで価格を下げれば売れ残ることは少なくてすみました。

 

それが、人口が減少し低成長時代に入ると、スーパーの大規模化路線は映画館やレストランなども入った巨大施設になり、周囲30キロの消費者を根こそぎ集める方式へと進んでいきました。しかし、それも地域を吸い尽くしてしまうために、衰退地域からだんだん行き詰まりが見えてきています。

 

一方、コンビニは一つひとつの店舗が小規模であるにもかかわらず比較的堅調です。コンビニの特徴は、POSシステムでネットワーク化されており、どの地域のどの店舗で何がどれだけ売れているかがデータとして集積されているためです。ニーズにしたがって売れ筋商品を並べていけば、定価で売っても在庫を抱えることはありません。こうして小規模で一見、非効率的に見えても、ネットワークで結びつけることで十分に効率的になっていくのです。

 


エネルギー転換はシステム転換の核

 

福島第1原発事故は、20世紀型の集中メインフレーム型システムの崩壊を象徴しています。それは送配電ロスが大きいだけでなく、いったん事故を起こすと、システム全体を麻痺させてしまい、リスクがあまりにも大きいことが明らかになりました。

 

一方、再生可能エネルギーは不安定で効率的でないと言われます。しかし、先に挙げたIT技術の進展によって、むしろ効率的で安定的なシステムになりえます。将来の送配電網は、スマートグリッド(賢い送配電網)になっていきます。再生可能エネルギーなどで発電したエネルギーを蓄電し、双方向的な送配電網でつないでいくと、どこで電力が余り、どこで足りないかがすぐに分かり、調整することができるようになります。それだけではありません。どこにどのような種類の発電能力がどれだけあるかがデータになり、さらに日照や風向きなどがデータとしてあれば、それぞれの地域の発電量を予測することも可能になってくるのです。

 

もちろん、こうしたシステムの構築には発送電分離改革が不可欠ですが、集中メインフレーム型のシステムと違って、いきなり日本全国にスマートグリッドができなくても、一つひとつの建物や町単位でこうしたスマート化は可能です。たとえば、工場で断熱化し、太陽光発電をつけ、コージェネレーションのガス発電などで発電した電力を蓄電し、コンピュータで空調や照明をコントロールし、スマートメーターで見えるようにするのです。囲碁のようなイメージを抱くと分かりやすいと思いますが、仕様さえ整えておけば、社会の隅々から変革が着実に進行していくのです。

 

衰退傾向の著しい日本の電機産業だけでなく、住宅産業やIT産業も、こうしたIT技術を利用したスマート化や「地域分散型ネットワーク」のシステム構築によって再生していく道が残されています。

 

そう考えると、20世紀型の原発を続けていくことは新しい技術開発や新しい産業構造への転換を妨げ、ますますグローバルな情報通信革命から取り残されていってしまいます。原発を維持しないと、日本経済がダメになるのではありません。逆です。コストの高い原発を維持し続けることは、日本経済の再生を妨げてしまうのです。

 


“戦艦大和”化する日本

 

分散型ネットワークのシステムの背後には膨大なインフラが必要です。しかし、「失われた20年」の間に、この分野で決定的な遅れをとっています。グーグルやアマゾンの背後には、百万台規模のCPUをもつ膨大なクラウドとよばれるコンピューターシステムが形成され、計算機のコストパフォーマンスが年々倍になっていく高度成長が続いています。

 

スーパーコンピューターも旧来のベクター型から、スカラー型という汎用型のチップを膨大に用いるネットワーク型に変わりました。ところが、日本では、小泉政権時代にベクター型の地球シミュレーターにしがみつき、民主党政権下の事業仕分けでは「なぜ世界2位ではいけないのか」とスカラー型の「京」を中断させ、ベクター型の失敗を根本的に反省していません。

 

こうした中で、日本の産業界はCPUを作る力を失い、今ではロジック回路を作る力さえ失いかけています。量産する工程も台湾の下請けにやらせている間にノウハウを失い、台湾の企業の下請けに転落しようとしています。産業競争力の衰退は深刻です。

 

いまの政官財界は古い産業構造中心にできており、たとえは悪いですが、敗戦間際の〝戦艦大和〟のようになっているのです。失敗を認めず、ひたすら大本営発表を繰り返し、戦艦大和を作り続けようとしています。廣瀬通孝東大教授によれば、もはや戦力の中心は機動的な航空機になっており、インフラは空母になっているのに、未だに戦艦大和を作っています(『実世界ログ』PHPパブリッシング、2012年、第10章)。

これでは、なかなか日本の産業の競争力は復活しないでしょう。

 


農業も福祉も地域分散ネットワーク型に

 

問題はエネルギーだけではありません。地域分散型ネットワ-クの仕組みは農業でも適用できます。たとえば、直売所では個別農家がバーコードを持っており、POSシステムで足りなくなればすぐに納入でき、決済もたちどころにできます。おかげで、小規模農地でも簡単に100万円、200万円を稼ぐことができるのです。あるいは国内外に直販する仕組みもできます。

 

TPP推進派は大規模化で農業は大丈夫だと言いますが、平均耕作面積が1.9haの日本の農業を20ha30haに「大規模」化したところで、200haの米国や3000haのオーストラリアにはかないません。むしろヘリコプターで農薬をばらまく農業にはできない安心安全の環境農業を目指すべきです。環境や安全という社会的価値を大事にすることです。

 

それを成り立たせるのは、小規模分散型でも十分に競争できるように、地域単位で流通や加工を取り込んでいく6次産業化で収益を上げるモデルを作りあげていくことが重要になってきます。

 

社会保障や社会福祉のあり方も同じようなことが言えます。標準世帯モデル(夫サラリーマン、妻専業主婦、子ども2人)が崩れ、非正規雇用単身者、認知症、母子家庭などが増加してくると、年金を一元化するだけでなく、医療、介護、保育、教育などの現物サービスの充実が大事になってきます。

 

これらの現物サービスは、女性を中心にして地域の雇用を増やします。少子高齢社会では、女性は働き、保険料納付者・納税者になってもらうしかありません。しかし、都市と農村など地域の特性に応じてニーズが大きく異なります。住民が決定に参加して地域の事情に応じた供給体制を組み立てる必要があります。そして利用者本位のネットワークを構築して、多様で複雑なニーズを支えていかなければなりません。「地域主権」が必要とされる所以です(『失われた30年』NHK出版新書参照)。

 

脱原発や社会保障と税の一体改革やTPPなどは、実は20世紀型から21世紀型の経済社会システムへ進むのかどうかという本質的な選択が迫られている問題なのです。

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