2008年08月01日

『ヒットメーカー阿久悠物語』直前ブログ

ついこのあいだまで撮影やっていたかと思ったら、もう本日放送。
しかも、映像使用の権利関係で再放送もDVDも有り得ない、と言われ、おそらく今日一日だけの「祭り」となるであろう。
何か文句言われても、あとの祭り。

山口百恵さんも見てくれるであろうか……?

百恵さんには一つの思い出がある。

『炎の舞』の現場でのこと。
僕はフォースのカチンコ助監督。サードは手塚昌明さん。
セカンドは那須博之さん。チーフはプロデューサーに転身した中川好久さん。

あれは、日曜日の日活撮影所の昼休み。

日曜日だから、他の撮影は無く、我々『炎の舞』チームだけがセットに入っていたから昼休みはガラガラなんで、キャッチボールをしていた。相手は誰だったか忘れてしまったが、ボールが何往復かしている間に、投げている相手の方向から少し外れた左側、食堂脇に百恵さんが、突然、現れた。

おそらく控え室から衣装部に戻ろうとしている時で、内藤マネージャーとメイクの人の三人くらいと一緒だったであろうか。

普通なら、傍でキャッチボールしているからといっても、全く危険な位置では無い。

しかし、当然、注意して投げなければいけない……と思って意識し過ぎたあまりか、百恵さんにいいとこ見せて三浦友和に対抗しようと思ったのか、単にもとからコントロールが無いからなのか、人の運動神経と心理の関係は謎だが、僕の投げた球は一直線に百恵さんに向かっていった。それこそ狙って当たれば素晴らしいコントロールかと言えるほどの一直線であった。

ああ!球が百恵さんに当たってしまう!百恵さんは気付かない!誰かが「アーッ!」と声をあげた。それは僕だったかも知れない。

その瞬間、僕の目が一瞬ズームアップしたところによると、百恵さんは、ほんの数メートルの距離で気付き、驚くべき敏捷さで首をヒョイと曲げて球を避けたのであった。

事なきを得たが、その場の空気は氷ついた。

周囲の人々が僕と百恵さんを見比べている。百恵さんの周りの人たちは、「なんてことをしたんだ、このぺーぺー助監督は!」と目を丸くしている。
僕は脚を震わせながら、百恵さんのところへ走った。

「すいません!」
としか、言葉は無い。
周囲の人たちは息を呑んでフリーズしているかのように見えた。

すると百恵さんは、少し微笑んで、「ワン!」と犬の真似をした。

「このことは冗談にしときましょう」という雰囲気で、それを合図にしたように、百恵さんの周りの人たちも笑い、「ばかもん」「何やってんだ」「気をつけろよ」……というようなことを言ったんであろうが、それはまるで覚えていない。「ワン!」しか覚えてませんよ……

という三十年前の思い出である。

このこととドラマは直接関係無いが、星野真里さんは、ちょうどその年の百恵さんのイメージなのである。
この年の大晦日に、『阿久悠物語』はクライマックスを迎えるのだ。


本日、夜九時、日本テレビにチャンネルを!

kaneko_power009 at 00:12│Comments(13)阿久悠物語 | 現在製作中

この記事へのコメント

1. Posted by 七誌   2008年08月01日 08:35
星野真理 ×
星野真里 ○
2. Posted by サエグサ   2008年08月01日 23:32
突然コメント失礼します。
何気なく見始めたら途中から感極まって号泣してしまい、後半一時間ぼろぼろ泣きながら拝見しました。
テロップで監督金子さんだったのか!と慌ててこちらまで来た次第です。
20歳の私は当時のことをまったく知らないのですが、あの時代に生きれたような気分になりました。願わくばあのころに生まれたかった…。
ケータイ捜査官7も続き楽しみにしています!
3. Posted by 森   2008年08月02日 00:01
先ほど観終わって 何か言わずにはおれない感じに興奮してしまいました!自分も時代を作るような熱い作品を描きたい‥と身の程知らずな想いが込み上げてまいりました。次作も楽しみにしております!
4. Posted by mid   2008年08月02日 00:38
チャンネルを変えてたら、偶然画面に映って、そこから最後まで見ました。途中からだったのが残念で再放送がないとここで知り、更に残念。両親たち(70代)にビデオに録って見せたかったです。
高校生の娘も結構歌を知ってましたが、当時のアイドルの映像を見て「時代?」と言ってました。歌とアイドルは別ですね。
5. Posted by 海老原正美   2008年08月02日 00:51
5 ありがとうございました!

この作品にエキストラ枠で出演させていただきました。前作『プライド』続いて『ヒットメーカー阿久悠物語』金子組に参加できてとても幸せです!!

家族に言わせると
「どこに映っていたのか分からない」
との事でしたが
とても素敵な作品に参加できて本当に幸せな気持ちです。
自分のことなど忘れて
普通に昔、百恵ちゃんやピンクレディーのファンだった頃を思い出すと同時に裏側ではこんなことが起きていたんだ・・・と感慨深く楽しませていただきました。
本当にありがとうございました。
6. Posted by nanashi   2008年08月02日 15:56
当時の雰囲気がよく伝わるってくる素晴しいドラマでした
7. Posted by 実は松田聖子世代   2008年08月03日 11:43
ふだんほとんどドラマ見ないですけど、むちゃくちゃ面白かったです。最近阿久悠さんの「夢を食った男たち」を読んでいたのもあって、ぐいぐい引き込まれました。
最初テロップ見て「なんで金子監督?」と思ったんですが、クオリティも高くて女の子もかわいく撮れてて納得。主演の田辺誠一さんも雰囲気出ていました。
8. Posted by KOJI   2008年08月03日 17:00
「ヒットメーカー阿久悠物語」観ました。
うちの両親たちが懐かしそうに見ていました。
個人的には、看護婦の前田愛さんが良かったです。
9. Posted by リー   2008年08月03日 20:51
山口百恵さんを知る時代に生まれたことに感謝します。そして、百恵さんとの思い出を大切にされている金子監督に出会えたことに感謝します。
10. Posted by マロン   2008年08月04日 01:53
5 初めまして。
阿久悠さんのドラマ見ました。本当に面白く、最後まで引き付けられ、夢中でした。
今も熱い気持ちが続いています。
11. Posted by orange114   2008年08月04日 14:31
5 そこかしこに金子監督らしい場面があってクスクスと笑いながら楽しく拝見いたしました(^_-)☆

そして今回、かの阿久悠さんと百恵さんの因縁を
初めて知り、あのヒットメーカーの阿久さんが百恵さんに曲を提供していない=レコ大のシーンは圧巻でした!!
12. Posted by ツナ   2008年08月07日 23:05
5 あの時代を知らない私ですが、とっても面白かったです。百恵さんと阿久悠さんの関係が気になります。阿久さんはきっと百恵さんに歌詞を書きたかったでしょうね。
さらなる後日談期待しています!
13. Posted by Mac   2013年02月26日 23:49
金子さん、こんばんは。では。

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