2015年08月21日

自虐史観とは……?

8.14の首相談話を読んで考えてたら、長文になってしまった……

正義感の強い少年時代には沢山の反戦映画を見て育って来たが、自分で映画を作るようになると次第に「日本の戦争映画は後悔と反省ばっかりで暗くてツマラン」と考え出し、アメリカ映画のように悪玉ナチスをやっつけてスッキリ出来る「娯楽戦争映画」なんか出来ないものかねと思っていたら、相手が怪獣ならイケるだろうとガメラに出会い、戦争映画のメタファーとして作れたのだった。冷戦も終わり、北から攻めて来るレギオンを、もう誰もソ連のことを暗喩してるなんて思わないだろうと思いながら結構のびのび撮れ、「自国を攻撃されない限り戦争しない」と決めている自衛隊とガメラの共闘なら爽快に描けたのだった。……その頃くらいからか、世間では日本のアジアへの侵略の歴史を「自虐史観」と呼んで、反省や謝罪し過ぎは今後の為に良く無いとする風潮が広がり、確かにそういう面もあるのかも知れない、未来志向も大事だろうと思いながら「教科書が教えない歴史」を読んでみた……ら、最初は日本人の誇りを感じてワクワクした。黒船襲来でアメリカに不平等条約を突きつけられながらも僅か15年で封建制度から立憲政治を生み出して西欧列強に並んだ日本人て大したものなのだな、と思ったが……筆者は続ける。それから10年も経たずに朝鮮に対してはアメリカと同じ立場に立ったのである、と誇らしげに語る。即ち明治9年の日朝修好条規のことだ。維新から僅か9年で、アメリカが日本に突きつけた不平等条約と同じ性質のものを朝鮮に突きつけるくらいな「大国」に早く成長出来た日本人は素晴らしい、と誇るのである。そのオカシさに気がつかず以後も同様のことを誇り続ける。え?何がおかしいの?と思う人もいるだろう、そういう人は、これから言う事に腹が立つのであろうか。おかしいだろ、そこんところを誇ってしまうのは。アメリカが突きつけた不平等条約に日本は苦しんだ。それと同じ不平等条約を朝鮮に突きつて苦しませた行為を日本人として誇れ、というのはおかしい。西欧列強に侵略され続けたアジア諸国のなかで、唯一文化レベルの高かった日本が、西欧がした「悪い事」の「真似」が一足先に出来た、なんてことは誇れない。武士道精神を以てアメリカとは違って平等な条約を朝鮮と結んだのだ、と言うなら誇れますよ。でも、事実は違って「西欧がアジアにしてきた悪い事を、優秀な民族だからとても早く真似出来た」ということなのである。この部分は優秀なればこそ誇っちゃいけないことではありませんか。ここから根本的な問題が発生しているのにお気づきか。当時、朝鮮は文化程度が低かったから我国が近代社会への道を導いてあげた、その後中国は政権がグチャグチャになって内戦で滅茶苦茶になったから少しでも安定した国を満州に作ってあげて経済発展の基礎を築いてあげた、と言ってる人たちはこの部分から、自分のなかにある差別意識に気づかずに誇っているのだと思う。彼らから頼まれたワケでも無いのに。……と、書くと、いや頼んだ証拠があるとか何とか言って細かい文書を見つけて来るんだろうが、今の朝鮮人、中国人が自分たちが頼んだ覚えは無いと言ってるので、それは違うと言ってはならず、武士のたしなみとして諦めるしかないでしょう。事実、いろいろしてあげた方法は「力」を以てであり、根底に朝鮮、中国への差別意識、日本民族への優越意識がありながらも、強い「誇り」のガードによって自らはそれに気づく事が出来ない、日本をアジアの「兄」として自負する、その根底の分かれ道が、この明治9年の日朝修好条規から始まる歴史を「誇る姿勢」に始まっていると思われる。ここが間違いの道へ続く最初の枝分かれなんだと思う。この間違いに気づかないで誇ったままの人は結構多い。オピニオンリーダー的な「教科書が教えない歴史」がこれなのだから。間違いを誇ることなく正しく認識する、即ち「侵略」と認識するというのは「自虐」では無い。学者の意見を待つまでも無い。その侵略に対して中国から出て行けとアメリカに迫られ、石油を止められたんで「自存自衛」という理由を付けて奇襲攻撃したら最初は上手くいったが反攻でボロ負け、「野火」みたいな状況になってしまった……とまとめるのは自虐でも反日でも無い。こう説明しても、やっぱり19世紀末の世界の常識を持ち出して、その常識からすれば、日本が朝鮮や中国にしたことは悪い事ではなく、誇らしいことなんだ……と、なってしまうのであろうか? そう思いたくても言ったら先方は怒るというのも分かっていながら敢えて言い、怒られれば怒られるほど頑なに誇ってしまう心理状態……それこそが自虐的心理なんじゃないでしょうかね。いじめられっ子の心理みたいじゃないですか? 侵略の歴史を自虐史観と呼ぶのは、もう止めた方が良いと思う。侵略は国際的犯罪だ。「野火」「日本のいちばん長い日」「この国の空」には、何ら自虐的要素は無く、この国のかつての犯罪を告発していた。

kaneko_power009 at 07:53│Comments(3)TrackBack(1)歴史 | ガメラ

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1. ガメラ:平成(金子)版視聴記など 2015/08/28  [ ガメラ医師のBlog ]   2015年08月28日 19:07
 前回更新分の「 /08/18 」に続きまして、 「大怪獣空中戦」から「邪神覚醒」まで、平成(金子版)ガメラ三部作の鑑賞記事などを、まとめてご紹介しております。 関連で、「 BS視聴記(G?編) /08/27 」にはこちらから。  G?レビュー: 『 pontaのblog 』 http://blog.livedoor....

この記事へのコメント

1. Posted by 豆はんてん   2015年08月23日 14:01
監督、撮影お疲れ様です!
今回印象に残ったのは「武士のたしなみ」というお言葉でした。思えばイリスやギャオスと戦ったガメラも、武士のたしなみというか、武士道を貫いていたと思います。 翻って私は?
果たして今、1人でゼッケンをつけて外に出られるのか?
弱い人間です。
話題が変わって恐縮ですが、ひょんなことから、今日が人形作家で映画監督の川本喜八郎氏のご命日と知りました。
そこで急に思い出したのが二十数年前のこと。テアトル池袋で川本氏の映画(岸田今日子氏原作「眠り姫またはいばら姫」など)を見た時、監督をお見かけした記憶があるのです。連れの方がいらしたような?人違いかもしれませんが。

まだまだ暑い日が続きます。お体に気をつけて撮影されて下さい。
2. Posted by ダイヤモンドキック   2015年08月24日 23:32
今回の首相談話は、文筆のプロも「完璧」と絶賛する内容だったようですね。確かに大変上手なのでしょうが、全体的に俯瞰したような話の内容であり、談話後も中韓はじめ各国の反応もこれまでと変わらず、炎上しなかっただけよしとするか、といった体で、果たしてこれだけ引っ張った意味がある談話なのかな、と思いました。
あちこちに気を遣いすぎると、結局何が言いたいのかが伝えられなくなる典型のような気がします。
ところで、実写版進撃の巨人を観て、
特撮映画における本編監督の果たす役割って想像以上に大きいんだなぁ、と改めて思い知りました。きっと色々なことに気を遣いすぎたのかなぁと…。今さらながら、金子監督のフィクションを支える力に改めて感じ入りました。
3. Posted by 豆はんてん   2015年08月26日 15:46
監督、お疲れ様です!
先ほどG3をBSで拝見致しました。やはりラストの彼にはグッときます!
ツイ上では仲間さんのミイラが話題のようですが、監督が作詞されたテーマが短く流れて終了すると、すかさず「はにゃ〜」と魔神様ではなく、はに丸君が登場する流れも絶妙でした。
それでは撮影、頑張って下さい。

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