2018年04月14日

『ニッポン国VS泉南石綿村』

『ニッポン国VS泉南石綿村』は、先ずアスベスト災害の詳細を教えてくれる。
アスベスト=石綿がこれほどの被害をもたらしていた事を良く知らなかった。便利に使われていた石綿は、子供の頃、“石綿金網”というものがあって、理科の実験でも普通に使われていたくらいに断熱材として生活に馴染んでいたが、粉末を吸い込むと肺に刺さって20年の潜伏期間を経てガンなどを発生させる。製造する工場に働いた人々の多くが死んでいて、工場に隣接していた家の人も被害に遭っている。我々もかなり吸い込んでいるのかも知れない。そんな情報を本来なら国が70年代に広く知らしめているべきであったのに、経済優先で製造を止めなかったため、被害が拡大した。国の責任を問うために訴訟を起こした大阪泉南の石綿工場関連の人々は、既に皆老齢だから、裁判が長引くと、どんどん死んでいってしまう。勝ち目の薄い裁判には、やるせない怒りや悲しみだけしか無いのではないか、と思わせながらも、その人々が共同で原告となって裁判をするうちに仲間となり、そこには笑いもあって生き甲斐もある事が人々の表情で描かれる。裁判をしなければ得られなかったであろう。彼らは我々の替わりに国という巨大なシステムと戦ってくれて、その報酬を“生き甲斐”という形で得て、人生の最後を輝かせている、と原一男監督の目は語る。背景に数々の人知れぬ死があることも忘れる事は無く。そして多くの犠牲を払って勝利(最高裁勝訴)が訪れる。爽やかな涙と共に、あ、これは戦争映画の構造だったのかと、書いていて気づき、タイトルを見直す。

kaneko_power009 at 00:03│Comments(0)

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