夏休みなんかいらない

2012年02月14日

最初のヒロイン

先日、高校の同窓会があった。
その人の姿はひときわ目立っていた。
目がズームアップしていた。
彼女が来たのだ……
……「彼女」と言っても「カノジョ」だった人では無い。
1年生の夏に始めて8ミリで撮った映画のヒロイン、その人だ。
僕は不思議な緊張と感慨に襲われた。
この気持ちは何であろう?
そうだ、彼女は「僕の映画」の「最初のヒロイン」なのだ。
プロとして何十人も女優を撮ったはずなのだが、思い返すとその人は本当に上手かったのだ。
記憶のなかではプロの女優と比べて遜色は無い。
……そして美しかった……今も……
彼女と話す時の緊張と感慨って、同級生への感情では無く……
「女優」に対する気持ちと同じだった、と家に帰ってから気づく。
8ミリ映画を撮った後、特に親しくなった訳ではない。
今にして思うと、普通のクラスメートというより別格の女性として意識をしていたのかも知れない。
だが、特にエピソードの無いまま卒業して数十年……
そして現在の彼女と実際に会って話すと、まさに始めて撮った女優=ヒロインとして見ている自分がいたのである…
映画はクラスの文化祭への出し物であり、僕個人の作品という訳では無かった。
文化祭で何をやる?というホームルームで「映画を作ろう」と提案した。
8ミリカメラを触った事も無いのに何故そんな提案をしたのか。
その数日前、生徒会の先輩が「去年クラスで映画を作ったらスゴい盛り上がったよ」と楽しげに喋るのを聞いたからだ。
ガーン!と来た。雷に打たれたようだった。
その言葉が衝撃的で、それを聞いて以来「映画を作りたい」「映画を作りたい」と心の中で繰り返していた……
結構、クラスメートの抵抗もあった。
そんなの出来っこないよと言う声もあったし、面倒くさいよ食堂でいいじゃないかと言ってた奴もいた。それを何だかんだ言って説得した記憶がある。そして無理矢理、多数決で決めた。
脚本を一日で書いて監督にも立候補した。他に希望者がいなかったから。
「主役は投票で決めよう、民主主義でいこう」とか言って無記名投票させたら……
イメージと違うキャスティングになってしまった! 
ちょっと愉快な感じの子を選ぶんだよな、みんな。コメディじゃないのにさぁ……
そこで裏から手を回して決まった人に降りて貰い、イメージに近い彼女に立候補するように頼んだ。
……何が民主主義だよ……
好きだったのでは無い。好きな人は他にいた。イメージに近かったという言い方しかない。
その人なら出来る、出来そう、という気がしたのに違いない。
同窓会で聞いてみた。「何かやってた?」「小学校の時、演劇部だった」「なるほど……」
でも、その後の人生では全く演技というものはしなかった、と言う。
他のクラスメートと比べても早くに結婚してお子さんにも恵まれた、というのは知っていた。
撮影の時は物怖じしないで堂々としていたのを思い出す。
この同窓会の前までは、8ミリ映画というと自分と廻りの友達のことばかり思い出していた気がする。どうやって映画を作る事になったかとかストーリーの事とか、夏休みの日々とか、その8ミリが出来たのを文化祭で見て映画監督になろうと思った、とか……
でも、あのシーンで彼女がしっかり演技したからこそ映画が見られるものになった、というふうには思わず、何故かあのシーンは自然に上手くいったのだ……という認識だった……ような気がする。
その認識が再会で突然崩れて脳内で記憶を組み直していたから「不思議な緊張と感慨」があった……のではないだろうか……

それから四十年が経っている。


※女子高生が始めて映画を作る小説「夏休みなんかいらない」電子書籍にて発売中デス。

kaneko_power009 at 10:27|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)

2011年07月09日

東京国際ブックフェア(TIBF2011)電子書籍イベントに参加

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有明の東京ビッグサイトで行われている電子書籍イベントに参加して来ました。会場は凄い人、人、人……
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7月7日〜10日までで8万人が参加見込みの東京国際ブックフェアは今年、かなりの部分を電子書籍コーナーが占めている。
かく言う私も電子書籍雑誌「月刊GEN-SAKU!」にて小説「夏休みなんかいらない」を連載中だ。(お買い求め下さい、安いです)
電子書籍の可能性、「夏休みなんかいらない」についてインタビューを受けたが、会場が広くてざわついているんで自分の声が通っているのか不安であった。
インタビュアーは石田紗英子さんというお奇麗な方で、テンションが上がる。
さらに、ついクランクアップしたばかりの『青いソラ白い雲』について話すと余計にテンションが上がった。
「放射能だらけのニッポンを震災犬と共に歩き回る少女のハナシで、テレビでは言えない危ないセリフもバンバン飛び出しますよ」と言っていたら、片山善博総務大臣が通りかかった。
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首に巻いているのは、撮影現場でスクリプターのミポリンから貰ったマジクール。これをしてると結構涼しいんです。
帰りは自分の名前が書かれた大きなIDカードを首から下げたままゆりかもめに乗っていたらしく、新橋の街を歩いていたらそれに気がついて恥ずかしかった。

kaneko_power009 at 00:11|この記事のURLComments(1)TrackBack(0)

2011年04月27日

「夏休みなんかいらない」電子書籍雑誌「月刊GEN-SAKU!」で連載

金子修介は小説家としてデビューしました。
電子書籍ストアBookLiveより発売の「月刊GEN-SAKU!」にて「夏休みなんかいらない」を連載開始してます。
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創刊号は特別価格で299円は安い!

なんと予告編もあります。



しかし現在、Macとiphoneには対応しきれてないみたいなんで、その辺りはご注意を。
何故なのか、良く分かりませんので、分かり次第ご報告します。




kaneko_power009 at 09:48|この記事のURLComments(3)TrackBack(0)

2011年03月24日

香港アジア映画投資フォーラム(HAF)に『夏休みなんかいらない』で参加 PART2

香港フィルマートの一部に設けられたHAFのコーナーです。
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およそ一万本と言われるなかから28本に絞られた企画が、ここでセールスされます。
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僕の『夏休みなんかいらない』のブースは27番目。
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ここに、次々と海外の配給会社や制作会社が現れ、僕は映画のストーリーとテーマを説明します。
「17才のハイスクールガールが好きな男の子をキャスティングして学生映画を作ろうとするんだけど、告白出来ないで、恋のライバルをその相手役にしたら、ラブシーンを撮らないといけないハメになって胸が苦しい」
と、言うと、バイヤーは「Oh!」となります。
「映画の中の映画はちょっと古い時代のラブトライアングル物語で、現実もラブトライアングル。それが交錯するロマンチックコメディなんですよ」
と言うと、相手はにこやかに。
「だけどそれだけじゃないサブプロットが絡みます。主人公のお父さんは元映画監督で、エロチック映画を1本撮って仕事をやめ、今ではカレー屋さんになっている。このお父さんが、最初は娘の映画を、そんなのは映画じゃねえ、とバカにしてるんだが、最後には、これこそ映画だったんだ!と気づく。つまり、映画とは規模の大小やフィルムかビデオかなんてことは問題じゃなくて、仲間と一緒になって芝居を映像にしてゆく、そこに本質があるんだ、ということを言いたい。
隠されたオマージュとして、トリュフォーの『アメリカの夜』やワイルダーの『サンセット大通り』のような映画バックステージものを映画ファンは思い起こすでしょう。映画のフォルムはどんどん変わっていっても、映画には未来があるんだ、ということを感じて欲しい。でも、入り口は広く、多くのヤングジェネレーションに向けられているんです」
とまくしたてると、皆さん「INTERESTING!」と言ってくれます。
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参加者のなかに香港の『1999年の夏休み』大ファン黄修平(左から二番目)がいて、「あの映画が僕をこの世界に引き入れたんです」と言っていた。レーザーディスクとDVDにサインする。
香港にはファンが多いのだ。
彼も、「愛的根源」という作品をHAFに提案している。

kaneko_power009 at 12:25|この記事のURLComments(3)TrackBack(0)