赤木智弘氏の名前はみなさんすでにご存知ではないかと思います。『論座』2007年1月号に「「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」という文章を掲載して、左翼のお歴々やら新聞やらを総釣りにして、このデビュー論文一本でなにやら世の中の状況を変えてしまった若手の論客兼フリーターの方です。
じつは赤木氏がまだ東天王ヨブと名乗っておられた時代に、少年犯罪データベースのデータ作成を手伝ってもらっていたことがありまして、私とは因縁がありました。
その赤木氏が件の「「丸山眞男」をひっぱたきたい」をも含めた初の著書『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』を出されたのが、管賀江留郎の『戦前の少年犯罪』とまったく同じ10月25日のことであります。
奇しくも、同じ日同じ刻に生れ落ちたふたつの本の、なんと懸け離れたその境遇でありましょうか。なにせ、赤木氏の本は25日に出る前にすでに、11月1日から一ヶ月間も紀伊國屋新宿店でこれを中心としたブックフェアをやることが決まっているというのです。初の出版でこんなあつかいを受ける本などほかにはどこにもないでしょう。まさしく、銀の匙をくわえて生まれてきたとはこういうことを云うのではないでしょうか。
かたや、誰からも祝福されることもなくうらぶれた街の掃き溜めの片隅でひっそりと生まれ落ちた名も無き本。同じ日同じ刻にも関わらず、このあまりに違いすぎる運命の星の下で生を受けたふたつの本は、やがてどちらかが倒れるまでの血で血を洗う宿命の対決を迎えることになるのだったというのが本来の盛り上がりを持った筋立てでもありましょうが、それはそれ、そんな悠長なことをやっている暇も無くできるだけ多くの方に情報を届けねばならぬ、昨今の出版事情では無名著者の本など埋もれることは必至、なんとしてもこのフェアに加えてもらわねばと、それで何年も連絡を取っていなかった赤木氏に本を送るという挙に出て読んでもらったわけです。
なにせ、立ってる者は親でも使えというのが管賀家に代々伝えられし家訓でもありますし、また、薔薇のさだめに生まれたなら華やかに激しく生き、気高く咲いて美しく散ればいいけれど、草むらに名も知れず咲いている花ならばただ風を受けながらそよぎなさいと山上路夫さんも仰っておられることですし。
それでどういうことになるのか当日までわからなかったのですが、きのう新宿まで見に行きましたらフェアに並んでおりました。しかも、4面平積みで、これにはビビりました。
てっきり、赤木氏が口を利いてくれたものと思っておりましたら、そういうことでもないらしく、しかし、赤木氏がブログで取り上げてくれたことがたぶん大きくて、それ以前にそもそも赤木氏が筆一本の力でこういう場を創り出してくれなかったらどうしようもなかったわけです。
フェアは3Fの奧まった社会のコーナーですが、もっと中央の新刊コーナーにも2面の面出しとなっておりまして、面出しというのは棚に縦に表紙を向けて置く業界用語だそうですが、無名著者の初の本としては破格のあつかいで、ここでも赤木氏の本と仲良く並んでいて、だからこそこういうことが成り立つのでしょう。
アマゾンでも何故かこの二冊がセットのあつかいになっておりまして、なんだか申し訳ないやらありがたいやら、コバンザメ戦法でとことんどこまでも行くぞ兄じゃ、おう付いて来いという感じではあります。

当方の本などは刷り部数もそんなに多いはずもなく、大型書店と云えどもなかなか見つからないということもございましょうから、やはり本は手に取ってからでないと買う気が起こらないという方は紀伊國屋新宿店の3Fに行っていただければ確実に目にすることができると思いますので足を運んでいただければ。
私を築地書館に紹介してくださった森田ゆり氏の、そのきっかけとなった『子どもが出会う犯罪と暴力』なんかも『若者を見殺しにする国』で言及された著作として並んでいて、赤木氏とはまったく連絡を取ってなかったのに奇縁にほおっと思ったりもしました。
紀伊國屋のブックフェアの様子は『若者を見殺しにする国』のキャンペーンサイトに写真もあります。赤木氏のほうの12面平積みもすごいですが、その手前に4冊申し訳なさそうにでかい顔して並んでいるのが拙書であります。
なお、新宿ではジュンク堂でも面出しになっておりました。ありがたや。
ということで、『戦前の少年犯罪』ともども『若者を見殺しにする国』もよろしくお願いいたします。『戦前の少年犯罪』を読もうと思われるような方には、こちらもきっと興味惹かれる内容であろうかと存じます。
などといまさら当方が宣伝するまでもなく、みなさま重々ご承知でもありましょうが。