『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか 冤罪、虐殺、正しい心』は、おかげさまで大変好調で、入手難となって各方面にご迷惑をお掛けしました。
ようやく3刷が書店やアマゾンに並び、4刷5刷も準備してますので、概ね、いつでも簡単に入手できる状況になったかと思います。

この増刷に合せて、いろいろと修正を行っております。
そのほとんどは細かい誤字脱字ですが、2刷では13章を1ページ増やし、14章は2ページずつ後ろにずれるという大胆な改変を断行しました。
具体的な加筆内容は下の修正リストをご覧いただきたいのですが、なにゆえこんなことをやったかと申しますと、最終稿を入れたあとに各章の扉に絵を入れることが決まって、13章の最後と最終章の扉が、なんとも窮屈な状態になってしまったからです。
13章を読み終えたあとに、ページをめくって一拍置いてから余韻を持って最終章へ向かっていただきたいという、全体の流れを作るため無茶な変更をすることにしました。
ですので、1ページ増やしたと云っても、実際には5行書き足しているだけです。
じつは、この5行は最初は入れるつもりが、内容的に躊躇して削ってしまったものでした。
しかし、迷子のアリの役割としては果敢に間違える踏み込みが足りなかったのではないかという反省と、上記のような事情から戻すことにしたわけです。
なお、予算的にこれ以上ページは増やせないので、あとがきを右ページからはじめることにより、総ページ数は変わらないという荒技をやってます。

このブログなどでも、記事をアップしてから最低三度、多いときには十回以上書き替えをするのが当方の性情ではありますが、本書もつねに更新して徐々に完成を目指す<公平な観察者>的、ベイズ的、真の保守主義的、進化的アプローチを取っております。
初版を読んだ方こそは、この記事に今後も追記される変更点により、その進化具合をより一層に感じていただくことができるかと。
それはあたかも、『火の鳥 未来編』に於いて、ナメクジの進化を見届けた山之辺マサトの如き、あまり嬉しくもない特権やもしれませぬが。

あえて初版を読んで、その特権を得たいという物好きの諸氏は、町の本屋さんを探索することをお奨めいたします。
先日、西荻の今野書店にたまたま行きましたら、新品の初版が4冊も平積みされていました。
品切れで、アマゾンの中古が定価の3倍にも跳ね上がって、そんな値段でも買い求める方が大勢いたというのに、定価の新品が誰にも見つけられずに眠っていたのです。
当方の知ってる限りでも、ほかにも何軒か、まだ初版が売れ残っている町の本屋さんがあります。
小さな新刊書店はまだまだ宝の山です。ウェブばかりでなく、町を探索するのが面白いかと。
すでにプレミア価格も無くなったいま、なにやら流行りのゲームより実用的価値もなく、純粋ゲームとして愉しめます。

間違いはまだまだあるはずですから、皆様方も見つかりましたら指摘していただければ。
アマゾンレヴューにある、山崎氏の書の表記間違いとはなんでしょうかね。
指摘する場合は具体的にご教示いただければ幸いです。

ところで、あとがきには、8年前に当方が山崎兵八氏の著作『現場刑事の告発』を雑誌記事で取り上げてから、テレビ番組がひとつあっただけで、ほかには追随するものがまったくなかったと記しております。
しかし、本書を出したあとに、去年の7月に出た菅野良司『冤罪の戦後史』という本で、『現場刑事の告発』を取り上げていることを知りました。
その頃には本書の冤罪に関する部分はすべて書き終わっていたので、気付きませんでした。
あとがきの最初の部分は、それよりもだいぶ前に書いたものだということもあるのですが、いろいろと考えて、訂正せずにそのままといたします。
こうやって、図式的記述というのは為されるというサンプルです。
徳川信康の切腹の理由は諸説あるのに、本書に都合のいい冤罪説のみをわざわざ冒頭と最後に持ってきて全体を挟み込んだ仕掛けに、さらに組み合わされる不作為の図式的記述という仕掛けです。
なお、今年の4月7日中日新聞「二俣事件 冤罪の潮流」という記事で『現場刑事の告発』が取り上げられてることも、出版のあとに知りました。
これらは私が8年前に書いた雑誌記事の流れのような気もしますが、そうでもないのですかね。



『道徳感情はなぜ人を誤らせるのか 冤罪、虐殺、正しい心』修正リスト


■2刷

○ p104 後ろから7行目 ※見出し
近衛の政策 → 近衛文麿の政策
※目次の見出しも同様に変更

○ p241 後ろから3行目
際に、うまく抵抗

際、役所防衛能力には圧倒的力量を備えていたはずの内務省さえ、うまく抵抗
※抵抗の主体が政府であるような文章になっていたので、主体をはっきりさせました。
吉田首相は内務省なんてどうなろうがまったく興味がなく、さらに基礎的知識もなかったので、内務省お得意のロボット操縦ができなかったのでした。

○ p273 最後の行
(藩屏は防御の囲いの意味) → ※文字を小さく
※本書では引用文以外の括弧はすべて文字を小さくしてますが、ここは見逃してました。

○ p407 後ろから2行目
積算して → 換算合計して
※元の県警資料も私の原稿も「折算」ですが、私に相談なく変更されてました。気付きませんでした。
正式の役人ではない判任官待遇期間を半分などに計算して、叙位叙勲の基準となる役人勤続年数を出すという意味ですから、積算とは違います。
換算もちょっと違うような気もしますが、折算は確かに難しいので「換算合計」にしてみました。
折算というのは役所では使われる言葉なんですかね。
判任官待遇期間を何掛けに計算するのかは決まっていたと思いますが、私にはよく判りません。
ご存じの方はご教示をよろしく。

○ p464 2行目 
社会全体を巻き込んで破滅させてしまうのである。
 また、自分にはない

社会全体を巻き込んで破滅させてしまうのである。
 株の大暴落など<ブラック・スワン>と呼ばれる突発的事態は予測不可能だと云われるが、自らリスクそれ自体を追い求める<サイコパス>の性質を計算に入れていれば、その何パーセントかは予測が付き、防止もできようになると思われる。このような破滅そのものを追い求める輩が跋扈することに、現在の市場はあまりにも無防備であった。人間がじつは不合理な存在であることを解き明しつつある行動経済学も、まだ<サイコパス>までは理論に組み込めていないのである。
 また、<サイコパス>は自分にはない
※なんでこんな変更をしたのかは、上記を参照のこと。

○ p477 10行目
操るのため → 操るため


■3刷 (以下すべて、ページと行数は2刷以降のもの)

○ p435、5行目
グルーブ → グループ


■4刷

○ 165p 7行
雖も → いえども
※この引用文では、「之」を「これ」に開いていたのに、もっと難しいここはそのままだったので、次の行を修正するついでに変更しました。

○ 165p 8行
厳呼 → 厳呼(※原文ママ)
jiyunさんの指摘に感謝いたします。
「あったししたので」も原文のままですが、こちらはそれほどおかしい言葉ではないので、注釈は入れません。方言ですかね。
「他日」は間違いではありません。

○ 350p 2行
附着してい血痕 → 附着していた血痕

○ 366p 7行
硬直 → 膠着

○ 367p 最終行
硬直化し → 行き詰まり
jiyunさんの指摘に感謝いたします。
「相まり」はそのままにしました。
語源的にはおかしいという話もあるでしょうけど、語源的には意味自体が微妙に変わってますし。
「硬直化」も意味としては通じるのに、こっちは間違えて恥ずかしいという想いがするのは、人の心というものはおかしなもんです。
じつは本書のテーマにもちょっと関連する、ミームの問題だったりするのですが、これは誰もまだうまいこと解き明してないようです。

○ 405p 後ろから2行
あまリズバズバ → あまりズバズバ 
※リをひらがなに。

○ 518p 6行
起ったりするは → 起ったりするのは


■5刷

○ p271 6行目
十二章 → 十三章
※もともと12章と13章はひとつの章だったのですが、書き足してるうちに後半部分が肥大化したので、ぎりぎり一番最後にふたつに分割しました。そのとき、ここを修正するのを見逃してました。

○ p418 6行目
伊豆半島の先端近くの → 伊豆半島の
※松崎は先端近くとは云えないと指摘を受けました。
先端近くというのは大ざっぱな意味で書きましたが、田舎に飛ばされたことを強調するための図式的記述だったかもしれません。