第3章 新自由主義の破産、もう何もない

今まで具体的な話をしてきました。
じゃあ歴史的にみるとどうか。
資本主義は300年、産業革命からは二百数十年ですけど、そんなに長い時期じゃない。
この資本主義の歴史の中で見た場合に、今回の世界金融大恐慌はやっぱり終わりだと、資本主義として終わっているじゃないかと。
今まではサブプライムローンなんかに顔を近づけて見て来たんですけども、ちょっと顔を離して、足をうしろに引いてこれは何なんだと、考えてみましょう。
こんなに生産力が発達したのに、なんで21世紀にもなって、人類が食っていけないような大恐慌が起きるのか。
キーワードは新自由主義です。
新自由主義が破産し、もうあとは何もないんだということです。

(1)29年大恐慌から70年代までの政策の破産
1)29年大恐慌後のニューディール政策

さっき、74〜75年恐慌というのを話しましたけど、
このへんを境にしてそれまでの資本主義の基本政策が破産し、
そこから新自由主義政策が出てきます。
では、それまでの基本政策とはなんだったのか。
もともとは、29年大恐慌後にとられたニューディール政策、
新規まき直しという意味ですけど、
それが元になっています。
33年にアメリカでルーズベルト大統領が出てきて、
ニューディール政策を実行しました。
ニューディールダムルーズベルトはそこまで言うか、ということを言っている。
「賃金水準は生計費に見合うまで引き上げられなければならない。
労働者の生活賃金以下の賃金支払いによって成り立つような企業は、
この国では存続する権利がない」と。
生活賃金、つまり生活給ですよね。
「生活できるだけの賃金」というのは労働者の要求でしょう。
「生活できるだけの賃金よこせ」と。
しかし、資本家はそういうのは認めない。
30年代アメリカ労働者    

















(写真はアメリカの30年代の大失業。労働者家族は大都市のど真ん中にバラック小屋をたてて雨露をしのいだ)
ところがルーズベルトは、
「生活できるだけの賃金を出せ。
もし出せないんだったら、この国から出て行け」と言っている。
実際に賃金がそうなったというのではなく、大統領がそう言ったということが重要。
それほど労働者に取り入ろうとした。
それがニューディールなんです。

実際、例えば35年につくられた全国労働関係法、ワーグナー法と呼ばれますけど、
労働者の権利は全部認められます。
ストライキの時のピケットも認められます。
第2次大戦後になってタフト・ハートレー法というのができるんですけど、
これでピケットは禁止されます。
同じ35年に社会保障法がつくられます。
人類史上初めて社会保障という名が付いた法律です。
これは老齢年金とかを国家が初めて保証したわけですね。
革命を防ぐために労働者を懐柔するやり方です。
そのために可能なかぎりのアメを与えたということですね。

2)第2次大戦後の国家独占資本主義政策

これが第2次大戦後に他の帝国主義国、日本とかヨーロッパでも採用された。
例えば日本の労働基準法とか労働3法なんかそうですけど、
労働者の権利をかなり認めました。
憲法で労働3権が書かれているのは日本だけです。
世界中のアメリカもイギリスもどこの国も労働3権が憲法にある国なんてない。
そんなものも認めるわけです。
なんでかと言ったら、第2次大戦後に日本でもそうですけども、世界中で革命が起こりそうだったものだから、
労働者の権利を認めるというやり方をしたわけですよね。
(写真は1946年の日本の食糧メーデー。
プラカードには 「朕はたらふく食ってるぞ」が掲げられ、
怒りのデモは皇居に突入し天皇家の台所まで攻め込んだ)
朕はたらふく食ってるぞ
46年メーデー  
 
 
 
 
 
 
 
 

資本家の側は「どうぞどうぞ認めますよ、ほとんど認めますよ、ただ革命だけはやめなよ」と出てきた。
これに対して「じゃあやめます」と、
「やめますから賃金を上げて、社会保障をおくれ」という要求に縮めてきたのが、戦後の総評労働運動、体制内労働運動ということなんですけどね。
実際には、国が財政政策とか金融政策なんかで経済に介入します。
それまでは、国が財政政策で景気をてこ入れするなんてことはやっていないわけですよね。
これを国家独占資本主義と言います。
国家独占の資本主義です。
国鉄が典型ですね。
資本主義なんですけど国家独占です。
フランスも戦後、基幹産業が国営化されました。
日本の国鉄なんか明治以来ずっと国鉄ですけど、
フランスは第2次大戦が終わった後にほとんど革命に近いようになるから、
産業を国有化までした。
資本に対するさまざまな規制も国家制度として採用されることになりました。

3)70年代に国独資政策は破産し弊害になった

しかし、高度成長が終わると、74〜75年恐慌が典型的なんですけども、
国家独占資本主義政策はむしろ弊害となった。
要するに財政が破綻したということです。
労働者の権利を認め、社会保障をやるというのは、必ず国家財政での支出を伴っていた、
それによって初めて可能だった。
日本の場合はそういう政策をやって20年も経たないうちに、
あっという間に財政がパンクして、
財政が破綻して、
やればやるほど弊害になるというふうになった。
しかも体制内とはいえ、労働者の権利を認めたことが、
資本家階級の支配を掘り崩すことにもなってしまった。
国家独占資本主義は、経済的にも階級支配的にも大破産したんです。
それで、労働者の権利とか社会保障を認めているというあり方から、
新自由主義に大転換した。
民営化・労組破壊で労働者の権利を奪い、社会保障を解体するというのが新自由主義です。
従来の政策からちょっと角度を変えるんじゃないんですね。
180度、真逆のやり方をするというのが新自由主義です。