6月26日、市東さんの耕作が不法に行われたとして市東さんを犯罪人・被告として法廷に立たせることを強制している耕作権裁判の口頭弁論が開かれた。実は、空港会社による証拠の偽造をはじめ、17626あまりにもデタラメな主張と、それに対する弁護団、市東さんの闘いによって、裁判はこう着し、すでに11年を経過しながら、立証過程にさえ入れない体たらくなのだ。(右写真は報告会での市東さん)

 焦った裁判所、国は内田博久裁判長に昨年末に代えてきた。内田裁判長は突然、5月22日、裁判所・検察・弁護団による「進行協議」を、「何の必要があるのだ」との弁護団の批判を無視して入れてきた。これという成果もあげられなかった内田裁判長は、再度7月に行おうとした。そしてこの日の法廷で、証人調べなどの事実審理を行うことなく書面だけで突破して、早期結審への道をこじ開けようとしていることをはしなくも暴露していたことが、法廷の後の報告会で弁護団よりあきらかにされ、法廷でも、「隠れて進行協議などでやろうとせず、公開の法廷で堂々と進めるべきだ」と弁護団によって指摘された。傍聴闘争の重要性が明らかにされた。

 そもそも空港会社は「南台41の土地の中の一部を賃借地としているだけだから、南台41の土地の中であれば場所を変更しても農業委員会の許可は必要ない」、とか「41の中での賃借地は特定されていない」などといって特定位置の間違いを開き直っている(この日の『6・26耕作権裁判傍聴のために』より引用)。土地を特定しなくても農地を強奪できると強弁しているのだ。こんなでためを許せるか!

 17626_2かって「境界確認書」などの偽造問題などで関連文書の提出が争点となり、東京高裁、千葉地裁で空港会社の敗訴となりながらいまだに空港会社は不十分なものしか出さず、「見つからない」と逃げ回っている。その折に出てきた文書がインカメラした裁判所によって2ヶ所ほどが黒塗りにされた(左写真)。文章のながれから推測して、そこに農地の位置の特定にかかわる部分がある。この日の法廷で、「農地の特定が争点になっているのだから黒塗り部分を明らかにしろ」ということが弁護団から強く要求された。ところが、内田裁判長は、すでに一度裁判所がインカメラしたうえで黒塗りしたものだから必要ないと強弁した。内田裁判長は当然、見たこともない。見ようともしないのだ。そこには「農地の特定」が最大の争点の一つとなってきていることを回避したいという露骨な意思が顕わになった。弁護団の怒りの追及は当然だが、傍聴席からの裁判長への批判、弾劾の怒号の叫びが休むことなく30分以上続いた。しかし、裁判長は退廷命令を出すこともできなかった。

 17626_3ここで明らかなように、空港会社によるあまりに理不尽な「農地強奪」の主張のゆえに、すでに11年を経過したこの「耕作権裁判」が、同じ場所の農地を巡る「農地法裁判」がすでに最高裁決定が昨年10月25日に強行されたということに規定されて、早くなんとか終わらせたい(それも強奪するという方向で)と、事を急ぎだした内田裁判長との、明らかに攻防に入ったということだ。断じて許されない。1回、1回の法廷が大事になっている。

 次回は、17626_49月25日(月)、次々回は11月20日(月)、いずれも千葉地裁601号法廷で午前10時半に開廷する。傍聴席が満席になるので、開廷30分前に抽選が行われる。

 この日、法廷に先立って中央公園で集会が行われ(右上写真は萩原富夫さん)、裁判所に向けてデモが行われた(左写真)。