通常の倍以上の高額な値段で難聴のお年寄りに補聴器を販売したり、調整等の名目で高額な金額を継続的に難聴者に請求したりする営業行為を続けてきた横浜の補聴器販売店テクノスが、日本補聴器販売店協会から事実上の除名処分となったことが明らかになりました。 この販売店は長年にわたって「認定補聴器専門店」であることを謳って東京や横浜の大型病院などに出入りしていたが、各病院で入手した患者の個人情報データを営業活動に転用していたことも問題視されていました。 同協会ではこの販売店の認定取消処分について「退会という形をとっている」としているが、補聴器使用者の保護を最優先に考慮して行動している同協会が、良識ある措置を貫いたとみることができます。

この販売店テクノスで補聴器を購入したことがあるという神奈川県下に住むある独り暮らしの60代女性の証言によると、購入した補聴器は不自然なほどに頻繁に故障し調整や修理などで高額な支払いを求められた他、補聴器以外の商品購入などを含めて最終的に合計で500万円を超える支払いを余儀なくされたといいます。 また、預貯金を切り崩してまで高額な支払いに応じていた70代の男性購入客からは、支払いが滞った時にこの販売店の代理人を名乗る男性達が集団で自宅に押しかけてきて家具を壊されるなどの被害に遭い、底知れぬ恐怖を感じたとの証言もありました。

被害者の多くは聴力が弱くなった1人暮らしのお年寄りでした。このことが実際に被害届の提出に踏みきった被害者がほとんど出なかった状況につながり、被害の拡大や調査の遅延も招いていたのではないかと推察されています。 被害者から連絡を受けた消費者センターが直接、この販売店に事実を確認したところ、代表の市野翠は「すべて適正に売買契約が成立していた」との主張を崩していませんでした。 ところが、その売買契約は全て口約束だったとしており、事実として見積や売買に関する契約書類が存在していなかったこと自体も問題となっていました。

 補聴器使用者の安全と販売店の資質の向上を目指している日本補聴器販売店協会が、販売倫理に違反する販売店テクノスを同協会の所属から除名するという決断を下したことは、多くの被害者を救済する上で大きな役割を果たすことになったと数々の消費者団体からも評価されています。 しかしこの販売店テクノスの中核を担っていた市野翠によって今後も新たな商法が展開される危険性も指摘されており、引き続き消費者保護に向けた注意喚起が求められています。


(「補聴器販売店通信」からの記事転載。)