2016年09月30日

沖縄・高江報告会を開催しました

先月8月13日に、関西クィア映画祭の実行委員やスタッフの間で、沖縄・高江報告会を行いました。
報告会を経て、発表者や参加者にそれぞれの視点から文章を書いてもらいました。
文末の括弧が、それぞれ文責者の名前です。


<報告会開催の位置付け>

 先の参議院選挙では、現職の沖縄担当大臣が落選し、辺野古新基地や高江ヘリパッド建設に反対する伊波洋一さんが大勝しました。そしてその翌日、選挙で合法的に示された「基地反対」の県民の意思をあえて無視するかのように、沖縄防衛局は、高江で資材搬入を開始しました。
 ヘリパッド建設をやめさせるために、7/22には100人以上の市民が座り込みを行い、また8/5には1000人以上の参加で抗議集会が現地でも開催されました。しかし人口が約140人の高江集落に、全国から500人規模の機動隊が集められ、反対運動を暴力的に弾圧しています。

 KQFF2016の京都会場では、沖縄在住の玉城福子さんからのお話しも頂きました。また日本軍「慰安婦」のパネルでは沖縄に作られた「慰安所」の展示もしました。また実際、現在の沖縄での闘いにも、クィア/セクマイの人達も何人も参加しています。
 しかし、まだ私たちは、十分に沖縄のことを知りません。そのため、「なんでクィア映画祭で沖縄の話をするの?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。今回の報告会は、そういった疑問も含めて、率直に話し合える場にしていきたいと思って開催しました。

 文字通り「銃剣とブルドーザー」で土地を奪われて米軍基地は造られました。今も米軍基地の74%が沖縄に集中しているのに、なぜ更に新しい基地を、他の都道府県ではなく沖縄に造るのでしょう。選挙、住民投票、県民大会など様々な形で明確に示されている民意が、他の都道府県でここまでないがしろにされることがあるでしょうか。
 「基地反対」の民意を無視して沖縄への基地建設を強行する日本政府の方針と、その国策を許しているヤマトの人達のあり方は、「沖縄差別」としか言いようがないと私は考えます。
 またそう考えて、改めて沖縄とヤマトとの関係を見直してみると、沖縄差別は日本政府の確信犯的な国策であることを再確認できます。琉球王国の併合と支配、方言札に象徴される同化政策、人類館事件での沖縄人の「展示」、県民の4分の1が死んだ「捨て石」としての沖縄戦…。米軍基地だけが沖縄差別なのではありません。

 2016年7月にカナダのトロントで開催されたプライドパレードでは、「Black Lives Matter」の人達が先頭集団として参加しただけでなく、プライドパレードやLGBTコミュニティー内部にある黒人差別に抗議してパレードの最中に座り込みを行い、パレードを30分ほど中断させました。イスラエルでのプライドパレードでも「パレスチナが不当に占領され暴力被害が続く今は、そのことを無視して単にカラフルなお祭りを楽しめばいい訳ではない」と抗議活動が繰り返されています。
 黒人差別、パレスチナ差別、そして沖縄差別を容認するような「ニセモノの性の多様性」「『一部のLGBT』のためだけの人権」ではなく、ちゃんと複合差別にも積極的に向き合うセクマイ/クィア/LGBTのコミュニティーと運動を、皆でつくっていきましょう!

(なお今回は、報告者と参加者がより落ち着いて話ができるよう、ネット等での事前広報は行わず、映画祭実行委員会に縁のあった人へのお誘いのみで場を開催しました。ご了承ください。)

 (ひびの まこと)



<発表者より>

報告する側だったので、自分が沖縄で見て感じた事を伝えられたかどうか。
辺野古、高江に行き、個人的には会いたかった友人二人にも会え、とても充実した時間を過ごせた。
高江のことは、何も知らずに観光気分で現地に入ったのだが、そんな浮かれぽんちにも、高江でただならぬことが起きているってことはわかった。
日本は平和だとよく耳にするが、沖縄、高江に行って、戦前だと思った。
いずれこの光景が京都でも繰り広げられるのかと思うと、今の政権与党、自民公明はどうにかならないかと。
この先、戦争に巻き込まれる恐怖が心の片隅に居座ってしまった。
 (メイ)
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 報告会では、今年の7月26日から30日にかけて沖縄・高江の直接行動現場に行った経験から、米軍基地・北部訓練場のオスプレイヘリパッドの問題について、日本/ヤマトが沖縄/琉球を植民地化した歴史について、基地・軍隊の問題について話し、これらの話を踏まえた上で、私から報告会参加者への提案としてみんなにやって欲しい・考えて欲しい事について話しました。

 軍事基地が生活している場のすぐ隣にあることで被害を受ける事件事故、健康や精神に与えるダメージ。
県民大会や選挙で、直接行動で幾度となく示されてきた「新基地建設反対」の沖縄の民意を蔑ろにし、基地建設を強行する中央の日本政府の酷いやり方。
 それが現場でいかに酷い暴力として、警察機動隊、民間警備会社、防衛局職員の振る舞いに表れているか。
 高江の(そして辺野古の)直接行動の現場に行けば、こういったことがありありと分かって、目の当たりにして、その「情況」を知らない誰かに伝えずにはいられないという思いで、現場で感じたこと、学んだことを話しました。

 今回の報告会は、日本による沖縄への植民地主義の問題や、基地・軍隊の問題について、積極的には興味が無かったり、馴染みが無かったりする人達にも来てもらって問題を共有し、一緒に考えるという性質の場として設定していました。私はそういう場で話しをするという経験があまり無かったので、分かりやすく伝えるためにはとか、消化不良を起こさないようにとか、ここは知っておいて欲しいということは外さないようにとか、普段あまり考えていなかったことを考えながら準備をして、参加者から率直に色々な意見を言ってもらって、私自身とても勉強になる場でした。

 沖縄で表れていることの原因(元凶)は、中央の日本政府にあるということ、そしてその政府を支えているのは「本土」で多数派として暮らす日本人であるということ、それは日本/ヤマトから沖縄/琉球への植民地主義・差別であるということ、つまり沖縄の米軍基地の問題について私(達)は第三者的・傍観者的立場で眺めたり、問いかけ・訴えかけを無視することができるつもりでいたり、善いことをしている気になって現地を「支援」できるような立場ではないということについて、そして働き掛けるべき場は「本土」で暮らす私達の場であるということについて、改めて突き付けられ、(言うだけなら簡単ですが)さらに継続して何をしていくべきか考えていきたいと改めて思いました。

 京都府・京丹後(2014年に米軍のXバンドレーダー基地が作られ既に完成し運転中)では、「こういう情況」「この光景」という目に見えて分かりやすい状況を作ることができず、土地所有者の家に、住民説明会に、町内の通達に、権力の横暴が表れ通っていってしまったような状況でした。権力に対して、監視の目があること、許さないという声があること、それらを継続していくことが、本当にとても大事で、骨が折れ、危険が伴い、それしかないということ、見て見ぬふりがいかに歯痒いかということ…。京丹後の運動は、無かった訳でも終わった訳でも無く、まだまだ真っ最中ですが、いま私達のところにまで届く沖縄の運動の拡がりが、どれほどたくさんの人とその人達の持ち出しによって成り立っているかということと、そのことによって私達に考えたり取り組んだりする時間を生んでくれていることについても、いっそう真剣に深刻に考えるべきだと更に改めて思いました。
 (あい)



<報告会参加者の感想>

 報告会では、報告の前に何人かで集まって、Youtubeの「標的の村」のTV放映版を視聴しました。それに合わせて、報告で現在の高江の様子を聴いたので、どのように現場の状況が変わってきたのかが分かりました。そもそも沖縄の地になぜ米軍基地が作られたのか、そこでなぜ、たたかわなくてはいけないのか、運動への様々な批判に対してどう反論していくことができるのか、そういった知識を得ることができました。
 (斬)
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 知るべきことを知ることができたと思います。高江の抵抗運動の状況を具体的に知ることができました。ヤマト・アメリカにとっての不都合な事実に向き合うことが大事だと思います。
 (まりも)
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 地球上のどこにも基地はいらないから沖縄にも京都にも基地はいらないと考えるか、軍隊などの暴力装置は現に存在していて共同管理しないといけないから、基地負担を分担すべく京都でも海兵隊を受け入れるべきと考えるか、海兵隊の基地は日本社会の利益になっていないから撤退させるべきと考えるか、悩んでいます。
 (じゅんぺい)
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 関西クィア映画祭が、他のグループと比べて「いろんな社会問題を描いた映画を上映してきた」のは事実。でも実際には、映画祭のメンバーは「社会運動の現場に頻繁に出かける活動家の集まり」ではやっぱりない。わたし個人の感覚からは不満というか物足りなさがあるのは事実だけど。(と言っても、真面目に映画祭運営に関わると、他の現場に出かける時間なんてホントにないんだけどね)
 そしてだからこそ、この夏、自分から高江現地の闘いに参加しようという映画祭スタッフがいたのはうれしかったし、こういう機会を逃さずに内部報告会もしてもらおう!と思ったのでした。
 内容的には、これもひびの的には物足りなさもあったけど、「高江って、どこ?」な映画祭スタッフ達と一緒に写真を見たりお話を聞いたりして、沖縄の基地問題が「私たちの課題」に少しでもなったことが、なにより。映画祭の場でも、基地問題や沖縄差別について前よりも話しやすくなったことが成果です。
 現地での直接の闘いもとても大切だし、現場で仲間と会うと元気にもなれる。でも、そもそもあまり関心がない人に少しででも考えてもらって、ヤマトの世論分布を変えていくことが、私たちの本来すべき仕事。継続して取り組んでいきたい。
 (ひびの まこと)



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【参考映像】

●「標的の村」47分の放映バージョン
https://youtu.be/raJ8vTr8r4c
●「標的の村」15分バージョン(報道ステーション版)
https://youtu.be/vO8-ZCZHEGs

映画となって全国で上映もされている「標的の村」は、琉球朝日放送の番組。放送されたバージョンを、YouTubeで見ることができます。
冒頭の映像は、数年前のヘリパッドの反対運動の映像です。この時は人が足らず、ヘリパッド建設を阻止することができませんでした(2014年に完成)。
しかし、この時の反対運動のおかげで、計画されている6つのうちの2つしかヘリパッドが完成していません。残りの4つを今作ろうとして問題になっているわけです。

●2016年8月6日放送の「報道特集」(20分)
http://dai.ly/x4nivck


【参考資料】

●やんばる東村 高江の現状
(高江現地からの情報や呼びかけ)
http://takae.ti-da.net/

●大雑把にわかる『高江ヘリパッド問題』
http://helipad-verybad.org/modules/d3blog/details.php?bid=80

●合意してないプロジェクト
http://www.projectdisagree.org/

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