2015年07月15日

ワダセンパイ


僕が通っていた中学の陸上部は県内ではなかなかの強豪校で、強豪校って言っても公立の学校だからそういうのって顧問の先生次第なんだよね。
 
陸上経験があって熱心な顧問かそうでないかで中学の部活って随分と変わる。
 
残念ながら僕が2年生に進級するときに長い期間顧問を務めていた先生は他校に移動になり、新しい顧問の先生は陸上は素人だったからその後は衰退の一途を辿るんだけど、それでも僕が1年生だった頃の2コ上の学年は県のリレーで優勝したり、県内で陸上をやってれば一度は見たことがあるであろう、部の大きな横断幕があったり、学校指定のではなく、部活の揃いのジャージがあったり、毎回県大会の上位入賞の常連の先輩がたくさんいて、私立高校の監督が顧問の先生に会いにきていたり、そういう感じだった。
 
 
どの学校でもそうだと思うが、伝説的な卒業生がいたりする。 
数々の輝かしい出来事は上級生から多かれ少なかれ尾ひれがついて僕らに受け継がれ、そして僕らもさもその輝かしい姿を見てきたように後輩に伝えていく。

そして伝説は完成する。 
 
ただし陸上競技が他のスポーツと違うところは実績がタイムとしてしっかり残っている事だ。 
いくら主観的にこれだけ速かった、どれだけ凄かったと言っても残っているタイム次第では伝説の価値はない。
 
 
ワダセンパイは僕とは入れ替わりで卒業していった先輩だ。 
元々は陸上部でなく、サッカー部に所属していて秋の駅伝の季節になると助っ人として陸上部の練習に参加してるうちにそのままサッカーから陸上に鞍替えしたようだ。 
 
ワダセンパイには数々の伝説があった。
 
・県駅伝で15人抜きをし学校初のトップ通過をさせたらしい
 
・キロ3で10キロ走れるらしい
 
・身長が190cmもあるらしい
 
・9頭身らしい
 
・初めて出たトラックレースでのペースがわからず(サッカー部なので)ラスト400mで後続を200m離したらしい
 
・3分間走で他の部員を周回遅れにさせるらしい
 
・すごく綺麗な彼女がいるらしい
 
・コーラを飲むらしい(陸上部は炭酸禁止だった)
 
・300mを40秒切って走れるらしい 
 

 
先ほど書いたとおり、話は尾ひれがつくのだがワダセンパイに限ってはそんなことはなかった。
 
・県駅伝で15人抜きをし学校初のトップ通過をさせたらしい
→県駅伝で3キロを9分1桁で走って区間賞をとった(中学駅伝は1区間3キロ)
 
・キロ3で10キロ走れるらしい
→10キロは大げさだが高校時代5000mを14分台だからあながち嘘ではない
 
・身長が190cmもあるらしい
→180ちょっとかな
 
・9頭身らしい
→8頭身ちょっとかな
 
・初めて出たレースでのペースがわからず(サッカー部なので)ラスト400mで後続を200m離したらしい
→レース展開は知らないが組トップ通過の記録はたくさん残っていた
 
・3分間走で他の部員を周回遅れにさせるらしい
→3分で1100m近く走れるワダセンパイなら校庭の300トラックなら可能
 
・すごく綺麗な彼女がいるらしい
→知らん
 
・コーラが大好きらしい(陸上部は炭酸禁止だった)
→卒業後、よくコーラを持って顧問を訪れていた(顧問はコーラ大好き!)
 
・300mを40秒切って走れるらしい 
→当時はびっくりしたが多分余裕 
 
 
ワダセンパイは高校の練習が休みな時に、たまに母校に訪れては一緒に走ってくれた。 

ワダセンパイのジョグは僕らのペース走よりも速いスピードだった。
長い脚を大きく使ったストライドと一歩一歩の推進力。
彼が少しスピードを切り替えるだけで僕らはついていくことができなかった。 
 
 
ワダセンパイは埼玉県で一番強いオレンジの高校に特待生で進み、個人ではインターハイにも出場し、都大路を2回走り、全国制覇さえできなかったものの学校の上位入賞に貢献した。
 
彼は僕らの憧れであり伝説だった。
 
 
ちなみに僕は中高6年間陸上競技部で結構マジメに練習したが県の決勝に進んだこと一度もない。 
いつも予選(後ろの方)で敗退し、決勝はスタンドで眺めるだけだった。


ワダセンパイは箱根駅伝に出場しているいくつかの大学から勧誘を受けたが大学で陸上競技はやらなかった。 
推薦ではなく、一般入試で大学に進んだらしい。 


「高校ですっかり走るのが嫌いになっちゃった」


中学時代の顧問にはそのように言っていたようだ。



ワダセンパイはもう走っていないのだろうか。 

僕がスタンドでただ指を咥えてただ眺めていたかつてのトップランナーたちはもう走るのをやめてしまったのだろうか。 

あの美しいフォームと細くしなやかな脚をもった彼らの肉体は失われてしまったのだろうか。



先週の同窓会で中学時代の顧問の先生と話ながらそんな事を思った。




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kanyamane at 08:27│Comments(4)日常 | 思い出話

この記事へのコメント

1. Posted by えぬゆーま   2015年07月15日 10:17
5 ワダセンパイはどうしているのでしょうね?
近年は、ランニングブームにより、陸上経験者も市民ランナーとして継続される方々が増えていると思われます。
箱根駅伝で優勝した時のメンバーだった会社の後輩の話しによれば、ほとんどが走ることさえもやめてしまうそうです。彼も実業団からの誘いを断っていました。もう嫌になるくらい十分に走ったそうです。それでも、彼は、結局は私たちの影響で、ファンランで走ることになったのですが、別格の走りなのは言うまでもありません。
その彼も数年前に転職してしまい、もう一緒に走ることはできませんが、今も走っていると風の便りに聞いており、それだけでもホントに嬉しく思います。
2. Posted by むーみん   2015年07月16日 12:30
あー、多分、うちの旦那がそのタイプ(笑)
高校時代に400リレーで県の決勝まで行ってるみたい。
当時は強かったみたいね~中高6年間陸上部だし。

今?
不惑になった90kg近い力士状態ですよ( ´∀`)σ)∀`)
そして短距離だったから5kまでしか走れない(笑)
長距離なら私でも勝てるwあはw
3. Posted by 官九郎   2015年07月17日 15:22
えぬゆーまさん
僕は弱小校の学校でのんびり部活やってたので当時は強豪校を羨ましく思ってましたが、陸上を嫌いになるくらいなら弱小校でいいかなと今なら思います。強豪校は大会に出る為の校内選考も熾烈で自分が走りたい種目に出れなかったりしますからね。高校で競歩を
やってる選手はだいたい長距離走の種目に出れない子がやったりしてます。
箱根まで走ってもそこで燃え尽きちゃうんですねー。
もったいない。
でもやっぱり羨ましい…。
4. Posted by 官九郎   2015年07月17日 15:25
むーみんさん
旦那さんはスプリントやってたんだねー。しかも4継とかカッコいいわ。
俺、最初足遅くて長距離やらされたから(笑)

5キロは長いよ、短距離選手にとってみれば長距離だよ!練習でも5キロとかジョグさえしてないはず。
5キロをなめるな(笑)

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