株式市場が世界的に混乱する中での金融市場のセッションの概要です。「原油安にもかかわらず、なぜ、ガソリンの値下がりを通じて個人消費が喚起されないのか?」はあちこちゅで聞いた自問自答です。



IMF 筆頭副専務理事Zhu Min(朱民)

■今の金融市場が「メルトダウン」しているというのは、誤った見方である。調整のさなかにあるのだ(it’s under adjustment)。オーバーシュートする可能性はあるが、メルトダウンすることはない。

■グローバルにつながっていることで(global interconnectivity)、株式や原油などがいっせいに同じ方向に向かってしまう。 Interconnectivityゆえに、市場がボラタイルになり、流動性が劇的に落ち込んでしまう。政策当局者は、即座に行動しないといけない(Policy makers have to be able to act very fast)。

原油価格を決めるswing producer は今や、アメリカのシェールオイル生産者だ。つまり、1バレル100ドルになってそう簡単に戻らない。OPECは独占的な立場を完全に失った。OPECが決めているのはせいぜい「ボトム価格」であり、以前のような「シーリング価格」ではない。

原油価格の下落→ガソリン価格の下落→個人消費の増加がこれまでのパターンだった。ところが、多くの国で、ガソリンが値下がりしても消費は増えず、貯蓄が増えている。つまり消費者行動が変わってしまったのだ。それは▽2008の金融危機の教訓、▽長寿に伴ってカネが思っていたよりも必要だと考える人が増えているからだ。

■最大のリスクは政治リスクだ。経済自体は、世界全体で3.4%成長予想だし、市場はメルトダウンしていない。多くの不確実性とショックに直面している。

 

Martin Sorell WPP,CEO

2008年の金融危機の経験から、大手企業(legacy firms)は、コスト削減に躍起だ。 Third PointDan Lobeをはじめ、多くのアクティビスト投資家が短期的な要求をしていることから、企業は設備投資を減らしている。Black RockLarry Finkが「もっと長期的な視点をもって投資をしよう」と訴えているのはそれが背景。

■原油価格は2001年には1バレル10ドルだった。それが今、 20ドル台。世界を見渡すと、リスクは物価安であり、それが新たな日常である(the new normal is low inflation)。

■原油価格、中国経済、サウジアラビアが政治安定を維持できるか、欧州の難民問題、アメリカ政治、イギリスのEU離脱(BREXIT)が今年の懸念だ。

Technology disruptionが続く。シンガポールでは自動運転の公道実験が始まり ContinentalGoogleが入札に参加。オスロでは2019年に向けて市内への自動車乗り入れ禁止。ミラノではカーシェアが普及した結果、自動車販売が10%減った。

■中国をはじめとしたBRICは今後もfast growing economyだろう。デジタルとデータ部門は今後も growth sectorに変わりない。

 

Kenneth Rogoff (米ハーバード大学教授)

■中国経済の先行き懸念がkick inして、市場が混乱した。米FRBの利上げ幅はちょこっと (microscopic)に過ぎず、利下げ余地がない。来年に向けて、新興国経済に多くのリスクがあることを考えると不十分だ。すでにロシアやブラジルでリスクが顕在化している。

企業が短期的な行動をとって、長期を見据えて投資できないのは、長期はあまりに不確実だからだ。中国は資源価格を押し上げるけん引役だった。このあと、いったいいくらになるのか見当もつかない。確かに今は、原油市場は完全に崩壊しているが、1バレル100ドルだってあり得る。 Never say never.

■アメリカの労働市場はタイトになり、個人消費が力強さを示せば、米FRBはことし利上げをできる環境である。今の状況が続けば、方針を転換することはない。

■市場が過敏に反応しているのは、資金のdeleveragingのスピードが不確実だからだ。ヨーロッパでは、ゾンビ銀行の不良債権も問題だ。