ロシア経済に関するセッションの概要です。去年の経済成長率がマイナス3.7%だっと発表されたばかりですが、主な輸出品の原油の値下がりと対ロ経済制裁でかなりたいへんのようです!通貨ルーブル安で、ハイテク製品の輸入が難しくなり、世界から置いていかれるという危機感も。


Yury Trutnev 副首相

原油価格の下落も、ロシアに対する経済制裁もロシア人にとっては大きな影響はない。今の経済状況は、脅威であると同時にチャンスでもある。世界銀行の「ビジネスのしやすい環境(ease of doing business)」調査で、ロシアは 121位から51位に上昇した。通貨のルーブル安は外国企業にとっては良い

■ロシア政府に弱さがあり、一部の批判は甘んじて受けなければならない。いま最も伸びる余地があるのが極東である。産業界に対する自由度を拡大させなければならない。

■ロシアのPivot to Asiaは、韓国、中国、日本など。インドの投資も積極的に受け入れている。欧州の方がむしろ遠い。中国の格言を引用すると、「黒い猫でも白い猫でも、ネズミを取る猫は良い猫だ」

 

Wolfgang Ischinger(Munich Security Conference 会長)

■ロシアにとっての過去4年は、wasted four yearsである。シリアの内戦で、ロシア・アメリカ・欧州はまとまることができなかった。ウクライナの国民の 8085%がanti-Russiaであり、ウクライナ侵攻はロシア外交の失敗である。ロシア・アメリカ・欧州が対応を誤らなければ2016年は、チャンスの年となり得る。

■ロシアは経済の失速で、国家として弱体化している。ロシア軍のシリア駐留は失敗に終わるだろう。そして、財政的に高い代償を支払うだろう。シリア危機は、外交の失敗による東西対立が生み出したものだ。ロシアと西側は、good buybad guyか、ストーリーが異なる。非常に大きな乖離を埋めるのが2016年の課題である。4年間の"悪い外交"のあと、ことしは"良い外交"を期待している。

■ドイツはロシアとのラプロシュマン(再接近)を望んでいる。「弱いロシアを見たい」というわけでない。Compartmentalization (政策の細分化)がbuzz wordである。ウクライナの対立はあったが、イランの核合意でロシアは良いパートナーだった。ウクライナのミンスク合意でも一応アメリカとの話し合いを続けている。シリアではロシアも欧米も応分の責任がある。

ロシアがG8に再び迎え入れられることを望む。問題は双方のメンツを保つこと。ロシアをテントの中に入れて、通常のビジネスを構築することが必要だ。よい兆しとしては、3週間に我々が主催するMunich Security Councilにラブロフ外相だけでなく、首相も出席することを発表したことだ

 

Vladimir Dmitriv  Bank for Development and Foreign Econ Affairs 会長)

■今のロシア経済に明るい点なんて見いだせない。経済は縮小し、財政赤字は膨らみ、GDPも設備投資も落ち込んでいる。

 

Elizaveta Osetinskaya (ジャーナリスト)

■ロシアの経済界は苦しんでいる。特に原油セクター、小売セクター、金融セクター。原油価格の下落とロシアに対する経済制裁が原因である。

資本流出の背景には、石油セクターが増税を恐れてカネを外に出していることもある。

 

Alexei Kudrin (元財務相、Saint Petersburg大学学長)

2016年は多くのリスクをもたらすだろう。原油価格がここまで下がることはまったく想定していなかった。GDPが急激に下がり、ロシア国民の名目所得や生活水準が大きく落ち込み、需要を減退させることを懸念している。1バレル 4050ドルでcold showerを浴びた。政府は、原油プレミアムはもうないという現実を受け入れなくてはならない。40ドルがターゲットだが、それ以上の高値は望めない状況だ。ロシアは経済的に弱体化した。防衛にも外交にも影響するだろう。さらに、第4次産業革命といったテクノロジー部門で遅れている。ルーブル安により、ハイテクを導入することがいっそう難しくなる。政府の統治機構を変えないといけない。産業界に対する政府の monsterous actをやめさせなければならない。

■ロシアはいま経済危機にある。原油価格の下落と経済制裁の影響であり、さらにハイテクを輸入できないことで、ますます出遅れてしまう。2016年の経済成長率は0%かせいぜい僅かなプラスだろう。最大の問題は構造改革であり、改革を進めることで景気低迷を脱することができるかどうかが問われている。

■ロシアは民主主義を否定していない。昔はイデオロギーやシステムの対立だったが、今や民主主義も市場経済も欧米と共通の価値観である。進化の途中ではあるが。