きのう、2/16にドーハでサウジやロシアの閣僚が石油の生産について協議するという見通しのニュースをお伝えしました



(WSJより)


実際、ロシア、サウジアラビア、ベネズエラ、カタールという世界の生産量の約4分の1を占める産油国の閣僚が会談し、1月の生産量に据え置くことで合意。イランを含まないものの、初の政策協調に向けた一歩として、欧米の各メディアが伝えています。と言っても減産ではなく据え置きだったので、いったんは上がった原油価格もすぐに下落


 

1月の水準を維持したところで、供給過剰が解消されないことは下のグラフで一目瞭然!


 (WSJより)


WSJの"Saudi, Russia, Qatar, Venezuela Agree to Freeze Oil Output (サウジ、ロシア、カタール、ベネズエラは原油生産量の凍結に合意 )"は、ざっくりこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。


また、サウジとロシアの接近の背景を分析しているのFTの"Harsh economic reality drives Saudi-Russia accord(合意に導いたのは厳しい経済の現実)」も付けます。やっぱり銭ですなぁ^_^;


(WSJより)

ロシア、サウジアラビア、ベネズエラ、カタールは、1月の生産量に据え置いて、それを上回らないことで合意した。条件はほかの主要産油国が同様の手を打つこと。

 

この合意は、カタールで行われた会談で達したもので、イラン、イラクが生産の増加に歯止めをかけることが条件だった。イラクの生産は記録的な伸びを見せており、イランも核合意による経済制裁解除を受けて生産を一気に増やしている

 

特筆すべきは、サウジアラビアとOPECが生産量の変更で合意し、落ちるところまで落ちた価格との決別を示したこと。


産の"凍結(freeze)" は、顕著な減産を求めていたベネズエラを含む妥協である。サウジアラビアのヌアイミ石油相は「生産量を1月の水準に据え置くことは、今の市場に相応しい( Freezing now at the January level is adequate for the market)」と述べた。原油先物はいったん上昇したものの、すぐに下落に転じた


(WSJより)


これは、市場が、据え置きではなく減産を期待していたからだ。専門家は「(合意は)供給過剰という根本的な課題の解消にはならない」と語る。

 

世界を見渡すと、イラクの生産量は日量435 万バレルまで急増ISとの戦いに備えて歳入を増やすためで、今やOPECの中で第2の生産量。


経済制裁が解除されたばかりのイランは、制裁前の水準に戻すため( 現在より100万バレルの追加)輸出を2倍に増やす計画に変更はないと政府高官は語った。こうした原油は、ロシア、アメリカ、サウジが大量に生産しているところに追加的に上乗せされる。


合意の基準となった1 月と言えば、ロシアがソ連から移行して以来、最も原油を生産した月であるし、アメリカが日量900万バレル、世界最大の原油輸出国のサウジが歴史的に高い水準で生産をした。


(The Economistより、去年の生産量)

 

この結果、1月の水準に凍結したところで、供給過剰の状態は解消されないIEA=国際エネルギー機関によると、これとは別に、タンカー船には先進国だけでも30億バレルが貯蔵されている。


サウジのヌアイミ石油相はさらに「今回の合意は今後数か月かけて検証し、市場を安定させ改善させるために新たな方策が必要かを判断する最初の一歩である(simply the beginning of a process to assess in the next few months and decide whether we need other steps to stabilize and improve the market )」と述べている。



FT にはサウジとロシアの接近の背景が出ています。

 

サウジとロシアは決して仲良いわけではなく、市場シェアの奪い合いをめぐって激しく対立してきた。シリアの紛争では対立する側についている。過去にも原油生産で協調しようとした時も不信感で協力できなった歴史がある。しかし、両国は、原油価格の急落を受けて厳しい経済の現実(harsh economic reality) を受け入れざるを得なくなっている。

 

サウジとロシアは、原油安、財政のひっ迫、さらにサウジの最大のライバルのイランが原油輸出に拍車をかけている現実に対応したのだ。


ロシアにいたっては、マイナス3.7%の経済成長だった去年に続き、ことしもマイナスとなりそうだ。一方、サウジは原油価格の下落の結果、15年ぶりの財政の悪化に直面している。王室は公共投資を減らし、国内のエネルギー価格の引き上げに踏み切った。

 

両国は新たな政治関係を築こうともしている。サウジはほかの中東の湾岸諸国と同じように最近ロシアに接近。というのは、これまでの同盟国のアメリカが(シェールオイルの開発のため)中東から引き揚げつつあるからだ。さらに、核開発をめぐるイランとアメリカの合意がワシントンとサウジの関係を悪化させている。