今週のThe Economistの表紙は、何だかハロウィンを彷彿とさせます。ドラキュラ風、いやダースベーダー風のプーチン大統領のオメメには真っ赤な戦闘機。オデコには一言
Putinism(プーチン主義)。
巻頭の記事のタイトルはThe threat from Russia(ロシアの脅威)です。トランプ候補はロシアの脅威を認めたがらないものの、プーチン体制下のロシアは、経済・政治・社会が問題で、核兵器の誤使用が恐ろしいという内容です。ざっくりこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。
(The Economist)
ロシアのプーチン大統領は、毎週のように世界を恐怖に陥れることに成功している。最近は、核兵器を搭載できるミサイルをポーランドやリトアニアの近くに移動させた。先週は、空母を含む大規模な艦隊がイギリス海峡(公海)を通過した。
シリアの独裁者=アサドの元の軍隊を攻撃したアメリカの航空機はすべて撃ち落とすと脅してきた。ロシアの国連大使は、米ロ関係は過去
40年で最も悪化していると語った。ロシアのテレビは、弾道弾ミサイルや防空壕のニュースであふれいる。
ロシアは、アメリカと戦争状態になるわけではない。偉そうに振る舞っているに過ぎない。とは言え、ロシアは世界の安定と秩序に対して脅威ではある。まず理解しなければならないのが、ロシアのけんか腰の態度は、決して復活の兆しではなく、慢性的な衰退の兆候であるといことだ。
ロシアが直面しているのは、経済、政治、そして社会の深刻な問題だ。人口は、高齢化し、2050年までに
10%縮小する見通しだ。原油高が続いていた時期の"棚から牡丹餅"的な利益を活用して経済状態を近代化しようとしたが、失敗に終わった。
プーチン大統領は大きな政府に舵を切った。2005
年から2015年にかけて、ロシアのGDP
に占める政府投資と国営企業による投資は35%から70
%に高まった。
プーチン大統領の初期のころ、経済成長率は年率7%だったが、今やマイナス成長だ。経済制裁は確かに背景にある。しかし、実際には腐敗と原油価格の下落が大きな要因だ。さらに、誰が金持ちになれるかを決めるのはロシア政府である。
プーチン大統領は国内の脆弱性を外国への武力侵攻で補おうとしている。国民の支持も今や、原油安によって買えない。力の源泉は、外国との戦争とナショナリズムを煽るためのプロパガンダだ。法の支配、自由な報道、民主主義、市場原理は、プーチンの腐ったロシアには邪魔だ。
オバマ大統領は、ロシアが衰退の道をたどる大国だとしてあまり関心を寄せなかった。しかし、核兵器を保有した脆弱で予見不可能な国は危険だ。ある意味、旧ソ連よりも危険だ。
スターリン以降の大統領は、政治局のチェックを受け、第二次世界大戦の惨禍も知っていたが、プーチンはそうではばく、独裁である。このあと、何年もトップに居座る可能性がある。加齢で枯れていく柄ではない。
プーチン大統領はアメリカを拒絶しつつ、出し抜くことができることを知っている。西側による中途半端な制裁は、一般のロシア人の暮らしを悪化させるが、共通の敵を作る。それに、経済の悪化が自らの政策が悪化したからではなく、制裁のせいにできる。
では西側はどうすれば良いのか?時間は西側の味方となっている。衰退する国家は、早晩自滅する。それまでの辛抱だ。懸念は、思わぬ事態のエスカレーションなので、アメリカは引き続きプーチンとの直接対話に臨まないといけない。
最悪の事態は、核の誤使用である。このため、米ロ対話では核兵器の管理、軍と軍の関係改善が求められる。しかし、衰退すれば衰退するほどロシアは核をアドバンテージと見るだろう。
意見相違はロシアの周辺国をめぐっても起きるだろう。ウクライナを見れば、ロシアから離れようとする国の行く末が見てとれる。ラトビアやエストニアといったNATO
同盟国に対してロシアが武力行使しようものなら、アメリカは自らへの攻撃とみなす。アメリカの次期大統領は、そう宣言しないといけない。トランプ氏が言っていることと相反するが。
これとは別に、仮にロシアがジョージア(ちょっと前までグルジアと呼んでいましたね)やウクライナといった非
NATO国に対して大規模な武力行使を行った場合、西側諸国は、こうした国に武器を提供する権利を要することを明確にしなければならない。何よりも西側は冷静さを保たなければならない
(Above all the West needs to keep its head)
。
アメリカの大統領選挙に対するロシアの介入は、慎重な報復に値する。ロシアは西側を分割して、世界を形作ることを諦めさせるのが望みだ。これに対して、西側は団結して、強い姿勢であることが求められる。
コメント