トランプ候補はなぜ支持されているのか?
移民の"多さ"が背景ではなく、移民の"急増"した地域ほどトランプ候補を強く支持しているそうです。
(Reuters)
こうした実態を取材しているのはWSJのPlaces Most Unsettled by Rapid Demographic Change Are Drawn to Donald Trump – Data show immigration has made small towns in the Midwest more racially diverse in the past 15 years, shifting the political needle(人口動態が急速に変化した地域ほどドナルド・トランプを支持~過去
15年で移民が中西部の小さな街をいかに変遷させたかをデータが示す)です。
こちらのHillbilly Elegyという本の解説とあわせて読んでいただくと、一部の白人がなぜここまでトランプ支持なのか、腑に落ちるのではないと思います。
ざっくりこんな感じです(全文の翻訳ではありません)。
(WSJ)
中西部の小さな街は、今世紀初めから移民が急速に増えて大きく多様化した。こうしたカルチャーの変化こそが大統領選挙を前に政治的な針を左右に動かしているようだ。
WSJが国勢調査をもとに調べたところ、中西部のアイオワ、インディアナ、ウィスコンシン、イリノイ、ミネソタの各州では、2000
年から2015年にかけて全米のほかのどの州よりも移民が急増した。白人ばかりだった街で、中南米から、あるいはカリフォルニアやテキサスなどヒスパニック系が多い州から移民が一気に増えたのだ。
このシフトこそ、共和党のドナルド・トランプ候補の台頭の背景にある。そして、今回の選挙が終わっても移民をめぐる緊張が続くことを示す。共和党の予備選挙の結果を分析すると、急速に移民が増えた地域ほどトランプ候補に投票してきた。
トランプ候補は今週、1日にウィスコンシンを訪問するなど中西部を重点的にまわっている。ウィスコンシン州のアルカディアでは、従来白人ばかりが乳業を支えてきたが、今では人口の3分の1
が職を求めてやってきたメキシコからの移民だ。それゆえにトランプ候補を応援しているという人が多い。
ここやその他の中西部の地域では、メキシコとの国境添いに壁を作ってアメリカ国民に職を優先するというトランプ候補の公約は、人口動態の変化に心を痛めている白人に響く。
こうした有権者は移民が学校を占拠し、不当に公的な支援を受けていると主張して、トランプ候補がこの問題を解決すると信じている。
カリフォルニア州のロサンゼルスやフロリダ州のマイアミ、さらにニューヨーク州のクィーンズなど伝統的に移民が多い地域は中西部と比べて遙かに多くの移民を受けて入れている。しかし、もともと人種のるつぼ(melting pot)
だったため、比率で見ると過去15年で大きくは変わっていない。
人口動態が急速に変わった地域のうち、88%はヒスパニック系移民の流入が主な要因だった。
3分の2の地域では、移民は人口全体を増やす要因となった。残りの3
分の
1では、移民がやってきたにもかかわらず、人口は減り、その結果、移民の急増は際だった。
トランプ候補は、共和党の予備選挙で主な地域の71%で勝利を納めた。取材によると、
2000年以降、移民が2倍以上だった地域の
73%、移民が2.5倍となった地域の
80%の票を獲得した。
移民の街は徐々に民主党に傾く。というのは、ヒスパニック系や黒人は民主党に投票する傾向が強いからだ。中西部の多くの街では、ヒスパニック系の新米はまだ投票権がないことで、有権者としての影響力を弱めている。
(WSJ)
ウィスコンシン州アルカディアほど、全米で人口動態が変化した街も少ない。もともとはドイツ、ポーランド、ノルウェイからの移民が築き上げた鉄道の街だ。1990
年代後半の時点ですら
2400人の人口のほぼすべてが白人だった。高齢化し、若者が都市に出て行き、出生率が下がっていたが、今世紀に入って大きく変わった。
乳牛の生産者が常に乳搾りをしたいと考えた結果、メキシコと故郷を接するテキサス州の生産者に電話し、メキシコの労働者とつないでもらった。
(WSJ)
また、地域最大の家具生産者のアシュレー家具は、本社のあるアルカディアで椅子やベッドを生産するために数百人のヒスパニック系を雇った。鶏肉生産者の
GNPも同様に移民を雇用した。
全米でも希な労働力の逼迫により、アルカディアはメキシコ、グアテマラ、ホンジュラスなどの移民を惹きつける磁石となった。その結果、2000
年にはアルカディアの人口の
3%だったヒスパニック系移民は、2014
年には
35%に急増した。人口全体も3000
人に増えた。
ホーリー・ファミリー教区は、スペイン語を話す牧師を招き入れた。中央通りにはヒスパニック系のパン屋やさまざまなお店が誕生した。アルカディア小学校の校長は、ほぼ全員が白人だった状態からことし、73
%がヒスパニック系にまで増えた現状を指して、「津波にやられたようなものだ
(We were hit like a tsunami)」と語る。
給食の一部免除と全額免除を受けている児童の比率は、1990
年代後半の20
%からことし、65%まで急上昇した。教育委員会は、英語、算数の学力を引き上げるため夏期講習を実施した。さらに、ヒスパニック系の親御さんが長時間働いていることを踏まえて、宿題を減らした。急増した児童を受け入れるため、この学区では学校を新設までした。
この街で合法的にやってきた移民の数の統計はないし、多くの人たちの話を総合すると、ピークは越えたようである。社会保障の担当者などの話を勘案すると、当初は、多くの移民が非合法的に偽の証明書でやってきたと振り返る。しかし、最近はルールが厳格に運用されていると言う。また当初は非合法で訪れた移民もその後、合法の資格を得たと言う。
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