1980年代の日米関係といえば、貿易摩擦の四字熟語が思い出されます。多くの米メディアがその論調です。
(Reuters)
NY Times
はAfter Trump Rejects Pacific Trade Deal, Japan Fears Repeat of 1980s(トランプ
TPP
拒否のあと、日本は1980年代の再来を恐れる)と、ご丁寧に日本を
心配してくれています。
トランプ大統領の
TPP離脱を受けて、日本の中には「次に起きるのは1980
年代の貿易戦争の再来を恐れる人が多い」としています。
米通商代表部の高官だった
Glen S. Fukushimaは「アメリカが経済の面でも、対中国の安全保障の面でもアジアで従事し続けるために、日本はいずれアメリカと2
国間の(通商)協定に同意するかもしれない」と述べています。
書き手のJonathan Sobleは、TPPや通商についてトランプ大統領の理解を求めるという政府・経団連の姿勢をさして「トランプ氏の姿勢が劇的に変わらない限り、事態を何年も引き延ばすことになり、次の米政権まで時間がかかるだろう」と指摘。
このため、オーストラリアのターンブル首相が「アメリカ抜きの
TPP」を安倍首相に提案したということですが、アメリカが入ることを前面に打ち出してきた安倍首相には気まずい
(awkward)だろうとしています。
(European Pressphoto Agency)
実際、Reutersは「安倍首相の訪米に際して、トランプ大統領はTPPに代わって2国間協定の進展を求める」と伝えています。トランプ政権の高官は26日、「安倍首相の訪問はTPPに代わるフォロースルーの模索になると見ている(I see Abe’s visit being more about finding a follow-through, a replacement for TPP)」と述べたそうです。
Wall Street Journalの記事のタイトルは、映画「ロスト・イン・トランスレーション」に引っかけて、
American Cars in Japan: Lost in Translation(日本におけるアメ車:ロスト・イン・トランスレーション)です。
サブタイトルのDonald Trump says Japan makes it impossible to sell American cars. It’s just that few people want them
(トランプは日本で車を売るのは不可能だと主張する。消費者が欲しないだけだ)で分かるように、アメリカの自動車メーカーは日本市場で受け入れていない理由を理解できていないというわけです。
「トランプが日本批判を始めた1980年代と変わっていないことがある。日本の消費者は相変わらずアメリカ車を買わない。大統領就任から間もない
23日、ビジネスリーダーを前に『(日本政府が)日本で車を販売させないようにしている』と述べた上で『不公平』だとして、報復として日本からの輸入車に関税をかけると脅した」と紹介しています。
WSJ
によりますと、日本の自動車市場のうち輸入車は6%。そのうち
3
分の2がメルセデスベンツなどのドイツ車であり、アメリカ車は
1
%に過ぎないそうです。
トランプ氏がトヨタ自動車のメキシコ工場建設計画について「あり得ない(no way)」とツイッターでつぶやいたあと、トヨタはアメリカで雇用や投資で
GMやFord以上に大きなコミットメントをしたにもかからず、トヨタはトランプ氏から感謝のツイートを得られなかったと残念な結果を指摘しています。確かに反応がありませんでしたね。
一方、Bloombergは
1980年代の日米貿易摩擦と今の米中貿易摩擦の可能性を比較しています。
タイトルは「トランプが中国を標的にする中で日本との貿易摩擦は教訓を示す(US Trade Spat With Japan Offers Lesson as Trump Eyes China)
です。
「アメリカと日本は1980年代、貿易で激しい戦いを繰り広げ、クリントン大統領は相当に日本と激しくやりやった。自動車部品や半導体の日本市場アクセスをめぐり日本に譲歩を迫ったが、
2000
年に入るとクリントン大統領にとって日本との貿易は大きな懸念でなくなった」と振り返ります。
(CNBC)
通商問題でトランプ大統領を支えるために新設された国家通商会議を率いるPeter Navarro
は、「今の中国と同じように日本は
1980年代にズル(cheat)
していた。トランプは世界経済が繁栄するためには自由貿易が重要だということは知っている。しかし、
2度目のズル(second cheating)
は許さない」とインタビューで述べたとしています。
日米貿易摩擦以上に米中貿易摩擦の方が火を噴きそうだと結んでいます。1980
年代と異なり、実際には日本ではなく中国が焦点なのでしょう。
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