安倍首相とトランプ大統領の会談から10日あまり。様々な分析が出ていますね。
(Reuters)
ワシントンにある保守系のシンクタンク
AEIの日本部長を務めるMichael Auslin
はForeign AffairsでAbe Wins Over Trump - The Future of US Japanese Alliance
(安倍、トランプに勝利〜日米同盟の行方)を掲載。
この中で、日米首脳会談が成功だったとした上で「安倍の成功は、トランプとの論争を回避し、日本がアメリカにとって協力的なパートナーだというイメージを植え付けたこと」と指摘。
一方、Eurasia Groupの
Ian BremmerはTime
の中でSorry, Brits: Abe and Trump Have the Real "Special Relationship"(ごめんね、イギリスのみんな:トランプとの本当の"特別な関係"を持っているのはイギリスではなく安倍)と刺激的なタイトル。
Ian Bremmerの主張はざっくりこういうことです。
■トランプ大統領の日本に対する歓待ぶりは、英メイ首相を受け入れた時と異なる。"特別な関係"なのは、米英関係ではなく、日米関係だ。安倍首相が11
月にいの一番にトランプ大統領に会いに行ったのには理由がある。中国が台頭し、北朝鮮が軍事力を誇示する中で、安倍の米大統領への要求は多い。
とりわけ、尖閣諸島が1960
年の日米安全保障条約の適用範囲内だと確認させることが最重要だった。
■トランプの側にも要求リストがあった。米企業が日本進出できるよう規制市場を開放させるための日米自由貿易協定を締結すること。オバマがまとめたTPP
よりもよい取引ができることを示したいのだ。トランプは雇用の増大を約束しており、安倍の「日米成長雇用イニシアチブ」は歓迎された。
■英メイと異なり、安倍がトランプを甘やかすことができるのは、日本の国内政治ががっちり安定しているからだ(Abe can afford to indulge Trump because, unlike Britain’s Theresa May, he is in firm political control at home)
。
日本にはさらにアドバンテージがある。トランプはイギリスを訪問すれば激しい反対に遭うだろうが、日本では温かい歓迎を受けるというものだ。
■日本側にリスクはある。日本の将来を決するのは軍力ではなく、経済力だ。長期に見れば安倍が仲良くするべきは中国の国家主席(=習近平)だ(it’s China’s President whom Abe should really be courting)
。
(Reuters)
Michael Auslinの主張はざっくりこんな感じです。
■大事なのはゴルフではない。北朝鮮のミサイル発射のあとの対応だ。客のフェイスブックで明らかになった日米の首脳会談の様子、さらに即興の記者会見では危機の経験がなく混乱中のトランプではなく、手慣れた安倍が前面に出た。
■イギリスのメイ首相は、トランプと会談した初の首脳、しかも初の同盟国の首脳だが、妻とともにフロリダのMar-a-Lagoに招待され、地位を確固たるものにしたのは安倍だった。
■日本に対してアメリカ軍の駐留経費の積み増しを求めたり、為替操作を批判したりするトランプの姿はなかった。安倍の成功は、トランプとの論争を避け、日本がアメリカにとって協力的なパートナーだというイメージを植え付けようという強い姿勢だった(Abe’s success comes from a single-minded desire to avoid controversy with Trump and to portray Japan as the United States’ willing partner)
。
■オーストラリアのターンブル首相やドイツのメルケル首相と
違い、安倍は公の場でトランプを批判してこなかった。日本の成長雇用イニシアチブによってアメリカ人が実際に雇用を得ることはほとんどないだろうが、安倍は取引外交の相手とは取引しないといけないと理解していた(Abe understands that you have to be willing to make deals with a dealmaker)
。
安倍は手土産を持ってきただけでなく、最大のお土産を持って帰った。尖閣諸島が日米安保の範囲内だと再確認させたのだ。
■今後、日米の焦点は4つ。まずは北朝鮮。日本は北朝鮮が脅威だと認める必要がある。オバマは北朝鮮の攻撃に対する対抗措置をせずに甘かったが、トランプ政権が北朝鮮を罰するかどうか、日本も韓国も知りたがっている。
■第二に海洋進出を進める中国への対応だ。海洋航行の自由オペレーションの増加、中国の船や航空機の尾行、オペレーションの自由を確保したい小国への支援など日米両国はけんか腰の中国にどう対応するか決めないといけない(through increased freedom of navigation operations, shadowing of Chinese ships and planes, or greater aid to smaller nations attempting to maintain their operational flexibility)。
これまで尖閣諸島に集中し、南シナ海への関与を避けてきた安倍にとってさえも課題となるかもしれない。
■第三は包括的なサイバー政策だ。日米はともに中国のサイバー攻撃の被害者であり、両国はより強固なサイバー防衛を構築しないといけない。システムや企業を守るためにどう協力するか、さらに中国にどう突っつき返すか(poke back)
検討する必要がある。
■第四は通商問題だ。依然として日米対立の火種がある。1990年代の日米貿易戦争を回避するために水面下の交渉が必要だ。日米両国は二国間の自由貿易協定を推進し、
TPPの修正にオープンであるべき。
■トランプ・安倍会談は、初の首脳会談としてご多分に漏れずうまくいった。今後10年の最重要な二国関係になり得る日米関係を、トランプ政権の混乱、さらに世界各地の危機が影を落とすようなことがあってはならない
(not be allowed to overshadow what might turn out to be one of the handful of most important global relationships over the next decade)。
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