ユナイテッド航空の便がオーバーブックとされ、すでに機内にいた4人の乗客が降りるよう命じられましたが、このうち男性
1人が拒否したため、引きずり下ろされ、その映像がソーシャルメディアを通じて世界に配信されました。
この時の航空会社の危機管理が不十分で顧客軽視の姿勢だったため、後日CEO
が謝罪に追い込まれたという報道が相次いでいます。
アメリカではあまりにオーバーブックが日常的で、"あすは我が身"と思った人が多かったのではないかと思いますが、実は乗客のオーバーブックではなく、航空会社のクルー
4人を乗せたかったことが後から分かり怒りに拍車がかかったと推察。
トランプ大統領も動画を見たとホワイトハウスのスパイサー報道官が会見で述べています。さらに、引きずり下ろされた男性がアジア系アメリカ人の医師だったことから、中国で大きな話題になり、今後中国市場でビジネス拡大を狙うユナイテッド航空にとって痛手だという見方も出ています。
(WSJ)
Wall Street JournalはUnited CEO Apologizes to Passenger Pulled From Plane
(ユナイテッド航空のCEO、機内から引きずり下ろされた乗客に謝罪)の中で、「ユナイテッド航空は
シカゴ発ルイビル(ケンタッキー州)の3411便で言い争いの末に、
乗客のデービッド・ダオ
(David Dao)
医師を引きずり下ろした結果、オスカー・ムニョス(Oscar Munoz)CEOが11
日に謝罪に追い込まれた」と報じています。
この謝罪が注目されたのは、問題が起きた直後、ムノズ
CEO
が乗客を別の便に振り替える(re-accommodate)ことに対して遺憾だとした上で、乗務員を擁護したからだと指摘。
さらに、 CEOが2016年1
月に心臓移植を受け、1年前に職務に復帰して間もなく、顧客サービス向上に力を入れて、チームワークが実を結び始めた時期だったと紹介しています。
ダオ医師は治療を受けているそうです。ベトナムで
1974年に医師となったあと、1983
年にケンタッキーで医師免許を取得。
2002年にダオ医師が怒りを抑えるためのプログラムを受けるよう勧められたことも伝えています。
広報対応の失態で顧客が離れることを懸念した投資家が株をを売り、ユナイテッド航空の株価は
10
日、一時4%下落し、ムニョスCEO
が謝罪した後、買い戻され1.1%の下落で取引を終えたということですが、来月行われる株主総会での追求が予想されるということです。
(Bloomberg)
Washington PostもムノズCEO
が10日にmea culpa mode
(誤りを認めるモード)に追い込まれ、「ぞっとする出来事(horrific event)」に謝罪したことを伝えています。
ユナイテッド航空は、乗客よりも乗務員に座席を優先させる社内規定や、オーバーブックの社内規定を見直し、 4月30日までに報告書を公表することになりました。
ムニョスCEOが謝罪したのは、男性が機内から引きずり下ろされる動画が
9
日にツイッターにアップされて以降、世界的にユナイテッド航空をボイコットする動きに発展した結果だと指摘。
「機内での言い争いの動画自体はこれまでにもいくつもアップされてきたが、今回の動画は、飛行機の利用が楽しみではなく苦行になっている多くの人の共感を呼んだ」ということです。
座席がどんどん小さくなり、航空会社の合併により、選択肢がないこと(大手4社で市場の80%)も
フラストレーションの背景にあり、ユナイテッド航空の最初の対応が顧客を軽視したととられ、人々の怒りに拍車をかけたと会社の危機管理の問題を指摘しています。
動画をアップしたTyler Bridgesは妻と日本からシカゴ経由でケンタッキーに戻るために搭乗していたということです。「
4人が降りないと出発しない」というアナウンスがあり、誰も名乗り出なかったことからユナイテッド側が対象者を選び、3
人は渋々降りたものの、
4人目が「私は医師で、あすの朝、患者をみないといけない」と述べて拒否したそうです。その結果、警備員が呼ばれ、引きずり下ろされたということです。
この事件、医師が中国系だから標的にされたとして中国でたいへんな話題になったということも伝えています。
11日の時点で、
Sina Weiboで1億
6000万人がアクセスし、ユナイテッド航空のボイコットを求める声が中国で高まったということです。
もともとはオーバーブックだと説明していたユナイテッド航空は11
日になって、乗客のオーバーブックではなく、乗務員4人を乗せるための措置だったと説明したとも報じています。
FTによると、ユナイテッド航空は顧客の怒りを鎮めるために対応を二転三転させ、36
時間のうちに声明文を3度も出す羽目になったと報じています。
最初の声明文では、ムニョスCEO
は「(4人の)顧客の便を振り返ることになったこと(having to re-accommodate these customers)
」に対してお詫びしました。
その後、対応に不備があったとして「こうした問題が2度と起きないよう約束する」と声明を出し直しました。
ホワイトハウスのスパイサー報道官は記者会見で、この事態を「残念(unfortunate)」と表現し、トランプ大統領も男性が引きずり下ろされる動画を見たと明らかにしました。
ユナイテッド航空は先月も、ティーンエージャーの女性2人がレギンスをはいていることを理由に搭乗を拒否し、これまたソーシャルメディアで話題になったばかり。
New York Timesは、今回の問題がユナイテッド航空のみならずアメリカの航空業界全体にダメージになりかねないと指摘しています。
荷物を預けるために手数料を取られるなどサービスにお金を取られる中で、ちゃんとお金を払って座席を予約し航空券を持っているにもかかわらず搭乗できず引きずり下ろされるかもしれないという侮辱があり得るとしています。
オーバーブックの統計も紹介しています。去年、6億
6000万人の乗客のうち、旅行券などのインセンティブをもらって自らの意思で辞退したのが43
万
4000人。自らの意思でなく搭乗を拒否されたのが4
万
600人だそうです。
「航空会社は、搭乗口に現れない人がいることを想定して、過去何十年もオーバーブックしてきた。航空会社の利益を最大限にするための戦略だ。一般的に400
ドル(約4万4000
円)から600ドルの旅行券をインセンティブにする場合が多く、アメリカでは
1350
ドルが最大だが、そこまで行くことは希だ」伝えています。
議会上院や運輸省もこの事態に関心を寄せているということで、先月、広報関連の賞をもらったばかりだというムニョスCEO
は、その広報対応をめぐり、当面ソーシャルメディアでの批判が続きそうです。
✴︎動画はこちら。
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