24日のアカデミー賞の結果をめぐり、分析の記事が相次いでいます。作品賞を勝ち取ったGreen Bookは1962年のニューヨークから米南部に自動車で向かう黒人の天才ピアニスト(俳優はMahershala Ali)とがさつな白人運転手(Viggo Mortensen)の友情を育む話ですが、「白人が黒人を救う」という内容が浅く、ステレオタイプを助長するという批判が出ています。
また最有力候補とも言われていたRomaが受賞を逃したのは製作が大手の老舗スタジオではなく、新参者の動画配信大手のネットフリックスだったから、という見方も。
アカデミー賞のお膝元のLos Angeles Timesは、「アカデミー賞は終わった。作品賞にグリーンブックを選出するとは」と嘆いています。
「女王陛下のお気に入り」は10のノミネーションを受けながらオリビア・コルマンが主演女優賞を取ったのみだった一方で、やはり10のノミネーションを受けた「ローマ」は、外国語映画賞、監督賞、撮影賞の3つを受賞し、アルフォンソ・キュアロン監督が3回舞台でオスカー賞を手にしたいうことです。
作品賞は「ローマ」がとるべきだったのに「グリーンブック」が取ったことに対して、「意見が割れるものだ」と解説。
New York Timesは、やはり「ローマ」が作品賞を取るべきだったとしつつ、「作品賞にノミネートされた8つの作品はどれも少なくても1つの賞を得た」と指摘。
スピルバーグ監督が後押しした「グリーンブック」は、主演のViggo Mortensenが人種差別的なことを言ったり脚本家がイスラム教徒批判したツイートを削除したり、問題も多かったということです。
The Economistは、「グリーンブックは白人に守ってもらえれば黒人は心配することはないと言いたいようだ」と痛烈に批判。
1970年代のコロラドで、黒人の警察官が白人の警察官とともに白人至上主義のKKKに挑むという、Spike
Lee監督のBlackKKlansmanも「黒人と白人の友情がはぐくまれる様子を描いている点では変わりない」と分析しています。
Lee監督のBlackKKlansmanも「黒人と白人の友情がはぐくまれる様子を描いている点では変わりない」と分析しています。
しかし、「ブラック・クランズマン」が2017年にバージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者が抗議集会に車で突入した事件の映像を使って人種差別が終わっていないことを示唆したのに対して、「グリーンブック」は、人種差別は過去のものだという見方を示しているということです。
Forbesは人気の高かった「ローマ」ではなく「グリーンブック」が作品賞を取ったのは、「グリーンブック」の製作が大手で老舗のUniversal/Comcast, DreamWorks SKGだったのに対して「ローマ」が新興の動画配信大手のネットフリックスだったからだと示唆しています。
「ローマ」はネットフリックスの独自作品で、基本は動画配信で興行収入を明らかにしていないものの、一部の映画館では公開してアカデミー賞事務局に友好的な姿勢を示したということです。
アカデミー賞授賞式のコマーシャルとして、ネットフリックスは次期作品のIrishman(ロバート・デニーロ、アル・パチーノ主演)の予告編を上映し、来年のアカデミー賞でも作品賞を狙う姿勢を打ち出したとしています。
8つの作品賞候補のうち、「グリーンブック」がもっとも安全で伝統的な作品で、Black Pantherのようにコミック作品でも、Star is Bornのようにリメイクでもなく、The Favouriteのように宮廷のエロチックな作品でもないとしています。
(参考)
2/24/2019アカデミー賞
■作品賞”Green Book”
■監督賞Alfonso Cuarón, “Roma”
■主演俳優賞Rami Malek, “Bohemian Rhapsody”
■ 主演女優賞Olivia Colman, “The Favourite”
■助演俳優賞Mahershala Ali, “Green Book”
■助演女優賞Regina King, “If Beale Street Could Talk”
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