アメリカの景気拡大が続いていますが、トランプ大統領が中央銀行FRBに政治介入していることに批判と懸念が広がっています。

政策金利の引き下げを要求したり、みずからに近くイエスマンとなることが予想される経済評論家と元実業家の2人をFRBの理事に指名すると表明しました。

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(Reuters)

New York TimesはUS Adds 196,000 Jobs in March, a Return to Solid Growth(米国は3月に19万6000人の新規雇用を生み出し、堅調な成長に戻る)の中で、米労働省が5日発表した3月の雇用統計で、農業分野以外で働く人たちの数が対前月比で19万6000人の伸びとなり、市場予想の17万人を上回り、失業率は横ばいの3.8%だったと報じています。

また、3月の平均時給は対前年同月比で3.2%の上昇となったとしています。

これについて「堅調な伸びであり、3月も景気拡大が続いたことを示すものだ。採用の増加は景気の先行きに対する不透明感を取り払うことになるだろう。力強い経済成長を遂げた2018年に比べるとことしは成長が鈍化する見通しだが、今回の雇用統計は歓迎できる兆しだ」と総括しています。

少し俯瞰すると金融危機(日本で言うところのリーマンショック)のあと、あわせて210万の新規雇用を生み出し、失業率も10%を記録した2009年10月以降改善しているとしています。

堅調に経済成長しているにもかかわらなず、トランプ大統領は中央銀行FRBに利下げを要求しています。

WSJは、Trump Call on Fed to Cut Interest Rates, Resume Bond-Buying to Stimulate Growth(トランプ、FRBに対して利下げと金融緩和で景気を刺激するよう要求)の中で、トランプ大統領が5日、「金融引き締めではなく金融緩和をするべきだ」と述べて、改めて利下げを要求したと伝えています。

FRBは2019年の利上げを見送る考えを示唆していますが、トランプ大統領はこれまでの利上げでアメリカ経済が大きく減速したと主張しています。

FTはトランプ大統領がお友達をFRBの理事に指名する予定だと報じています。

7席あるFRB理事のポストのうち2つが空席となっており、すでに保守系の経済評論家のスティーブン・ムーア(Stephen Moore)を指名することを表明していますが、新たにピザチェーンGodfather’s Pizzaの元経営者のハーマン・ケイン(Herman Cain)を指名する意向を表明したということです。

トランプ大統領はこれまでFRBのパウエル議長の金融政策を批判し、2人は金融緩和が必要だという大統領の考えに近いということです。トランプ大統領自身、ケイン氏いつについて「親しい友人だ」と述べています。

ケイン氏はかつて大統領選挙への出馬も検討したものの、不倫やセクハラ疑惑を受けて断念。与党共和党内からも「エコノミストを選ぶべきで党派色で選ぶべきでない」という批判も出ているということです。

もう1人のムーア氏については多額の税金未納や離婚した妻に養育費を約束通り支払っていないことが報じられています。

Bloombergは、「トランプ、もう1人怪しい人をFRB理事に」の中で「ひどい人選だ」とした上で、2人とも上院の承認を得るのは困難と報じています。

上院で野党民主党の議員が1人でもオッケーするとは考えられず、与党共和党53のうち4人でも造反すれば承認されないということです。

共和党の上院トップのマコネル院内総務らは、トランプ大統領のせいで市場関係者の間で中央銀行の信頼性が損なわれ景気が落ち込めば選挙が厳しくなることがわかっているはずだと言います。

まだ正式の指名の前なので、共和党の良識ある議員は、議会でドンパチする前にホワイトハウスに連絡して候補を変えるよう求めるべきだと主張しています。