米中の対立で景気の先行きに不透明感が広がっていたところに今度は、世界最大の原油輸出国のサウジアラビアで石油関連施設が攻撃されて原油価格が急上昇しています。

ポンペイオ米国務長官はイランを名指して非難し、それまで抑制的だったトランプ大統領も月曜になってイランが攻撃の背後にいるのかと聞かれ「そのようだ」と述べました。アメリカの出方が最大の焦点となっています。

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(Reuters)

FTはOil Prices soar after attacks halve Saudi Output(サウジの施設攻撃で産油量半減を受けて原油価格が高騰)の中で、サウジアラビア東部のアブカイク(Abqaiq)などの石油関連施設が14日に攻撃を受け、産油量が当面半減するという見通しが伝わると原油の先物価格のブレント価格が一気に約12ドル、率にして20%上昇し、1バレル=71ドル95セントをつけたと報じています。

20%の上昇とは、フセイン大統領(当時)がクウェートを侵攻した1990年以来だということです。

アメリカのWTIも16%上昇して、1バレル=63ドル64セントをつけたとしています。

攻撃を受ける前、サウジアラビアの産油は日量で980万バレルでしたが、今回の攻撃で500万バレルを失い、これは世界の原油供給量の5%余りに相当するそうです。世界最大の石油の輸入国の中国では先物価格が8%上昇したということです。

仮にサウジアラビアが思いのほか早期に原油生産を元に戻すことができたとしても、新たな攻撃に対する懸念サウジアラビアやアメリカによるイランへの報復への懸念から世界のエネルギー市場は不安定になるとしています。

Eurasia Groupは「市場は原油価格にリスクプレミアムを上乗せすることを検討せざるを得ない」として、不安が長期化すれば1バレルあたり10ドルの値上げにつながると予想しています。

WSJは、サウジアラビアの石油関連施設への攻撃に加えて、トランプ大統領が“最後の砦”とされる戦略石油備蓄の放出を認めたと伝わったことで原油価格が急上昇したと報じています。

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(WSJ)

「原油価格の高止まりは、ただでさえ米中貿易戦争で不安定な世界経済にとって脅威になる」としていて、アメリカでもガソリン価格が上がれば、市民がほかの消費を抑え、これまで堅調だった個人消費を冷やしかねないと危惧しています。

また、中国、日本、インドといったサウジアラビアへの依存が大きい輸入国は原油価格の上昇と、供給そのものに影響を受ける可能性があると言うことです。

New York Timesは、米ポンペイオ国務長官がサウジアラビアの石油関連施設を攻撃したのはイランだと名指しし、トランプ大統領が軍事攻撃も辞さない姿勢を示したと報じています。あわせて米政府高官が攻撃はドローンと巡航ミサイルが組み合わされたという見方を示したということです。

これに対してイランの外相は「大いなる偽り(max deceit)」として、即座にアメリカを非難。

一方、フランスのマクロン大統領は今月19日に始まる国連の年次総会でアメリカとイランの対立の緩和を図る重要性を訴えました。トランプ大統領はイランのロウハニ大統領と会談する用意があることを明らかにしています。