◆หญิงลี ศรีจุมพล(インリー・シーチュムポン)/ขาขาวสาวลำซิ่ง(カー・カーオ・サーオ・ラム・シン)【ต.ค.2555】
Yinlgee(1)

1.ขาขาวสาวลำซิ่ง
2.หลอยฮัก
3.ใส่ไฟ
4.แทงข้างหลัง
5.เฒ่าหัวงู
6.สาวดิจิตอล
7.เรื่องขิว ขิว
8.ผู้ขายหลายบ้าน
9.หญิงลั้ลลา
10.ขอใจเธอแลกเบอร์โทร

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10月に突如リリースされた、インリー・シーチュムポンにとってGrammy Goldから初めてとなる、このアルバム。

これが発売されるまで、彼女の事は全く知りませんでした。しかし、MVを観たら結構良かったのと、タイトルにつけられた「ラム・シン」というのが気になったので買ってみようかな、と。

しかし、「モーラム」を冠につけるアルバムは数あれど、モーラムはモーラムでもラム・シンを謳ったアルバムというのはなかなかお目にかかる機会がありません。

そんなもの珍しさと、以前からラム・シンをじっくり聴いてみたいと思っていた自分にとって、このアルバムのリリースはかなり興味惹かれました。

でも、そもそも「ラム・シン」って何?それに、インリーって何者?
◆インナースリーブより
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▼「ラム・シン」、それは「高速モーラム」

ラム・シンの事についてご存じない方の為に、簡単ですが説明を。

モーラムと一口に言っても、その中には幾つかのスタイルが存在します。ざっと分けると九つあり、ラム・シンはその中でももっとも新しいスタイルのモーラムです。

1.ลำพิธีกรรม(ラム・ピティカム)
2.ลำพื้น(ラム・プーン)
3.ลำกลอน(ラム・クローン)
4.ลำหมู่(ラム・ムー)
5.ลำไทเลย(ラム・タイ・ルーイ)
6.ลำเตี้ย(ラム・トゥーイ)
7.ลำผญา(ラム・パヤー)
8.ลำเพลิน(ラム・プルーン)
9.ลำซิ่ง(ラム・シン)

บุษกร บิณฑสันต์, ขำคม พรประสิทธิ์著「หมอลำ(モーラム)」(チュラ大出版)より

ラム・シンの「シン(ซิ่ง)」はすっ飛ばすという意味(英語のracingからきた、とか)。歌謡モーラムが人気を得始めた時期に、モーラム(ラム・クローン)が廃れていってしまう事を懸念したラートリー・シーウィライ(ราตรี ศรีวิไล、女性です)氏がラム・クローンを改良して考案したスタイルです。

演奏は男女ペアの歌い手にケーン奏者の3人が一組なるという、ラム・クローンの形を踏襲したもの。音楽的には完全ダンス・ミュージックです(モーラム・ディスコと表現している人もいました)。このジャンルで最も有名なのは、トップラインから数多くのコンサート映像を発売しているブアパン&シーヂャンでしょう。

ただ、現在はオリジナルのラム・シンが作られるというよりも、ヒット曲などをアレンジしたものが演奏されることが主流になっています。

そういった背景を知っておくと、このインリーのアルバムもより楽しめるのではないでしょうか。

▼インリーは意外と苦労人

ところで、このアルバムには「ชุดที่ 1(Vol.1)」と付けられていますが、これはあくまでもインリーがGrammy Goldからリリースした初めてのアルバムという意味で、彼女は決してずぶの新人ではありません。

デビューは2009年で、過去にSP Musicという所から「ย่านตกสวรรค์(ヤーン・トック・サワン)」というタイトルでアルバムをリリースしたことがあります。さらに小銭稼ぎか、日本に来て歌った経験もあるようです。

しかし、いまひとつパッとしなかったのか、SP Musicとの契約終了に伴い、一時は故郷のブリーラムに帰っていたようです。

▼プロデューサーとの出会い、そして再デビュー

そんなインリーにとって大きな転機となったのが、今回のアルバムでプロデュースを務めているサワット・サーラカーム(สวัสดิ์ สารคาม)氏との出会いだったのではないでしょうか(ドークオー&カーントーンのアルバム「ウーイ、ノーン・ローン・ラム」もプロデュースした人です)。サワット氏に誘われ、改めて歌を学び直した事から、このアルバムのリリースへとつながったのでしょう。

ということで、このアルバムはインリーにとって再デビュー盤と捉えたほうが良さそうです。

▼ラム・シンは現場至上主義の音楽だっ!

ところで肝心の音楽の中身ですが、さすが「ラム・シン」を謳っていることだけあって、アッパーで迫力のある歌と演奏に圧倒されます。

音作りとしてはあまり小細工していない、シンプルでストレートなプロダクションですが、ファズのかかったエレクトリック・ギターに硬質なスネア・ドラム、そして何よりもモーラムに欠かせないピンが思いっきり脳を揺らせてくれます。

そして、冒頭にMCによる口上を入れて、いかにもライブ会場にいるような雰囲気が作り出されているところが憎いです。中見出しに「現場至上主義」という言葉を使いましたが、これは「録音物は二の次」という意味ではなく、ラム・シンは観客も含めてライブ会場での雰囲気を取り込んで成り立っている、ということを表したかっただけです。

▼プロダクションの秘密、そしてインリーの才能

しかし、この迫力ある演奏、さぞかし大所帯で作られているのだろう、と思いきや、クレジットを見ると、サックスとケーン以外はなんとプロデューサーであるサワット氏一人の多重録音によって作られていました。

そのサワット氏が担当している楽器はギター、ベース、キーボード、ピン、クローン(ドラムス)。ドラムスに関しては打ち込みだと思うのですが、そんな事を感じさせない臨場感あるドラミングが素晴しいです。

さらに、このアルバムのバックグラウンドを知って一番驚いたのが、インリーの才能です。

というのも、彼女、作詞・作曲が出来るのです。このアルバムでもTr.4、5、8、9はインリー自身の作詞・作曲によるものです。また、タイトル曲のTr.1「カー・カーオ・サーオ・ラム・シン(ラム・シン娘の白い脚)」は作曲は別の人ですが、作詞はインリー本人です。

หญิงลี ศรีจุมพล(インリー・シーチュムポン)/ขาขาวสาวลำซิ่ง(カー・カーオ・サーオ・ラム・シン)


そのインリーが作った曲ですが、他のプロの作家が作った曲と比べてどうかというと、まったく遜色無いというか、むしろ良いくらいです。特に自分はTr.5「タオ・フア・ングー(蛇頭のおじいさん?)」やTr.8「プー・チャーイ・ラーイ・バーン」なんかは、このアルバムのベスト・トラックと思っているくらいですし。

しかも、彼女、ケーンの演奏まで出来るようですし(CDの裏ジャケでケーンを持っているインリーの写真がありますが、それも伊達じゃなかったんですね)。

◆CDジャケット裏
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▼プラスアルファの何かを

ただ、ラム・シンのアルバムとはいえ、それだけで全体を構成する事は無理があると判断したのか、歌謡モーラム(というかルークトゥン?)も4曲ほど収録されています。しかし、その曲もラム・シンの曲に負けず劣らず良い出来になっています。

あとは、これにプラスアルファの何かがあれば、今後、世間からもっと注目を集めることになるのではないでしょうか。それは1曲だけでもキャッチーな曲があるとか、面白いMVを作るとか、何でも良いと思います。

今のままではちょっと地味かな。タイではアルバム単位での評価を期待するのは難しそうですし。

何はともあれ、このアルバム、そしてインリーの出現は失われつつあるモーラムの世界に新風を吹き込む、大きな意味合いを持っている、と感じざるを得ません。

หญิงลี ศรีจุมพล(インリー・シーチュムポン)/ขอใจเธอแลกเบอร์โทร(コー・チャイ・ター・レーク・バー・トー)


Yinglee Srijoomphol : Ka Kaw Sao Lum Sing

 
 

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