証拠金から見たアイアン・コンドルの優位性

SPAN(Standard Portfolio Analysis of Risk)とは、シカゴ・マーカンタイル取引所が1988年に開発したリスクベースの証拠金計算方法及びシステムです。

証拠金は、一般的には、

証拠金=(SPAN証拠金額×掛目)-ネットオプション価値の総額

で計算されます。掛目は証券会社によって任意に設定されます。SBI証券では現在1倍ですが、マネックス証券では1.3倍、楽天証券では1.2倍です。

インタラクティブ・ブローカーズ証券では、SPANシステムと同様に複雑なデリバティブポートフォーリオの小/中程度の変動リスク(日経225が25%変動した場合)を算出/評価したIBエクストリームモデルを計算し、SPAN証拠金額とどちらかの大きい方の1.25倍からネットオプション価値の総額を引いたものを証拠金としています。

さて、実際に証拠金がどれぐらいになるかを例示します。これは証券会社のHPで計算できます。SBI証券の計算では、例えば、14500/18000 Short Strangleを1枚組んだ場合の証拠金は、596,400円です(4月29日現在)。一方、14500/14750/18000/18250 Iron Condorの場合は、378,600円で、ショート・ストラングルの0.63倍ですみます。 アイアン・コンドルでは、ショート・ストラングルの1.58倍のポジションを取れることになります(インタラクティブ・ブローカーズ証券では、全体的に証拠金は多くなります)。


問題は、ここからです。相場の急落時はどうなるでしょうか?相場の急落時は、ガンマが効いてきて、プット・オプションの価格は加速度的に上昇します。その結果、ネイキッドなショート・ポジションしか持たないショート・ストラングルの証拠金は飛躍的に増大し、追証になる可能性が高まります。一方、ヘッジをしている アイアン・コンドルでは、証拠金の増大はそれほどではなく、追証になる可能性は低いです。つまり、ショート・ストラングルでは、追証になる可能性を低くするためには、机上の計算より大分低めのポジションしか持てないですが、アイアン・コンドルでは、それよりも多くのポジションを持てることになります。


最大ROCの有利さ以外にも、アイアン・コンドルがショート・ストラングルより優れている理由は、ここにあります。

クレストールは、すべての人にとって、長寿の薬?

以前に紹介したJupiterという治験は、LDL-C(悪玉コレステロール)が正常で、hsCRP(炎症のマーカー)が高い人を対象に、コレステロールを下げる薬の一つであるrosuvastatin(クレストール) を投与すると「 心血管リスク」が低下するという内容だった。

これと同時に米国心臓病学会(ACC)で発表された内容は、一見すると似ているが、Jupiterとは異なる内容だった。本ブログで指摘したところだが、学会発表と論文では、primary endpointが都合よく変えられていて、結論が違うことには注意されたし。

今回、ACCでの発表とほぼ同時に、New England Journal of Medicine(最も権威のある医学誌の一つ)に"Cholesterol Lowering in Intermediate-RiskPersons without Cardiovascular Disease"という論文が掲載された。

今回の治験は、血圧やLDL-C値に関係なく、心血管疾患リスクが中程度の患者12,705人を組入れて、5.6年(メジアン)間治療したところ、rosuvastatinは心筋梗塞などのリスクを有意に低下したという内容だ。

対象者は、男は55歳以上でリスク因子一つ以上、女は65歳で二つ以上。リスク因子とは高ウエスト・ヒップ・レシオ、低HDL-C値、喫煙経験、耐糖能異常、冠疾患早発の家族歴、(軽度)腎疾患だ。First co-primary outcomeは、心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中。

Rosuvastatin投与により、投与前のLDL-C値が高い人も低い人も、またhsCRPが高い人も低い人も、心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中が低下することが示された(群間で有意差なし)。

アイアン・コンドル(2)

日米では、好まれている戦略が全くと言っていいぐらい違います。例えば、米国で非常に人気のアイアン・コンドルは、日本では全く不人気です。

アイアン・コンドルとは、ブル・プット・スプレッドとベア・コール・スプレッドのコンビネーションです。証拠金はショート・ストラングルより少なくて済みます。従って、同額の証拠金でポジションを組むと、アイアン・コンドルの方がショート・ストラングルより多くの枚数のポジションを取れます。ROCで見た場合、アイアン・コンドルのパフォーマンスは、ショート・ストラングルのそれより優れることになります。

それなのに、日本ではなぜ、アイアン・コンドルはマイナーなのでしょうか?

その理由の一つは、日本の証券会社(SBI証券、楽天証券、マネックス証券)ではスプレッド・オーダー ができないことです。利益確定やロスカットのオーダーをGTCで出す際、スプレッド・オーダーで出せないのは致命的です。しかし、インタラクティブ・ブローカーズ証券の日本口座(IBSJ)では、スプレッド・オーダーができます

同じオプション取引だから、日本市場も米国市場も、同じようなものだろうと思うかもしれませんが、これがかなり違います。

まず、日本では、米国に比べて取引高がかなり少ないです。また、呼値がオプション価格が50円以上1000円以下では、5円と非常に粗いのも難点です。これはかなり致命的な欠陥です。ちなみに、米国では、オプション価格に関係なく1セントです。例えば、米国では買値が20ドル、売値が21ドルの場合、mid pointの20.5ドルで注文を出せば、ほぼ確実に約定します。しかし、日本では、買値50円、売値55円の場合、そもそもmid pointで注文を出せません。

従って、日本では、インタラクティブ・ブローカーズ証券のようにスプレッド・オーダーで注文できる証券会社でも、スプレッド・オーダーは使い勝手が悪くなっています。スプレッド・オーダーが使えないとなると、アイアン・コンドルを行うのは難しくなります。

そもそも、日系の証券会社では、売り枚数は20枚とか30枚に制限されている
ので、売買枚数の多いアイアン・コンドルは使いにくいです。しかし、インタラクティブ・ブローカーズ証券では無制限なので、インタラクティブ・ブローカーズ証券はアイアン・コンドルをするには使いやすい証券会社です。

アイアン・コンドルの良い点は、一旦、ポジションを組めば、利益確定(LMT)とロス・カット(STP+LMT)をスプレッド・オーダーを出しておけば、あとは何もしなくて良いことです。週末投資家には、これが一番いいと思います。
 

日本と米国のオプション取引の違い

今まで、米国でのオプション取引を書いてきましたが、やはり日本でオプション取引を行いたいとお考えの人も多いと思います。日本でオプション取引を行うメリットは、二つあります。

第一は、税金です。米国で行う場合、オプション取引で得た利益は、総合課税になるので、所得が多い方は50%以上の税率です。 一方、日本でのオプション取引は、分離課税なので、税率は所得に関係なく20%です。

第二は、相続です。米国に資産を持っている人が急死した場合、遺族がその米国資産を日本へ移管するには、非常に大きな労力を要します。 多分、それに精通した弁護士に依頼しないと無理でしょう。

一方、デメリットは、圧倒的な品揃えと取引量の少なさです。

また、日米では、好まれている戦略が全くと言っていいぐらい違います。例えば、米国で人気のアイアン・コンドルは、日本では全く不人気です。このことは、日米のブログや出版されている本を見れば一目瞭然です。

例えば、少し古いですが、「オプションマスター”ウィザード”への道」のブロガーは、アイアン・コンドルの評価が☆☆なのに対して、ショート・ストラングルは☆☆☆☆☆です。

一方、米国のこのブログを見ると、アイアン・コンドルの投稿が78あるのに対して、ストラングルの投稿は3つしかありません。このブロガーが特殊ということではなく、これは米国人投資家の一般的な傾向です。

この違いの理由は不明ですが、注文システムの違い(一般的に、米国の証券会社では、スプレッド・オーダーができるのに対し、日本の証券会社ではできない) も理由の一つでしょう。

また、米国で非常に人気のあるカバード・コールも、日本ではマイナーな存在(前述のブログでは☆)です。これも米国では、個別銘柄のカバード・コールが普通にできるのに対し、日本では、流動性の欠如により困難なことによる部分が大きいと思います。

アイアン・コンドル

株式投資やFXは、仕組みは簡単だけど、勝つのは難しいものです。投資家の成績の加重平均が「市場の平均」ですが、投資家の成績は左右対称の正規分布ではなく、ごく一部の(たまたま)非常にリターンがよかった投資家のリターンで、平均が引き上げられています。従って、少なくても半数以上、実際には7割ぐらいの投資家は「市場の平均」に負けています。しかも「市場の平均」に勝った投資家の9割ぐらいは、偶然だったことが多くの研究で実証されています。

これらの事実は動かしようがありません。「市場の平均」に勝とうとするのは、かなり無謀なことなのです。こんな難しいことは、やめるのが賢明です。あるいは、最初から「市場の平均」に投資するのが次善の策です。

オプション取引は、最初だけ少し敷居が高いかもしれませんが、一度知ってしまえば、あとは簡単です。

オプション取引の中では、カバード・コールは簡単ですが、投資資本利益率が低くて、つまらないのが難点です。 

アイアン・コンドルはそれより少しだけ複雑なトレードですが、決して、セミプロしか行えないものではありません。酔っ払っている「お父さん」でも誤注文をしないように、今、マニュアルを作っています。初日だけ30分ぐらい時間を使いますが、1ヶ月に30分だけです。この通りに注文すれば、大きな利益を得る可能性が飛躍的に高まります。

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フライングしてしまいましたが、本日が発売日でした。

これまでの集大成で、今回は、私が好きな「アイアン・コンドル」と「ダイアゴナル・スプレッド」について、詳しく書きました。昨今の株価の調整局面でこそ、威力を発揮します。
 
出版社の意向で、今回は縦書きにしましたが、個人的には読みにくいです・・・。
 

「がん検診のあり方に関する検討会」に思う

先日、厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」が、胃がん検診として、従来のX線検査(バリウム検査)に加えて、内視鏡検査を推奨することになり、厚生労働省は来年度からの適応を目指すことになりました。

 

がん検診のあり方に関する検討会」の議事録を読みましたが、相変わらずABC検診(ピロリ抗体+ペプシノゲン)については、「死亡率減少効果を示す(直接の)エビデンスがない」と非常に手厳しいです。しかし、今回初めて、内視鏡検診で死亡率減少効果があると認めたのですから、胃がんのリスクが高い人を抽出して、内視鏡検査を行うABC検診に死亡率減少効果があると考えるのが自然です。

 

ABC検診反対の急先鋒である国立がん研究センターの某構成員は、エビデンスを非常に重視しているようですが、「実際ピロリ菌がいないところから胃がん死亡例が報告されているんです。つい先週も抄録レベルですけど」と発言。エビデンスを重視している先生が症例報告の話をするとは、驚きを禁じ得ません。と言うか、ピロリ菌がいないところから胃がんがでるのは稀だから報告されるのであって、胃X線検査(バリウム検査)で「異常なし」とされた受診者からその直後に内視鏡検査で胃がんが発見されることなど日常茶飯事なので、報告されることもないということを知らないのでしょうか?

 

その一方で、彼は胃X線検査(バリウム検査)に対しては、非常に甘いです。検討会では、従来の胃X線検査のエビデンスについては、再検討されていません。また、前回の検討会以降、3個の論文(エビデンス)が報告されています。一つはコスタリカからの報告で、日本からの報告は二つです。その日本からの報告はいずれも2006年発表ですが、両方ともコーホート研究で、一つは1990年に胃X線検査(バリウム検査)の受診歴を聞き、その後追跡したものです。もう一つは今論文を取り寄せているところですが、13年追跡していますから、これも1990年ごろスタートしたものでしょう。今から、25年も昔のことです。その頃の検診対象者のピロリ菌感染率は80%、今は20%です。前提条件が異なれば、結果が異なるのは当然なのに、そのことを指摘した人はいません

25年から30年前の前提条件(ピロリ菌感染率)が今と全く違う時代のエビデンスを金科玉条にして、胃X線検査(バリウム検査)は今でも有効だという主張には納得できません。今、胃X線検査(バリウム検査)の有効性を調べるスタディを始めたら、おそらく有効性は証明されないでしょう(註:罹患率が下がると、同じ検診を行っても、両群の死亡率に有意差が出にくくなります)。

 

しかし、誤解なきように付け加えますと、私は胃X線検査(バリウム検査)を否定しているのではありません。ピロリ菌の既感染者は胃がんの罹患率が高いから、この人たちを対象に胃X線検査(バリウム検査)を行えば、おそらく死亡率減少効果は認められるでしょう(もちろん、内視鏡検査がベターと思いますが)。

 

ジャーナリストの岩澤氏によると、厚生労働科学研究費は年間447億円です。厚生労働科学研究費の配分には国立がん研究センターが非常に大きな権限を持っているので、国立がん研究センターに対しては、大きな声で反対はしにくいそうです。また、日本対がん協会の収入は779億円ですが、そのうち600億円が胃X線検査(バリウム検査)です。そして、日本対がん協会支部は地方自治体幹部の天下り先になっています。ABC検診が導入されると、検診団体の収入が激減し、これらの利権構造が壊れるので、検診ムラは既得権益を守ろうと必死ということらしいです。
 

大部分のドライバーは「平均」より運転が上手い

行動ファイナンスの啓蒙書を読んでいると、自信過剰バイアスの例として、ほぼ必ず、自動車の運転の話が出てきます。
 

山崎元氏も、「141回 ほどよいオーバーコンフィデンスは可能か?」で、「ある調査によると、自動車を運転する人のざっと8割は、自分が『全ドライバーの平均以上に運転が上手い』と思っているという。客観的には、平均よりも上手い人は、せいぜい全体の半分程度だろうから、ドライバーの多くが、自分の運転に関してオーバーコンフィデンスにとらわれている」と書いています。

ところで、ドライバーの運転の技量はどうやって定量化したらいいのでしょうか?少なくても、事故を起こす人は「運転が下手」とは言えそうです。これだと「運転が慎重な人=運転がうまい」ということにもなるので、抵抗を感じる人がいるかもしれませんが、私はそうは思いません。慎重な運転は、運転の技量の大事な一つの要素だと思います。

 

このように考えると、過去の一定期間か、一定の運転距離において、事故を起こした回数を「運転のうまさ」にするのが、一番いいように思えます。実際の統計として、ドライバーの運転距離を調べるのは難しそうなので、一定期間での事故の回数を調べるのが現実的でしょう。これだとペーパー・ドライバーも「運転がうまい」に入ってしまいますが、そこは目を瞑ります。
 

さて、交通事故総合分析センターの統計によると、3年間の間にドライバーは平均0.00031回事故を起こしています。内訳をみると、2回以上の事故を起こしたドライバーの割合は0.127%、1回事故を起こしたドライバーの割合は2.719%、1回も事故を起こさなかったドライバーの割合は97.154%です。個々の事象が独立であることが前提であるポアソン分布では、平均が0.00031回の場合、2回以上の事故を起こす割合は0.000%、1回の事故の場合は0.309%、1回も事故を起こさない割合は99.691%ですから、事故は偶然ではなく、ドライバーの技量によるところが大きいことが示唆されます。つまり、事故は運転のうまさを測る、非常にいいバロメーターです。

 

ドライバーの事故の平均値は0.00031回ですから、事故が0回の97.154%のドライバーは「平均」より運転がうまいと言えます。従って、自分の運転が「平均」よりうまいと答えるドライバーの割合が7割ないし8割しかいないということは、ドライバーの多くはむしろ控えめで、自信過剰バイアスの例えとしては、適切ではないように思われます。なぜ、これがいつまでも行動ファイナンスの啓蒙書に出ているのでしょうか?
 

そこで、原著を調べました。最初は、Nååtånenらの1975年の論文”Road-user behavior and traffic accidents”のようです。しかし、この論文では、「運転のうまさ」ではなく、「安全運転」を聞いているようです(原文を読むことは、今は不可能なようです)。
 

そこで、Svenson1980年に同様の実験をしました。彼は、「運転のうまさ」と「安全運転」の二つを分けて、対象者である大学生に聞いています。
 

結果は、どちらもほぼ同様ですが、NååtånenSvensonも、質問では「平均」ではなく、「中位」と聞いています。これなら、納得です。大部分のドライバーが「中位」より運転がうまいと考えているなら、その原因として自信過剰バイアスが考えられるでしょうが、「平均」よりうまいと考えているのは、上述のように正しいことであり、論文のネタにもなりません。
 

おそらく、誰かがNååtånenSvensonの論文を日本に紹介するときに、「中位」を間違って「平均」と書いたのでしょう。すべての日本の識者やブロガーは、その間違いをそのまま引き継いでいるようです。


 

胃がん検診に思う

胃がん検診には、厚労省のお墨付きの胃X線(バリウム)検査があります。多くの企業や自治体では、40歳以上の人を対象に無料(会社、健保あるいは自治体の負担)で行われています。拙書にも書きましたが、これほど馬鹿らしいことはありません。私が勤める会社ではこのために年間1億円支出しています。経費節減のために、コピー用紙の品質を落とすなど涙ぐましい努力をしているのに、1億円垂れ流しです。

検診が有効かどうか、あるいは医療経済学的にペイするかどうかは、「対象とする癌の罹患率」、「検査の感度」、「検査の特異度」の3つに大きく依存します。

国民の血税で運営されている国立がんセンターが中心になって纏めた「厚労省の胃がん検診ガイドライン 」では、20年から30年前の症例対象研究というエビデンス・レベルの極めて低いエビデンスを金科玉条のようにして、胃X線(バリウム)検査を推奨しています。

エビデンス・レベルとは、研究の方法によってその研究の信頼性が大きく変わるので、それをわかりやすく6段階に分けたものです(他にも分け方はあります)。代表的な分類によると、症例対象研究のエビデンス・レベルは、6段階の中の5段目という低さです。

しかも、その症例対象研究が行われてた当時は、社員(国民)の8割がピロリ菌に感染していましたが、現在は1割です。大雑把に行って、社員の胃がん罹患率は8分の1に下がっています(国民全体では、高齢化が進んでいるので、これほど下がっていません)。昔は国民全体を胃がんの高リスクと捉えても大きな間違いはなかったのですが、ピロリ菌感染が激減した今は、違います。研究方法と、現在のピロリ菌感染率から見て、胃X線(バリウム)検査は無効である可能性が極めて高いのですが、未だにそれを推奨している厚労省は馬鹿としか言いようがありません。

私たちが開発した、ピロリ菌抗体とペプシノゲン値を組み合わせたABC検診は、現在RCT(無作為化比較試験)が行われています。RCTは6段階の中の2段目という信頼性の非常に高い研究方法です。RCTの結果が一つあれば、それで薬が認可されるほど信頼性が高い方法です。今進行中の試験は、2019年に終わり、2020年頃には結論が出るはずです。

中間報告では、従来の胃X線(バリウム)検査での胃がん発見症例は0例だったのに対し、ABC検診では3例の胃がんを発見しました。まだ、有意差は出ていませんが、幸先のいいスタートです。

(10月19日追記)ただ、上記のRCTはエンド・ポイントが胃がん死亡でないのが難点です(胃がん死亡が減らないと、ABC検診は「見つけなくてもいい癌を見つけただけではないの?」という批判、つまり過剰診断の可能性を排除できません)。

それとは別に、WHO/IARC作業部会で、胃がん死亡をエンドポイントとするGISTAR研究のパイロット・スタディを準備中です。本試験の結果が出るのは、15年後という先の長い話ですが・・・。
 

大腸内視鏡検査に思う

本日、大腸内視鏡検査を受けてきました。

便潜血反応は、死亡率を下げるエビデンスもあり、公衆衛生学的には文句ないのですが、大腸内視鏡検査についてはどうでしょうか?お金の問題で、大腸内視鏡検査を住民あるいは社員を対象にして行うのはほとんど不可能ですが、個人のレベルでは死亡率を下げるエビデンスがあるなら、受けたいという方も多いかと思います。

なお、個別のがん検診は、その検診が対象にしている癌死を低下させるというエビデンスはあっても、全死を減少させるエビデンスはないのが、ほぼ全てです。「全死が減らないなら意味ないじゃん?」というのは、真っ当な意見ですが、私は(おそらく多くの方も)後悔して死にたくはありません。早期発見が困難な膵臓がんで死ぬのは諦めがつくとしても、早期発見が可能な胃がんや大腸がんでは死にたくないのです。

大腸内視鏡検査に話が戻りますが、これは医師のレベルの格差が、一般の方が考えているよりはるかに大きいです。「大腸内視鏡検査は痛い」というイメージが強いためか、「大腸内視鏡検査の時間は短ければ短いほど、その先生の腕はいい」という誤信があるようです。

しかし、観察時間と病変(腺腫)発見率は正の相関関係があるというエビデンスがあります。そして、腺腫の発見率と検査後の大腸がん死には負の相関関係があるというエビデンスがあります。ある私立大学教授は「検査時間は5分」と公言していて、日本中アルバイトに行っていますが、私はその先生の検査は受けたくありません。

それと、おそらく厚生労働省の医療費抑制政策と密接にリンクしていると思いますが、ポリープ切除術は医療費が高いためか、日本では「5mm以下のポリープは切除せず経過観察でいい」というのが基本的な見解です(大腸ポリープ診療ガイドライン2014 日本消化器病学会)。しかし、米国では「全てのポリープは切除する」という考え方が主流です。

石坂氏の書評に対するreply

石坂さんという非常に優秀な個人投資家から、彼のブログ上で書評を頂きました。ありがとうございます。出版社が書いたアマゾンでの紹介よりも、詳しく、また的確に書いてくれましたので、敬意を表してreplyを書きます。石坂さんが指摘された点に関して、以下に私の見解を示します。

 

まず、テクニカル分析については、私は「エビデンスがない以上、テクニカル分析については意識的に無視することが肝要」と書きましたが、石坂さんは「例えば、システムトレード等で利用されている(斉藤手法や3点チャージに代表される)株価急落後に買う方法や過去数十日程度の高値を上回った時に買い付けを行う方法(ブレイクアウト)のリターンがよいことはさまざまなエビデンスがあると思います」と指摘してくれました。

私は、システムトレードに関しては興味がまったくないので、エビデンスがあることを知りませんでしたが、質の高いエビデンスでしょうか?学者でない金融機関のリサーチ部門の方も、多くのジャーナルに投稿している昨今ですので、論文があれば読みたいものです。また、有効なテクニカル分析が発表されると、みんなが真似をして、有効でなくなるといわれていますが、プロスペクティブ・スタディはあるのでしょうか?いずれにしても、私のような「週末投資家」がテクニカル分析で超過リターンをあげるのは事実上不可能です。

 

第二に、「『相場の動向に関係なくても、利益をあげられる』というのはちょっと言い過ぎではないかと思います」と書かれています。まったく、その通りです。ご指摘の通り、「利益があげられる」というのはキャッシュフローのことです。原資産とあわせたリターンは、当然マイナスになることもあります。CCWなどのオプションの優位性を強調するため、筆が滑ってしまいました。石坂さんが書いてくれた「オプションを併用することにより、インデックスファンドを単に買うよりさらにリターンを高められるからオプションを利用すべきである」という表現のほうが適切だったと思います。

 私が、CCWを非常にいいと思っているのは、心理的な面もあります。精神が強靭な方はいいのですが、私のような小心者は「慰め」(メンタル・アカウンティング)が必要です。株式が下落中のときは、株式だけ保有の場合は、評価額が下がっていくのをただ見ているしかありません。それに耐えられないときは、無益な「損きり」をしてしまいます。CCWでは、保有する株式は同じだけ評価損になりますが、キャッシュが入ってきます。これは慰めになります。

逆に株価が上昇中の時は、CCWでは、コールを買い戻すために、キャッシュの支出を伴うことが多くなりますが、保有する株式が評価益となっているので、これもまた「慰め」になります。あまりに上昇スピードが速いときは、いったんexerciseさせて、CSPに移ります。CSPも多くの場合、超過リターンをもたらします。投資が成功するかどうかは、恐怖心や欲望の心理をコントロールすることが肝要ですが、CSP & CCWでメンタル・アカウンティングをうまく利用することができます。

第三に、「3章にオプション投資のエビデンスが挙げられていますが、そこには相場動向と関係なく利益があげられるという表や図は見当たりませんでした」とあります。ここは私の筆が滑ったのは、前述の通りです。

私が言いたかったのは、Kapadiaの論文にあるように、金融危機とその後や、株式の暴騰時など3つの期間、CCWは一貫して原資産(Russell2000TR)をアウトパフォームしているということです。私が読んだのはSSRNですが、その後、The Journal of InvestingVol.21, No4:pp59-80, 2012)に掲載された論文でも、abstractはまったく同じなので、大きな変更はないようです。もちろん、期間を自分の都合がいいように恣意的に分けている可能性は否定できません。なお、本には明示しませんでしたが、Kapadiaの論文によると、CCWが原資産(Russell2000TR)をアウトパフォームするのは、満期日が1ヶ月先のコールだけで、2ヶ月先のコールでは原資産をアウトパフォームしないので、注意が必要です。

石坂さんはオプションの「効率性」について言及されています。石坂さんがまとめてくれたように、「オプションの利用は全体的に見るとダメだけれど、例外がいくつかあって、カバードコールやプット売りなどはその例外」とDoran は結論しています。また、Kapadiaは、ボラティリティのリスク・プレミアムの存在がCCWのパフォーマンスにきわめて重要なようだと結んでいます。

石坂さんは「オプション売りは間違えると破産することもあることを強調してほしかった」と注文されています。確かに、nakedのオプション売りは、いったん思惑が外れると、巨額の損失が生じます。従って、個人投資家(週末投資家のレベル)はnakedのオプション売りをすべきではありません。私もしていません。個人投資家はCCW、CSP、LEAPSコール買いの3つの戦略を行うのが賢明だと思います。

CCWCSPはつまらない(とくに原資産がETFの場合)ので、「お楽しみ」はLEAPSコール買いでしましょう。私の保有しているPfizer(PFE)LEAPSコール、PFEの株価が30ドルを超えて、やっとITMに入りました。これからが楽しみです。

F-scoreのその後

GreenblattのMagic formulaは、バックテスト・マジックである可能性が高いと「超・株式投資」の中で書きました。

では、「東大卒医師が教える科学的株投資術」で紹介したPiotroskiのF-scoreはどうでしょうか?F-scoreとは、Piotroskiが2000年に発表した、ROA、ROAの変化率、営業キャッシュフロー、アクルーアル、売上高総利益率の変化、総資産回転率の変化、長期負債平均総資産率の変化、流動比率の変化などを組み合わせた指標です。

Australian Accounting Review (Volume 23Issue 4pages 380–392December 2013)にpublishされたAsprisらの"Fundamental-based Market Strategies" によると、論文発表後の2000年から2010年までの米国市場では、小型株効果調整後でも、市場平均を上回るリターンをあげたとのことです。  

本の訂正

細かな表記上の間違いはいくつかあるのですが、下記を訂正は大事なので、お知らせします。指摘してくださった読者に感謝いたします。

p224の10行目「ポジションを解消したい時は、この株式を買い戻します」「権利行使されたくない時は、31コールを買い戻します」

p240の1行目:「株価が43ドルの時、45LEAPSプットを3ドルで買い、40LEAPSプットを1ドルで売る」
→「株価が43ドルの時、45LEAPSプットを3ドルで売り、40LEAPSプットを1ドルで買う」

p253の表のタイトル:「合成株式ポートフォリオ(コール買い+コール売り)」→「合成株式ポートフォリオ(コール買い+プット売り)」

9784775991299

「超・株式投資」発売になりました

「超・株式投資 賢者のためのオプション取引」が発売になりました。下記の写真をクリックすると、アマゾンのサイトへ行きます。出版社のサイトはここ

「超・株式投資」とは、 株式投資がいかに不利なゲームかであるかを説明し、それを「超える」戦略(つまり、オプション)を紹介するものです。 

本書の前半は株式投資の話で、「東大卒医師が教える『株』投資術」の続編です。この本が出たのは2006年ですが、当時は個人投資家から絶賛されました。しかし、現在、当時とは考え(投資法)が多少変わっているのは、今度の本を読んでいただければわかると思います。

過去のデータからレトロスペクティブに、新しいスクリーニング法やシステム・トレード法を「発見」しても、それがその後にはまったく通用しないことは、過去の歴史を見れば明らかです。

本にも書きましたが、個人投資家の間で人気があり、学者を馬鹿にしていたグリーンブラットのMagic formulaは、バックテスト・マジックであることはほぼ確実です。

バックテスト・マジックとは、過去のデータからたまたま成績が良かったファクターの組み合わせを見つけて、それが将来も有効であると他人を信じさせることです。おそらく、自分もそれを本当に信じているのでしょうが、それは自分の馬鹿の公表です。

また、かつて他人のデータ捏造を激しく批判していたハウゲン自身の70ファクター・モデルのパフォーマンスも捏造されていることは間違いがありません。この世界では、捏造が日常茶飯時に行われているようです。

結局、
  • 優れたファンドマネージャーはほとんどいない
  • 機械的投資法は、バックテスト・マジックに過ぎない
  • 小型株効果、バリュー株効果の有効性
  • カバード・コール(CCW)および現金確保プット売り(CSP)の有効性
が真実に近いということです。「自分の経験」などほとんど何の価値がありません。むしろ、バイアスのもとになり、有害でさえあります。

なお、「東大卒医師が教える『株』投資術」は絶版のため、興味を持たれた方は、Kindle版の「エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ (Kindle版)」を読まれることをお勧めします。 

後半はオプションの話です。前著の「週末投資家のためのカバード・コール」はカバード・コールに特化していたのに比べ、本書ではもう少し幅広い戦略を紹介しています。具体的な取引の実際などは書いていないので、オプション未経験者には、むしろ本書の方が読みやすいと思います。



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投資の勉強は必要か?

投資の初心者は、実際に投資をする前に「投資の勉強」(ファンダメンタル分析?チャート分析?)をしなければいけないと思っている方が多いように思われます。また、過去のパフォーマンスがいいファンドは,今後もいいパフォーマンスを出してくれるだろうと期待して買いますが、これは全くの間違いです。

例えば,2008年の時点で,Lipperで過去10年間のパフォーマンスで「小型バリュー」の部門で最優秀ファンドに認定されたSchneider Small Cap Value (SCMVX)の当時のリターンは下記の通りです。IWN(小型バリュー株ETF)と比べても圧倒的にいいリターンです(だから最優秀に選ばれました)。さすが、プロです。

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しかし、その後のリターンは下記の通りです。

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ほとんどの投資信託はこれと同じような結果になります。コイン投げ大会では、誰かが必ず1位になります。しかしそのチャンピオンが次の大会でもチャンピオンになる確率は他の参加者と同じです。

「投資の勉強」は全く必要がないということです。勉強するとしたら、オプションを含めた「投資の原理」を知ることです。「投資の勉強」が必要だと言っているのは、それで自分たちが儲かる証券会社や業界の人たちと、たまたま儲かった一部の個人投資家だけです。今度出る私の本でそのことは書いたつもりです。

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が7月から施行されます。私は金融機関に勤めているので、医師(産業医)であってもインサイダー取引など最重要のことに関しては、ネットで研修とテストを受けなければいけません。正直言って、FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)がインサイダー取引と同じぐらい最重要なことだとは認識していませんでした。


FATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)
は、米国()人による海外の金融機関を利用した租税回避を阻止するため、米国街の金融機関(FFI)に、顧客口座の米国()人への該非確認や該当した場合、米国内国歳入庁(IRS)への報告義務を課す米国税法ですが、「所得に対する租税に関する二重課税の阻止及び脱税のためのアメリカ合衆国政府と日本国政府との間の条約」により、すべての本邦内金融機関がFATCAを遵守することが求められ、遵守しない場合、懲罰的な課税が課せられます。残高5万ドル以下の低額口座は免除、100万ドル以上の高額口座は所定の追加書類の徴収などが必要になります。

 

具体的なタイムラインは、2014年に氏名、住所、米国納税者番号(TIN)、口座番号、実質的米国保有者氏名(法人)、口座残高(価値)、米国源泉FDAP所得支払額、2015年にそれらに加え、歴年中の口座への支払い総額(利息、配当など)2016年にはさらに、売却・償還額、2017年にはさらに米国源泉の利子、配当金を含む資産の売却額、償還額が報告されます。
 

相互主義に基づき米国の金融機関もこれを遵守することが求められ、IB証券もこれに従うと述べています。日本の当局が米国金融機関に同等のことをすぐに要求するかどうかは知りませんが、要求されれば報告されます。特に100万ドル以上の高額口座の方はご注意を。

「エビデンスに基づく株式投資のすすめ」Kindle版

3冊目の本が脱稿して、暇になったので、今まで時々 リクエストのあった「東大卒医師が教える『株』投資術」をアマゾンのKindle ダイレクト・パブリッシングで電子書籍化しました。1,600円の本が、去年は70,000円、今でも6,000円前後の値段がついているので、お買い得です。

今の考えと違うところは割愛し、中身の順番を少し変えました。それ以外は手を加えていません。

KDP( Kindle ダイレクト・パブリッシング)は非常に簡単にできます。原稿さえあれば、20分ぐらいでできます。便利な時代になったものです。

エビデンスに基づく株式投資(EBI)のすすめ (Kindle版)

よろしくお願いします。 

ファンダメンタル分析は労多くして、益僅少

米国の個人投資家(セミ・プロ?)が意見を述べるサイトとして、Seeking alpha は有名です。レベルは、我が国の同様のサイトに比べて、はるかに高いです。市場に「非効率的」な部分があるとしたら、やはり小型株でしょう。しかし、小型株に投資するとしたら、それなりの専門的な知識が必要です。私にその知識があるとすれば、ヘルスケア・バイオ関係だけです。バイオ関係の会社はほとんど赤字ですから、PERなどの単純な指標で判断することはできません。


BioTodayMEDICINE BLOGというサイトでは、開発中の医薬品の効果、副作用などについての論文や学会発表を、一部だけですが、見ることができます。それらの医薬品を開発している会社の大部分は、聞いたこともない小さな会社です。一般の方が論文を入手するには、それだけで1本30ドルぐらいかかります。本格的に、ファンダメンタル分析をする場合は、これらの論文を入手して読む必要があるでしょう。この作業は、ふつうの「週末投資家」には、時間的に、能力的、あるいは金銭的にも、とてもできません。もちろん、これらを全部読んだとしても、ファンダメンタル分析ができるというわけではありません。必要条件であり、十分条件ではありません。

トランスレーショナルリサーチの展開により、新規抗体医薬品・分子標的治療薬が次から次へと上市されて、今や、実にfruitfulな時代を迎えようとしています。 それで、ファンダメンタル分析をする能力も、時間もない「週末投資家」の私は、主に、ETFのIBBに投資しています。これはNasdaqに上場している、バイオ企業(およびジェネリック会社)に広く分散されていて、週末投資家が投資するのには、とてもいいと思います。どのバイオ企業がブレイクするかわからないから全部買うということです。「分散は無知と知れ」と言う人がいますが、そういうことを言う人こそ、無知か、馬鹿です。

夏休みの読書

マルキールの「ウォール街のランダム・ウォーカー」は、間違いなくいい本ですが、多くの人が絶賛しているので、ここでは、「投資4つの黄金則」を推薦したいと思います。著者は素人(医師)ですが、非常に多くのエビデンスをあげていて、説得力があります。既に絶版ですが、幸いなことに、Kindle版の、"The Four Pillars of Investing"は1670円で、米国Amazonで買うのとほぼ同額です。

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」も、少し読みにくいですが、いい本です。

株式投資と数学は切っても切れない関係ですが、興味のある方には、「天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話」がお勧めです。タイトルが似ていますが、凡庸な数学者が自らの恥ずかしい経験談を述べただけの「天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方」と間違えないようにしてください。カスタマーレビューを読めば、カスタマーの質がいかに低く、そのレビューはあまり当てにならないかがわかります。

最後に、Vanguardのボーグルが書いた、「波瀾の時代の幸福論 マネー、ビジネス、人生の『足る』を知るを読んで、心を洗ってください。これも絶版なので、「Enough: True Measures of Money, Business, and Life 」のkindle版がいいと思います。カスタマーの評価は、nが少ないときは、とくに当てにならないので、こちらを見てください。

DPP-4阻害剤のアウトカム試験

糖尿病の薬で、DPP-4阻害剤と呼ばれる薬は、確実な血糖値の低下と、その一方の(一時的な)低血糖などの副作用の少なさで、ここ数年糖尿病治療薬として、急激にシェアを伸ばしてきました。世界で一番売れているのは、最初に発売されたMRKのsitagliptin (Januvia)で、二番目に売れているのがAZN/BMSのsaxagliptin (Onglyza)です。後者は日本では7剤目のDPP-4阻害剤ですが、間もなく協和発酵キリンから販売されます。

Saxagliptin (Onglyza)は、2009年にFDAが糖尿病薬承認の条件に、アウトカム試験を要求するようになってから初めてFDAに承認された薬です。アウトカム試験とは、実際に心筋梗塞やそれにより死亡を減らせるかどうかを実証する試験です。Zetiaのところでも強調しましたが、薬の目指す所は、データの改善ではなく、アウトカムの改善です。

当然ながら、DPP-4阻害剤はどれもほぼ同じ作用機序なので、差別化が難しいのですが、saxagliptin (Onglyza)は、承認後のアウトカム試験がsitagliptin (Januvia)より進んでいました。先週聞いた、Onglyzaの説明会でもそのことが強調されていました。そして、SAVOR-TIMI-53というPhase 4(販売後)の治験の結果がセールス・ポイントになると期待されていました。しかし、先週、衝撃的な結果が出ました。その治験で、saxagliptin (Onglyza)は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞の複合エンドポイントで、placeboと比較して差を出せませんでした。

9月の
 European Society of Cardiology (ESC) 2013 Congressで詳細が発表されるので、確認したいと思います。Zetiaの二の舞にならないことを期待しています。

本の訂正・補遺 

皆様からの指摘で、間違いが見つかりました。
  • p51の3行目、「コール」→「プット」
  • p96の中段の囲みの中の「Raw RIE」→「Raw RU 」
  • p161の下段の表の2行目、左から4列目の「3%OTM」→「3%ITM」
  • p228の2行目、「シティ銀行」→「シティバンク銀行」
  • p229のIB証券への入金方法は、IB証券は非公認で不確実です。IB証券のWeb siteの方法に従ってください。
以上です。
 
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前著が72,000円で取引されているのには驚きました。記念に、キャプチャーしました。

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日本初の本格的「カバード・コール」の本

来月、パン・ローリング社から「週末投資家のためのカバード・コール」が発売になります。日本で初めての、カバード・コールに特化した書籍です。執筆にあたっては、欧米の類書も参考にしましたが、それらの本と同等か、それ以上の内容と自負しています。

執筆には8か月かかりましたが、編集者とのキャッチ・ボールでした。私一人で書き終えるより、読みやすい本ができたと思っています。

サルでも儲かる相場になりつつあるので、カバード・コールの本の出版は、タイミング的には最適ではありません。こういう時は雨後の筍のように、駄本が次から次へと出版されるので、良書が埋もれてしまう懸念がありますが、よろしくお願いします。

発売になったら、またお知らせします。

EBIのすすめ(2)

(A) PERとリターンとの相関(米国株)

PERは、PER=株価/EPS(1株当たり純利益)で計算します。EPS(1株当たり純利益)として前期実績、今期予想、来期予想を用いた場合、それぞれ実績PER、今期予想PER、来期予想PERと表現します。

per
時価総額150百万ドル以上の企業が対象(「What Works on Wall Street」 James P. O'Shaughnessy)  

上のグラフは、米国市場において、1951年から1996年までの各年において、PERが低い順に銘柄をクラス分けし(1が最も低く、10が最も高い)、1年後のリターンを全銘柄の平均と比較することを45回繰り返すことにより、PERの高低による平均リターン(対全銘柄)を計算したものです。

(B) PCFRとリターンとの相関(米国株)

PCFR=株価/1株当たり営業キャッシュフローです。営業キャッシュフローを計算するには、純利益に減価償却費や貸倒引当金など損益計算書の中の現金支出を伴わない項目(非キャッシュ項目)を加え、さらに貸借対照表の中から売掛金・受取手形、棚卸資産(在庫)が増えていれば差し引き、減っていれば足します。逆に買掛金・支払手形などが増えていれば足し、減っていれば引きます。支払利息があれば加えます。企業が公表するキャッシュフロー計算書や「会社四季報」を見れば、計算しなくてもわかりますが、概念は理解したほうがいいと思います。

日本企業では、米国企業と比べて、会計上減価償却費が多く計上されています。減価償却費は損益計算書に計上されるだけで、実際の現金支出は行われていないので、「隠れ利益」とみなすことも出来ます。さらに、発生主義会計に基づいた純利益や営業利益は、利益がいつ発生したか企業の裁量により操作可能ですので、会計操作の影響を受けにくい営業キャッシュフローから計算したPCFRのほうが株価と収益の割合の実態をよりよく反映していると思われます。

論文やレポートによっては、営業キャッシュフローを「純利益+減価償却」で代用している場合があります。この他に、CF(キャッシュフロー)=実績税引後利益+実績減価償却費+(流動資産の変化-現金と現金等価物の変化)-(流動負債の変化-流動負債に含まれる債務の変化-所得税支払額の変化)で計算する場合や、CF=純利益+減価償却費+配当―役員賞与としている場合などがあります。

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上のグラフは、ニューヨーク証券取引所とアメリカン証券取引所に上場されているすべての企業をPERで10のグループにランク分けし、1968年から1990年までの株式パフォーマンスを調べ、5年間ポートフォリオを保有するとして分析したもの。PERは、1が最も高く、10が最も低い(Lakonishok、Shleifer、Vishny)。 
 

(D) PERとリターンとの相関(日本株)

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上のグラフは、東証一部に上場されている企業(金融を除く)をPERで5つのグループにランク分けし、1995年から2002年までの月間パフォーマンスを測定し、年率に換算したもの。PERは、1が最も低く、5が最も高い(AMSUS)。
 

株式のパフォーマンスを調べる場合、ごく一部の銘柄の急騰により平均値(mean)が上方にバイアスがかかることが多く、平均値(mean)より中央値(medain)のほうが「実態」をよく表していることが多いので、両者を併記した。PERとリターンとのみごとな逆相関に注意。 


(E) PBRとリターンとの関係

PBRは、PBR=株価/BPS(1株当たり純資産)で計算します。本来のバリュー株は低PBR株のことです。純資産とは、企業が保有するすべての資産(総資産)から、すべての負債(総負債)を差し引いた概念で、貸借対照表の資本の部に該当します。
pbr

上のグラフは、東証一部に上場されている企業(金融を除く)をPBRで5つのグループにランク分けし、1995年から2002年までの月間パフォーマンスを測定し、年率に換算したもの。PBRは、1が最も低く、5が最も高い(AMSUS)。低PBR(1のクラス)においてさえ、リターンのMedianはマイナスであることに注意。


(F) PER・PBRとリターンとの相関(日本株)


PER_PBRMEAN

上のグラフは、東証一部に上場されている企業(金融を除く)をPER、PBRで5つのグループにランク分けし、1995年から2002年までの月間パフォーマンスを測定し、年率に換算したもの。PBR、PERは、1が最も低く、5が最も高い(AMSUS)。

バリュー系のファクターについて、まとめます(このブログで示したデータは、ほんの一部です)。 

  1. 各種バリュー系ファクター(PERPCFRPBREV/EBITDA)は銘柄選択をする上で非常に有効なファクターであリ、これらのファクターの有効性は長期間持続する。
  2. PERPCFREV/EBITDAは実績値より予想値を用いたほうが、リターンが向上する。
  3. PERは今期予想、来期予想EPSが簡単に入手できる点で最も使いやすいファクターである。業種内のPERもある程度参考になるが、機械的スクリーニングをした場合の業種の偏りを防ぐという意味が強い。
  4. PCFRはバリュー系ファクターの中でも最も安定的(銘柄の当たりはずれが少ない)である。
  5. PBRも有効なファクターであるが、あまり安定的でないので、やや使いにくい。PERなどとの収益のバリューとの組み合わせで有効性が向上する。
  6. セクター別に見ても、個別銘柄で見ても、成長率の高さは必ずしも高い株価リターンを意味しない。

EBIのすすめ(1)

1. EBIとは何か

「EBI (Evidence-Based Investment)は、信頼できる科学的な根拠に基づいて、銘柄を選択する方法です。具体的には、各種ファクター(PERなど)とリターンとの関係を解析し、それにより得られたEvidence をもとに、銘柄を選択します。

行動ファイナンスの学問が示すように、人間は常に間違えつづけ、訓練や練習で容易に修正できない行動パターンを取ります。その結果、以下に示すようなアノマリーは、過去においても、現在も、そしておそらく将来も、存在しつづけるのです。

これらのアノマリーの理由は、行動ファイナンスにより説明されますが、このHPではごく一部を紹介するに止めます(詳しくは、行動ファイナンスの教科書をご覧ください)。

当然のことながら、「低PER銘柄のリターンはいい」という統計学的事実は、因果関係ではなく、相関関係です。相関関係と因果関係とは異なるものです。一つの論文での結論は、その調査が行われた市場・時期で存在した関連を示すもので、この相関関係が他の市場・時期に広く通用することを保証するものではありません。従って、ある市場・時期だけに特有な相関関係はなるべく排除すべきで、多くの市場・時期において見出される普遍的な相関関係ほど、質の高いEvidenceです。

ある命題が真実である可能性が高いか否かを調べる検証方法にはいろいろありますが、ここで示されているEvidence は過去の長期間にわたるデータを解析した、後ろ向きコホート・スタディ(註)に近い研究デザインで得られたものです。

 

今期予想PER

PBR

今期予想PCFR

配当利回り

今期予想EV/EBITDA

有利子負債/今期予想EBITDA

今期予想ROE

平均

16.7

17.2

19.9

19.4

12.8

-3.4

-5.7

標準偏差

9.8

13.9

11.9

16.5

11.5

17.6

14.2

平均/標準偏差

1.70

1.24

1.68

1.18

1.13

-0.19

-0.41

 

各ファクターで東証1部銘柄を5つのグループに分けて、その最上位(割安、財務良好、高ROE)グループと最下位(割高、財務不良、低ROE)グループの月次リターンのスプレッドを年率換算したもの(%)。予想PCFR=時価総額/(今期予想税引後利益+前期減価償却費)。今期予想EV/EBITDA=(時価総額+有利子負債―手元流動性)/(今期予想営業利益+前期減価償却費)。ただし、手元流動性=現金・預金+一時保有有価証券(流動資産に計上されているもの)。今期予想ROE=今期予想税引後利益/前期株主資本。19852004年。(三宅一弘、大和総研レポート、200499日)


(註)後ろ向きコホート・スタディ・・・疫学の研究デザインの一つ。 すでに曝露がおこってしまった後で、研究者が事後的に(後ろ向きに)その状況を調べ、さらにその集団を追跡調査することで、疾病の発生を確認する方法。事故によって高濃度の化学物質や放射線などにさらされた産業労働者の曝露状況を事後的に調べ、その集団のがん発生を追跡調査によって明らかにする場合などに、この研究方法が用いられる。結果の信頼性は、無作為割付臨床試験が最も高く、コホート研究がそれに次ぎ、症例対照研究、地域相関研究、断面研究の信頼性は相対的に低い。

2.バリュー・マーカーの有効性について
  • 低PER、低PCFR、低PBRの平均リターンは、いずれもインデックスのリターンを上回る
  • PERとPBRは、独立したファクターである
PER=株価/1株当たり純利益
PCFR=株価/1株当たり営業キャッシュ・フロー
PBR=株価/1株当たりの純資産

これらのバリュー系ファクターの有効性については、多数の学術的な研究があり、米国市場、日本市場など多くの国の市場において、何十年にもわたる分析により実証されています。

PERとPBRは独立したファクターなので、片方だけが低い銘柄より、両方とも低い銘柄のほうが、リターンはよくなります。日本株の検証では、以下のことが実証されています。

低PER・低PBR>低PER・高PBR>高PER・低PBR>高PER・高PBR  

(PER、PBR別に上位20%および下位20%のクラスについて検証したもの。赤字は平均値、中央値ともにインデックスを上回る。緑字は平均値はインデックスを上回るが、中央値はインデックス以下。青字は平均値、中央値ともにインデックス以下)

バリュー株のリターンの良さはしばしばバリュー株のリスクの高さで説明されますが、バリュー株がグロース株より変動性が大きいという証拠はありません。また、ベータのような市場の動きに対する感応度に関しては、バリュー株がグロース株よりベータが大きいという証拠もありません。下降相場、景気後退期においてもバリュー株はグロース株より株価の下落が少ないことが実証されています。

長期間(ふつう10年以上の期間)ファクターの有効性を調べてみると、グロースのファクター(成長性の指標)が優位な時期もあることがわかります。このグロース期間では、ROE、ROA、売上高成長率などの成長性の指標の有効性が比較的高く、またPER、PCFRなどのフロー系バリューファクターも有効で、これらのファクターはいずれも特に中小型株では顕著です。

一方、バリュー期間では、配当利回りや自己資本率などのストック系バリューファクターが有効になりますが、EV/EBITDAも有効です。PER、PCFRもグロース期間ほどではありませんが、安定的に有効です。

さらに詳しく見ると、PCFRは景気の山に近い局面とその後でやや有効性が低下します。設備投資が多い景気敏感株は、利益と比較してキャッシュフローが多く、低PCFRとなりますが、景気の絶頂では、まさにそのような企業の株価もピークを迎えます。

PBRは従来景気後退期には資産価値(解散価値)に関心が高まるので、従来株価の下支えになると言われてきましたが、1997年の金融不安の時期には、低PBR銘柄も売り込まれました。これは簿価上の資産評価額の信頼性が低かったことが背景にあり、その後金融資産の時価会計の導入や実物資産の減損会計の強制適用などにより資産の帳簿価格の信頼性は高まっているので、今後は、景気後退期に株価の下支えになる、つまり景気後退期にはPBRの有効性が高まるものと期待されます。
 

私の不動産投資(3)

その後、3人の賃貸人に部屋を貸した。最初は、2,3か月で賃貸人が決まっていたが、やがて、空室が半年になり、1年になった。賃貸料も最後には月15万円(管理費込にしたので、実質13万円程度)まで減額して、やっと賃貸人が決まった。しかし、その賃貸人は、2年後の契約更新はしないで、また空室になった。

経年変化で、ガスコンロの故障、水栓金具の交換、エアコンの入れ替えなど、所有者が手配し、管理しなければいけないことが多くなり、昼間仕事をしている私には、面倒だった。もちろん、お金さえ払えば、不動産屋さんが代行してくれるが、それは馬鹿らしく思えた。また、賃貸人が退室時には、最初のころは、敷金で壁紙などの張替などができ、家主の出費は0で済んだが、やがて慣行が変わり、経年劣化の場合は家主の負担でしなければならなくなり、退室のたびに出費するようになった。

結局、不動産を所有することにメリットはないと判断し、売ることにした。ふつうは、仲介で売却するが、私は半年、1年も待つのが嫌だったので、不動産会社に直接2000万円で売却した。18年間所有していたことになる。結果として、この不動産投資が金銭的には失敗だったことは、検証するまでもない。不動産投資したいなら、よほどの暇人で資産家でない限り、REITに投資したほうがいいだろう。

ちなみに、そのマンションは、不動産会社が内装のリフォームをした後、2800万円で売りに出し、2か月ぐらいで売れたようだ。

私の不動産投資(2)

当初は毎月決められた日にきちんと振り込まれていた家賃が、次第に、1日遅れ、数日遅れ、1週間遅れるようになった。1週間たっても、家賃が口座に振り込まれていないことがわかると、さすがに黙っていられない。私は仲介してくれた不動産屋さんに電話して、事情を話した。不動産屋さんは、最初の2,3回は催促の電話をしてくれたようだが、家賃の支払いが遅れることは、改善されなかった。不動産屋さんに電話しても、のらりくらりでまったく誠意をもって対応してくれないので、私は直接借主本人に電話をするようになった。電話をするたびに、「明日払います」などと適当なことを言っていた。家賃滞納はだんだんひどくなり、ついに1ヶ月も支払いが遅れるようになった。

地価の狂乱的な上昇は止まり、下がり始めていたが、多くの識者はこれは一時的な調整で、しばらくすればまた上昇するだろうと話していた。 ちょうどその頃、ある人から電話がかかってきた。ある製品を作っている中小企業の社長から、私が所有しているマンションを譲ってくれと頼まれているという話だった。私は、相手を本当に信じていいのか、騙されるのではないかという気持ちが少しあったし、私も地価がこれから下がるとは予想していなかったので、この話はあまり乗り気ではなかったが、とにかく一度会いたいということなので、会うことにした。私は、まだ20代の若造だったので、少しでも相手になめられないようにと思い、バイトで行っていた銀行で会うことにした。私のバックには銀行がついているから、私を騙すことはできないということを暗に示したかったのだ。

中小企業の社長は実母を私のマンションに住ませたいということだった。私のマンションを選んだ理由は、母は足が悪いので、火事など万が一の時にも階段で降りることができる2階の部屋を探していたとのことだった。相手は9000万円の金額を提示してきた。6800万円で買ったので、税金やローンの利息など諸経費を考えても、損はしない金額だった。今、マンションを借りている人との契約更新まで4ヶ月あった。社長は、その間の家賃を全部肩代わりするので、契約は更改しないと、借主を説得してほしいいうことだった。家賃の滞納が続いていたので、ちょうどいい契機かもしれないとも思った。 そこで、その話を借主にしたところ、意外にもその提案には乗らなかった。借主は、今後家賃はきちんと払うので契約は更新したいと言った。借主がそういう以上、契約を更新しないことは困難だと、当時の私は思った。弁護士に相談すれば、スムーズに引き渡せたかもしれなかったが、私は東大に戻っていて(東大のすぐそばの賃貸マンションに住んでいた)、忙しかったので、この件であまりもめたくなかった。

私は、現状維持を選んだ。売るのをやめて、今住んでいる人との契約を更新することにした。ただし、家賃の支払いが1ヶ月も遅れている状態が続いていたので、賃貸契約を公正証書で行うことを条件にした。相手は、その条件を了承したので、彼と私で公証人役場に行って、公正証書を作った。その時借主にはじめて会ったのだが、40代の、外見はふつうのサラリーマンという感じの人だった。公正証書で賃貸契約を更改したにもかかわらず、家賃の滞納はまったく改善されなかった。1ヶ月家賃の支払いが遅れて、電話をしても、相変わらずの対応だったので、私は次の手段に出た。

 まず、配達証明・内容証明郵便を送り、家賃支払いの催促をしたという証拠を作った。それでも、家賃は支払われなかったので、公証役場に電話をして、強制執行をすることにした。借主(私が貸しているマンションとは別の所に住んでいた)の家に執行官は行き、家財道具を差し押さえた。すぐに借主の奥さんから電話がかかってきた。「主人が会社を作って、マンションを借りていることはまったく知らなかった。しかも、そのマンションには愛人を囲っていたこともはじめて知った。それで主人と離婚をした。差し押さえられた家財道具は、私のものなので、差し押さえはやめてほしい」と懇願された。私は、「離婚した証拠を見せてくれれば、差し押さえは解除する」と言った。やがて離婚したことを示す戸籍謄本が送られてきた。偽装離婚の可能性も考えたが、これ以上深入りしたくなかったので、私は差し押さえを解除した。私が貸していたマンションに行くと、もぬけの殻だった。敷金2か月分があったので、金銭的な被害は最小限で済んだ。

続きはまた次回。

私の不動産投資(1)

このブログを読んでいる人たちの中には、不動産投資にも関心がある方がいると思うので、私の不動産投資に関する考えを書こう。

結論を先に言えば、金融資産が数億円程度のサラリーマンには、不動産投資をまったく勧めない。理由は、私のたった1回の経験からだ。不動産は資産規模が、株式と違って大きいので、失敗は許されない。

自分に人的価値があれば、自分のためにも、社会のためにも、不動産投資などせず、まっとうな仕事をしよう。あるいは、金融資産が十億円以下の投資家の場合、オプション取引のほうがはるかにいいと断言できる。

私は最初から不動産投資をしようと思っていたのではない。東大を卒業した頃は、世の中はバブルの頂点に向かって突き進んでいた頃だ。もちろん、当時はいつ頂点が来るか知る由もなかったし、そもそも頂点があるとは、誰も思っていなかった。マスコミや評論家、証券会社のリサーチなどでも、地価はこの先も上がり続けるという論調ばかりで、「これはバブルだ。近いうちに弾ける」と言っていた人も、探せばいたと思うが、当時は「これからも地価は上がり続ける」という論調にかき消されていた。

経済や投資についての知識がまったくなかった私は、「今、マンションを買わなければ、この先、永遠に買えなくなってしまう」と愚かにも思った。仕事は、当分の間、東大でするつもりだった。大学での仕事が終わるのはだいたい午前0時過ぎなので、東大から電車で1時間20分の所にある自宅から通うのは難しい。それで、私は東大の近くに分譲マンションを探した。賃貸という考えもあったが、マンションの値段が毎年どんどん上がっている現状では、資産として、今マンションを買ったほうがいいだろうという、漠然とした「投資勘」があったということだろう。結果として、それは間違いだった。

東大のすぐ近くは地価がとても高くて手が出なかったが、東大から車で北または東に10分も走れば、地価は半値ぐらいになる。私は、そこにある新築マンションを買った。その付近は、狂乱地価で町工場などが取り壊され、他にも新しいマンションが建ちつつあった。私が買ったマンションは、準工業地域にあったことと、一部転借権が付いていたため近隣の相場より2割ぐらい安く思えたので、私は6800万円で買った。70平米の2LDKだ。当時、私はアルバイトで週2回、ある銀行に行っていたが、その銀行が好条件で(店頭金利よりは低金利で)、ほぼ全額を貸してくれた。

私はそこに住み、そこから東大に通った。しかし、その数年後に、医局の人事で、都内の東大系列の病院に勤務することになった。その病院での勤務は比較的楽で、重症患者がいない限り、午後7時か8時には、仕事が終わった。もともとの私の自宅は、その病院から1時間ちょっとのところにあったので、そこから十分に通勤できる。私はマンションのローンを抱えていたので、買ったマンションを人に貸して、ローン返済の足しにしようと思った。

地元の不動産屋さんに賃貸の仲介を依頼したら、すぐに借り手が見つかった。○○というゴルフ会員権を売買している、いかにもバブル全盛期らしい社員2人の会社が「寮」として借りてくれた。賃料は、管理費などを除いて、月24万円だ。これが相場だったが、表面利回りは3.5%に過ぎない。購入に要した諸費用やローンの金利を考慮に入れれば、実質利回りはこれより大分低い。もちろん、ローンの返済に大いに助けにはなったが。

やがて、バブルが弾けた・・・。続きは、次回。

高(好)配当ETF

Jeremy J. Siegel はウォートン校の優れた経済学者で、昔、私の友人がウォートン校で彼の講義を受けたことがあるそうです。

私の昔のホームページにも書いたことですが、最初に出した「シーゲル博士の株式長期投資のすすめ」では、S&P500などに連動したETF(または投資信託)を薦めていました。しかし、次に出した「株式投資の未来」では「高配当戦略」を薦めています。それはいいとして、この本には、いくつかの気になる記述があります。

第一は、株式投資では禁句の「たら、れば」を連発している点です。例えば、「ブリストル・マイヤーズ・スクイブとシェリング・プラウの株価は、2003年末現在、3~4年前のピークに比べて4分の3近く下落している。主要薬の特許切れが相次いだからだ。株価を維持していれば、この2社はフィリップ・モリスにつぐ第2位と第3位になっていたはずだ」(「赤本」のp45)、「1957年から1960年前半にIBMが飛びぬけた成績を残していなければ、(ハイテクセクターの株価リターンは)平均を下回っていただろう」(同p62)など、随所にこのような記述が見られます。第二に、第5部の「高齢化をめぐる危機と世界経済の力学のシフト」に見られるように、あまりに大胆に未来を予測しています。

全体としては、この本は他の人が書いた本に比べると、はるかにいい本なので、上記の点は残念です。

ところで、WisdomTreeは Jeremy J. Siegel がアドバイザーとなって設立された運用会社ですが、2006年に彼の「高配当戦略」に基づくETFを販売しました。米国では彼がテレビ・コマーシャルにも出ていて、販売に力を入れているようです。同社は規模(大型・中型・小型)や地域などで分けられた多くのETFを作っていますが、その中のひとつにWisdomTree Dividend Top 100 Fund(DTN)がありました。

2007年6月時点での金融(Financial)株の割合が30%を越えていてリーマン・ショックの時に、金融株のリターンがあまりに悪くなったので、このETFから金融株を除外して、WisdomTree Dividend ex-Financials Fund と名前を変えたのには、驚きました。銘柄選択基準もかなり変わり、全く違うETFになってしましたが、なぜかTickerはそのままです。途中からルールを変えることは、ふつうの感覚だとご法度ですが、ETFの世界では、そうでもないらしいです。

もう一つの、高(好)配当ETFに、iShares Dow Jones Select Dividend Index (DVY)があります。これは、日本の証券会社でも買うことが出来ます。これは、Dow Jones U.S. Indexを構成する銘柄から、当年の配当利回りが過去5年間の配当利回りの平均と同じか上回ること、payout ratioが60%以下であること、3ヶ月の最小平均取引高が1日200,000株以上である基準を満たす最も高配当な株式100銘柄で作成されています。2007年7月の時点で、金融(Financial)株の割合は27%でしたが、現在は10%になっています(未確認ですが、銘柄選択基準は変わっていないと思います)。

この両者とも、ここ2年のリターンを見ればわかるように、リーマン・ショックがなければ、もっとよいパフォーマンスををあげられた可能性が高いだけに、残念です。おっと、私も「たら、れば」を使ってしまいました。

まあ、寿命が200年ぐらいあれば、これらを含めてインデックス投資もいいと思いますが、数年のスパンで見た場合は、必ずしも高いリターンは望めないように思われます。

APIXABAN (2)

ACS(Acute Coronary Syndrome)の患者に対し、通常の抗血小板治療を行った人を対象に行った、placeboとapixabanのRCT(APPRAISE-2)で惨敗したapixiban(BMY/PFE)だが、Af(心房細動)の患者で、脳卒中リスクをもつ人を対象に、コントロールをwarfarinで行ったRCT(ARISTOTLE)では、予想通りにいい結果を得た。前回の治験は、コントロールがアスピリンなので、インパクトはこちらのほうがはるかに上だ。

これで、抗凝固系は、JNJのXarelto(rivaroxaban)、ベーリンガー(非上場)のPradaxa(dabigatran)、と役者がそろった。一方、第一三共のLixiana(edoxaban)は、Afの患者が対象のRCTの結果は来年にずれ込むようだ。

さて、Pradaxa(dabigatran)は、治験(RE-LY)では、日本人患者も数多く組みいられたため、日本でも、米国に遅れること僅か数ヶ月で、承認された。欧米より承認が5年から10年遅れることが珍しくない日本で、これは画期的なことだった。しかし、その後、製造販売者(日本ベーリンガーインゲルハイム)によると、2011年3月14日から8月11日で、5人の死亡例を含め、81人の重篤な出血性の副作用例が報告されている(発売以降の推定使用患者数:6万4000人)とのことだ。それで、(おそらく厚労省の指導を受けて)添付文書に「警告」欄を設け、投与中は出血や貧血などの徴候を十分に観察することや、腎臓を介して排泄されるため、適宜、腎機能検査を行うことなどを注意喚起した。

変なことを言う人は、どこの世界にも必ずいる。この件に関しても、「ドラッグ・ラグは、欧米で多くの患者に使用されて、有害事象が明らかになってから日本に入ることので、むしろ好ましいことだ」と言う専門家がいる。確かに、中には、その後の検討で、全体として、有害事象>便益となる薬があるかもしれない。しかし、そのような例は、きわめて稀だ。薬には副作用や合併症はつき物だ。しかし、それ以上に薬の恩恵を受ける患者がいることを忘れてはいけない。稀な例をことさら取り上げて、全体の利益を考えない発言をする人には、疑問を呈さざるを得ない。

リスク

株式投資の「リスク」と、個人の健康の「リスク」とは意味合いが異なる(前者は「標準偏差」、後者は「確率」)が、個人は、自身の健康のリスクについて、もう少し関心を持って欲しい。健康リスクについて言えば、最大のリスクは喫煙だ。私は、基本的には、喫煙家の言うことは信用しない。しかし、それ以外の生活習慣病のリスクは過大評価されている。検査データがまったく問題ない人にも、脳卒中、心筋梗塞はかなりの頻度で起きる。しかも、生活習慣病の半分は遺伝なので、いくら生活習慣を改善しても、たかが知れている。従って、無理して我慢する必要はない。好きなものを食べて、飲めばいいと思う。人生は短いのだから。しかし、高血圧症や脂質異常症の人は、薬は飲んだほうがいい。

一方、癌、とくに早期発見が比較的簡単な消化管の癌は、リスクに応じた検診が肝要だ。これらの癌で死ぬのはあまりにもったいない。生活習慣病関連で死ぬのは、ある程度、不可避だが、癌死はかなりの程度、避けることが出来る。

胃癌に関して言えば、ペプシノゲンとピロリ菌抗体を組み合わせたABC(D)検診で十分だ。最初からピロリ菌のいない人(A群)に、胃癌が発生する確率はきわめて低い。対策型検診としては、このグループに検診をする必要は、まったくない。一方、ピロリ菌がいて、ペプシノゲン陰性(B群)では、年間0.1%の胃癌発生率、ピロリ菌がいてペプシノゲン陽性(C群)では、年間0.25%の胃癌発生率なので、数年に1回の内視鏡検査が必要だ。勿論、除菌をした上でだ。

未だに、国民のピロリ菌感染率が80%で、国民のほぼ全員を胃癌のハイ・リスクと捉えても間違いがなかった頃の施策(全員X線検査)が取られているとしたら、時代錯誤もはなはだしい。現在は、胃癌検診対象者のピロリ菌感染率は20%以下であり、とくに若年層では5%以下に激減しているので、近い将来、胃癌の罹患率は現在の10分の1以下になることは間違いがない。

大腸癌は、最近漸増しているが、明確なリスク・ファクターがない。赤身肉を食べる人に大腸癌が多いとか、肥満の人に大腸癌が多いとか、逆に果物を多く食べる人に大腸癌が少ないというデータはあるが、せいぜい数%の話だ。従って、すべての人は、40歳を過ぎたら、下部消化管内視鏡検査を 受けたほうがいい。異常がなければ、5年後の検査で十分だ。

一方、食道癌は、胃癌や大腸癌に比べて、罹患率が一桁少ないが、かなりリスク・ファクターが明確だ。これには、遺伝子リスクと生活習慣リスク(飲酒と喫煙)がある。遺伝子リスクは、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)とADH1B(アルコール脱水素酵素)があるが、1件数万円もする遺伝子分析を受けなくても、ALDH2(アルデヒド脱水素酵素)低活性型の人は、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなるということでわかる。日本人の40%は低活性型だ。ちなみに白人や黒人は低活性型の人はいない。ADH1B(アルコール脱水素酵素)の低活性型の人は、普通の量のお酒を飲んでも、次の日、お酒臭いということで、ある程度、判別できる。これは、日本人の10%だ。遺伝子リスクがいずれかの1つある人が、飲酒と喫煙の両方をすると、これらのリスクがない人に比べて、食道癌の発生リスクは60倍以上になる。さらに遺伝子リスク2つと生活習慣リスクが2つある人は、食道癌のリスクが100倍以上になる。

東日本大震災

2011年3月11日
会社は東京の港区にあるが、15階にある診療所では、その時間は立っていられないほどに揺れた。診療所の天井のパネルが落下した。幸い、人的被害はなかった。 私の部屋から外を見ると、お台場のあたりで黒煙が上がっていた。

当日は、電車がすべて止まっていたので、ひたすら歩いた。3時間ぐらいまでは快調だったが、その後は足が痛くなり、悲惨だった。子供がいなければ、会社か 会社の近くの高級ホテルで一泊するところだが、子供と連絡が取れないので、ひたすら歩いた。6時間かけて、やっと家に着いた。子供は友達の家に泊めても らっていることを知り、安堵した。

Apixaban

ワルファリンなどのビタミンK拮抗剤(VKA)治療が不適応と予測または確認された心房細動(AF)患者において、apixabanは、脳卒中及び全身性 塞栓症の有効性の複合評価項目において、大出血、致死的出血、頭蓋内出血の有意な増加をもたらすことなく、脳卒中や全身性塞栓症をアスピリンより統計的に有意に軽減したという論文が、NEJMに出た。しかし、対照薬がアスピリンなのが、少し弱い。おまけに、Xa阻害剤は多くの製薬メーカーが開発の最終段階に入っており、日本の製薬会社だけでも、武田、アステラス、第一三共の上位3社が開発中なので、発売後、シェアの奪い合いをするだろう。

ベーリンガーのdabigatranは、同じような薬だが、凝固系に作用する部位が異なる。この薬はつい最近、ワルファリンに対する非劣性が示された。対照薬がワルファリンである点は、対照薬がアスピリンであるapixabanよりはるかにインパクトが大きい。因みに、dabigatranは欧米での承認後、僅か数ヶ月で日本で承認された。ドラッグ・ラグが問題になっている我が国の現況から見ると、驚くべき早さだ。ベーリンガーのMRは「それだけ、この薬が画期的だということです」と言っていたが、そういうことかもしれない。

ということで、PFEのapixabanには多くを期待していないが、依然として、PFEの株価は魅力的な水準にあると思われる。

(アスピリンは抗血小板薬、apixaban、dabigatran、ワルファリンは抗凝固薬)
(apixabanはBMYが創薬し、PFEとBMYが共同で、治験を行った

楽天証券 vs. マネックス証券

国内証券会社は標題の2社しか使っていない。この証券会社を通じて、米国株も投資している。売買する時は、一日に何万ドル、何十万ドルを動かすのに、手数料となると、せこい。「せこい」と言うより、 手数料の実態が明記されていないと、頭に来る。楽天証券の手数料は不明朗だ。「不明朗会計」と揶揄されても、反論できないだろう。 楽天証券では、ホームページを見ると、 1取引(1,000株まで)につき26.25ドル(税込) - 1回の取引あたり1,000株超の場合は1株ごとに2.1セント(税込)追加となります。 - インターネット・電話・成行指値といった取引方法による手数料の違いはありません。 としか書いていない。しかし、実際には、 1注文あたり100,000米ドル以上のご注文は受け付けてくれない。

一方のマネックス証券はそのような上限の規制はない。マネックス証券社長の松本氏の「GDPの成長率と株価は連動する」という発言には、「?」だが、この点では、マネックス証券のほうに分がある。

AHAの話題

今週はシカゴでAHA(米国心臓病学会)が開かれた。毎年、NEJMに載るような一級の臨床治験の結果が発表されるので、投資家にとっても大事だ。

ASCOTという治験(心血管イベントの危険因子を3つ以上有し、コレステロール値が平均値以下の高血圧患者において、コレステロール低下療法によるCHDの一次予防効果を検討した治験。ASCOT試験は本試験と降圧試験であるASCOT-BPLAの2試験から成る2×2試験。一次エンドポイントは,非致死的心筋梗塞と致死的CHD)のPost-hoc分析で、「hsCRPは心血管イベントの予測に有用でない」というServer博士の発表があった。これに対し、JUPITERでhsCRPの有用性を主張しているRidkerは、「これはPost-hoc分析だ」と言って、「その分析の信頼性は低い」と主張した。これには笑えた。自分はJUPITERのPost-hoc分析で、hsCRPの有用性について何本も論文を書いたのに・・・。何といつも自分に都合のいいことを言う人なのだろう。

次に注目されたのは、DEFINEというCETP(cholesteryl ester transfer protein) inhibitorの、MRKのanacetrapibの治験だ。発表と同時に、NEJMにも掲載された。CETP inhibitorはPFEのtorcetrapibなど、何度も治験がフェールした鬼門だ。

臨床イベントは有意差がなかったが(症例数が少ないので)、血液データは非常に興味深い。HDL-Cを上昇させる薬剤は、これまでほとんどなかったが(niacinは副作用が多くて、使いにくい)、anacetrapibはHDL-Cを2.5倍に増加させる。これが臨床イベントの減少につながることが実証されれば、非常に面白い。

「血液データなどのsurrogate markerより、臨床イベントが大事だ」といつも言っているNissenが比較的好意的なコメントをしていたのが、印象に残った。30,000人規模で行われる、REVEAL HPS-3 TIMI-55 trialの結果を待とう。

Farewell to Firstrade

Firstradeへ完全移行するため、Firstradeの口座で保有していたTFSSXとCTVAXを売却した。

Firstradeは手数料も安くて悪くはないが、 良くない点を記そう。

まず、市場が開いている時間にアクセスしても、アクセスできないことが何回かあった。これは、相場の急落時や第3金曜日(オプションの清算日)に多い。

次に、株式を売買しても、それがWeb上に反映されるのが遅い。1,2日遅れることは珍しくない。同じ日に、違う銘柄を買っても、なぜか同じ日に更新されないことがある。また、保有資産の総額の表示はかなりいい加減だ。時々とんでもない数字が表示されることがある。

売ってしまって、既に保有していないはずの銘柄が翌日も、Web上のポートフォリオに残っていることも時々ある。勿論、Webでの表示が間違っているだけで、実際の保有資産が間違っているわけではない。試しに、売却した銘柄がそのまま表示されていたので、その銘柄の売り注文を出したら、さすがに拒否された。

しかし、株式をもっていて、Web上もそうなっている銘柄に対し、Covered callを売ろうとしても、「原資産がありません」という表示が出て、コンピュータが注文を受け付けてくれないことが、何回もあった。試しに、その保有している銘柄に売り注文を出したら、「売却注文に対する十分な株式がありません」という表示が出て、拒否された。保有している株式が、画面上は正しく表示されているが、Firstradeのコンピュータはそう認識していないらしい。そこで、どうしてもその日のうちに売買したい場合は、電話をかけることになる。電話をすれば、すぐに訂正してくれる。電話しなくても、1,2日後には自然に治っている。

Firstradeのセールス・ポイントの一つはDRIP(配当金自動再投資)だ。これは自動的に手数料なしで、配当金で株を買い付けてくれる便利なシステムだ。例えば、ある銘柄を2000株買ったとすると、いつの間にか、配当金自動再投資で2008.324株に増えている。さて、この株を売るときはどうするか。2008株売却のオーダーを出せばいい。2008株が売れれば、端株はその1日か2日後に自動的に手数料なしで売却される。しかし、これも必ずしも、いつもそうなるとは限らない。何故か、端株が売却されないで、いつまでも残っていることがある。不思議なことだ。

さて、今回、IB証券への完全移行を前に、売却されないで残っていた端株があったので、どうなるか観察しようと思った。昨日まで、端株は残っていて、保有資産総額は約10ドルと表示されていた。今日、それを見るために、米国市場が開いている時間に、Firstradeにアクセスすると、何とアクセスできない!時間を置いてアクセスしても、アクセスできない!これには驚いた。端株はFirstradeのものになってしまったみたいだ。僅かな金額であるが、これには納得できないものがある。しかし、私の英語力では交渉するより、泣き寝入りしたほうがよさそうだ。確認はしていないが、おそらく、そういう規則になっているのだろう。交渉しても、無駄だろう。

それと、Statementを見ることは殆どないのだが、たまに見ると、Firstradeのミスで、訂正されていることが結構ある。 Firstradeのミスで、間違って取られた金額が返されているということだ(会社のミスと明示されている)。

こういうことは日本の証券会社ではまず起こらないと思うので、米国証券会社に口座を開設しようと考えている個人投資家に「情報」としてあげておこう。

さて、IB証券はどうか?今のところ、とくに問題は見つかっていないが、何か問題があったら、報告することにしよう。

訂正

本日、Firstradeにアクセスしたら、出来た。10ドルも没収されていなかった。Firstradeに悪い印象をもたれた方がいるとしたら、お詫びする。 しかし、何の予告もなく、突然アクセス出来なくなることがあるということだ。

GDPと株価は必ずしも連動しない

(最近特にETFに力を入れている)マネックスについて、旧聞かもしれないが、同社が発行している、2009年9月7日のマネックスメールに以下のような文があった。

「この20年間、世界中の殆どの国のGDPは 大きく伸びました。しかし日本のGDPは殆ど変わっていません。日経平均が 4万円近くから1万円未満まで売られた時に、日本のGDPは殆ど変わってい ませんから、短期的には経済・GDPと株価は必ずしも連動しません。しかし 長目に見ると、付加価値の総和であるGDPと、自由資本主義体制で付加価値 を生むメイン・エンジンである上場企業の時価総額和が連動しない筈はなく、 即ち長いスパンではGDPと株価には強い相関があります。日本の株が上がら なかった最大の理由は、日本経済が成長しなかったことです。資本市場整備よ りもコーポレートガバナンスよりも、この問題の方が大きいと思います。」(太字は私による)

シーゲル教授の言葉を持ち出すまでもなく、 GDPと株価との関係はそう簡単な話でないことは松本氏は当然知っているはずだ。「長いスパン」とはどれぐらいを想定しているかは文面からは不明だが、この言葉は初心者をミスリードする。おそらくマネックスは、個人投資家に新興国市場のETFを買ってもらいたいがために、このような発言をしているのだろうが、これでは証券会社の信用をなくす。

株価のリターンについては、各国のGDPや各社のEPSの伸びより、PERなどのvaluationのほうがはるかに大事だ。

Interactive brokers証券の口座開設と株式移管―続き

無事移管も終わり、FirstradeやIBにも問題なくアクセスできていたが、昨日、Firstradeにアクセスすると、"Too many failed attempts"との表示が出て、ログインできなくなった。「電話しろ」とのことなので、電話すると、すぐログインできるようにしてくれたが、途中で、"Wait a moment"を連発し、私の履歴を調べていたようだ。結局、5分ぐらい待たされたが、Transferの規模が大きかったのと、無効な発注を多くしたので、「怪しい」と思われて、ロックされたとのこと。それにしても、何で、今頃かという疑問もあったが、アンロックされたので、ま、いいか。

聞くところによると、米国ではクレディト・カードも「非日常的」な使い方をすると、すぐロックされるとのこと。「資産家」が米国の証券口座やクレディト・カードを使うときは、気をつけたほうがいいかもしれない。 しかし、こういう面倒くささを補って余りあるメリットが、米国市場にはあるので、是非米国市場にトライして欲しい。

関節リウマチの新規薬剤

内科領域では高血圧症や脂質異常症などの分野は、ほぼ完成された薬剤が販売され、今後ジェネリックに侵食されることは必至だが、内科領域で今後最もマーケットが拡大されることが予想されるのは、抗血小板・凝固領域、関節リウマチ領域、血液疾患領域、一部の固形癌領域だ。固形癌領域では私の同級生が発見し、アステラスに特許を導出したEML4-ALK遺伝子に対するinhibitorは有望だ。この論文はNatureに載り、先週ライバルの武田から武田医学賞を受賞したが、武田もなかなか懐が深いところを見せた。来週のNEJMにも新しい論文が出るそうだ。

関節リウマチの臨床では、現在ようやく皮下投与のEtanercept (PFE)やAdalimumab (ABT)の早期投与の重要性が認識され始めた段階で、今後これらの需要は劇的に増えると思うが(Adalimumabは未だに特定の医療機関でしか投与できない)、臨床治験の分野では、既に次の世代の経口投与できるkinase inhibitorsの開発が進み、2013年の販売を目指している。中でも、PfizerのTasocitinibとAstrasZeneca/RigelのFostamatinibが先行し、最も有望とされている。

現在開発中のkinase inhibitorは下記のとおりだ。

CompoundTargetIndications
INCB-28050 (LLY, Incyte)JAK1/2RA (Phase II)
Tasocitinib (PFE)JAK3RA(Phase III)
Psoriasis (Phase II)
IBD (Phase II)
VX-509 (Vertex)JAK3RA (Phase II)
VX-702 (Vertex)p38 MAPKRA (Phase II)
BMS-582949 (BMS)p38 MAPKRA (Phase II)
Psoriasis (Phase I-II)
Fostamatinib (AZN, Rigel)SYKRA (Phase II)
B-cell lymphoma (Phase II)
ITP (Phase II)
Peripheral T-cell lymphoma (Phase II)
Solid tumors (Phase II)

やはり、ゼチーアのSHARPは望み薄

ゼチーア(ezetimibe)の治験が3本続けて、フェールしたが、MRKが一縷の望みを託していたSHARP(Study of Heatt and Renal Protection)もフェールする可能性が高い。

SHARPは、慢性腎疾患の患者に、Simvastatin 20 mg、Placebo、Simvastatin 20mg/Ezetimibe 10mgの3群に分けて、アウトカムを見る治験だが、そのエンドポイントは、Major vascular events (defined as non-fatal myocardial infarction or cardiac death, non-fatal or fatal stroke, or revascularisation)だ。しかし、SHARPの主任研究者のBaigent医師が、治験の途中で、 エンドポイントをmajor atherosclerotic events (defined as the combination of coronary death, myocardial infarction, ischemic stroke, or any revascularization procedure)に変えたいと、スポンサーのMRKに言っているとのことだ。つまり、非動脈硬化性の心血管イベントを除外したいと言い出したのだ。

これに対し、MRKは拒否 。後からエンドポイントを変えるのは、禁じ手だから、MRKの判断は正しいが、MRKはPost-hoc分析で行こう としているようだ。こちらのほうがエンドポイントを後から変えるよりはマシだが・・・。

エンドポイントを変えるのは反則だということを十二分に知っているはずのBaigentが、この時期にこう言い出すのには、それなりの理由があるからと考えたくなるのが普通。Baigentは「結果は見ていない」と強調しているが、結果を 一部知って、当初のプライマリーエンドポイントでは有意差がでそうにないと思ったのだろう。いずれにしても、SHARPの結果は期待できそうにない。

それにしても、エビデンスと関係なく、ゼチーアが売れる日本は、「不思議な国」だ。
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