前回のブログは半年ぐらいで終了した。ブログでは、主に、製薬メーカーのファンダメンタル分析の参考になりそうなことを書いた。具体的には、既に上市されている薬剤あるいは近い将来上市される薬剤を使った大規模臨床試験の内容だった。現在の医学は、エビデンスが今まで以上に重要視されてきているので、こういった大規模臨床試験 の結果は、薬剤の売り上げに大きな影響を及ぼす。

最近では、hsCRP高値の患者にクレストール(AZN)を投与して、アウトカムが改善したという論文が出てから、クレストールの売り上げがさらに伸びた。それと対照的に、非常に期待された新機序のコレステロール降下剤ゼチーア(SGP=今はMRKSGPMRKの合併については、おそらくSGPJNJと結んだ契約を失効させないため、形式上SGPMRKを買収し、新会社の名前をMRKにするというややこしい合併だった)が、大規模臨床試験でいい結果が出せず、その発表後売り上げが半分近くまで落ちた。おまけに、SGPが論文の発表を故意に遅らせたと各地で訴訟が相次ぎ、膨大な金額を払って和解した。こういったエピソードを書いたが、投資とは直接関係ない話が大部分で、あまり役に立たなかったものと反省している。

今回は、オプションがいかに週末投資家に向いた戦略であるかを、繰り返しを恐れず、具体例を挙げながら、書いていこう。今までオプションというと、デルタなどのギリシャ文字を理解しないと無理だと思われてきた。多くのオプション・トレーダーは刻々と変わる値段を見て、オプションの売買をするので、一日中PCの前に座っていられるセミプロがするものと思われてきた。確かに多くのオプションはそうかもしれない。それがオプションの敷居を高くし、一般の方になかなか普及しない理由かもしれない。

しかし、私が行っているオプションは、「馬鹿でも機械的にできる」Covered call writingだ。ギリシャ文字は必要ない。医学生は学生時代に、体の隅々まで11本血管や神経の名前をラテン語で覚えさせられる。しかし、医者になると、こういった名前の99% は忘れてしまってもまったく問題ない(残りの1%は英語で自然に覚える)。それと同じで、オプションも覚えていなければいけないところは、ほんの少しだ。 そして、「馬鹿でも機械的にできる」というところが大事だ。

諸君は、人間がいかに自信過剰で、自分はファンダメンタル分析で市場の平均に勝てると思い込み、多くの投資家が退場したのを見てきたことだろう。普通の人には、ファンダメンタル分析は無理なのだ。ファンダメンタル分析で利益をあげられる人は、全体の半分はいるだろう。しかし、それはまぐれだ。継続してファンダメンタル分析で利益を上げることは、10円玉を続けて表を出し続けるのと同じぐらい難しいことだ。「ファンダメンタル分析をしろ」と言っている投資家は、偶然を自分の実力と勘違いするおめでたい馬鹿か、それで生計を立てている業界関係者だけだ。ごく一部の投資家はファンダメンタル分析で優れたリターンをあげていることは、私も認めよう。しかし、諸 君がその真似をするのは無理なのだ。駿台の偏差値が60の受験生が東大・理科3類に入るのが無理なのと同じくらい、不可能に近い。普通の人は、そんな高いハードルは最初からあきらめたほうが賢明だ。

私は仕事柄多くのアクティブ運用をしているファンド・マネージャーと話をする機会があるが、彼(彼女)らも馬鹿でないからパッシブ運用の有利性は認識している。ただ、「アクティブ運用が仕事だから」しているにすぎない。

ではどうすれば、「市場の平均」に勝てるか?それは、「馬鹿でも機械的にできる」方法で投資をすることなのだ。ホームページのほうでは、エビデンスを利用して「勝つ」方法を紹介したので、このブログでは、Covered call writingで「市場の平均」に勝つ方法を見ていこう。

その前に、CCW(Covered call writing)の特徴を記そう。
  1. 難しいオプションに関する知識は不要
  2. ファンダメンタル分析も不要
  3. 上昇相場では、キャッシュフローは少ない(マイナスになることも)(株式は含み益)
  4. レンジ相場では、キャッシュフローはプラス
  5. 下落相場では、キャッシュフローはプラス(株式は含み損)
  6. 上記の特性より、バリュー系ETFと組み合わせることで、相場の如何にかかわらず、常にキャッシュフローをプラスにすることが容易になる(All weather investing method)