さて、実際にオプションをするとしよう。まず証券会社を選ばなければならないが、日本株はCovered callをするのにはまったく適さない。日本株では、実質的には個別銘柄やETFに対するオプションがなく、やるとすれば日経225先物に対するコール・オプションを売ることになるが、日経225先物は差額決済になるので、日経225先物が下がった時は、マイナスのキャッシュフローになる。それでは、Covered callの魅力のほとんどすべてが消えてしまう。株価が下がっても、キャッシュフローがプラスになるところが、Covered callの魅力なのだ。それで、米国株でオプションをすることになる。米国株では、株価が下がっても、原資産の株式を売却する必要はないから、コール・オプションを売ったキャッシュがそのまま残り、キャッシュフローはプラスになる(株式は当然含み損を抱える)。

米国市場では、豊富なETFや個別銘柄にオプションがある。また、昼間仕事をしているまっとうな個人投資家は、日本株ではザラ場を見ることはできないが、米国株ではザラ場を最初の30分見るだけでも、約定しやすくなる。従って、Covered Call Writingをするなら、米国株に限る。米国株でも、国内の証券会社ではオプションは扱っていないから、米国の証券会社に講座を開設することにしよう。

証券会社はどこでもいいが、Firstradeが日本人にも人気があるようだ。私もFirstradeを使っている。口座開設には中学3年生程度の英語力があれば十分だ。なお、他の人も指摘しているように、米国の証券会社のコンピュータ・システムは日本の証券会社のそれと比べて、相当ぼろい。注文やキャンセルが円滑に行かないことも少なくないし、資産残高がリアルタイムに反映されないことも多い。そのまま何もしなくても、とくに問題はないが、どうしても不安な場合は、電話をすることになる。メールでの問い合わせは、一般的な問い合わせのみで、個別の状況に応じた問い合わせには、「電話をください」という返事が来るだけだ。電話の場合、こちらがNativeなスピーカーでないとわかると、ゆっくり話してくれるから、英会話に自信がない諸君でもあまり心配しなくていい。

口座を開設したら、いよいよ株式を買おう。株式はCash accountでもMargin accountでもどちらでもいい。米国では、日本と違って、Margin accountでも配当が支払われるのも魅力のひとつだ。基本的に、原資産である株式は長期保有を前提とする。株価は上がるか、下がるかはわからない。上がることが最初からわかっていれば、何もCovered Call Writingをしないで、全力で株式を買うか、コール・オプションを買えばいいのだが、現実には株価が上がるか下がるかわからない。それで、「時は金なり」で、時の経過とともに時間的価値のプレミアムは必ず下がるから、コール・オプションを空売りし、そのプレミアムをこつこつ貯めるのがCovered Call Writingの本質だ。

第3金曜日(expiration day)の前日になったら、いよいよ仕事だ。しかし、前述のように米国の証券会社のコンピュータ・システムはぼろく、アクセスが多いとダウンすることも時々あるので、余裕を持って、2、3日前から仕事を始めたほうがいいかもしれない。株価がstrike price(権利行使価格)を上回り、コール・オプションの買い方に権利が行使される可能性が高い場合、その価格でも原資産の株式を保有したい場合は、コール・オプションを買い戻し、翌月expirationのstrike priceを上げたOTM(Out of the money)のコール・オプションを売却(roll up and out)する。一方、十分株価が値上がりしてもはや割安な水準と考えらない時は、そのままにして、exerciseされるのを待つ。当然、原資産である株式は権利行使価格で売却される。一方、Expiration dayに株価がstrike priceを下回っていれば、コール・オプションはexpireされるから、翌月曜日に新たなコール・オプションを前月のstrike priceと同じか下の価格で売る(roll down)。原資産である株式に見切りをつけた場合は、原資産の株式を売るが、よほどのことがない限り、これは行わなくていいだろう。

なお、この説明がわかりにくいと思った諸君は、「オプション道場」の説明を見てほしい。私と違って、大変わかりやすく説明している。