今週はシカゴでAHA(米国心臓病学会)が開かれた。毎年、NEJMに載るような一級の臨床治験の結果が発表されるので、投資家にとっても大事だ。

ASCOTという治験(心血管イベントの危険因子を3つ以上有し、コレステロール値が平均値以下の高血圧患者において、コレステロール低下療法によるCHDの一次予防効果を検討した治験。ASCOT試験は本試験と降圧試験であるASCOT-BPLAの2試験から成る2×2試験。一次エンドポイントは,非致死的心筋梗塞と致死的CHD)のPost-hoc分析で、「hsCRPは心血管イベントの予測に有用でない」というServer博士の発表があった。これに対し、JUPITERでhsCRPの有用性を主張しているRidkerは、「これはPost-hoc分析だ」と言って、「その分析の信頼性は低い」と主張した。これには笑えた。自分はJUPITERのPost-hoc分析で、hsCRPの有用性について何本も論文を書いたのに・・・。何といつも自分に都合のいいことを言う人なのだろう。

次に注目されたのは、DEFINEというCETP(cholesteryl ester transfer protein) inhibitorの、MRKのanacetrapibの治験だ。発表と同時に、NEJMにも掲載された。CETP inhibitorはPFEのtorcetrapibなど、何度も治験がフェールした鬼門だ。

臨床イベントは有意差がなかったが(症例数が少ないので)、血液データは非常に興味深い。HDL-Cを上昇させる薬剤は、これまでほとんどなかったが(niacinは副作用が多くて、使いにくい)、anacetrapibはHDL-Cを2.5倍に増加させる。これが臨床イベントの減少につながることが実証されれば、非常に面白い。

「血液データなどのsurrogate markerより、臨床イベントが大事だ」といつも言っているNissenが比較的好意的なコメントをしていたのが、印象に残った。30,000人規模で行われる、REVEAL HPS-3 TIMI-55 trialの結果を待とう。