石坂さんという非常に優秀な個人投資家から、彼のブログ上で書評を頂きました。ありがとうございます。出版社が書いたアマゾンでの紹介よりも、詳しく、また的確に書いてくれましたので、敬意を表してreplyを書きます。石坂さんが指摘された点に関して、以下に私の見解を示します。

 

まず、テクニカル分析については、私は「エビデンスがない以上、テクニカル分析については意識的に無視することが肝要」と書きましたが、石坂さんは「例えば、システムトレード等で利用されている(斉藤手法や3点チャージに代表される)株価急落後に買う方法や過去数十日程度の高値を上回った時に買い付けを行う方法(ブレイクアウト)のリターンがよいことはさまざまなエビデンスがあると思います」と指摘してくれました。

私は、システムトレードに関しては興味がまったくないので、エビデンスがあることを知りませんでしたが、質の高いエビデンスでしょうか?学者でない金融機関のリサーチ部門の方も、多くのジャーナルに投稿している昨今ですので、論文があれば読みたいものです。また、有効なテクニカル分析が発表されると、みんなが真似をして、有効でなくなるといわれていますが、プロスペクティブ・スタディはあるのでしょうか?いずれにしても、私のような「週末投資家」がテクニカル分析で超過リターンをあげるのは事実上不可能です。

 

第二に、「『相場の動向に関係なくても、利益をあげられる』というのはちょっと言い過ぎではないかと思います」と書かれています。まったく、その通りです。ご指摘の通り、「利益があげられる」というのはキャッシュフローのことです。原資産とあわせたリターンは、当然マイナスになることもあります。CCWなどのオプションの優位性を強調するため、筆が滑ってしまいました。石坂さんが書いてくれた「オプションを併用することにより、インデックスファンドを単に買うよりさらにリターンを高められるからオプションを利用すべきである」という表現のほうが適切だったと思います。

 私が、CCWを非常にいいと思っているのは、心理的な面もあります。精神が強靭な方はいいのですが、私のような小心者は「慰め」(メンタル・アカウンティング)が必要です。株式が下落中のときは、株式だけ保有の場合は、評価額が下がっていくのをただ見ているしかありません。それに耐えられないときは、無益な「損きり」をしてしまいます。CCWでは、保有する株式は同じだけ評価損になりますが、キャッシュが入ってきます。これは慰めになります。

逆に株価が上昇中の時は、CCWでは、コールを買い戻すために、キャッシュの支出を伴うことが多くなりますが、保有する株式が評価益となっているので、これもまた「慰め」になります。あまりに上昇スピードが速いときは、いったんexerciseさせて、CSPに移ります。CSPも多くの場合、超過リターンをもたらします。投資が成功するかどうかは、恐怖心や欲望の心理をコントロールすることが肝要ですが、CSP & CCWでメンタル・アカウンティングをうまく利用することができます。

第三に、「3章にオプション投資のエビデンスが挙げられていますが、そこには相場動向と関係なく利益があげられるという表や図は見当たりませんでした」とあります。ここは私の筆が滑ったのは、前述の通りです。

私が言いたかったのは、Kapadiaの論文にあるように、金融危機とその後や、株式の暴騰時など3つの期間、CCWは一貫して原資産(Russell2000TR)をアウトパフォームしているということです。私が読んだのはSSRNですが、その後、The Journal of InvestingVol.21, No4:pp59-80, 2012)に掲載された論文でも、abstractはまったく同じなので、大きな変更はないようです。もちろん、期間を自分の都合がいいように恣意的に分けている可能性は否定できません。なお、本には明示しませんでしたが、Kapadiaの論文によると、CCWが原資産(Russell2000TR)をアウトパフォームするのは、満期日が1ヶ月先のコールだけで、2ヶ月先のコールでは原資産をアウトパフォームしないので、注意が必要です。

石坂さんはオプションの「効率性」について言及されています。石坂さんがまとめてくれたように、「オプションの利用は全体的に見るとダメだけれど、例外がいくつかあって、カバードコールやプット売りなどはその例外」とDoran は結論しています。また、Kapadiaは、ボラティリティのリスク・プレミアムの存在がCCWのパフォーマンスにきわめて重要なようだと結んでいます。

石坂さんは「オプション売りは間違えると破産することもあることを強調してほしかった」と注文されています。確かに、nakedのオプション売りは、いったん思惑が外れると、巨額の損失が生じます。従って、個人投資家(週末投資家のレベル)はnakedのオプション売りをすべきではありません。私もしていません。個人投資家はCCW、CSP、LEAPSコール買いの3つの戦略を行うのが賢明だと思います。

CCWCSPはつまらない(とくに原資産がETFの場合)ので、「お楽しみ」はLEAPSコール買いでしましょう。私の保有しているPfizer(PFE)LEAPSコール、PFEの株価が30ドルを超えて、やっとITMに入りました。これからが楽しみです。