オプション

拙書に対するレビューへのコメント

アマゾンで、「株式より有利な科学的トレード法」に対するレビューを頂きました。有難うございます。いくつかの理解不足あるいは誤解があるようなので、コメントを書きます。

①「著者はオプション取引の紹介本に過ぎないこの本を、このようなタイトルにしたのでしょうか。医学部を出れば論文のタイトルは最も大事で、シンプルに内容を示さなければならないという最低限のマナーを勉強したはずなのに。とにかくオプション取引の紹介本として買ってください。それならいいと思います。」

→本のタイトルは、よほど著名な方でない限り、出版社が勝手に決めるという出版業界の悪しき慣習をご理解ください。本のタイトルと内容が乖離しているのは、本書だけではないはずです。「論文のタイトルは最も大事」とありますが、最も大事なのは内容です。しかし、論文の場合、タイトルは自分で決められるのでいいです。

②「ただ、日本でオプション取引はできないですし、知らない国の米国のオプションを買うのはリスクが高いので個人的には勧めません。」

→日本でも、オプション取引はできます。

③「とにかくこの本の一番の問題点は、株式よりオプション取引が「低リスクで、より着実に資産を増やせる」ということを示す根拠がない(致命的)ことです。もしこの本を買って読んで、それを見つけた人は教えてほしいです。目次をみてもその場所はわかりませんし、中身を丹念に読んでも一切書いていません。」

→152−158ページ、185−201ページ、213−217ページ、224−226ページに、オプション取引のリターンと標準偏差を書いたので、ご覧ください。243ページ以降の戦略については、「エビデンスは薄弱である」と明記しています。

④「まず、前提に「株価が下げれば買ってもいいという株式を選びます」。そんな簡単に選べません。ファンダメンタルで選ぶのかそこがポイントなのに。」

→原資産としてはインデックスや、指数オプションを勧めています。269ページの「原資産は何がいいか?」も参考にしてください。

⑤「例えば、過去10年のオプション取引をした場合で10万取引ぐらいを抽出するとか、そうでなくても最低限自分の取引を公開したりすればいいですよ。そういうのは一切ないです(/ω\)」

→今後はなるべく自分の取引は公開しようと思います。もちろん、エビデンスとは言えませんが。

⑥「さらにはオプション取引の紹介だったとしても、著者は、何をもって科学的としているかはよくわかりません。参考文献はたったの17で、どこに引用がついているかもわかりません。ジェレミー・シーゲル株式投資とかはしっかりと引用がついています。既に引用がない時点で科学的ではないです。」

→山崎元さんの名著「ファンドマネジメントーマーケットの本質と運用の実際」(金融財政事情研究会)でも、参考文献は、本文と関連付けないで、最後に列記してあるだけなので、啓蒙書としては、それで十分と判断しました。今後の参考にさせていただきます。
 

オプション取引の税金

IB証券やFirstrade Securitiesなど米国証券会社で行うオプション取引は総合課税(雑所得収入)になります。高額所得者やオプション取引で儲けた人は、地方税と合わせて税率55%です。株式との損益通算も損失の翌年以降への繰り越しもできません。このような不利な面はありますが、流動性や呼び値の細かさの点では、圧倒的に米国市場が有利です。


米国証券会社でオプション取引した時は、確定申告が必要です。まず(1)CSP(現金確保プット売り)でプットが権利行使されて株式を所有し、(2)続いてカバード・コールを組み、コールが権利行使されて株式を売却した場合、損益をどのように計算するかを示します。


次に、(3)でオプションがexpireするか、反対売買でポジションを解消した場合の税務処理を示します。


(1)CSP(現金確保プット売り)で権利行使された場合


IB証券でCSPをする場合を見ましょう。312日と13日に、満期日が420日、権利行使価格が93ドルのプット・オプション(IWM 20APR13 93.0 P)を100枚ずつ売り、合計200枚のプット・オプションが満期日前日の419日に権利行使されたとします。その結果、20,000株の株式(IWM)を1株当たり93ドルで取得します。


この場合、IWMの取得費はいくらになるでしょうか?まず、312日プット・オプションを1.600ドル/枚で100枚売って、15,922.87ドルを得ています(手数料控除後)。313日プット・オプションを1.660ドル/枚で100枚売って、16,522.86ドルを得ています(手数料控除後)。


IWMの取得費を計算するには、1,860,000 (=93×20,000)ドルを計上し、次にプット・オプションを売った時に得た約定料金32,445.73(=15,922.8716,522.86)ドルを引きます。株式取得の手数料はありません。計算すると、取得費は 1,827,554.27(=93×20,00032,445.73)ドルになります(一株あたりの取得単価は、91.37715ドル)。419日のTTS1ドル=99.29ドルなので、181,457,863円です。


(2)CCW(カバード・コール)で権利行使された場合


株式を20,000株取得したので、422日に満期日が518日、権利行使価格が93ドルのコール・オプション(IWM 18MAY13 93.0 C) 0.51ドル/枚で200枚売ったとします。10,200(=0.51×20,000)ドルを得ます。手数料を控除すると、10,055.23ドルです。


このコール・オプションが満期日前日に権利行使され、株式は93ドルで売却されたとします。売却額は 1,860,000(=93×20,000)ドルです。517日のTTB1ドル=101.29円なので、188,399,400円になります。 


なお、この株式の売却には手数料が掛かっているので計上します。この場合、41.66ドルなので、517日のTTS 1ドル=103.29円で円換算すると、4,303円です。


以上より、IWM 20,000株の売却益は 6,937,234(=188,399,400181,457,8634,303)円になります。CSPのプットとCCWのコールは、いずれも権利行使されたので、実現損益は0です。


(3)権利行使されなかったオプション取引の税金


オプションがexpireした場合、あるいは反対売買で清算した場合、オプションは実現損益になります。本来は、その日々の為替で円換算すべきですが、この部分のオプション取引については、年間報告書(アクティビティ・ステートメント)に記載されている「オプション取引の実現損益」を年最終取引日のTTBで円換算することを認めてくれるようです。


以上は、私を管轄する税務署の見解です。すべての税務署でこの方法が受理されるかは不明です。また、今後もこの方法が通用されるかも不明です。


日本初の本格的「カバード・コール」の本

来月、パン・ローリング社から「週末投資家のためのカバード・コール」が発売になります。日本で初めての、カバード・コールに特化した書籍です。執筆にあたっては、欧米の類書も参考にしましたが、それらの本と同等か、それ以上の内容と自負しています。

執筆には8か月かかりましたが、編集者とのキャッチ・ボールでした。私一人で書き終えるより、読みやすい本ができたと思っています。

サルでも儲かる相場になりつつあるので、カバード・コールの本の出版は、タイミング的には最適ではありません。こういう時は雨後の筍のように、駄本が次から次へと出版されるので、良書が埋もれてしまう懸念がありますが、よろしくお願いします。

発売になったら、またお知らせします。

Cash secured put writing & Covered straddle

前回示したFXIのCovered call writingの実際の取引をみて、どう思われただろうか?「こんなの面倒くさくて、とてもできない」と思われた方は、Covered call writingはもちろん、ふつうの株式投資もやめた方がいい。するとすれば、インデックスに連動するETFを買って、その後株価を一切見ないやり方ぐらいだ。Covered call writingの場合、前回示したように、月に1,2回トレードをする必要がある。しかし、機械的に決められたことをすればいいだけなので、ふつうの株式投資と違って、それ以外に情報収集などのために必要な時間は全くない。1ヶ月に要する時間は30分もあれば十分だ。

すべてを検証したわけではないが、Covered call writingでは、ただのBuy & holdの場合に比べて、年率で10ポイントぐらいパフォーマンスがよくなる印象を持っている。つまり、原資産(ETFなど)が年率20%下落する場合は、-10%で済み、原資産が年率10%上昇するときは、Covered call writingは20%、原資産が年率20%上昇するときは、Covered call writingは30%ぐらい上昇する感覚だ。初心者は「たったの10ポイント」と思うかもしれないが、ある程度株式投資がしたことがある人なら、インデックスを10ポイント、コンスタントにアウトパフォームすることはどんなに大変なことか、わかるであろう。

Covered call writingと似たやり方に、Cash secured put writingがある。これは、putを売り、プレミアムを稼ぐ方法だ。権利行使日に権利行使価格以下になった場合、その値段で原資産である株式を買う必要があるため、そのcashをsecureしておく。一般的に、上昇相場では、Cash secured put writingがいいと言われているが、上昇相場か、下降相場かは、青春時代と同じで、あとからわかるものなので、あまり気にしなくていい。put writingから入って、権利行使されたら、Covered call writingに移行すればいい。もちろん、同じ原資産に対し、call writingとput writingを同時に仕掛けてもいい。特に、権利行使日が同じで、かつ権利行使価格が同じ場合、covered straddleと言う。強気の相場ではこれがいい。

月に1,2回だけ機械的にトレードをするこの方法は、忙しいサラリーマンには最適な投資方法だと思うが、株好きな人にはとてもつまらない。Covered call writingに欠点があるとすれば、そこだろう。

原資産の選び方

Implied volatilityがHistorical (Actual) volatilityより高い銘柄は、よりプレミアムが高いので、このような銘柄を選択するのが基本だ。RIE(return if exercised)やRU(Return unchanged)などで銘柄をスクリーニングするWeb siteが米国にはいくつもあるが、それらは日々刻々と変わる。Covered Call Writingは毎月繰り返すことが基本で、時間の経過とともに、Implied volatilityもHistorical (Actual) volatilityも変化するので、一般に言われているほど、Implied volatilityとHistorical (Actual) volatilityの関係は大事でない。従って、Covered callに適した銘柄をスクリーニングするソフトやサイトは無用の長物だ。

Historical (Actual) volatilityの大きな銘柄は大体決まっているので、それらの銘柄を選ぶのが基本だ。Historical (Actual) volatilityの大きな銘柄は大抵の場合、プレミアムも大きいからだ。その中から、原資産である株式の大幅な値下がりはなるべく避けたいので、「EBIのすすめ」で示した基準で、銘柄を選択する。一度Covered Call Writingをすれば、あとは第3金曜日(expiration day)の数日前まで株価を見る必要はない。

個別銘柄でもいいが、個別銘柄は株価が大幅に下がることがあるので、私は最近はもっぱらETFで行っている。 Historical (Actual) volatilityの大きなETFとして、OIH、IYR、FXI、EWZなどがいいだろう。Leveraged ETFもいいが、これについては改めて書くことにする。

Covered Callを始めよう!

さて、実際にオプションをするとしよう。まず証券会社を選ばなければならないが、日本株はCovered callをするのにはまったく適さない。日本株では、実質的には個別銘柄やETFに対するオプションがなく、やるとすれば日経225先物に対するコール・オプションを売ることになるが、日経225先物は差額決済になるので、日経225先物が下がった時は、マイナスのキャッシュフローになる。それでは、Covered callの魅力のほとんどすべてが消えてしまう。株価が下がっても、キャッシュフローがプラスになるところが、Covered callの魅力なのだ。それで、米国株でオプションをすることになる。米国株では、株価が下がっても、原資産の株式を売却する必要はないから、コール・オプションを売ったキャッシュがそのまま残り、キャッシュフローはプラスになる(株式は当然含み損を抱える)。

米国市場では、豊富なETFや個別銘柄にオプションがある。また、昼間仕事をしているまっとうな個人投資家は、日本株ではザラ場を見ることはできないが、米国株ではザラ場を最初の30分見るだけでも、約定しやすくなる。従って、Covered Call Writingをするなら、米国株に限る。米国株でも、国内の証券会社ではオプションは扱っていないから、米国の証券会社に講座を開設することにしよう。

証券会社はどこでもいいが、Firstradeが日本人にも人気があるようだ。私もFirstradeを使っている。口座開設には中学3年生程度の英語力があれば十分だ。なお、他の人も指摘しているように、米国の証券会社のコンピュータ・システムは日本の証券会社のそれと比べて、相当ぼろい。注文やキャンセルが円滑に行かないことも少なくないし、資産残高がリアルタイムに反映されないことも多い。そのまま何もしなくても、とくに問題はないが、どうしても不安な場合は、電話をすることになる。メールでの問い合わせは、一般的な問い合わせのみで、個別の状況に応じた問い合わせには、「電話をください」という返事が来るだけだ。電話の場合、こちらがNativeなスピーカーでないとわかると、ゆっくり話してくれるから、英会話に自信がない諸君でもあまり心配しなくていい。

口座を開設したら、いよいよ株式を買おう。株式はCash accountでもMargin accountでもどちらでもいい。米国では、日本と違って、Margin accountでも配当が支払われるのも魅力のひとつだ。基本的に、原資産である株式は長期保有を前提とする。株価は上がるか、下がるかはわからない。上がることが最初からわかっていれば、何もCovered Call Writingをしないで、全力で株式を買うか、コール・オプションを買えばいいのだが、現実には株価が上がるか下がるかわからない。それで、「時は金なり」で、時の経過とともに時間的価値のプレミアムは必ず下がるから、コール・オプションを空売りし、そのプレミアムをこつこつ貯めるのがCovered Call Writingの本質だ。

第3金曜日(expiration day)の前日になったら、いよいよ仕事だ。しかし、前述のように米国の証券会社のコンピュータ・システムはぼろく、アクセスが多いとダウンすることも時々あるので、余裕を持って、2、3日前から仕事を始めたほうがいいかもしれない。株価がstrike price(権利行使価格)を上回り、コール・オプションの買い方に権利が行使される可能性が高い場合、その価格でも原資産の株式を保有したい場合は、コール・オプションを買い戻し、翌月expirationのstrike priceを上げたOTM(Out of the money)のコール・オプションを売却(roll up and out)する。一方、十分株価が値上がりしてもはや割安な水準と考えらない時は、そのままにして、exerciseされるのを待つ。当然、原資産である株式は権利行使価格で売却される。一方、Expiration dayに株価がstrike priceを下回っていれば、コール・オプションはexpireされるから、翌月曜日に新たなコール・オプションを前月のstrike priceと同じか下の価格で売る(roll down)。原資産である株式に見切りをつけた場合は、原資産の株式を売るが、よほどのことがない限り、これは行わなくていいだろう。

なお、この説明がわかりにくいと思った諸君は、「オプション道場」の説明を見てほしい。私と違って、大変わかりやすく説明している。

KAPPA復活-引越し

前回のブログは半年ぐらいで終了した。ブログでは、主に、製薬メーカーのファンダメンタル分析の参考になりそうなことを書いた。具体的には、既に上市されている薬剤あるいは近い将来上市される薬剤を使った大規模臨床試験の内容だった。現在の医学は、エビデンスが今まで以上に重要視されてきているので、こういった大規模臨床試験 の結果は、薬剤の売り上げに大きな影響を及ぼす。

最近では、hsCRP高値の患者にクレストール(AZN)を投与して、アウトカムが改善したという論文が出てから、クレストールの売り上げがさらに伸びた。それと対照的に、非常に期待された新機序のコレステロール降下剤ゼチーア(SGP=今はMRKSGPMRKの合併については、おそらくSGPJNJと結んだ契約を失効させないため、形式上SGPMRKを買収し、新会社の名前をMRKにするというややこしい合併だった)が、大規模臨床試験でいい結果が出せず、その発表後売り上げが半分近くまで落ちた。おまけに、SGPが論文の発表を故意に遅らせたと各地で訴訟が相次ぎ、膨大な金額を払って和解した。こういったエピソードを書いたが、投資とは直接関係ない話が大部分で、あまり役に立たなかったものと反省している。

今回は、オプションがいかに週末投資家に向いた戦略であるかを、繰り返しを恐れず、具体例を挙げながら、書いていこう。今までオプションというと、デルタなどのギリシャ文字を理解しないと無理だと思われてきた。多くのオプション・トレーダーは刻々と変わる値段を見て、オプションの売買をするので、一日中PCの前に座っていられるセミプロがするものと思われてきた。確かに多くのオプションはそうかもしれない。それがオプションの敷居を高くし、一般の方になかなか普及しない理由かもしれない。

しかし、私が行っているオプションは、「馬鹿でも機械的にできる」Covered call writingだ。ギリシャ文字は必要ない。医学生は学生時代に、体の隅々まで11本血管や神経の名前をラテン語で覚えさせられる。しかし、医者になると、こういった名前の99% は忘れてしまってもまったく問題ない(残りの1%は英語で自然に覚える)。それと同じで、オプションも覚えていなければいけないところは、ほんの少しだ。 そして、「馬鹿でも機械的にできる」というところが大事だ。

諸君は、人間がいかに自信過剰で、自分はファンダメンタル分析で市場の平均に勝てると思い込み、多くの投資家が退場したのを見てきたことだろう。普通の人には、ファンダメンタル分析は無理なのだ。ファンダメンタル分析で利益をあげられる人は、全体の半分はいるだろう。しかし、それはまぐれだ。継続してファンダメンタル分析で利益を上げることは、10円玉を続けて表を出し続けるのと同じぐらい難しいことだ。「ファンダメンタル分析をしろ」と言っている投資家は、偶然を自分の実力と勘違いするおめでたい馬鹿か、それで生計を立てている業界関係者だけだ。ごく一部の投資家はファンダメンタル分析で優れたリターンをあげていることは、私も認めよう。しかし、諸 君がその真似をするのは無理なのだ。駿台の偏差値が60の受験生が東大・理科3類に入るのが無理なのと同じくらい、不可能に近い。普通の人は、そんな高いハードルは最初からあきらめたほうが賢明だ。

私は仕事柄多くのアクティブ運用をしているファンド・マネージャーと話をする機会があるが、彼(彼女)らも馬鹿でないからパッシブ運用の有利性は認識している。ただ、「アクティブ運用が仕事だから」しているにすぎない。

ではどうすれば、「市場の平均」に勝てるか?それは、「馬鹿でも機械的にできる」方法で投資をすることなのだ。ホームページのほうでは、エビデンスを利用して「勝つ」方法を紹介したので、このブログでは、Covered call writingで「市場の平均」に勝つ方法を見ていこう。

その前に、CCW(Covered call writing)の特徴を記そう。
  1. 難しいオプションに関する知識は不要
  2. ファンダメンタル分析も不要
  3. 上昇相場では、キャッシュフローは少ない(マイナスになることも)(株式は含み益)
  4. レンジ相場では、キャッシュフローはプラス
  5. 下落相場では、キャッシュフローはプラス(株式は含み損)
  6. 上記の特性より、バリュー系ETFと組み合わせることで、相場の如何にかかわらず、常にキャッシュフローをプラスにすることが容易になる(All weather investing method)
最新記事