下宿

2011年12月23日

駅前旅館





何処の街にも駅前には旅館がある。


私の住む四街道にも、昔は四街道駅前通りと

その周辺には何軒もの旅館が軒を並べていた。


戦前は旅館も料理屋も軍隊があったので

四街道駅前は繁盛していたと聞いている。


私が中学生の頃は、確かに木造二階建ての

旅館が何軒か看板を掲げてあった。


私が中学生の時、担任の先生は

その中の一軒の旅館に下宿をしていた。


これは旅館の泊まり客が減ってしまい

下宿人を置くようになったのだろう。


当時、私は師走の日曜日に仲間数人で

先生の下宿屋へ遊びに行った。

旅館の二階へ上がる階段は一足上る毎に

「ギシッ、ギシッ」と音がした。


先生は広い座敷のまん中にポツリと置かれた

大きなテーブルを前に一人であぐらをかいて

僕らを待っていてくれた。


此処は居心地も良くて食事も美味い等と

他愛ない雑談をしていたら、その旅館の

お手伝いのお姉さんが、お茶碗と大きな

急須に落花生を持って来てくれた。


昔は家族的な雰囲気があったものだ。


先生が話すには、夏休みは実家へ帰り

留守にするから後の事は分からないが、

師走に入ると毎晩忘年会や飲み会を

大広間で開くので笑い声だのダミ声が

夜遅くまで騒々しくて、この時ばかりは

特に朝の早い教職は寝不足になることが

あると言っていた。



其から間も無く、街には貸家やアパートが

チラホラと建ち始めて、私が東京の高校に

通学する頃になると、その先生も何処かに

引っ越をした。



現在は木造二階建ての旅館などは無くなって

ビルが建ち並び、駅前から昔の面影は消えた。


また、交通の便も良くなったので、観光客や

ビジネスマンも千葉市内のホテルや佐倉市とか、

成田市のホテルや旅館を利用した方が効率が

良いので四街道に泊まる客も無くなり、代わりに

四街道はダンプカーや大型トラックの近道として

利用される四つの街道となってしまった。






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2008年03月05日

多摩川辺りの下宿屋生活




東横線、新丸子駅から徒歩で10分、

多摩川土手の少し手前に下宿屋があった。


私が其処で暮らした半年余りは、

まるで青春映画のワンシーンだった。


この頃は学生も日本の政治に巻き込まれて

学園生活も揺れたりして緊張の日もあった。

岸内閣時代で有る。


しかし、今日振り返り思えば親友と二人で

青春を満喫した日々であった。



その下宿屋は五人の下宿人が居た。

素人下宿屋で朝食も晩飯も下宿屋の家族と一緒に

テーブルで食べた。


奥さんは太っていて健康そのもの、

旦那さんは小柄で眼鏡を掛けた働き者だ。

家の近くの町工場から帰って来ると

寝るまでの間、奥さんと内職をしてた。


その内職はカメラのボディーの部品を

メッキが均等に仕上がる様に

奈良炭(色々な木炭を使い分けしていた)等で

水をつけながら鏡の様に磨き上げる仕事だった。


私達は初めて見るその仕事が面白そうにも見えて

友達と遣ってみたが、可成難しく完成には至らなかった。

後で下宿ご夫婦に笑われてしまった。


私と友達は下宿屋では新参者だから北側の部屋で

一日中、日は当たらない。

部屋にいるのは勉強か寝る時、それ以外は殆ど外出した。



アルバイトのお金が入った時は駅前の映画館や

電車で遊びに出たが普段は多摩川土手で散歩をしたり

夜間ボートで遊覧したりした。

近くには巨人軍の練習場があった。

河原では町工場の人達が昼休みに野球を楽しんでいた。


私はその頃、まだ野球に興味が無かった。

自転車友達とサイクリングを楽しんだ。



夏の夕べ、土手の上を宛先無く走って居ると

近くの大手電気メーカーの女工さんや

同じ年ごろの娘さんと仲良く成る機会もあり

商店街の喫茶店やラーメン屋に自転車二人乗りで

出掛ける事もしばしば有った。


金持ちの息子だったら自動車で横浜辺りまでドライブして

その先も交際がシネマの先の画面に成るだろうが

自転車青年の懐では、精々コーラかアイスコーヒー、

腹が減ったらラーメンかチャンポン、少し懐具合が良い時で

コーヒーにケーキかサンドイッチ付き位だ。


そんな軽食でも若さは笑いで腹も精神的にも満足感で溢れる。

やはり金では買えない青春は其処に存在していた。



現在は相手にされずジマイだろう。

お互いの心の触れ合いなんて

ロマン派よりも欲しい物品が

街に溢れている時代だ。



でも大事なものが一つ欠品してるのは

誰も補充出来ない。







学生下宿年鑑(2008)


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