井戸

2013年07月23日

柄杓




昔、柄杓は何処の家にでも

見掛けたものだった。


長い柄のついた大型の柄杓は、

当時、下水道が完備されてなかった

私の住む町では、家庭の排水等は

敷地内の吸い込み式の穴に捨てていた。


地面に掘った穴はやがて泥沼化して、

汚物や雨で穴の周りから流れ込む

土砂で吸い込みが悪くなると長柄の

大きな柄杓で泥水を汲み出す。


当時は便所も汲み取りだったので、

通称、汲み取り柄杓と呼んでいた。



また、井戸から台所の大きな瓶に

汲み置いた水を使う時の中型の柄杓。

手洗い用の小型の柄杓等である。



そして思い出すのが、夏の夕暮れ時に

バケツの水を庭に水撒きして、一時的に

涼をとる時に使う柄杓だ。


現代は上下水道の完備で、柄杓の出番は

自然に無くなり、水撒きホースに変わった。


私の住む家の庭に置いた水桶に雨水が

溢れるほど溜まっていたりすると、この水を

柄杓で庭に撒きたいなどと昔を思い出す。


ブリキ製等、様々な柄杓が有った。

今は、我が家を見渡しても柄杓は一本も無い。


何処かで手頃な柄杓をそのうちに買って来て、

私が少年の頃、親に厳しく言い付けられ、嫌々

やらされた水撒きを今度は懐かしく愉しみながら

パーッ、パラパラとリズミカルに撒こうと思っている。










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2008年01月13日

撥釣瓶井戸と車井戸




仕事場の本の山を引っくり返したら

懐かしい写真集が顔を出した。


その中に釣瓶井戸と撥釣瓶井戸の写真が有った。

何枚かのページを捲りながら、もう半世紀以上も昔に成る

子供の頃を思い浮かべた。


私は小学生だった、近所の同級生の家に撥釣瓶井戸が有った。

2.5メーターぐらい?の高さが有る丸太の上部に

長い竿竹が滑車で釣り下げられていた。


竿竹の端に赤ん坊の頭ぐらいな大きさの長方形の石が二つ

針金と紐で結わいであった。

反対の竿の端には細目の3メートル位の長さのロープが

結んで有り、そのロープの先にはブリキのバケツが付いていた。


浅井戸だから井戸淵からのぞくと水面がすぐ近くで

顔が長く成ったり、横に広がったり、凸凹に写ったりして

皆で面白がって大笑したりして遊んだ。


確か井戸には蓋も屋根も無かったから雨や雪の降る時は

ミノ合羽でも着てたんだろうか。


その井戸で水を汲むにはコツがあった。

タガの中にバケツを入れてから水面にバケツが

上手く斜めに成るようにロープを手元で操り、

バケツになみなみと水が入る様にする。


慣れないとバケツが水面に浮いてなかなか水が汲めない。

今度はバケツを井戸の中心近くにして静かに早く上げる。

バケツがゆれて堀井戸の側に当たると赤土がバケツの中へ

入ってしまい、折角汲み上げた水が泥水になってしまうから大変だ。


もう、その頃でも僕の町で撥釣瓶井戸を実際に使っている家は

この家だけだった様だ。

その家の親父さんは職人だったから、検見川送信所並みに

頑固だったみたいだ。


永いこと近所に居ても一度も口をきいたことは無かった。

たった一回だけ自分の子供を怒鳴ってた声を聴いたことが有った。



釣瓶井戸は僕達は車井戸と呼んでいた。

農家の庭先でその頃はよく見かけた、

僕がたまに遊びに寄る農家も車井戸が庭先にあって

トタン屋根の下に太い横木が有り、大きな木製の滑車が

ぶら下がっていた。


この井戸は本格的な深井戸でコンクリートのタガが

井戸の底の近く迄、埋めて有った。

井戸の淵から水面を覗くと小さく見えた。

太くて長いロープに木の大きめの桶が結び付けてあり、

僕には水汲みは重そうだが汲んで見たかったが

その家のおばさんやお兄さんが坊っちゃん危ないからと

一度も汲ませては貰えなかった。



今だに残念、なぜならその井戸の汲みたての水は

子供ながらに美味かったから、一度自分で汲んで

木の桶から直に口飲したかった。







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手づくり井戸に挑戦!


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2008年01月11日

ガチャポンで水汲み



電気井戸ポンプが普及する前は

殆どの家庭の井戸ポンプはガチャポンだった。


今もホームセンターで見かけて懐かしく思った。


私が生まれ育った家のポンプは学校等で当時使われていた

ポンプのシリンダーが井戸の中へ入っている方式のものだった。

利点は一回の水汲み上げ量がガチャポンの数倍多いこと、

ポンプの作動音が静である、ポンプの水圧が高い等の

利点があった。

欠点はシリンダーの内部の吸排弁が磨耗したり

壊れたりした時に井戸屋さんでないと修理出来ない。


今から70年以上も前に建てた木造家屋、

当時の一般住宅としては珍しく井戸の脇の裏庭に

コンクリートの給水塔が有って、そこに水を汲み上げて置く、

300リッターは楽に入る容積が有る。


風呂場、台所、便所の手洗い用流しに鉛管がひかれていたから、

現在の水道の蛇口と変わりなく自家水道に成っていた。


だが、便利な影に大変な肉体労働が待ち受ける。

自家水道は便利この上もないがタンクに水を汲むのが大変だ。

何百回もポンプの柄を上下させてタンクに

水を揚げなければ成らない、30分以上はかかる。


太平洋戦争以前は、お手伝いさんと男の薪を割ったり、

水を汲んだりする人を雇っていたのだが戦後は財産は

海外で無くなり、内地の田地田畑は農地改革により

小作人のものになった。

残ったのは子供と山や竹林と無念の涙だけ。

畑の側の山等は小作人のずるがしこい頭の人は

大急ぎで地主が回って来ないことを善いことに

開墾して畑と認定させた。

だから我が家は家族で水を汲むことになった。


私は運動だと思ってやっていたが

他の兄姉も結構そんな思いでやって居たと思った。


雨風の日は、やはり家族皆が面倒だし、手を出さない。

だから一番ちびの僕がやることになった。


ある冬の早朝、便所の手洗い流し迄、一番長く

配管されている鉛管が破裂した。

それからは彼方、こちらと壊れ出したので

ついに便利だった自家水道は諦めた。


それから数年経ってから電気井戸ポンプを自分で

取り付け配管も自分で工事した。


完成したのが暑い夏の日暮れだった、

水あびが気持ちよかった。





我が家に有ったポンプに似てる

井戸用ポンプサンタイガーポンプ<高台式>




【台板付・日本製・サイズ32】井戸用ポンプガチャポンGK-M32D




長谷川工業雨水又は水道水を樽に溜め、ポンプで汲み出すタイプガーデンポンプ[ガチャポンプ] ...




【COM-SHOT】ガーデニング ガーデンアクセサリ44cmポンプ内蔵/井戸風1022C


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