気象予報士Kasayanのお天気放談

故郷長野に帰ってきたヨットオタクの気象予報士Kasayan。 天気予報は当たるのか?天気予報がハズレたらどうなるのか?天気予報の安全マージンは? 一般的な天気予報とは異なる視点からの解説をモットーに、日々の天気を放談?します。

2012年02月

 Twitterでは、今日の記事の内容をひとことでまとめています。お時間の無い方・更新時間を知りたい方はご利用ください。https://twitter.com/kasayangw

南岸低気圧で太平洋側で雪、雪が止んだ所は暖かい晴天へ(120229)


長野駅付近120229

 東京など関東一円で雪になっているようですが、Kasayanの住む長野市街地も未明から雪に・・・・・・

 今年に入ってから、一日一枚、その日の天気傾向を象徴する写真を残すことにしているのですが、下の写真は昨日の一枚

犀川120229

 長野市の西の空ですが・・・・・昨日、西日本南岸を(今朝の雪をもたらしている)低気圧が東進・・・・低気圧のはるか東側の上空に湿り気が流れ込んで、上空に薄い雲が広がってくる様子を撮影したもの。

 観天望気のことわざには、太陽が傘をかぶったら雨なんていうモノが多いのですが、いずれも雨の降りだし前に温暖前線などの接近によって上空に湿り気が入る様子を表現しているわけですが・・・・今回の雪は冬型の気圧配置の雪とは異なり、南岸低気圧という一般的な雨と同じ原因で降る雪なので、まさにことわざ通りになりました。

 そんな今朝の実況

実況120229

 九州の南にしっかりと南岸低気圧があって東進中。
 北日本の高気圧から吹きだす北風が寒気を運び、低気圧の降水は広く雪になっているようです。

 また、水蒸気画像では九州の西側に上空の気圧の谷が接近・・・・低気圧は上空の谷から悪天パワーをもらって、雨や雪は活発傾向

 6時現在の積雪は・・・・

積雪深120229

 気になる方は、気象庁HPで最新の情報をチェックしてください。

 アメダス積雪深: http://www.jma.go.jp/jp/amedas/206.html?elementCode=4
 雪雲の様子(レーダー): http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/

 で・・・・一番気になるのは、この雪・・・何時まで、どの程度降るの?ということだと思いますが・・・・・
 詳しいチェックの前に、今回の雪のメカニズムを簡単に把握しておきましょう。

相当温位120229

 この図は、今朝午前3時の日本付近の空気の性質を示したモノ。
 冬の空気と春の空気がぶつかりあっているわけですが、ぶつかるといっても、冷たい冬の空気が日本付近の地上を覆い、暖かい春の空気が太平洋岸から冬の空気の上を滑り上がるという構造になっています。

 このため、春の空気は上空で冷やされて(断熱膨張)、雨(雪)雲が発生
 地上付近の冷たい空気の温度次第で、雪のまま落ちてくるか、融けて雨になるかが決まるわけですが、アメダスの気温の観測値を見る限り、今朝は地上付近で1℃前後でも雪になっているようです。
 
 そんな様子をMSMシミュレーションで詳しく。

全国流線アニメ120229

 地上付近の空気の流れ(矢印)を見ると、低気圧の南側では暖湿気を運ぶ南東~南西風北側では寒気を運ぶ北~北東風が吹いていることがわかります。

 続けて午前9時の上空約3000mの風の様子もチェックしてみると・・・・

全国流線700120229

 低気圧のかなり北側・・・日本海沿岸まで、南寄りの風が吹いていることがわかります。
 先に見た立体図のように、暖かい南風が冷たい北風の上を滑り上がって雨(雪)雲が発生している様子がイメージできますよね。

 そして・・・・暖かい空気の下にある冷たい空気の温度は、北風の強さや風向によって決まってくるということもイメージできるはずですが・・・・上のアニメを見ると、関東付近の地上付近の風は北東の風中心。
 上のアニメでは、北東の風が北関東中心に強く吹きこみ、赤の等温線が南側に凹型・・・気温が低くなり、北関東や東京西部中心の雪になることが予想されるわけです(実際すでにそのような降り方をしているようです)。

 また、MSMシミュレーションを見る限り、関東の雪や雨は夕方まで続くと思っておいたほうがよさそう。
 日中の気温次第で、雪になったり、雨になったりとその姿は変化するというイメージでしょうか?

 一応、普通の天気図で、気圧配置の変化の様子もチェックしておきましょう。

予想図アニメ120229

 北日本中心に高気圧が通過・・・一方、南岸には常に低気圧がウロウロ。
 今朝⇒今夜⇒明日夜と、周期的に似たような天気が繰り返されそう・・・・

 そこで、3月2日かけて降水の様子GSMシミュレーションでチェックしてみると・・・・

GSM3日降水120229

 南岸低気圧が周期的にやってきそう
 気温は高めに推移しそうですから、明日以降は雨主体になりそうですが、週末も似たような状態。

 寒波寒波の2月でしたが3月の声とともに、春と冬のせめぎ合いのシーズンに入ってきたようです。

  府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
  府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

  大雪に関する関東甲信地方気象情報 第3号
   平成24年2月29日05時25分 気象庁予報部発表 抜粋

  [雪の予想]
   今後新たに予想される降雪量(3月1日06時までの24時間降雪量)は、いずれも多い所で
  山梨県東部・富士五湖及び神奈川県西部山地 20センチ
  関東地方の山沿い及び甲信地方       15センチ
  関東地方の平野部             10センチ
   の見込みです。
   なお、東京都心でも1、2センチ程度の積雪となる見込みです。


  短期予報解説資料(29日03時40分発表)抜粋:
    大雪ポテンシャル(06 時からの24 時間:地点最大)東日本~東北の太平洋側10~20 センチ


犀川2120229


 ご意見・ご質問等は、コメント欄・メール(kasayangw@yahoo.co.jp)にてどうぞ。
 可能な限り返信いたします。

下タイトル

(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNI、プログラム配布先より使用許諾を得ています)
(当ブログはリンクフリーです。ご自由にリンクしてください。)
(私が撮影した映像・動画は無断転載OKですが、連絡をいただければ原本を差し上げます。)

冬型ゆるみ広く晴天も、西から下り坂、明日は関東で雪?(120228)


 冬の天気予報番組では、衛星画像を見せながら、まるで呪文?のように「日本海は筋状の雪雲に覆われています」というコメントが使われるようになります。
 でも・・・・・筋状の雪雲が、地上ではどのように見えるの?ということを教えてくれる天気予報番組を見たことがありません。
 だから・・・・・・・

筋状雲120228

 お見せしちゃいます。

 写真は昨日、新潟県上越市(直江津)に流れ込む筋状の雪雲の様子。
 筋状ですから、雪雲のラインと雪雲に覆われていない部分のコントラストがクッキリ・・・・雪雲の下では吹雪いていても、雪雲のすぐ隣には青空が広がっていたりします。

 昨日は2月最後の寒波のピーク・・・「筋状の雪雲」が短時間に何回も新潟県沿岸に押し寄せていましたが・・・・今夜以降はベッタリ・・・ベタベタの雪雲が太平洋側に押し寄せるかもしれません。

 詳しくは後で・・・ということで、まずは予報のスタートライン・・・今朝の実況から。

実況120228

 高気圧が張り出して、天気は回復傾向・・・ということは、誰の目にも明らかですが、等圧線のウネウネをよーく見ると、九州の西側で等圧線が高気圧の中心に向かって凸型。
 ここが弱い気圧の谷ですが・・・・衛星画像は、弱い気圧の谷付近に白く水蒸気が集まり、西から下り坂に向かうことを示していますから・・・・・どうやら2日連続の晴天は許してくれそうもありません。

 今夜、そして明日夜にかけて弱い気圧の谷がどう変化するのか?
 まずは普通の予想天気図で、気圧配置の流れを見ておきましょう。

予想図アニメ120228

 書き込みのとおり、弱い気圧の谷⇒弱い気圧の谷に低気圧発生⇒低気圧が関東沖へ・・・・・
 典型的な南岸低気圧・・・・条件次第で、太平洋岸の各地に雪の可能性が出てくるパターンです。

 そこで、地上の低気圧が発生する理由と、その影響(降水の様子)を上空の天気図でチェック。

500図120228

 地上に悪天パワーを与える上空の気圧の谷が、やや深まりながら(等高度線のU字が深くなりながら)今夜九州の西にやってきます(上段の図)。
 そのタイミングで、弱い気圧の谷に低気圧が発生・・・・九州南部や南西諸島を中心に降水が活発になるというシナリオ(下段の図)。
 とりあえず今日の段階では、九州や四国付近で降水が始まって、とりあえ東海や関東はセーフという感じでしょう。

 では、降水の理由や様子は?・・・相当温位の図をチェック。

相当温位120228

 これは、空気の温度と湿り気の程度・・・雨の原料の様子を示す相当温位という数値を表示する図。
 数値の線が密になっている所は、寒冷乾燥空気と温暖湿潤空気・・・・つまり冬と春がぶつかりあう場所・・・前線帯ということになりますが・・・・九州の西の弱い気圧の谷がその場所に。

 そして、弱い気圧の谷では、冬と春の空気が流れ込んで混ざり合おうとする力が働いて低気圧が発生
 また、南から流れ込む暖湿気は冬の寒冷乾燥空気と比較すると相対的にかなり湿っているので、両者がぶつかって発生する降水はそれなりにまとまって・・・・風の様子からすると、低気圧や前線の北側に広がりそうです。

 で・・・降るモノは雨?それとも雪?
 MSMシミュレーションの詳しい降水の様子と併せて、雨雪判別の目安となる上空約1500m付近の気温の様子もチェック・・・・・今朝は特別、明日朝までのアニメにしてみました。

全国流線アニメ120228

 今日、九州や四国で降水が始まりますが、雨雪判別の目安になる-6℃ラインはずっと北。
 雨雪判別が微妙な0℃ラインは九州北部から四国瀬戸内海沿岸付近なので・・・・西日本の高い山では雪主体、平地では雨主体・・・北の地域ほど雪が混じる量が増えるという感じ。

 そして、明日・・・東海や関東付近は-3℃ライン
 雪混じりの雨で、気温や場所、降る雪の量次第で積雪もある・・・八王子など多摩方面中心かな?という感じ。

 明日朝、関東北部では北東風と北風がぶつかる収束線(シアーライン)が計算されているので、北風次第では思いもかけない積雪も予想されます。
 とりあえず、関東東海方面・・・長野県南部も・・・・新しい計算値に基づく今日17時発表の予報で再チェックをしたほうがイイと思います。

 ・・・と・・・気象庁HPをチェックしたら、東京都に「大雪に関する東京都気象情報 第1号」が発表されていました。
  原本: http://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/319_index.html

 最寄りの地域の雪の可能性は、天気マークの予報ではなく、下の府県天気予報でチェックしてください
 傘マークの裏側に雪のコメントが隠されているかもしれませんよ?

 府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

 大雪に関する関東甲信地方気象情報 第1号
 平成24年2月28日05時50分 気象庁予報部発表抜粋

 [雪の予想]
 29日6時までの24時間に予想される降雪量は、いずれも多い所で
  甲信地方南部  山梨県東部・富士五湖、長野県南部 10センチ
  関東地方南部  神奈川県西部の山地        10センチ
          多摩西部、秩父地方         5センチ
  関東地方の平地                   3センチ


 今日の記事に使った天気図の多くは、以下のURLで無料で入手可能です。
 興味のある方は、同じようにチェックしてみてください。
   http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2


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 可能な限り返信いたします。

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(当ブログに引用の天気図等は、気象庁、WNI、プログラム配布先より使用許諾を得ています)
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(私が撮影した映像・動画は無断転載OKですが、連絡をいただければ原本を差し上げます。)

午前中寒波のピーク、明日高気圧に覆われるも南岸に低気圧(120227)


 昨日の長野市街地・・・千曲川の堤防から飯綱山方面を望む・・・・
 画面左下付近に見える大きな建物が、長野オリンピックスピードスケート会場のMウェーブ



 昨日午前中、上越の上空風向は北西(地上付近は北)・・・日本海の雪雲が長野市内にどんどん流れ込んできましたが、昼前後から上越の風がやや西寄りに変化して、北信五岳にブロックされる長野市街地の雪は回復・・・・回復のタイミングに微速度撮影をしました。
(画面中央の木の左側の山すそで、山越えの風が波を形成し、新たに雪雲が発生しているのが興味深いです)

 平成24年豪雪?なんて言われそうなこの冬ですが、西寄りの風になりやすく(いわゆる里雪型の気圧配置)長野市内は、いつもの冬よりも小雪傾向
 わずか数キロ北側の市町村には申し訳ないほど雪かきが少ない、楽勝?の冬になっています。

 とはいえ、昨日からは2月最後の寒波がやってきているわけですが、今朝の実況を見ると・・・・

実況120227

 今朝は、短期予報解説資料(プロ用の資料)に書かれている「1、実況上の着目点」・・・・予報官が予報を作成するにあたってチェックした実況上注意すべき点・・・・を、そのまま書きこんでおきました。

 言わずもがなの西高東低の気圧配置で、日本海沿岸で雪が降っていますが、細かく見ると、朝鮮半島付近や関東沖に弱い気圧の谷があって、雪(雨)雲が発生しています。
 また、北海道西岸には小低気圧があって、渡島半島方面では雪雲が活発

 パッと見たところ、こんな所に目がいきますが、短期予報解説資料を読むと、予報官としては、日本海沿岸の雪に着目することは当然、北海道の小低気圧の動向に注意をしなさいよ・・・・と言いたいようです。

 ということで・・・今朝は、いつもと趣向を変えて・・・ちょっと難しいかもしれませんが、短期予報解説資料に沿って、天気チェックを進めていきましょう。
 
短期予報解説資料120227


 短期予報解説資料をそのまま引用・・・「2、主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点」・・・予報を理解する上で、着目すべき現象について赤線を引いておきました。

 いずれも、上空の気圧の谷(トラフ)がやってくることを引き金に、寒気が南下してきたり、低気圧が発生することをコメント。
 上空の気圧の谷(トラフ)が悪天パワーの源だということがおわかりいただけると思いますから、まずは今日の上空の気圧の谷(トラフ)の様子をチェック。

500図120227

 赤の点線が上空の気圧の谷(トラフ)・・・・午前中に東日本上空を通過することがわかります。
 上空の気圧の谷よる悪天パワーは午前中がピークということ。

 北海道の北側には空気(寒気)の渦があって、浅い気圧の谷が何度も通過するようですから、北海道西岸の低気圧・・・・日中消滅するようですけど、暴風雪は今日いっぱい続くと思ったほうがよいかもしれません。
 
 また、中国内陸部にも上空の気圧の谷(トラフ)があって、東進中。
 短期予報解説資料のコメントも一部書き込んでおきましたが、明日28日は、上空の気圧の尾根がやってくるものの、大陸の上空の気圧の谷(トラフ)がやってくる南西諸島や九州方面で下り坂に向かうようです。

 続いて、今日通過する上空の気圧の谷(トラフ)が連れてくる寒気の様子をチェック。

500気温120227

 上空の気圧の谷(トラフ)が連れてくる寒気のコアは-45℃以下の強い寒気
 北海道は寒気コアの影響をまともに受けるようです。

 また、短期予報解説資料には、北陸付近にも-33℃以下の寒気が南下してくることが書かれています。
 上空の気圧の谷(トラフ)が雪雲発生のパワーを運び込むと同時に、寒気を連れて来て・・・寒気が雪雲発生と成長のパワーをもたらすというイメージ。
 大雪パターンとしては下限ですけど、日本海沿岸の大雪・・・午前中中心に要注意ということですね。

 それでは、普通の予想天気図・・・今夜から明日夜にかけて、流れでチェック。

予想図アニメ120227

 上空の気圧の谷(トラフ)が東海上に抜ける今夜、冬型の気圧配置が緩み始め明日は高気圧に覆われてくるようです。
 明日は、広く晴天に恵まれそうですが・・・・・先にチェックした大陸内陸部にあった上空の気圧の谷(トラフ)が東シナ海方面へ
 低気圧と前線が発生・・・・南西諸島や九州で雨が降り出す・・・とというシナリオになりそうです。

 以上チェックしてきたこと・・・・特に上空の気圧の谷と寒気の動向を思い浮かべつつMSMシミュレーションをチェック。

全国流線アニメ120227

 今日午前中が雪のピーク
 冬型が弱まる夜になると雪雲が弱まってきますが、北海道や青森・・・津軽海峡付近では強風と雪が残ってしまいそう・・・・
 上空の浅い気圧の谷が通過が通過するとともに、寒気のコアが通過していくからですね。

 短期予報解説資料には、難しいコトバが書かれていますけど、「予報を作ったり解説するため」に使用するのではなく、「予報を理解するため」に使用するなら、難しいコトバを飛ばして読むだけでも大変役立ちます
 登山やマリンスポーツ、スカイスポーツの場面で、天気予報に頭を悩ませることがあったら、目を通してみてください

 短期予報解説資料: http://img.n-kishou.co.jp/image4/lfax/tkaisetu_201202270340.pdf

 府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

 今日の記事に使った天気図の多くは、以下のURLで無料で入手可能です。
 興味のある方は、同じようにチェックしてみてください。
   http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2


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今日から冬型、今回の寒波は明日にかけてピークへ(120226)


安茂里の雪120226

 今朝の長野市街地・・・午前6時前あたりから大粒の雪が降り出しました。

プロファイラ06時120226

 以前の記事で、長野県北部(長野市街地)に雪が降る場合、上越の雪雲が北風に乗って北信五岳(飯綱・黒姫・戸隠など)東側を南下してくるということをご紹介しました。
 今朝の風をウィンドプロファイラ(風向風速を電波で観測するもの)でチェックしてみると、標高2000m級の北信五岳山頂より下・・・上空1500m付近の風はほぼ北風
 上越⇒野尻湖(長野県信濃町)⇒斑尾・飯綱山東側⇒中野市・長野市という雪雲の通り道が出来ていると思われます。
 (雪が降っている地域の方・・・ウィンドプロファイラとレーダーで見る雪雲の流れを対応させて考察して見てください。最寄りの地域の雪雲の通り道が見えてくるかもしれませんよ。)

 では今朝の実況

実況120226

 気圧配置は・・・・三陸沖を北上する低気圧と大陸の高気圧に挟まれて、日本付近は西高東低、冬型の気圧配置が強まりつつあります。
 レーダーでは、日本海沿岸の雪雲が発達中

 また、水蒸気画像で見る上空の気圧の谷は北日本をほぼ通過・・・・上空の気圧の谷の前面(東側)にあたる三陸沖の低気圧は、上空の気圧の谷から悪天パワーをもらって、まだまだ発達傾向・・・冬型の気圧配置はさらに強まります。

 また、サハリンの西、アムール川下流域には寒気の渦と上空の気圧の谷があって、東進中。
 北海道の西に小低気圧が解析されていますが、この寒気の渦と上空の気圧の谷に対応して、小粒でも北海道に暴風雪をもたらす低気圧に成長することになりそうです。

 今夜21時の上空の様子をチェックしてみると・・・・

500図120226

 三陸沖の低気圧を発達させる上空の気圧の谷は北海道の東海上へ抜けますが、天気図には「L」スタンプが記載されていて、西高東低の「低」気圧は、上空まで渦を巻く強い低気圧に発達することがわかります。
 また上空の気圧の谷が抜けるので、雪の降り方は一時的に小康状態になる所もありそうですが、次の気圧の谷が朝鮮半島の北まで南下
 それに併せて、さらに強い寒気も南下してきます。

 今回の寒波のピークは明日?

 地上の気圧配置の骨格・・・上空の気圧配置がわかったところで、普通の天気図(地上天気図)で今朝~今夜の気圧配置の流れを見ると・・・・・

予想図アニメ120226

 三陸沖の低気圧が発達して冬型が強まるとともに、北海道西岸の低気圧も発達しながらゆっくりと南下
 やっぱり今日から明日にかけて厳しい空模様が予想されています。

 以上を思い浮かべながら、いつものMSMシミュレーションをチェック。

全国流線アニメ120226

 目立つのは北海道西岸の小低気圧・・・・暴風雪を予感させます。
 また日本海沿岸の雪・・・北陸中心にまとまった雪
 気温も西日本から下降傾向ですね。

 Kasayanの住む長野市・・・・日中は北風の風速が強まったり弱まったりするのに合わせて、雪雲が流れ込んだり、薄日が差したり・・・日本海側と太平洋側の天気分布をいったり来たり・・・・
 なんでもアリの予報(といえる?)ということになりそうです。

 府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

 短期予報解説資料(26日03時40分発表)抜粋: 
   大雪ポテンシャル(06 時からの 24 時間:地点最大)北日本~北陸で 30~50cm

 今日の記事に使った天気図の多くは、以下のURLで無料で入手可能です。
 興味のある方は、同じようにチェックしてみてください。
   http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2

 【Kasayan備忘録】

中部流線降水アニメ120226

山岳波500図700図上昇流120226

500流線700上昇流120226


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荒れ模様の土曜日から、冬型の日曜日へ(120225)


菅平120225

 今朝の長野市街地・・・雨音が聞こえるようなしっかりとした雨
 志賀高原のライブカメラを見ると、さすがに雪になっているようですけれど、長野で見る2月の雨は景色としてすんなりと受け入れ難いものがあります。

 そんな今朝の実況

実況120225

 日本付近は深い気圧の谷
 気圧の「谷」に流れ込む「谷川」?には、南からの暖かい空気が流れています。
 このため、全国的に気温は高め・・・・この時期としては「比較的」暖かい雨になっているようです。

 水蒸気画像を見ると、朝鮮半島付近に上空の気圧の谷
 この気圧の谷がこれからやってくると、南岸の低気圧が悪天パワーを受け取って発達・・・雨や雪が活発になると思われますから、まずは、上空の気圧の谷と地上の低気圧の対応の様子からチェック。


 今夜、上空の気圧の谷が日本上空へ
 対応する南岸の低気圧は、夜にかけて徐々に発達・・・東日本の雨や雪を活発化させながら北東進し、明日には北海道の東海上で何本もの等圧線に囲まれた低気圧に成長することになりそうです。

 また、今夜上空の気圧の谷が東日本を通過すると、上空の流れは大陸の寒気を運び込む北西風に変化してきます。
 今夜にかけての寒気の様子は?


 今夜の段階で、上空の寒気の南下はそれほどではありませんけど、地上に近い上空約1500mの寒気は西からジワジワと南下
 西から寒くなってくる・・・そして、今夜北陸付近に、雨雪判別の目安、-6℃ラインが南下・・・・低気圧に起因する雨主体だった降水が、日本海を吹きぬける季節風に起因する雪主体の降水に変化してくることになりそうです。

 そんな今日の様子をMSMシミュレーションで詳しく・・・・


 南岸の低気圧が急速に発達しながら北東進・・・西から回復するも、日本海側の降水(雪)が始まることがリアルに計算されていますが、-6℃ライン(赤線)に着目すると、全体として暖かい空気と冷たい空気が日本付近で、反時計回りの渦として混じり合おうとしています
 春と冬がせめぎ合う季節になってきたということ(来週も似たような天気変化がありそうです)。

 続けて、気になる明日日曜日の降水(雪)の様子もチェックしておきましょう。こちらはGSMという計算値。

GSM26日アニメ120225

 西高東低冬型・・・日本海側中心の雪・・・・北海道付近を寒気の渦に伴う小低気圧が南下して、北日本では局地的に暴風雪・・・なんていう感じだと思います。
 詳しくは明日朝に・・・ということで、最後に普通の天気図で明日にかけての気圧配置の変化をまとめておくと・・・

予想図アニメ120225

 さらに、短期予報解説資料(プロ用の資料)も・・・・

解説図120225
 
 太平洋側では、週末を楽しむのは明日が吉・・・日本海側では・・・・明日「日本海側の天気分布」になる所はあいにく・・・というわけですが・・・・
 Kasayanの住む長野市・・・・ちょうど太平洋側の天気分布との境目にあたるので・・・・とっても微妙・・・・・です。

 府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

 今日の記事に使った天気図の多くは、以下のURLで無料で入手可能です。
 興味のある方は、同じようにチェックしてみてください。
   http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2


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プロフィール

Kasayan

大昔、気象会社や東京の放送局で天気予報番組を作っていたこともありますが今は故郷長野で2回目の日本一周を夢見るただのヨット好き。山岳ガイドのタマゴたちと気象の勉強中。最近多くの時間を野尻湖畔の山小屋で過ごしています。

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