気象予報士Kasayanのお天気放談

故郷長野に帰ってきたヨットオタクの気象予報士Kasayan。 天気予報は当たるのか?天気予報がハズレたらどうなるのか?天気予報の安全マージンは? 一般的な天気予報とは異なる視点からの解説をモットーに、日々の天気を放談?します。

2013年01月

 Twitterでは、今日の記事の内容をひとことでまとめています。お時間の無い方・更新時間を知りたい方はご利用ください。https://twitter.com/kasayangw

全国的に高気圧に覆われ冬晴れに。明日は西から下り坂(130131)


菅平130131

 今朝の長野市は、晴れているものの春霞のような雲に覆われ、北アルプスも美ヶ原高原も見ることができません。

 それでも放射冷却が発生・・・写真の山の上・・・菅平アメダスでは-18.8℃(06時47分)を記録しています(全国3位)。

 そんな今朝の実況ですが・・・・

実況130131

 「今日は高気圧に覆われて全国的に穏やかに晴れるでしょう」なんていうコメントで十分に足りてしまうような気圧配置。
 水蒸気画像に書き込んでおいたように・・・久々に立派な?上空の気圧の尾根(好天パワーの源)が東進しているからですが・・・・

 こんなときほど、どんな晴天になるの?ということや、晴天のあとはどうなるの?ということをチェックしておくのがこのブログのポリシー?ですから・・・・
 いつものように、まずは普通の天気図で、明日夜までの気圧配置と空模様の関係を概観しておきましょう。

予想図アニメ130131

 天気予報番組では「高気圧に覆われるから晴れ」・・・という解説が多いすけど・・・ご存じのように、高気圧の端っこでは、必ずしも晴天になるとは限りません

 よく知られているところで・・・高気圧の南西側では、南東風が太平洋の暖湿気=雲や雨の原料を運び込んで曇りがちということになるわけですが・・・今回の高気圧でも例外なく暖湿気が流れ込んで、今夜には大陸沿岸で前線帯が顕在化
 気温は上がりますが、次第に雨雲が活発になることが予想されています。

 また、時計回りの風が吹きだす高気圧の北東側には北西風が吹いていて・・・冬場には大陸の寒気を運んできますから、日本海沿岸を中心に雪雲モドキの低い雲に覆われる可能性が高いといえます。

 まあ・・・今日は、こんな状況を考慮しても・・・ざっくりと「全国的に晴れ」と言ってもイイでしょうね。

 ただ、明日には、高気圧が東海上に抜けて・・・西日本から気圧の谷(高気圧に挟まれて周囲より気圧が低い場所)が東進
 西日本から活発な雨が降り出し、夜には東海付近まで進んでくることが予想されています。
 「全国的に・・・」というような天気は、夏場を除いてそうそう続くことはないんですけど・・・天気予報番組では結構耳にするのは・・・かなり大ざっぱに判断されているから?


 それでは、いつものように専門の天気図で・・・・今日の空模様はもちろん、明日以降の空模様についてもチェックしておくことにしましょう。

500図130131

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・延々と続いた西高東低 冬型の骨格・・・上空の気圧の谷が東海上へ
 実況で見たように、好天をもたらす上空の気圧の尾根が日本上空にやってきます。

 このため・・・下段の図・・・日本付近はちょうど日本の東西の幅と一致する大きさの高気圧に覆われて・・・まさに「全国的に」晴れベースの天気が計算されているわけです。

 もっとも・・・再び上段の図・・・大陸からは次の上空の気圧の谷がいくつか・・・バラバラと南下してきます。
 上空の気圧の谷は悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持っていますから、天気は西から下り坂に。
 下段の図・・・今夜には、東シナ海や黄海方面で、前線帯の雨雲が活発になってくるのがわかりますよね。


 続いて、上空の寒気の様子にも目を通しておきましょう。

500気温130131

 上段の図・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気(冬将軍)の原図ですが・・・長かった寒波の寒気は今夜以降、すっかり東海上に抜けてしまうことが計算されています。
 そして、日本上空には西から暖気が北上してきくる模様・・・・春の空気が上空にも流れ込んでくる気配を見せていますが・・・・

 地上付近(上空約1500m)では・・・下段の図・・・・東日本以北で寒気がなかなか抜けていきません
 これは・・・・高気圧の中心が中部地方に進んでくるため、高気圧吹き出しの北よりの風が東日本以北に吹き続け寒気を運び込むからだと思われます。

 先にコメントしましたが・・・この寒気の影響で・・・北日本の日本海側では雲がとれにくい・・・でしたよね。
 また、日射しは強まりますから、日中は体感も気持ちも?暖かくなったとかんじられるかもしれませんが、日没とともに冷え込む可能性がありますからご注意を。

 なお、高気圧の南西側・・・高気圧のお尻の部分には、南東風に乗って暖気が北上してくることも計算されています。

 南東風が運んでくる水蒸気も加味した暖湿気の様子もチェックしておきましたが・・・・

相当温位130131

 今夜にかけて東シナ海暖湿気=雨の原料がグイグイと北上
 今日いっぱいは、ギリギリ九州に流れ込まないので「全国的に・・・」なんて言っていられるわけですが・・・明日には暖湿気の先端が日本海北部や、東海付近まで北上してきますから・・・「西から下り坂」ということになります。

 また、暖湿気の量が次第に多くなっていきそうですから・・・明日以降は、暖湿気の入り口にあたる太平洋岸中心に活発な雨になることも予想されます。


 それでは、とりあえず今日の空模様を、MSMシミュレーションを使って、具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ130131

 紫色は下層雲。

 地上付近に寒気が流れ込みやすい北日本の日本海側・・・なかなか雲がとれにくく、チラチラということもありそうな気配。
 厳密に言えば「全国的に晴れ・・・てくるというのが正しい表現かもしれませんね。

 また、東シナ海には南東風が運ぶ暖湿気による降水域が活発化・・・明日の下り坂の先端が見え始めています。

     府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
       気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/


 それでは、西から下り坂・・・の天気が東・北日本に及ぶ2日21時の専門の天気図もチェックしておきましょう。

2日500図130131

 悪天パワーの親分といえる寒冷渦が沿海州へ進み、寒冷渦から延びる上空の気圧の谷が日本海を北日本へと東進しますから・・・明日、日本海を北上する低気圧(普通の天気図のアニメにありましたよね)は北海道付近で猛烈に発達
 低気圧の南側の前線通過に伴い、全国的に南よりの風・・・そして北よりの風強まることが予想されます。

 また、上空の気圧の谷の東進に伴って、谷に後ろ側には-36℃以下の強い寒気が南下してきますから・・・
 地上付近には低気圧や前線に吹き込む暖湿気・・・上空には強い寒気というカタチが出来あがって、大気の状態が不安定に
 落雷や突風などの激しい現象も予想されます。

 上空の気圧の谷の深さや進行の速度などによって、計算値に変化があるかもしれませんから、明日の最新の計算値で判断したいところですが、今週末は荒天ということは昨日の記事と変わりませんのでご注意を。
 
 なお、向こう一週間の気温傾向ですが・・・

気温グラフ130131

 先日掲載した同じグラフから少々変化が見られ・・・週末の荒れ模様後の気温の低下はそこそこで、立春以降、再び気温が高めになることが予想されています。
 もっとも、その理由は、暖気を運ぶ低気圧が日本付近を連発して通過するから。

 こちらも、計算値に変化があるかもしれませんから、参考程度にしておいてくださいね。

      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

     専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
                 http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2


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冬晴れエリア拡大するも北海道の回復ゆっくり。週末は荒れ模様?(130130)


光の春南130130

 以前、「光の春」について書いたことがありましたが(2012年2月22日)、昨日午後の長野市街地は、まさに「光の春」を感じさせる陽気になりました。

 繰り返しになりますが「光の春」とは・・・冬至から一ヶ月・・・日差しは日に日に強まってきますが、気温は下がる一方のこの季節を表したコトバ。
 (「光だけは春」なんていうイメージ?)

光の春北130130

 この写真の左下の山裾あたりに、ロシアの「光の春」というコトバを日本に紹介した倉島厚さんのご実家があります。

 倉島さんが旧制中学を卒業されるまで過ごされた長野の冬の空をイメージしながら「光の春」というコトバを翻訳したとすれば・・・・こんな空が「光の春」の原風景なのかもしれません。


 そして・・・光の春の翌朝・・・今朝の長野市街地は・・・・

菅平130130

 夜中に再び雪雲が流れ込み、屋根や道路には薄らと新たな雪が積もっていて、タンポポの種のような雪がふわふわと舞っています。

 そんな今朝の実況

実況130130

 午前3時の天気図は、北日本中心の西高東低 冬型
 相変わらず等圧線の間隔が狭く、北寄りの風がやや強め・・・日本海側の降雪は引き続き活発です。
 水蒸気画像を見ると、北日本には強い寒気を運ぶ偏西風が居座っていて、悪天パワー(低気圧や雪雲を活発にするチカラ)を持った上空の気圧の谷が南下中
 まだまだ、寒波から完全に抜け出せたとはいえません。

 一方、西日本は高気圧の圏内
 陸地に雪雲は観測されておらず、寒波から完全に抜けだしたと思われますが・・・高気圧の南縁では低気圧が発生していて、沖縄付近に比較的活発な雨を降らせているようです。
 この低気圧・・・沖縄付近を通過中の上空の気圧の谷の悪天パワーによるものと思われますが・・・上空の気圧の谷はすでに低気圧の東側
 もはやこれ以上、低気圧に悪天パワーを与えることができなくなりますから、低気圧は次第に弱まってくるものと思われます。


 それでは、普通の天気図を使って、これからの気圧配置の変化と空模様の関係を大ざっぱに把握しておきましょう。

予想図アニメ130130

 西日本の高気圧は明日夜にかけてゆっくり東進
 冬晴れエリアが次第に広がっていくと思われますが・・・北日本の西高東低 冬型の気圧配置のゆるみ方は非常にゆっくりで・・・寒気もなかなか抜けていきません
 このため、今日いっぱい、日本海側に雪雲が流れ込みやすい状態が続きます。

 もっとも、明日は高気圧が日本をすっぽりと覆って冬晴れエリアが北日本にまで拡大。
 沖縄付近に雨を降らせている低気圧も消えてしまいます。
 東シナ海方面には早くも気圧の谷が進んできますが・・・とりあえず明日いっぱい、全国的に穏やかな晴れベースの天気になりそうですね。


 それでは、回復の遅い北日本の空模様を中心に、専門の天気図で詳しくチェックしておきましょう。

500図130130

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・実況の水蒸気画像でチェックした上空の気圧の谷が日中北日本を通過
 夜には三陸沖に抜けるようですが・・・今回の寒波の最後の上空の気圧の谷が、今夜北海道付近を南下することが計算されています。
 このタイミングで一時的に悪天パワー(低気圧や雪雲を活発にするチカラ)が降り注ぐので・・・下段の図・・・北海道付近では、最後っ屁(失礼!)のように雪雲が活発になることが予想されています。

 一方・・・再び上段の図・・・午前中、沖縄付近を南東進する上空の気圧の谷は、足早に小笠原付近まで東進。
 上空の気圧の谷に先行された沖縄付近の低気圧は・・・・下段の図・・・夜には天気図上から消えてしまうようですね。


 続けて上空の寒気の様子もチェックしておきましょう。

500気温130130

 こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図上に描きこまれる上空の寒気の原図ですが・・・午前中、上空の気圧の谷が北日本を通過するのに伴って、-36℃以下の強い寒気が北海道を南東進
 局地的に風雪が強まる所もありあそうですが、夜には南東海上に抜ける模様。

 そして・・・夜には再び上空の気圧の谷が通過しますが・・・寒気は急速に抜けていくようなので、大きな影響はないと思われます。

 もっとも・・・寒気を運ぶ偏西風の位置があまり変化しないため、-30℃以下の寒気はなかなか抜けていきません

 また・・・下段の図・・・平地で雪の目安=-6℃以下の寒気もなかなか抜けず関東ではむしろ東進する高気圧から吹き出す北風の影響で、寒気が南下してくる傾向が読み取れます。
 このため、低温からの回復はさらに遅く・・・まさに「光の春」を演出するような空模様になると思われます。
 (冬晴れエリアが拡大する明日は、朝の放射冷却がきつくなるんでしょうね。)


 それでは、以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ130130

 紫色は下層雲の様子。

 東北の日本海側は、夜にかけてじわじわと回復していくようですが・・・・寒気の抜けが悪く、上空の気圧の谷が断続的に南下してくる北海道の回復はかなり遅め

 また、西日本から冬晴れエリアが拡大してきますが・・・MSMシミュレーションでも、平地で雪になる目安=上空約1500m-6℃の寒気はあまり位置を変えないようですね。

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 ところで・・・・昨日の記事に書いたように、週末の荒れ模様の天気ですが・・・・

GSM日本海低気圧アニメ130130

 2月1日~2日について、寒気の様子も併せたアニメを作っておきました。

 天気予報番組では、昨日も「春めいてくる」という表現が優先しているように感じられましたが・・・むしろ荒天が優先すべきだと思うのですが・・・このアニメを見てどう思われますか?

 確かに気温が上昇して、冬が終わっちゃったんじゃないかと感じられる所があったり、積雪の上に強い雨が降るような所もあるでしょうけど・・・それはむしろ災害に結び付く現象といえます。
 あと2日遅い立春以降にこの気圧配置が形成されれば春一番ということになったかもしれないと考え・・・春一番の怖さを思い出して、海や山では適切な対応をしていただきたいと思います。

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 【オマケ】
  昨日29日、美ヶ原高原方面の夕景。


(できればHD・拡大設定でご覧ください)


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冬型緩み西から冬晴れエリア拡大。北日本は最後の寒気南下(130129)


 昨日の夕方・・・・

美ヶ原夕景28日130129

 冬型の天気分布・・・・雪主体の日本海側と、晴れ主体の太平洋側の境目にあたる長野市街地の空は、太平洋側の天気優勢
 美ヶ原や北アルプス方面の夕焼けが美しかったのですが・・・・

美ヶ原130129

 今朝は長野市街地北部から雪雲の残骸が流れ込み、晴天域が南下・・・日本海側の天気が優勢になっています。

 このように、太平洋側、日本海側の天気がせめぎ合う長野市街地ですが・・・降雪はあるものの、多くて30センチの積雪がいいところ。
 車で30分も走れば、積雪数メートルの豪雪地帯(スキー場やスノーシュートレッキングエリア)にも、積雪ゼロの中心地方にも行けますから、冬を楽しむには絶好の場所に位置しているといえます。

 今朝の実況を見ると・・・・

実況130129

 大陸から高気圧が張り出していて、レーダー画像に西日本の降雪は観測されていません
 ということは、長野市街地の空も、これから太平洋側の冬晴れ優勢になってくると思われます。
 
 ただ・・・水蒸気画像を見ると、近畿以北には、通常の冬の寒気(上空5400m付近で-30℃前後)を運ぶ偏西風が吹いていて、強烈な寒波を運び込む偏西風も、北海道付近に残っています。
 このため、北陸以北の日本海沿岸には、引き続き活発な雪雲がかかっていて、津軽海峡付近や仙台付近では、太平洋側にも雪雲が流れ出ているわけですが・・・・・

 今回の寒波の最後がどのように回復していくのかを、まずは普通の天気図を使って大ざっぱに把握しておきましょう。

予想図アニメ130129

 今朝の段階では、等圧線が混雑している東日本~北日本中心に、西高東低 冬型の気圧配置になっていますが・・・・今夜になると、高気圧が東日本まで勢力を拡大して冬型の気圧配置が後退・・・北日本中心に弱まってきます。

 そうなると・・・明日にかけて順調に冬型が緩んでくると考えたくなりますが・・・・今夜にかけて北海道方面には、今回の寒波の最後の一波・・・-40℃近い寒気が南下。
 このため、今夜以降も北海道中心に断続的に雪が降りやすく・・・・・北日本の回復は最後の寒気が抜けて、高気圧が張り出してくる明日以降ということになりそうです。


 それでは、こんな空模様のストーリーを、専門の天気図を使ってもう少し詳しくチェックしておきましょう。

500図130129

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・

 午前中上空の気圧の谷が北日本を通過・・・・この上空の気圧の谷から降り注ぐ悪天パワー(低気圧や雪雲を活発にするチカラ)によって、レーダー画像の降雪が活発になっていたと思われます。
 もっとも、上空の気圧の谷はサッサと東海上に抜けてしまうようですから、日中天気は一時的に回復
 その後、次の上空の気圧の谷や小さな寒冷渦が、今夜再び北海道方面に南下してきますから・・・北海道はまたもや下り坂に向かうと思われます。

 また・・・目を南に転じると、東シナ海方面に上空の気圧の谷が深まりながら進んでくるようですから・・・南西諸島方面も下り坂

 ただ、北日本の上空の気圧の谷と、東シナ海の上空の気圧の谷に挟まれた西日本や東日本は、相対的に回復に向かうと考えられます。

 で・・・・このような上空の気圧配置に対応して・・・下段の図・・・地上付近では、書き込みのような天気変化が計算されています。
 北の回復が遅れ気味・・・南は新たに下り坂・・・西・東日本は回復傾向・・・になっていますよね。


 続けて、上空の寒気の様子もチェック。

500気温130129

 こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図に書きこまれる上空の寒気の原図ですが・・・北海道には、まだまだ断続的に-39℃以下の強い寒気が流れ込むようですから、上空の気圧の谷や寒冷渦が通過するたびに風雪が強まる可能性があります。

 また、下段の図・・・地上付近(上空約1500m)の寒気も、大陸から吹いてくる北西の風がおさまらないので、なかなか抜けにくい状態
 寒気の流れが止まらない北海道はもちろん、天気が回復に向かう東日本も、気温はイマイチ上がりにくいと思われます。


 それでは、以上のチェックポイントを確認しつつ、MSMシミュレーションで、今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ130129

 紫色は下層雲。

 確かに西から冬晴れエリアが拡大してきますが・・・北陸以北の日本海側では、弱まる傾向は見せるものの雪雲が消えることはありません
 また、北海道西岸の降雪も断続的に続く模様で、本格的に上空の気圧の谷と寒気が南下してくる明日未明には風雪が強まることが予想されます。

 こんな状況で、長野県北部では・・・風向きの変化によって日本海の雪雲が断続的に流れ込み、時々チラチラと雪が降るような状態が続きつつ・・・明日いっぱいかけて、ゆっくりと回復に向かうんでしょうね。

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 さて、天気が回復してくると・・・気になるのは次の週末はどうなのよ?とか、次の寒波はいつなのよ?ということになってきますが・・・・

2月2日GSM130129

 来月2日09時のGSMシミュレーションですが、日本海を低気圧が発達しながら北東進
 あたかも春一番のように南風が強まって、気温が上昇し、荒れ模様の天気になることが予想されています。

 春一番と呼ばれるためには立春以降に同じ現象が起こる必要がありますから・・・あと2日遅ければ春一番になったかもしれないんですけど・・・・

 天気予報番組を見ていると、2月は春めいた陽気でスタートなんていうコメントがありましたが・・・・寒波の後の気温上昇(雨)は雪崩を誘発し、週末の急な天気変化は山の遭難をもたらします
 冬山のレジャーをお考えの方は、ほのぼのとした春のイメージがするコメントに浮足立ってしまわないよう、注意してくださいね。
 
      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

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西から冬型ゆるむも、東・北日本の回復はゆっくり(130128)


菅平旭山130128

 今朝の長野市街地は雪雲に覆われていて・・・この写真を撮影したあと、再び雪が降り出しました。
 
 今朝の気温は-4.6℃(05時32分)。
 実況をチェックしてみると・・・・

実況130128

 相変わらず西高東低 冬型の気圧配置で、日本海沿岸には山陰や北陸西部を中心に活発な雪雲がかかっていますが・・・関東の沖にも低気圧が発生。
 というのも・・・水蒸気画像にハッキリととらえられている寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには切り離されて寒気の渦になったモノ)が東日本を南下していて、この寒冷渦が地上に悪天パワー(低気圧や雪雲を発達させるチカラ)を振りまいているから。

 寒冷渦は、強い寒気が低気圧と同じく反時計回りに渦を巻いているので・・・地上にも反時計回りの空気の渦=低気圧を発生させ、大気の状態を不安定にするチカラがあります。
 そんな悪天パワーの親玉が東日本を南下しているわけですから、関東を含めて東日本は荒れ模様・・・低気圧の北側=関東付近では、太平洋から流れ込む水蒸気と寒冷渦の寒気がぶつかって雪雲が発達・・・今朝は関東でも沿岸部中心に雪雲が活発化しています。

 このように、関東の降雪の原因がガチンコの寒冷渦ですから、ここ数回の南岸低気圧による関東の降雪予報よりは、昨夕の予報は当たったんじゃないか?と思いますが・・・どのように感じられましたか?


 今後、関東南岸の低気圧は次第に離れていきそうですから、関東の降雪も午前中にはおさまるんじゃないかと思いますが・・・・まずは、普通の天気図で、明日夜までの気圧配置や上空の寒気の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。

予想図アニメ130128

 まず関東沖の低気圧は、寒冷渦からさらなる悪天パワーをもらって発達するようですが、東海上に遠ざかっていくので、関東の雪はサッサと回復
 その代わり、東日本付近は西高東低 冬型の気圧配置になりますから、日本海側の雪が活発になることが予想されます。

 もっとも、寒冷渦が運んできた寒気も、夜には東海上へ
 日本海側の雪も夜にはおさまってくると思われますが・・・・今回の寒波の最後の寒気が、今夜北海道方面に南下します。
 明日も北寄りに冬型の気圧配置が形成されることもあって、北海道の回復は少々お預けということになりそうです。

 一方、明日にかけてグイグイと高気圧が張り出してくる西日本は、早くも今日から天気回復
 東日本も明日には高気圧に覆われ、冬晴れエリアが拡大しそうですね。


 それでは、こんな天気のストーリーを、専門の天気図でトレースしていきましょう。

500図130128

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・寒冷渦は、午前9時頃に関東上空を通過したあと、次第にグズグズに形を崩しながら東海上に遠ざかっていきます。
 ということは、関東の天気は回復傾向

 一方、北日本方面には、夜にかけて上空の気圧の谷が南下・・・・下り坂に向かうことが計算されています。

 そして、このような空模様の骨格に対応して地上では・・・下段の図・・・関東の降水域(青の点線内)は次第に東海上に遠ざかり・・・西高東低の気圧配置が形成されることから・・・北陸以北の日本海沿岸降水(雪)域が残ることになります。

 なお、東・北日本とは異なり、上空の気圧の尾根(好天パワーの源)がやってくる西日本には高気圧が張り出して・・・天気が回復することは言うまでもありませんね。


 それでは、上空の寒気の様子にも目を通しておきましょう。

500気温130128

 こちらも上段の図から・・・天気予報番組で、天気図上に描かれる上空の寒気の原図ですが・・・今朝東日本上空を通過している寒冷渦の寒気は-36℃以下
 この寒気・・・午前中には東海上に抜けてしまいますが・・・北海道方面には寒冷渦の寒気よりさらに低い-39℃前後の強烈な寒気が北西から南下してくることがわかります。
 これが今回の寒波の最後の一波

 おまけに・・・先にチェックしたように、悪天パワーを持った上空の気圧の谷も南下してきますから・・・北海道は今夜以降再び下り坂
 風雪ともに強まることが予想されます。


 それでは、以上のチェックポイントを確認しながら、MSMシミュレーション今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ130128

 紫色は下層雲の様子。

 関東沖の低気圧と降水(雪)域は、寒冷渦がグズグズになりながら東海上に抜けるのに伴って、海上に抜けていきます。

 一方、西高東低 冬型の気圧配置になる東日本以北では・・・一時的に降雪が活発に。
 寒気が抜ける夜にはややおさまるようですね。

 ただ、今回の寒波の最後の一波と、上空の気圧の谷がやってくる北海道方面では・・・・今夜、津軽海峡付近に北西風の収束帯が形成され、その周辺を中心に降水(雪)が強まることが計算されています。
 北海道の回復はお預け・・・でしたよね。

 ということで・・・イメージしていただいた空模様と府県天気予報を比べながら、同様の計算値を見ながら予報を作成した予報官の気持ちを考え・・・・天気予報の安全マージンをとってください。

     府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
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 なお、今回の寒波の行く末ですが・・・・

気温グラフ130128

 もうじき終わりで・・・2月のスタートは平年を大幅に上回る気温になりそうですね。

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善光寺大門町130128


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大雪のピーク越えるも今夜西から降雪強まる。関東でも雪?(130127)


県庁前130127

 今朝4時過ぎの長野市街地・・・チラチラと雪が舞い、融雪剤が撒かれている県庁前の広い道路でさえ、車によって雪が踏み固められています。

 もっとも・・・・

美ヶ原130127

 夜明け前から急速に雪雲が消え始め、-6℃以下の凍った空気の中を太陽が昇ってきました。
 

 そんな今朝の実況・・・・

実況130127

 気圧配置は相変わらず西高東低の冬型
 等圧線が混雑しているため・・・・北西の強風が吹いていて、日本海で発生した筋状の雪雲が沿岸部に活発に流れ込んでいます。

 特に等圧線が高気圧側にうねった場所・・・弱い気圧の谷(周囲より相対的に気圧が低い場所)に沿って雪雲の帯が形成され、雪雲の帯が指向する東北日本海側で雪雲が活発に。

 もっとも、ウィンドプロファイラを見ると、日本海沿岸上空から風速が弱まってきたようです。
 このため、雪雲の流れ込みが弱まり始め・・・長野市街地の降雪が弱まってきたのかもしれません。

 そこで、今朝05時前に気象庁から発表された「大雪と暴風雪及び高波に関する全般気象情報」(テレビやラジオで「・・と気象庁は注意を呼び掛けています」というニュース原稿の元ネタ)に目を通してみると・・・・

気象情報130127

 やはり大雪のピークは越えたとのこと。

 一安心というところですが・・・さらに読み進めると・・・「27日夜以降、日本付近に新たな寒気が南下するため、北日本から 西日本にかけての日本海側は、28日にかけて大雪やなだれに注意が必要」と書かれています。

 もう一度実況を確認・・・
 水蒸気画像を見ると・・・朝鮮半島付近に、早くも次の寒冷渦(寒気を伴う上空の低気圧:偏西風が蛇行し切り離され独立した渦になった寒気)が南下しているようです。

 この寒冷渦が今夜以降、日本付近に南下して、再び雪雲を活発にするようですが・・・・まずは普通の天気図を使って、明日夜までの気圧配置の変化や寒気の様子と空模様の関係を概観しておきましょう。

予想図アニメ130127

 確かに、発達した低気圧が遠ざかる北日本では、等圧線の間隔が広がって・・・冬型の気圧配置がゆるんでくるようですから、日本海側の大雪もひと段落

 でも、今夜にかけて日本海西部に次の寒気が南下してきます。
 加えて、日本海西部では、朝鮮半島から北陸西部へと延びる弱い気圧の谷も発生

 弱い気圧の谷に集まってくる北西季節風によって発生した上昇気流によって雪雲の帯が形成され・・・南下してくる上空の寒気によって雪雲の帯が活発化・・・その延長線上のあたる北陸西部やその周辺で再び雪が強まってくることが予想されます。

 ということは・・・大雪がピークを越えたといっても、実際は小康状態になると言ったほうが適切かも?
 得られる気象情報が少ない冬山では、一時的な回復に騙されて行動を起こしやすい・・・最も危険なパターンの一つといえるかもしれません。

 明日夜には、本当に西から冬型がゆるんできそうですが・・・・とりあえず危険な今日の空模様を、専門の天気図でしっかりとチェックしておきましょう。

500図130127

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・昨日の大雪や暴風雪をもたらした寒冷渦は北海道の東海上に抜け、次第に遠ざかる模様。
 沿海州から上空の気圧の尾根(好天パワーの源)が北日本にやってきますから、北日本を中心に、天気は回復に向かうということが読み取れます。

 もっとも、今夜にかけて次の寒冷渦が日本海西部に南下・・・さらに、寒冷渦の南側を上空の気圧の谷が南下してきます。
 この寒冷渦・・・・昨夜北海道を抜けた寒冷渦よりは、悪天パワー(低気圧や雪雲を活発にするチカラ)が弱いと思われますが・・・昨夜の寒冷渦が強すぎたといえるので、最悪の場合、警報級の悪天をもたらす可能性があると考えておいたほうが無難かも?

 で・・・このような上空の骨格に対応して・・・下段の図・・・地上付近では、北日本の降水(雪)が弱まってくるものの・・・・寒冷渦や上空の気圧の谷が南下してくる日本海西部には弱い気圧の谷が発生し・・・・JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)と呼ばれる季節風の収束線ができ雪雲の帯が形成されることが計算されています。

 さらに天気図をよーく見ると、若狭湾付近に小さな低気圧
 弱い気圧の谷の南側の気圧が局地的に下がって、小さな低気圧まで発生するわけですが・・・この低気圧が小粒でもピリリと辛い現象=局地的な突風や落雷を発生させることが予想されます。


 大雪のピークは過ぎたといっても、小ピークがすぐにやってくるじゃん・・・という感じですが・・・続けて、上空の寒気の様子もチェックしておきましょう。

500気温130127

 こちらも上段の図から・・・天気予報番組で天気図上に描かれる寒気の原図ですが・・・北海道上空の-42℃以下の強烈な寒気は東海上に抜けるものの・・・-40℃前後の十分に強い寒気が日本海西部に南下してくることが読み取れます。
 次の寒冷渦の寒気ですが・・・コイツの影響で、再び西日本から(JPCZの)雪雲が活発に

 また、下段の図=地上付近(上空約1500m)の気温を見ると・・・平地で雪の目安=-6℃以下の寒気は引き続き太平洋まで南下していますが、さらに強い寒気が西日本から南下傾向
 寒さも雪も小康状態ですよね。


 それでは、以上のチェックポイントを思い出しつつ、MSMシミュレーションで、今日の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ130127

 紫色は下層雲・・・青の降水域とは異なりますが、降水域に隣接する下層雲域でも雪の可能性は十分にあると思われます。

 必要なことは書き込んでおきましたから、アニメの動きが早いとお感じの方は、キーボードのEscボタンでアニメを停止させお読みください(アニメの再開は再読み込みで)。

 ただ・・・とにかくチェックしがいのある空模様。
 明日未明には、関東沿岸でも再び降雪の可能性がありますから、今夜の天気予報で再チェックしておいてください。

 ちなみに、長野地方気象台からは、気象庁本庁とは別に、「大雪に関する長野県気象情報」が発表されています。

長野県気象情報130127

 一部を抜粋しておきましたが、冬型が弱まる段階で大雪になりやすい県北東部・・・飯山方面を中心に、まだまだ降るようですね。

     府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
       気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/

      府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm

     専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
                 http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2


26日善光寺130127


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 可能な限り返信いたします。

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プロフィール

Kasayan

大昔、気象会社や東京の放送局で天気予報番組を作っていたこともありますが今は故郷長野で2回目の日本一周を夢見るただのヨット好き。山岳ガイドのタマゴたちと気象の勉強中。最近多くの時間を野尻湖畔の山小屋で過ごしています。

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