今朝の長野市は、晴れているものの春霞のような雲に覆われ、北アルプスも美ヶ原高原も見ることができません。
それでも放射冷却が発生・・・写真の山の上・・・菅平アメダスでは-18.8℃(06時47分)を記録しています(全国3位)。
そんな今朝の実況ですが・・・・
「今日は高気圧に覆われて全国的に穏やかに晴れるでしょう」なんていうコメントで十分に足りてしまうような気圧配置。
水蒸気画像に書き込んでおいたように・・・久々に立派な?上空の気圧の尾根(好天パワーの源)が東進しているからですが・・・・
こんなときほど、どんな晴天になるの?ということや、晴天のあとはどうなるの?ということをチェックしておくのがこのブログのポリシー?ですから・・・・
いつものように、まずは普通の天気図で、明日夜までの気圧配置と空模様の関係を概観しておきましょう。
天気予報番組では「高気圧に覆われるから晴れ」・・・という解説が多いすけど・・・ご存じのように、高気圧の端っこでは、必ずしも晴天になるとは限りません。
よく知られているところで・・・高気圧の南西側では、南東風が太平洋の暖湿気=雲や雨の原料を運び込んで曇りがちということになるわけですが・・・今回の高気圧でも例外なく暖湿気が流れ込んで、今夜には大陸沿岸で前線帯が顕在化。
気温は上がりますが、次第に雨雲が活発になることが予想されています。
また、時計回りの風が吹きだす高気圧の北東側には北西風が吹いていて・・・冬場には大陸の寒気を運んできますから、日本海沿岸を中心に雪雲モドキの低い雲に覆われる可能性が高いといえます。
まあ・・・今日は、こんな状況を考慮しても・・・ざっくりと「全国的に晴れ」と言ってもイイでしょうね。
ただ、明日には、高気圧が東海上に抜けて・・・西日本から気圧の谷(高気圧に挟まれて周囲より気圧が低い場所)が東進。
西日本から活発な雨が降り出し、夜には東海付近まで進んでくることが予想されています。
「全国的に・・・」というような天気は、夏場を除いてそうそう続くことはないんですけど・・・天気予報番組では結構耳にするのは・・・かなり大ざっぱに判断されているから?
それでは、いつものように専門の天気図で・・・・今日の空模様はもちろん、明日以降の空模様についてもチェックしておくことにしましょう。
まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・延々と続いた西高東低 冬型の骨格・・・上空の気圧の谷が東海上へ。
実況で見たように、好天をもたらす上空の気圧の尾根が日本上空にやってきます。
このため・・・下段の図・・・日本付近はちょうど日本の東西の幅と一致する大きさの高気圧に覆われて・・・まさに「全国的に」晴れベースの天気が計算されているわけです。
もっとも・・・再び上段の図・・・大陸からは次の上空の気圧の谷がいくつか・・・バラバラと南下してきます。
上空の気圧の谷は悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持っていますから、天気は西から下り坂に。
下段の図・・・今夜には、東シナ海や黄海方面で、前線帯の雨雲が活発になってくるのがわかりますよね。
続いて、上空の寒気の様子にも目を通しておきましょう。
上段の図・・・天気予報番組で天気図上に描かれる上空の寒気(冬将軍)の原図ですが・・・長かった寒波の寒気は今夜以降、すっかり東海上に抜けてしまうことが計算されています。
そして、日本上空には西から暖気が北上してきくる模様・・・・春の空気が上空にも流れ込んでくる気配を見せていますが・・・・
地上付近(上空約1500m)では・・・下段の図・・・・東日本以北で寒気がなかなか抜けていきません。
これは・・・・高気圧の中心が中部地方に進んでくるため、高気圧吹き出しの北よりの風が東日本以北に吹き続け、寒気を運び込むからだと思われます。
先にコメントしましたが・・・この寒気の影響で・・・北日本の日本海側では雲がとれにくい・・・でしたよね。
また、日射しは強まりますから、日中は体感も気持ちも?暖かくなったとかんじられるかもしれませんが、日没とともに冷え込む可能性がありますからご注意を。
なお、高気圧の南西側・・・高気圧のお尻の部分には、南東風に乗って暖気が北上してくることも計算されています。
南東風が運んでくる水蒸気も加味した暖湿気の様子もチェックしておきましたが・・・・
今夜にかけて東シナ海に暖湿気=雨の原料がグイグイと北上。
今日いっぱいは、ギリギリ九州に流れ込まないので「全国的に・・・」なんて言っていられるわけですが・・・明日には暖湿気の先端が日本海北部や、東海付近まで北上してきますから・・・「西から下り坂」ということになります。
また、暖湿気の量が次第に多くなっていきそうですから・・・明日以降は、暖湿気の入り口にあたる太平洋岸中心に活発な雨になることも予想されます。
それでは、とりあえず今日の空模様を、MSMシミュレーションを使って、具体的にイメージしておきましょう。
紫色は下層雲。
地上付近に寒気が流れ込みやすい北日本の日本海側・・・なかなか雲がとれにくく、チラチラということもありそうな気配。
厳密に言えば「全国的に晴れ・・・てくる」というのが正しい表現かもしれませんね。
また、東シナ海には南東風が運ぶ暖湿気による降水域が活発化・・・明日の下り坂の先端が見え始めています。
府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
それでは、西から下り坂・・・の天気が東・北日本に及ぶ2日21時の専門の天気図もチェックしておきましょう。
悪天パワーの親分といえる寒冷渦が沿海州へ進み、寒冷渦から延びる上空の気圧の谷が日本海を北日本へと東進しますから・・・明日、日本海を北上する低気圧(普通の天気図のアニメにありましたよね)は北海道付近で猛烈に発達。
低気圧の南側の前線通過に伴い、全国的に南よりの風・・・そして北よりの風が強まることが予想されます。
また、上空の気圧の谷の東進に伴って、谷に後ろ側には-36℃以下の強い寒気が南下してきますから・・・
地上付近には低気圧や前線に吹き込む暖湿気・・・上空には強い寒気というカタチが出来あがって、大気の状態が不安定に。
落雷や突風などの激しい現象も予想されます。
上空の気圧の谷の深さや進行の速度などによって、計算値に変化があるかもしれませんから、明日の最新の計算値で判断したいところですが、今週末は荒天ということは昨日の記事と変わりませんのでご注意を。
なお、向こう一週間の気温傾向ですが・・・
先日掲載した同じグラフから少々変化が見られ・・・週末の荒れ模様後の気温の低下はそこそこで、立春以降、再び気温が高めになることが予想されています。
もっとも、その理由は、暖気を運ぶ低気圧が日本付近を連発して通過するから。
こちらも、計算値に変化があるかもしれませんから、参考程度にしておいてくださいね。
府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2
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