今朝の長野市街地は1~2センチ程度の積雪。
志賀高原や菅平高原は雪雲に覆われ、山すそに雪のカーテンがかかっています。
一方、長野県中部・・・美ヶ原高原方面は・・・
凍りつくような青空。
ちょうど長野市付近が冬型の天気分布・・・日本海側の雪のエリアと太平洋側の冬晴れのエリアの境目になっているようです。
そんな今朝の実況ですが・・・
昨日広範囲に雨や雪を降らせた(南岸)低気圧が三陸沖を北上中。
まもなく北海道東岸の低気圧と合体して発達のピークを迎え・・・西高東低 冬型の気圧配置を完成させようとしています。
このため・・・低気圧に近い北日本では等圧線が大混雑。
沿岸や地形的に風が強まりやすい場所(谷や盆地など風の通り道になる場所)で強風が吹き荒れていて・・・すでに活発化している日本海側の(筋状の)雪雲と相まって・・・局地的には暴風雪、地吹雪になっていると思われます。
また、衛星の水蒸気画像からすると・・・大陸の寒気を運ぶ偏西風の強風帯が東日本に位置していて、その北側では大陸の真冬の寒気が流入中。
雪雲は上空まで勢いよく発達している可能性があります。
そして、日本付近の偏西風は西北西方向から(蛇行が)緩やかに流れ込んでいますから、偏西風が南北に大きく蛇行する場合と異なり、大陸から寒気がコンスタント流れ込み続ける状態になっていると考えられます。
とすると・・・冬型の気圧配置が完成すると・・・しばらくは同じ状態が続いてしまうかも?
ということで・・・今日の記事では、冬型の気圧配置が完成する今日の空模様と、しばらく続いてしまいそうな今回の寒波の様子をチェックしていきたいと思います。
まずは今日の空模様・・・
普通の天気図を使って、明日夜までの気圧配置の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。
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三陸沖を北上する低気圧が、今夜北海道東岸の低気圧と合体・・・西高東低 冬型の気圧配置が完成することが予想されています。
それも東~北日本中心に等圧線が混雑した強ーい冬型。
そして真冬並みの上空寒気が南下してきますから・・・
今夜にかけても日本海側を中心に雪雲が活発化し、強い季節風と相まって暴風雪になることも予想されます。
また、地上付近の雪の目安になる寒気が太平洋まで南下しますから、風向や地形によって太平洋側に雪雲が流れ込めば、太平洋側でも雪になる可能性大。
そして、北海道の北で低気圧が停滞してしまうため(冬型の気圧配置の固定化)・・・厳しい状況が明日夜にかけても続くことが予想されています。
このため、気象庁からは北日本を対象に「暴風雪と高波に関する全般気象情報」(「・・・と気象庁は注意を呼び掛けています」というニュース原稿のもとネタ)が発表されているわけですが・・・
実況でチェックしたように、真冬の寒気を運ぶ偏西風が東日本付近に位置していますから・・・
北陸や長野県北部でも断続的に強まる雪や風に注意が必要ということになります。
(もちろん、新潟県山間部や長野県北部山沿いには大雪注意報が発表されています)
このような季節外れ?の真冬の天気・・・
その原因を専門の天気図で詳しくチェックしていきましょう。
まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・午前中は悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持った上空の気圧の谷が、東~北日本を断続的に通過。
これに対応し、地上では・・・下段の図・・・低気圧が、上空の気圧の谷に蹴飛ばされるように、発達しながら北海道の北へと進み・・・もうひとつの低気圧と合体し・・・西高東低 冬型の気圧配置を形成することになります。
また・・・再び上段の図・・・夜にかけて悪天パワーの親分といえる寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離された寒気の渦)が北海道の北に南東進し・・・冬型の骨格を完成させるとともに固定化。
さらに上空の気圧の谷が緩やかに東~北日本に南下してくることが計算されています。
このため・・・下段の図・・・合体した低気圧が寒冷渦直下に入って発達のピークに向かい・・・日本海では雪雲がさらに活発化。
日本海西部では朝鮮半島を迂回する風が収束し、JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)という雪雲の帯が発生・・・降雪域(青の点線内)が日本海西部で朝鮮半島の付け根付近まで延びてくるようですから・・・収束線の延長線上に位置する山陰方面でも雪が活発化することが予想されます。
今夜にかけて冬型の気圧配置の骨格と、それにもとづく地上の空模様が完成してしまうわけですが・・・
冬型の気圧配置と相まって厳しい寒さと大雪をもたらす上空の寒気の様子にも目を通しておきましょう。
上段の図・・・いわゆる上空約5500mの冬将軍の寒気は・・・今夜にかけて北日本に流入。
北日本は大雪の目安=-36℃以下の寒気に覆われてしまいます。
また、それに輪をかけて地上付近(地形の影響を受けにくい上空約1500m)では・・・下段の図・・・平地で雪になる目安=-6℃以下の寒気は太平洋上まで南下し、さらにフワフワの積もりやすい雪を降らせる-12℃以下の寒気が北陸以北をすっぽりと覆ってしまうことが予想されています。
降るモノは、沖縄以外どこでも雪になりますから・・・まさに寒波襲来という感じですよね?
それでは以上のチェックポイントを再確認しながら、解像度の高いMSMモデル(シミュレーション)で、今日~明朝の空模様を、具体的にイメージしておきましょう。
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必要なことは書き込んでありますけど・・・・
日本海側の降雪が断続的に続き・・・冬型の気圧配置の骨格が完成し、上空の気圧の谷が通過する今夜・・・かなり活発化。
明日未明には、日本海西部に北西季節風の収束線(JPCZ)上で降雪帯が形成されて山陰方面でも雪が活発化することがわかります。
今日は北西のストレートな季節風が吹きつけるので、日本海側の降雪は沿岸部より山沿い中心の雪になると思われますが(長野県北部、長野市周辺も含む)・・・
今夜遅くからは、山陰で西北西に変化してきますから、山陰や北陸西部中心に沿岸平野部でもまとまった雪になる可能性があります。
結局・・・全方向でまとまった雪に注意・・・ということになりそうですから、最寄りの地域の天気予報や注警報には注意をしておいてくださいね。
なお、先にご覧いただいた暴風雪と高波に関する全般気象情報には降雪量の予測が書かれていませんでしたけど・・・短期予報解説資料(プロ用の資料)には・・・
3月の雪なんだから気象情報にも書いておいてイイんじゃない?と思いたくなるような、まとまった雪が予想されています。
府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
府県天気予報(マークの予報 天気分布をチェック): http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
(マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)
さて・・・この今夜完成する冬型の気圧配置。
北海道の北側で寒冷渦が居座り、寒気を運ぶ偏西風が西北西方向から緩やかに流れ込むた・・・しばらく続きそうなんですが・・・
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これは、気象庁が天気予報を作るために使っているGSMモデル(スパコンのシミュレーション)。
左が地上気圧と降水量・風・・・右が上空約5500mの冬将軍の寒気の様子。
(両者の時間がズレていて目がチカチカしそうでごめんなさい)
どうやら今回の寒波・・・少なくとも11日頃までは続くことがわかります。
また、冬と春のせめぎ合いの場・・・南岸低気圧を南海上まで押しやるだけの寒気の流入が続き・・・
11日までの間には、大雪の目安=-36℃以下の寒気だけではなく、-45℃を下回る超強烈な寒気が北日本に流れ込むことまで予想されています。
野球の遠投ではコントロールが定まらないように、シミュレーションも未来ほどブレが生じますから、ホントにこのようになるとは限りませんけど・・・
場合によっては3月としては記録的な寒波になってしまう可能性もありますから、今後の天気予報には注意をしていただきたいと思います。
府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/
(マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)
専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2
【オマケ】
今回の寒波の様子・・・北半球の寒気の分布でご覧ください・・・
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可能な限り返信いたします。
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