西日本では大雨が続いていますが・・・
今日も気になる台風11号の今後の進路や影響について、各国の気象機関の計算値を比較することから始めましょう。
気象庁予想進路図: http://www.jma.go.jp/jp/typh/
米軍(JTWC)予想進路図: http://www.usno.navy.mil/JTWC/
例によって、気象庁と米軍(JTWC)の予想進路を比較したものですが・・・・
8日頃までは両者ほぼ同様ですが、9日以降は米軍(JTWC)の進路図のほうが台風を早めに進め、西日本を北東進させていることがわかります。
台風を足早に北東進させる偏西風に早く乗ることを予想しているからだと思われますけど、その違いは気象庁の予想進路図の予報円の範囲内の違いに過ぎません。
予報円が非常に大きくなっているのはそれだけ計算値にバラツキがあるということ。
どちらの予想が正しいということではなく、それだけ安全マージンを大きくとる必要があると考えるべきでしょう。
では予想進路図の「その先」はどうなっているのか?
もちろん、安全マージンを大きくとって考える必要がありますが、「仮に計算値通りに推移したらこのようなことが起こり得る」という見方で、各国の計算値をご覧いただきたいと思います。
まずは気象庁発表のGSMモデル。
ここ数日、新しい計算値が発表されるたびに、計算結果が大きく変化しているのが気象庁のGSMモデルですが、一昨日、突如台風の西進をはじき出してから、昨日、日本付近を北東進する予想に戻り、今日も一貫して北東進を予想しています。
ただ、北東進を始めるタイミングについては昨日の計算値よりやや早めに変化し、10日頃になっています。
仮にこのようなコースを進んだ場合、台風の東側では、暖かく湿った空気(暖湿気=雨の原料)の流れ込みによって、太平洋側中心の大雨が予想されます。
そして、台風が九州付近で北東に転向する際、停滞する時間が長くなればなるほどその影響は大きくなると思われます。
では、アメリカ気象機関(NOAA)が発表しているGSMモデルはどうなっているでしょうか?
コースに関しては昨日と同様、西日本を北東進することを予想していますが、そのタイミングが約1日ほど遅れ、9日頃になる予想に変化しています。
米軍(JTWC)の予想進路図とほぼ同じといってよさそうですが・・・・
台風が北東進するタイミングについて、気象庁のGSMモデルが早めに変化し・・・アメリカのGFSモデルが遅めに変化していますから・・・両者が歩み寄って一定のタイミングに定まりつつあるのかもしれません。
ちなみにヨーロッパ中期予報センターの計算値は・・・
やはり北東進のタイミングが、昨日の計算値より1日ほど遅くなっていて、コースはアメリカGFSモデルとほぼ同じ。
総合して考えると「現時点」では、9日頃から北東進する可能性が大きくなったということかもしれませんが???
いずれにしても、台風の東側で大雨になるおそれが非常に高そうですから、強風や高波、高潮等、直接の影響に加えて、台風接近前から始まる大雨を想定した対策や計画を考えておいたほうがよさそうですね。
アメリカ海軍HP: https://www.fnmoc.navy.mil/wxmap_cgi/index.html?tab=global#global
ヨーロッパ中期予報センター: http://www.ecmwf.int/en/forecasts/charts
韓国気象庁HP: http://web.kma.go.kr/jpn/weather/images/forecastchart.jsp
今日も台風が北東に転向する直前(8日21時)の上空の太平洋高気圧の張り出し具合をまとめておきましたが・・・
気象庁のGSMモデルとアメリカGFSモデルの違いはほんのわずか。
台風の東進をブロックする上空の太平洋高気圧の張り出し方のわずかの違いと・・・台風を北東に押し流す偏西風が南下するタイミングの微妙な違いによって・・・台風の動向が大きく変化することがわかります。
まだまだコマメなチェックが必要になりそうです。
では、ここからは、今日の空模様をチェックしていくことにしましょう。
まず、予報のスタートラインといえる今朝の実況から。
太平洋高気圧縁辺を回り込むように、南西方向から西日本に暖かく湿った空気(暖湿気=雨の原料)が流入。
このため、四国の雨は小康状態になっているようですが、暖湿気が直接流れ込むようになった九州北西岸にはライン状の雨雲がかかって、活発な雨になっていることがわかります。
また、暖湿気の行き着く先・・・北海道方面では、暖湿気が大陸の冷涼な空気とぶつかって前線や低気圧が発生。
北海道西岸を中心に激しい雨になっていることがわかります。
ということで・・・西と北で大雨。
一方、太平洋高気圧が張り出している東日本方面では晴天域が広がっていて・・・熱帯夜続出。
朝から30℃を超える猛暑になっています。
では、この状態・・・これからどうなるのか?
まずは普通の天気図を使って、明日夜にかけての気圧配置の変化と空模様の関係を、大ざっぱに把握しておきましょう。
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気圧配置は明日にかけても大きく変化しませんが・・・重箱のスミを突くような見方をすれば・・・
今日は、太平洋高気圧が少しずつ弱まってくるため・・・西日本では暖湿気=雨の原料の流れ込みが再び南寄りに変化して、九州の大雨の後は、四国~東海など太平洋側で雨が活発化。
また、北日本を前線上の低気圧が通過して一時的に雨が強まった後、前線が南下し、東北北部でも雨が活発化してくることが予想されます。
引き続き大雨警戒モードと、猛暑モードが続くわけですが・・・
そんな様子を専門の天気図(気象庁GSMモデル)で詳しくチェック。
まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・上空の太平洋高気圧が関東付近に張り出し続けていて、乾燥した熱風が吹き降りる関東方面は今日も厳しい暑さ。
雷雲も頭を押さえられ、雷雨は北関東や長野県の山沿いに限られることに。
一方、台風を北東進させるはずの偏西風は北日本付近に位置していて、悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)を持った上空の気圧の谷(偏西風の南側への蛇行域)が、弱まりながら(浅くなりながら)北日本方面に進むことが予想されています。
このため地上では・・・下段の図・・・関東付近は晴天域が広がり続け・・・
北日本では前線の降水帯が活発化。
そして、西日本では太平洋高気圧縁辺の湿った南寄りの風が吹き込み続け、まとまった雨の降りやすい状態が続くことが予想されています(詳しくは図中のコメントをお読みください)。
つづいて、西と北の雨の原料になる暖かく湿った空気(暖湿気)が流れ込む様子にも目を通しておきましょう。
テレビの天気予報では、天気図に赤い矢印が書き込まれるだけですけど、相当温位図という天気図を使えば、暖湿気の流れ込みの様子・・・よりリアルにイメージできませんか?
南西風に乗って九州~日本海経由で北海道に流れ込んでいる暖湿気が・・・太平洋高気圧のわずかな弱まりと、台風11号の北上によって微妙に南寄りに変化・・・四国や東海方面への流れ込みが強まり始めることがわかります。
このため、太平洋側で再び雨が活発化し、そのエリアがやや東に拡大することに。
(明日は東日本にも流れ込んで、広範囲で大気の状態不安定に)
一方、関東付近は比較的乾燥傾向。
夕立の発生が少ないことが予想されます。
ということで・・・最後は以上のチェックポイントを確認しつつ、解像度の高いMSMモデル(シミュレーション)を使って、今日~明朝の空模様を、具体的にイメージしておきましょう。
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西日本の大雨についてはニュースでも伝えられていますから、警戒モードもピークになっていると思いますけど・・・・
北日本の雨が、西日本の雨に匹敵するほど激しいことに驚かれると思います。
収束線に沿った雨なので、激しい雨や落雷に加えて、竜巻などの突風にも要注意!!
前線に沿ったライン状の雨雲ですから、サッサと通過してしまえば影響は小さくて済みますけど、いったん同じ場所に停滞してしまうと、災害に結びつく大雨になるおそれがあります。
西と北で大雨警戒!・・・東日本は熱中症に警戒!
日本全国警戒モードの一日になりそうです。
府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
府県天気予報(マークの予報 天気分布をチェック): http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
(マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)
府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/
(マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)
専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2
今日は外出先からモバイルでの更新。
更新時間がちょっと遅くなりました。
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自分のGPV天気予報とNOAAのピンポイント予想とECMWFのアジアの予想図くらいは見て仲間内にメーリングリストで教えていましたが、このサイトは情報は細かく、解説も丁寧で、このサイトを見てねって言えば済むことでした。
毎日のように更新されているのも頭が下がります。
できれば埼玉の週末の風の話しもはあるとうれしいです。 ^^;
と言っても今のままでも、充分過ぎるくらいです