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台風5号は温帯低気圧に・・・台風が残した暖湿気?それとも元台風に流れ込む暖湿気??


 今朝03時、台風5号は温帯低気圧に変わりました。
 といっても台風一過の晴天にはならず、天気予報で伝えられているように大気の状態が不安定。
 各地でにわか雨や雷雨が予想されています。

 で・・・大気の不安定な状態の原因・・・
 昨日の夕方以降、全国ネットの天気予報を見ていると、解説に2パターンあることに気づきました。
 (録画して見比べてしまうクセ・・・治らないんですよね)

 ①「台風が残した暖湿気の上に(寒冷渦の)寒気が南下してくるため」
 ②「北上する台風(低気圧)に暖かく湿った南寄りの風が吹き込み上空の寒気も南下してくるため」

 どちらも地上付近に暖湿気(暖かく湿った空気)、上空に寒気があることを伝えているわけですけど・・・
 暖湿気が残る(減る傾向)のか?(新たに)暖湿気が流れ込むのか?という点で、天気変化の傾向は異なることになります。
 さて解説としてどちらが良いのか???

水蒸気画像アニメ180612
(スマホ版のブログではアニメが動きません。「PC版サイトを見る」に設定してご覧ください)
 
 これは昨夜21時~今朝03時の水蒸気画像。
 日本海から冷涼で乾燥した空気が流れ込み、台風が運び込んだ暖かく湿った空気(白い水蒸気エリアとほぼ対応)を東海上に押し出ている・・・と見るのが自然だと思います。

 とすると・・・同じ暖湿気でも「台風が残した暖湿気」という表現のほうがピッタリといった感じ。

 さらに暖湿気の様子を、気温に水蒸気の様子を加味した相当温位図でチェックすると・・・

相当温位180612

 台風が本州上に運び込んだ強い暖湿気(水色の濃いエリア)が、日本海の低気圧西側の(昨日台風5号が日本海にまで運び込んだ)弱い暖湿気を運ぶ北西の風によって、東海上に押し出される様子がわかります。

 確かに関東付近には局地的に南西風は吹き込みますけど、南西風は遠州灘、熊野灘、土佐沖の(比較的乾いた)暖気を運び込むだけで、暖湿気を運ぶと表現するのには違和感を感じます(海風のように多少は湿った空気を運び込むでしょうが、今日の不安定な大気を形成する主因とは言えないと思います。ただ「暖湿気が流れ込んで・・・」という解説が間違いと言っているわけではありません)。

 お読みいただいている方の中には「どっちでもイイじゃん」と感じている方も多いと思いますが、放送で天気予報を伝える以上は「使用するコトバの裏付け」を必ず行い、誰に質問されても困らない(責任のとれる?)「裏付けのあるコトバ」を使わなくてはなりません(たとえ少数意見でも)。
 
 天気予報のコメントを聞いていると、「シッカリ解析してコトバを選んでいるな」と感じる解説もあれば、「パターン化されたコメントを並べているだけ」とか「誰かのコメントをパクっているだけじゃないの?」と感じる解説もあります。

 で・・・このところ「パターン化された」「裏付けが浅いな」と感じるコメントを耳する機会が多く、これでイイのかな??と悶々とした気持ちでいたところ・・・・


 今朝、情報番組のベテラン気象予報士が、週間予報の解説の中で「しばらくは暑さは控えめ」という表現を使っていることに気づきました。

 昨日から「晴れて暑い日が続くので体調管理や熱中症に・・・」というコメントばかり耳にしていた中、「暑いけれど暑すぎず、かといって肌寒くもない」という微妙な状況を的確に表現する「控えめ」という表現に「裏付けのあるコトバ」を感じて、思わずこんなTweetをしちゃいました(気象状況は昨日の記事参照)。



 ・・・どうでもイイ話でごめんなさい。
 (似た話で・・・最近”発雷確率”(結果)「だけ」を伝える天気予報が多いんですけど、果たしてそれだけでイイの??と感じています。発雷確率の高い理由を伝えなくてもイイの?ガイダンスである発雷確率はクセは?? そこで発雷確率に関する論文を読んでいたりします。)


今日の空模様・・・東~北日本中心に大気の状態 不安定!


 それでは、ここから今日の空模様


 (1)予報のスタートライン・・・実況


 今朝の長野市街地・・・

菅平180612

 台風が過ぎ去っても台風一過の青空にはならず、どんよりとした梅雨空が続いています。
 (台風一過というイメージが強いのは嵐の後の青空が眩しいからですかね?)

 最低気温は18.9℃(06時21分)。
 湿度が90%以上あって、涼しくても「空気がまとわりつく」感があります

 そんな今朝の実況ですが・・・

実況180612

 先にご紹介したように、台風5号は温帯低気圧に。
 梅雨前線上の低気圧として、何事もなかったかのように東海上を北東進しています。

 そして梅雨前線は沖縄の南~伊豆諸島の南まで南下。
 台風一過のイメージ通りなら前線の北側で晴れてくるはずなんですが・・・・

 台風一過にならないポイントは東北日本海側の小低気圧。

 衛星の水蒸気画像を見ると、北東側上空には悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)の親分といえる寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離された寒気の渦)が控えていることがわかります(ジャイアンを背にしたスネ夫状態?)。

 また小低気圧は元台風の低気圧北側の三陸沖の暖湿気(暖かく湿った空気)を日本海まで引き込んでいます。

 このため地上に暖湿気・上空に寒気・・・という大気の状態を不安性にするセットが完成し、北日本の日本海側に活発な雨雲を形成。
 さらに東日本や西日本にも、日本海側を中心に梅雨空をもたらしています。

 そして寒冷渦がさらに南下する夜にかけて・・・日本海の低気圧が引き込む暖湿気と、台風5号が「残した」暖湿気の気温も上昇し・・・東~北日本を中心に、にわか雨や雷雨の可能性が高まることになります。


 (2)今日の空模様・・・気象庁発表のGSMモデル


 それでは今日これからの空模様・・・気象庁発表のGSMモデル(スーパーコンピューターによるシミュレーション)を使って詳しくチェックしていきましょう。

GSM180612
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 まずは上段の図・・・地上の空模様の骨格にあたる上空の気圧配置ですが・・・悪天パワー(地上の低気圧や雨雲を活発にするチカラ)と-15℃以下の寒気を伴う寒冷渦(寒気を運ぶ偏西風が大きく蛇行し、ついには流れから切り離された寒気の渦)が北海道の西方へと北東進。

 加えて、-10℃以下の寒気と悪天パワーを伴う上空の気圧の谷(赤の点線:偏西風の南側への蛇行域)が東日本を通過して東海上に抜け・・・
 この上空の気圧の谷を追いかけるように、後続の上空の気圧の谷が西~東日本を通過。
 さらに、日本海を-15℃以下の寒気を伴う上空の気圧の谷が南下してくることが予想されています。

 ということで、日本付近には断続的に悪天パワーが降り注ぎ、上空の気温はジワジワと下降。
 下り坂に向かうとともに大気の状態が不安定になることが予想されます。

 で・・・このような空模様の骨格に対応して地上では・・・下段の図・・・北東進する上空の気圧の谷が次々と追い越していくため、あまり発達しないまま日本海の低気圧は秋田県付近に上陸。
 一方上空の気圧の谷の通過に伴い、台風が過ぎ去った後の三陸沖に、新たな低気圧が発生。
 この低気圧と日本海の低気圧の北側で等圧線が混雑し、北日本では暖かく湿った東よりの風の強い状態が続くことが予想されています。

 もちろん荒れ模様の天気が続くわけですけど・・・
 この東風が、寒気を伴う上空の気圧の谷が通過中の日本海まで(下層)暖湿気を運び込むため、東~北日本は夜にかけて大気の不安定な状態が継続。
 広範囲に不安定性の降水と思われる小規模な降水域が予想されています(午前中は西日本も)。
 (15℃以上の暖気が残り(海風で流入も)、晴れて昇温する関東周辺で特に不安定?)

 そこでもう一度・・・暖湿気の流れ込みを相当温位図で・・・

相当温位180612
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

 日本海の低気圧が三陸沖の暖湿気を引き込み、東海上に抜けていく「残った暖湿気」を日本海側から補充?
 東~北日本中心のにわか雨や雷雨の素になることがイメージできます。


 (3)気象庁MSMモデルで空模様を具体的にイメージ


 それでは以上のチェックポイントを確認しつつ・・・

 解像度の高いMSMモデル(スーパーコンピューターによるシミュレーション)を使って、今日~明朝の空模様を具体的にイメージしておきましょう。

全国流線アニメ180612
(スマホ版のブログではアニメが動きません。「PC版サイトを見る」に設定してご覧ください)

 詳しくはアニメ中の書き込みをお読みいただくとして・・・

 北日本ほど広範囲ではないものの、局地的なにわか雨や雷雨の発生が心配される近畿~関東甲信付近の15時の予想図を拡大しておきました。

関東拡大180612

 太平洋側の「残った暖湿気」は比較的早めに抜け、夕方以降は日本海から補充される?暖湿気によって雨雲が発生する・・・なんていうシナリオもイメージできます。

 今日、沸き上がった雨雲を押し流す上空約3000mの風は西~西南西風。
 とりあえず西の空に要注意・・・ですね。

 ということで・・・今日は新潟県妙高市で一仕事。
 早めに出かけて沸き上がる積雲~積乱雲のタイムラプス撮影でもしようかと・・・


 府県天気予報(更新5時・11時・17時): http://www.imocwx.com/yohoud.htm
 府県天気予報(マークの予報 天気分布をチェック: http://www.jma.go.jp/jp/yoho/
 気象庁時系列予報: http://www.jma.go.jp/jp/jikei/
  (マークの予報は府県天気予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

 府県週間天気予報(更新11時・17時): http://www.imocwx.com/weekd.htm
 府県週間天気予報(マークの予報): http://www.jma.go.jp/jp/week/     
  (マークの予報は府県週間予報の括弧内(テロップ番号)をマーク表示したもの)

 気象庁発表GSM・MSMモデル 無料サイト: http://weather-gpv.info/
 アメリカ気象機関(NOAA)GFSモデル: http://mag.ncep.noaa.gov/
 アメリカ海軍 HP GFSモデル: https://www.fnmoc.navy.mil/wxmap_cgi/index.html?tab=global#global
 ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF): http://www.ecmwf.int/en/forecasts/charts/catalogue

 専門の天気図は以下のURLで、無料で入手可能です。
          http://n-kishou.com/ee/exp/exp01.html?cd=fxfe502&cat=e2
        http://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.html

拡大GSM180612 拡大相当温位180612
(図をクリックすると注釈の書き込みのない図が拡大します)

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