今回はありがたいことに以前教えていただいたものの後回しになっていたネタで一つ。
日本の三国志系コンテンツは昔から良くも悪くも中国国内の三国志事情に影響を及ぼしてきたという話がありますが、特にコーエーのゲームは中国オタク界隈の幅広い世代に影響があり中でも無双シリーズの影響が顕著なのだとか。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本の三国志ゲームの影響はとても大きい」
などといったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
実は日本の三国志ゲーム、特に無双シリーズの中国に対する影響はとても大きいと聞くけど、実際はどんなものなんだろう?
大人気な趙雲が無双系のデザインが主流になっている時点で影響は無茶苦茶大きいのが分かるはず
現代だと趙雲はおさげの髪形の方が普通になっているくらいだからな……あと呂布なんかも気が付いたら無双系のデザインばかりになっていた
髪形もだけど装備も。
今の国産趙雲のキャラデザ、8割以上は無双から来た抹額を装備しているかと。
曹操と織田信長のイメージが重なるのも、魏が青で蜀が緑で呉が赤のイメージになっているのもコーエーのゲームのせい
初期の「三国殺」のカード画像とかコーエー系をパク……もといかなり参考にしていたし、三国志系のキャラデザはコーエーの影響無茶苦茶大きいよ
「三国殺」は好意的に言えば「真・三国無双」の二次創作的なアレかも?
コーエーの三国武将のデザイン、特に無双シリーズも中国の伝統的なパーツを取り入れていたのも当時は受け入れやすい理由になっていた
コスプレイベントで国産作品しかテーマにしてはダメになった時、三国無双系コスプレはリソースを流用できて大活躍だったのを思い出した
三国演義と西遊記や水滸伝の違いを見ると、そもそも三国志のゲーム、特に無双系がなかったらウチの国の三国志系コンテンツは現代のように盛り上がっていなかった可能性もある
武将をキャラクターコンテンツとして使うにしても叩き台となるイメージ、数字的な設定がなければソシャゲに落とし込むのも難しい
ソシャゲで思い出したが女性キャラに関する影響は大きいというかほぼそれだと思う
女性武将は大体無双シリーズからだ
現代で有名な三国志の女武将でよく知られているのはほとんどがコーエーからだしな
元ネタはあってもほとんど知られていなかった、存在しても現在のような名称で定着していなかった女性武将ばかり
王異とかウチの国での扱いや伝統的な考え方だと出てこない
可能性は0ではないけど、戦うキャラとしては絶対に出てこなかったはず
日本のゲームはどうにかして女性キャラを増やせないか史実を探して拡大解釈するけどウチの国では「ありえない」、「伝統文化でそんなことしたら批判されて危ない」というのでやめてしまうからな
あー……確かに三国系コンテンツにそのまま活躍する女性キャラをぶち込む発想はこっちでは出なかったかも
さすがに「娘化」までは日本の三国系作品から影響を受けなかったのには正直安心している
現代の感覚で昔のコーエーのゲームの売上げを見て「影響は大したことない」「中国には大して入っていない」みたいに言う人もいる。
しかし当時の中国国内は海賊版の全盛期だったし3Dゲームで爽快に遊べる草刈ゲーというのも他に無かったから数字では分からない部分がかなりある。
個人的な印象だが特に影響が大きかったのは「真三國無双3」だと思う。
低スペックでも遊べるPC版があったしネットカフェでも定番だった。その後の「4」「5」も影響は大きかった。
私が小さい頃にたくさんあったPS2遊ばせるゲームセンターだと半数以上は無双シリーズ遊んでいたように思う
無双シリーズといえば、戦う曹操は当時かなりの衝撃だった
現在の曹操の評価や扱いからは考えられないけど
昔の演劇とかだと曹操ってやられ役の雑魚敵だったからなあ
良い扱いをするのはまだ分かるが、戦闘力を持たせるというのは結構な衝撃だった
ウチの国の三国志ファン界隈で論争が起こるキャラ解釈はかなり無双の影響があるのがヤヤコシイ。例えば孫権の天下統一に関するスタンスとか明らかに無双の影響が混じっているのでどうなのかと思う。
無双のキャラ造形は作品ごとに娯楽優先で誇張した、場合によっては創造したものなのに……
当時は無双シリーズもだけど英傑伝、孔明伝の影響も大きかったよ
SRPGのユニットとして武将を使うことで武将をストーリー上の動かせるゲームキャラとして認識されるようになったし、三国志に介入してif展開になるという「遊び方」も体験できたわけで
一般の認識もだけど作品への影響も非常に大きい
基本的に今の中国の三国志ゲーはほぼコーエーのゲーム、特に無双ゲーの影響を受けていると見て良いと思う
システムとか以前に、キャラクターデザインに無双の影響が見て取れる
上でも言われているが女性武将の知名度や認識の変化は本当に大きい
有名所では星彩と呂玲綺はほぼ無双の影響だ
昔は張飛の娘や呂布の娘は意識されなかったし名前も知られていなかった
今では張飛の娘も呂布の娘も三国志好き以外に知られるようになっているけど、その際に認識されている名前はほぼ張星彩と呂玲綺だからな
呂布の娘は存在したけど名前は分かっていないので「呂玲綺」はコーエーがゲームのために勝手に設定したものだ
当時の中国国内では張飛の娘の名前が星彩だというのは無双シリーズから知った人がほとんどだったはず
そしてその後に作られた中国国産のスマホゲーではどれも張飛の娘を「張星彩」と命名するようになり、現代ではそれらの作品を通じて張飛の娘が張星彩と認識されるようになっている
「三国殺」の初期の原画やキャラ名は明らかにコーエーのゲームから持ってきていたし女性武将の名前や存在も当時のウチの国では一般的ではないものだったのを覚えているよ
そして女性キャラが増えたことによって国産二次元ゲームとしても広くアピールしやすくなったんだよね
スマホアプリゲー全盛の現代だと分かり難いだろうけど、00年代後半くらいからのブラウザゲーが盛り上がっていた時期はネットの広告も三国無双系のパクリキャラや無双シリーズ的な強さと爽快感アピールのがそこら中で流れていたし影響を強く感じられた
昔の趙雲も人気の高いカッコイイ武将扱いではあったけど、今ほどイケメンで理想的な武将というイメージは無かったな
無双が入ってからイケメンというイメージが大幅に強化されたのは確かだろう
こっちでは嫌われキャラだからあまり問題になってないけど、呂布は伝統演劇のキャラデザがかなり消えちゃっているのはちょっとした問題に思える
現在の呂布のキャラデザは概ね無双シリーズのような装備になっているのでキャラの印象がかなり無双っぽい感じに……
(中国における伝統的な呂布像に関してはnoteの記事中国では美形悪役な側面もある呂布、そして呂布が中国で全面的に嫌われる理由等もよろしければご参照ください)
呂布に関しては外見もだけど中身もだよ
演義にあるような伝統的な「小人」ヴィランから乱世の英雄の一角というキャラになっているので人によってはかなり引っかかる
この際だから言ってしまうが、私は三国関連の本はほぼ読んでいない……知識やイメージは全部ゲームやネットから知ったものだ……!
その辺は昔も似たようなものだった。いや、むしろ今の方がマシかもしれない。
今はネットに現代中国語でまとまった情報があるけど、昔はそういうのも少なくて今よりも知識のソースが大体無双みたいなのが珍しくなかったように思う。
国内だとまず「古典の原著を読め」になっていたしドラマや演劇もハードルが高かったので入り口がゲームになるのも無理はないんだよ
私も小学校の頃に「真三國無双」の「3」から三国系コンテンツに入ったのでいまだにそっちのイメージを引きずっている
中国国内は子供が楽しめる、理解できる三国系コンテンツが少ない状態が最近まで続いていた
たぶん現代の若者は30年くらい前の中国国内の三国演義に関する一般レベルの知識の無さは想像できないと思う
それでも知識量としては昔より圧倒的に多いはずだよ
前世紀は三国志のストーリー全体を知っている人の方が少なくてソースは伝統演劇になるような断片的なエピソードだけだった
昔の馬超の人気とかも主に有名な伝承、劇の題材になっていたからだしな
馬超は三国系作品が増えて三国志の全体像を把握できる知識を持った人間が増えた結果、相対的に人気と評価が落ちていったキャラだ
そして三国系作品が増え特定の知識とイメージが広まった背景には日本のゲームがあるので、極端な言い方をすれば「日本のゲームのせいで人気が落ちた武将」になるのかもしれない
とまぁ、こんな感じで。
昔の中国オタク界隈の三国志事情も含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「三国武将をゲームのキャラとして扱う、キャラクターコンテンツとして扱う考え方に関して日本のゲームの影響はかなり大きいです。昔の中国では四大名著は原作を可能な限り維持するのが正しいことで娯楽性優先の翻案は文化の破壊行為扱いでした。娯楽的な翻案を思いつくことはあっても、作品として形にしようという考えにはならなかったのです」
などといった話もありました。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
日本の三国志系コンテンツは昔から良くも悪くも中国国内の三国志事情に影響を及ぼしてきたという話がありますが、特にコーエーのゲームは中国オタク界隈の幅広い世代に影響があり中でも無双シリーズの影響が顕著なのだとか。
そんな訳で以下に中国のソッチ系のサイトで行われていた
「日本の三国志ゲームの影響はとても大きい」
などといったことに関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
実は日本の三国志ゲーム、特に無双シリーズの中国に対する影響はとても大きいと聞くけど、実際はどんなものなんだろう?
大人気な趙雲が無双系のデザインが主流になっている時点で影響は無茶苦茶大きいのが分かるはず
現代だと趙雲はおさげの髪形の方が普通になっているくらいだからな……あと呂布なんかも気が付いたら無双系のデザインばかりになっていた
髪形もだけど装備も。
今の国産趙雲のキャラデザ、8割以上は無双から来た抹額を装備しているかと。
曹操と織田信長のイメージが重なるのも、魏が青で蜀が緑で呉が赤のイメージになっているのもコーエーのゲームのせい
初期の「三国殺」のカード画像とかコーエー系をパク……もといかなり参考にしていたし、三国志系のキャラデザはコーエーの影響無茶苦茶大きいよ
「三国殺」は好意的に言えば「真・三国無双」の二次創作的なアレかも?
コーエーの三国武将のデザイン、特に無双シリーズも中国の伝統的なパーツを取り入れていたのも当時は受け入れやすい理由になっていた
コスプレイベントで国産作品しかテーマにしてはダメになった時、三国無双系コスプレはリソースを流用できて大活躍だったのを思い出した
三国演義と西遊記や水滸伝の違いを見ると、そもそも三国志のゲーム、特に無双系がなかったらウチの国の三国志系コンテンツは現代のように盛り上がっていなかった可能性もある
武将をキャラクターコンテンツとして使うにしても叩き台となるイメージ、数字的な設定がなければソシャゲに落とし込むのも難しい
ソシャゲで思い出したが女性キャラに関する影響は大きいというかほぼそれだと思う
女性武将は大体無双シリーズからだ
現代で有名な三国志の女武将でよく知られているのはほとんどがコーエーからだしな
元ネタはあってもほとんど知られていなかった、存在しても現在のような名称で定着していなかった女性武将ばかり
王異とかウチの国での扱いや伝統的な考え方だと出てこない
可能性は0ではないけど、戦うキャラとしては絶対に出てこなかったはず
日本のゲームはどうにかして女性キャラを増やせないか史実を探して拡大解釈するけどウチの国では「ありえない」、「伝統文化でそんなことしたら批判されて危ない」というのでやめてしまうからな
あー……確かに三国系コンテンツにそのまま活躍する女性キャラをぶち込む発想はこっちでは出なかったかも
さすがに「娘化」までは日本の三国系作品から影響を受けなかったのには正直安心している
現代の感覚で昔のコーエーのゲームの売上げを見て「影響は大したことない」「中国には大して入っていない」みたいに言う人もいる。
しかし当時の中国国内は海賊版の全盛期だったし3Dゲームで爽快に遊べる草刈ゲーというのも他に無かったから数字では分からない部分がかなりある。
個人的な印象だが特に影響が大きかったのは「真三國無双3」だと思う。
低スペックでも遊べるPC版があったしネットカフェでも定番だった。その後の「4」「5」も影響は大きかった。
私が小さい頃にたくさんあったPS2遊ばせるゲームセンターだと半数以上は無双シリーズ遊んでいたように思う
無双シリーズといえば、戦う曹操は当時かなりの衝撃だった
現在の曹操の評価や扱いからは考えられないけど
昔の演劇とかだと曹操ってやられ役の雑魚敵だったからなあ
良い扱いをするのはまだ分かるが、戦闘力を持たせるというのは結構な衝撃だった
ウチの国の三国志ファン界隈で論争が起こるキャラ解釈はかなり無双の影響があるのがヤヤコシイ。例えば孫権の天下統一に関するスタンスとか明らかに無双の影響が混じっているのでどうなのかと思う。
無双のキャラ造形は作品ごとに娯楽優先で誇張した、場合によっては創造したものなのに……
当時は無双シリーズもだけど英傑伝、孔明伝の影響も大きかったよ
SRPGのユニットとして武将を使うことで武将をストーリー上の動かせるゲームキャラとして認識されるようになったし、三国志に介入してif展開になるという「遊び方」も体験できたわけで
一般の認識もだけど作品への影響も非常に大きい
基本的に今の中国の三国志ゲーはほぼコーエーのゲーム、特に無双ゲーの影響を受けていると見て良いと思う
システムとか以前に、キャラクターデザインに無双の影響が見て取れる
上でも言われているが女性武将の知名度や認識の変化は本当に大きい
有名所では星彩と呂玲綺はほぼ無双の影響だ
昔は張飛の娘や呂布の娘は意識されなかったし名前も知られていなかった
今では張飛の娘も呂布の娘も三国志好き以外に知られるようになっているけど、その際に認識されている名前はほぼ張星彩と呂玲綺だからな
呂布の娘は存在したけど名前は分かっていないので「呂玲綺」はコーエーがゲームのために勝手に設定したものだ
当時の中国国内では張飛の娘の名前が星彩だというのは無双シリーズから知った人がほとんどだったはず
そしてその後に作られた中国国産のスマホゲーではどれも張飛の娘を「張星彩」と命名するようになり、現代ではそれらの作品を通じて張飛の娘が張星彩と認識されるようになっている
「三国殺」の初期の原画やキャラ名は明らかにコーエーのゲームから持ってきていたし女性武将の名前や存在も当時のウチの国では一般的ではないものだったのを覚えているよ
そして女性キャラが増えたことによって国産二次元ゲームとしても広くアピールしやすくなったんだよね
スマホアプリゲー全盛の現代だと分かり難いだろうけど、00年代後半くらいからのブラウザゲーが盛り上がっていた時期はネットの広告も三国無双系のパクリキャラや無双シリーズ的な強さと爽快感アピールのがそこら中で流れていたし影響を強く感じられた
昔の趙雲も人気の高いカッコイイ武将扱いではあったけど、今ほどイケメンで理想的な武将というイメージは無かったな
無双が入ってからイケメンというイメージが大幅に強化されたのは確かだろう
こっちでは嫌われキャラだからあまり問題になってないけど、呂布は伝統演劇のキャラデザがかなり消えちゃっているのはちょっとした問題に思える
現在の呂布のキャラデザは概ね無双シリーズのような装備になっているのでキャラの印象がかなり無双っぽい感じに……
(中国における伝統的な呂布像に関してはnoteの記事中国では美形悪役な側面もある呂布、そして呂布が中国で全面的に嫌われる理由等もよろしければご参照ください)
呂布に関しては外見もだけど中身もだよ
演義にあるような伝統的な「小人」ヴィランから乱世の英雄の一角というキャラになっているので人によってはかなり引っかかる
この際だから言ってしまうが、私は三国関連の本はほぼ読んでいない……知識やイメージは全部ゲームやネットから知ったものだ……!
その辺は昔も似たようなものだった。いや、むしろ今の方がマシかもしれない。
今はネットに現代中国語でまとまった情報があるけど、昔はそういうのも少なくて今よりも知識のソースが大体無双みたいなのが珍しくなかったように思う。
国内だとまず「古典の原著を読め」になっていたしドラマや演劇もハードルが高かったので入り口がゲームになるのも無理はないんだよ
私も小学校の頃に「真三國無双」の「3」から三国系コンテンツに入ったのでいまだにそっちのイメージを引きずっている
中国国内は子供が楽しめる、理解できる三国系コンテンツが少ない状態が最近まで続いていた
たぶん現代の若者は30年くらい前の中国国内の三国演義に関する一般レベルの知識の無さは想像できないと思う
それでも知識量としては昔より圧倒的に多いはずだよ
前世紀は三国志のストーリー全体を知っている人の方が少なくてソースは伝統演劇になるような断片的なエピソードだけだった
昔の馬超の人気とかも主に有名な伝承、劇の題材になっていたからだしな
馬超は三国系作品が増えて三国志の全体像を把握できる知識を持った人間が増えた結果、相対的に人気と評価が落ちていったキャラだ
そして三国系作品が増え特定の知識とイメージが広まった背景には日本のゲームがあるので、極端な言い方をすれば「日本のゲームのせいで人気が落ちた武将」になるのかもしれない
とまぁ、こんな感じで。
昔の中国オタク界隈の三国志事情も含めてイロイロな話が出ていました。
ちなみに今回のネタを教えてくれた方からは
「三国武将をゲームのキャラとして扱う、キャラクターコンテンツとして扱う考え方に関して日本のゲームの影響はかなり大きいです。昔の中国では四大名著は原作を可能な限り維持するのが正しいことで娯楽性優先の翻案は文化の破壊行為扱いでした。娯楽的な翻案を思いつくことはあっても、作品として形にしようという考えにはならなかったのです」
などといった話もありました。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。