「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む

記憶が薄れる前に書いておこうと、北京において行った「文化交流」という名のオタク活動やその方面のネタを適当に綴っております。

2006年10月

中国語表記における月宮あゆの悲劇

「あゆ」という字面から何を連想するかでその人の趣味が分かる、という話があったと思います。
何を思い浮かべるかは人それぞれですが、オタク方面に足を突っ込んでいる方はギャルゲーのキャラを思い浮かべたりするのではないでしょうか?
この記事のタイトルにもある「Kanon」の「月宮あゆ」は恐らくオタク方面で思い浮かぶキャラの中では上位に入るキャラでしょう。

この月宮あゆの出るKanonは今期に2度目のアニメ化となり、現在好評放映中です。中国でも原作ゲームの知名度が高く、更に京都アニメーション制作ということでかなりの人気を集めている模様です。
中国ではアニメを翻訳し字幕をつけてネットにアップするファンサブグループ「字幕組」があり、一つの作品で同時に何組の「字幕組」が翻訳を行うかというのが人気のバロメーターの一つにもなっています。
このKanonは現在十数組が翻訳を行っているようで、これはかなりの人気作品ということになります。
ちなみに同系統の作品「Air」の時は最大18組、「ああっ女神様っ」の時は最大で21組、「涼宮ハルヒの憂鬱」の時は二十数組が作品の翻訳を行っていたそうです。

ただ、このKanonには中国語に翻訳する上で非常に頭の痛い問題が存在するそうです。
それが作中のヒロインの一人月宮あゆの名前だとか。
ある字幕組がつけた字幕には

「本作品に出る月宮ayuの名前の部分は全て外字のため、亜由、あゆ、歩、雅、愛雪、鮎の中からどうぞお好きなものを選んで見てください」

というなんだかもう半分ヤケクソの様な注釈がついているそうで。

キャラの名前は非常に重要です。どんなに感動的な作品であろうと脱力する様な名前のキャラでは台無しです。例えばRPGでキャラの名前を「ああああ」にしてしまったり、ヒロインになるとは知らずにネタの名前や男の名前をキャラにつけてしまったといった悲劇は枚挙に暇がありませぬ。

日本の作品を翻訳する場合、仮名表記のキャラの名前をどういった漢字にするかで毎度毎度紛糾しているそうです。
これについては色んな悲喜劇が有りますが、なかでも中国語に翻訳された日本の作品における最大の悲劇といわれている作品に
「きまぐれオレンジロード」
があります。
この傑作青春漫画のヒロイン鮎川まどかは中国でも「心に残るヒロイン」といったランキングを行えば必ずベスト5には入るくらいの人気キャラになっています。
しかし、この鮎川まどかの名前が中国語表記では「鮎川丸子」になってしまってるんですね。日本では「まどか」という字でしたら大体「円」という漢字を当てると思いますが、中国には「円」の字はありません。恐らく悩んだ末にこの「丸子」になったのだとは思いますが、これはかなり厳しい。
青春モノのヒロインが「ちびまる子」になってしまったというか。また、この「丸子」という言葉は中国語だと肉団子の意味が有ります。更に、翻訳とはちょっと違いますが中国語だと「鮎」の字の意味が「ナマズ」になってしまったりします。

そんな訳で鮎川まどかの中国語名の意味を日本語に訳すと
「ナマズ川肉団子」
というのになってしまうのですな。これを悲劇といわず何を悲劇というのかorz

それから考えると↑の方の字幕組の注釈はある意味サービス精神に溢れているのかもしれません。一種の脳内ヒロインセレクトシステムですかね、うむ。
Kanonについている字幕については
こちらのブログ(中国語)
でキャプ画像が紹介されているのでどうぞ。
↑の字幕組の挙げている脳内変換例以外にも阿柚、愛夢といったのが出ています。
ちなみに一番下の二つはパロディというかコラですね。

こういった感じで月宮あゆの中国語表記の候補は亜由、歩、雅、愛雪、鮎、阿柚、愛夢と結構な数が挙がっています。
「亜由」は普通に変換した時の名前候補だと思います。
「歩」は、恐らく浜崎あゆみの中国語表記が「浜崎歩」なのでそっちから来ているのではないかと。
雅はなんで候補になったのかちょっと分かりませんが「みやび」と読む方ですね、マサと読んではいけません。
鮎は他のゲームにこの字を使っているキャラがいるので無難にも思えますが、中国語ではナマズの意味なので少々問題が有るようで。
残りは翻訳サイドが頭をひねって作った当て字だったりするみたいです。

キャラの名前は作品の大事な部分です。うっかりおかしな名前が定着してしまうと非常に厳しいといいますか。今回の「月宮あゆ」も響きや字面のいい表記が定着することを祈らずにはいられませぬ。

中国で日本といえばエロっていう通説もあるしな

今日のタイトルは中国の友人の名言からでございます。
中国と日本の文化のやり取りで、この言葉は本質というか非常に身も蓋も無い所を突いてますな。

ここ数年の日中間のいろんな衝突で中国のメディアでも日本への批判やなにやらが載る事が少なくありません。

そういった日本批判の中でいわゆる「文化的な侵略」といったものへの批判も有ります。日本の最近の単語をそのまま使うことによる中国語の乱れや、日本の様々なメディアコンテンツによる国産番組への圧迫とかそういったものにより中国の文化が影響を受ける事への批判、というのが有ります。

この辺の独自の文化を守るという考えはどの国でも多かれ少なかれ存在すると思いますし中国は何千年も積み重ねた文化というのを大事にしていますからこういった考えは特に強いのではないかと。

それで、その様な批判の中で具体例として挙がる中の一つに
「日本の有害コンテンツによる社会への悪影響」
というのもあったりします。

地理的に近い、似たような習慣、人種的に離れていなかったりする、そして何よりも多種多量のコンテンツということで、中国には日本製のエロコンテンツが大量に流れ込んでいます。そして当然それは問題になってしまうわけでして。

中国では法律でそういったエロコンテンツの放映や販売は禁止されているのでそういったモノは全部違法ルートを通じて入って広がります。

この手のモノはよく売れますし、意識されますからタイトルにも有るとおり日本のコンテンツというので頭にまず浮かぶのが「エロ」というのはかなりうまい言い方だと思います。

この手のものに関してはホントに色んなモノが入ってきているようで、中には頑張って中国語に吹き替えているのもあったりするとか。
しかし、吹き替えの声をあてる人の演技がまずい上に肝心のシーンの喘ぎ声まで頑張って吹き替えちゃった為にかなり笑えるモノになってしまったのも有るそうです。

それを入手した人曰く
「笑いのネタとしてはいいが・・・俺の求めるネタとしては使えん!」
といった話も。

正直、某神社とかの問題で怒られるなら構わない(?)というか分かるのですがエロビデオの事で怒られるというのは、何と言うか、非常に困りますね。

留学先の大学の学生から日本製エロビデオの中国での氾濫について怒られた時は本気で頭抱えてしまいました。

日本では一応の住み分けというか区別がされているものが海賊版になって中国に一般的に広まってしまった訳で、それはもうこっちとしてもどーしよーもないとでも言いますか。

ただ、職業系のコスプレモノの影響で何時のまにやらそういった制服等の「記号」が日本的なものになってたり(ホントにそうなのかは分かりません。たぶんエロ関連だけでなく色んな所から影響受けてると思うのですが)、日本のエロ用語が普通に通じるような状態になって来てしまっているといった話も有ります。

現に、ココに書いたようなこともあるわけで……
こういった事を聞いて危機感を抱くというのは分からなくも無いですね。

文化の交流は伝えたい事だけ伝えたり、知りたい事だけ知るというのは不可能で、しかも伝達する間にどこか歪んだりするなんて事も有ると思います。
断片的なものが入って、それだけが拡大されてしまう事もありますし。
なにはともあれ文化のやりとりは本当に難しい、ということで?

中国のオタクとBL小説

アクセス数が最大瞬間風速を記録したおかげで、当ブログへのタレコミやツッコミが増えました。ありがたい限りです。

それで、そのツッコミの中で銀河英雄伝説の中国大陸版に関する事(コレとかコレ)について面白いのを頂いたのでそれを今日のネタに。

↑でも書いたのですが、銀河英雄伝説の中国大陸版出版について発生した問題で中国の銀英ファンが文句をつけたことに「出版社側が当初予定していた中国人の絵師の絵柄が少女小説みたいで原作の作風に合わない」というのがありました。それが原因かどうかは分かりませんが結局デュアル文庫版の道原かつみの絵をそのまま使うということに。
しかしこれについて

「そもそも、道原かつみは少女小説というかBL小説の挿絵描きですよ?」
(補足によると、小説JUNEに連載されたBL初期の傑作と言われている「間の楔」と言う作品の挿絵を描いたそうです。)

という事を教えていただき、それを知り合いの銀英ファン(中国人)とのチャットで話題にしたら向こうはかーなりショックを受けた模様です。

最近は中国でもかなりオタク化(?)が進みアニメ、漫画関連のイベントでBL系の同人誌が売られていたり(ガンダムSEEDのを確認)、「腐女子」という単語がわりと普通に通じますし、中国オタク用語にそれと似たような意味で「同人女」という言葉も有ります。
しかし、まだ日本に比べればBLと他のジャンルの垣根は高いですね。
・・・・・・いや、日本がそもそも低すぎるような気もしますが。

中国ではBLと言えば基本的に同人二次創作小説作品なんですが(テニスの王子様やNARUTO、鋼の錬金術師等が人気?)日本のその手の作品が入っていないわけではないようです。
私の会った中では「炎の蜃気楼」の大ファン(小説もアニメもだそうです)という方がいましたので、以前から多少は入っていたようですね。
また、最近のライトノベル原作系のアニメの増加に伴い中国へのライトノベルの流入が増えていますからそれに伴って少女向けの小説も増え、BL小説も入ってきたりしているみたいです。

中国人でソッチの事情を知る人間に聞いた感想では
「日本ではBL(エロ有り)が普通に売られているというのがなんか信じられない」
というのや
「ライトノベルとBL小説を同じ売り場で売るのは……」
といったのが有りました。

まぁ、エロ有りの小説を普通に売っているのは私も未だに慣れませんし、
中国留学中に一時帰国するたびに近所の書店のBL売り場が拡大していくのに驚いたりしましたのでさもありなんという感じですね。
とりあえず、ライトノベルとBL小説を(ある程度大きいとはいえ)同じジャンルで扱うのにはかなり抵抗が有るそうです。

日本でもライトノベルの範疇にBL小説を含めるのかどうかについては異論がありますが、この辺はライトノベルというジャンルが確立していく中で出てきた事なのでしょうがないといいますか。
今ではキチンと住み分けがされていますけど、昔は混沌としておりスニーカー文庫でもBL小説が売られていた時期があり、このBL小説後に角川ルビー、そして更にその一部がビーンズと移ったという経緯が有ります。

ちなみに、私は小学生のときに内容を知らずにうっかり栗本薫の「終わりのないラブソング」(当初はスニーカー文庫で発売だったんです)を買ってしまい、読んでいて「なんか違うぞ」と思っているうちにアレな場面にぶつかり、かなりのトラウマになった覚えがあります。
グイン・サーガの人だ!と無邪気に手を出した当時の自分orz
他にも当時気づかないで読んでいたその手の作品には「ハイスクールオーラバスター」とかあったような。
こっちは名前がなんかカッコ良かったから手を出していたような記憶が有ります。

こんな感じで中国ではBL小説についてはまだ扱いかねているといった感じも有りますが、着実に勢力は拡大しているようです。
それに「オタク向け小説」というジャンルでBL小説もライトノベルも括ってしまう流れも最近出てきていますので、この方面もズンドコ変わっていきそうです。

中国でガンダムオンラインが正式サービスに移行

知り合いの中国のオタクから「お前のブログのネタが大手サイトからリンクされてるぞ!」と言われて大慌て。
とりあえず教えてもらったのは
酔拳の王 だんげの方さんと、カトゆー家断絶さんとゴルゴ31さん。
具体的にサイトを教えてもらって更に慌てました、はい。
昨日の訪問者数を見たらこのブログ始めてからのトータルより多い数になっていてしばらく呆然、そして思わずスクリーンショットを。

それで、今日のネタですが表題にも有るとおりでございます。
中国でガンダムオンライン(機動戦士敢達在線)が18日から正式サービスに移行しました。
プレイ料金は30日40元(600円弱)だそうです。
中国で今最も熱い、というか唯一まともに利益の出るゲーム市場の様な感じもするMMOですが、ファンタジー系や中華系の作品がほとんどでガンダムのような作品はかなりの変化球です。
中国のゲーマーの間でも毛色の違ったMMOという事で結構注目を集めていますし、もちろんアニメやマンガオタクからも注目されています。

ただ、中国でガンダムといえばSEEDの方ですしガンダムオンラインの舞台が1年戦争ということで大半のユーザーにとってはあまり馴染みが無いといった問題もあります。
それが理由で少々様子見、といった人もいるみたいですね。
中国では宇宙世紀、特に1stは一部のマニアというかガンダムオタク向けといった感が強いです。
やはりSEEDから入ると1stの画は厳しいそうで。

それから知り合いの話を聞いたところでは中国人は1stのMS、特にジオン側のMSは敵側だし、やられメカだし、カッコ悪いしあまり好きじゃないから連邦サイド優勢になるのではないかという話も。
私の知り合いのガンダムオタク(中国人)でもジオン側のキャラクターは好きだけど機体はちょっと・・・というのが多いですね。

このゲームの進み具合には中国のガンダム事情が結構影響しそうな気もするのでちょっと気になる作品ですね。
中国のガンダムファンの宇宙世紀における嗜好といったのも分かりそうですし。

ライトノベルと中華系ファンタジー 続き

前回のライトノベルと中華ファンタジーについて、結構色んな反応がありましたので今回はソレに関連して続きを。

まず、一番ガツンと来たのは
「少女系の小説には結構中華系ありますよ。」
「というか、少女系のレーベルで中華ファンタジーが流行ったのは10年くらい前ですね」
というのです。
いや、これ我ながらもう一言も弁解できないといいますか。
すいません、少女系レーベルはほとんどわかんないんですorz
一緒に書いてあった情報では、いわゆる普通のファンタジー系の流行が終わった後中華系ファンタジーが流行し十二国記が出てきた辺りがピークで(1990年代の前中期くらいですかね)その後は和風ファンタジー(陰陽師モノとか)に移行してしまったそうです。
中には中華系アクションもの(武侠に近いんでしょうか?)も有ったそうで、星野ケイ、真堂樹、井上祐美子、狩野あざみといった作家の作品が有名どころだそうです。

他には

「おにぎりを食べる某逆ハーレム小説なんて中華系とは認められません」
という意見がかなりツボに(笑
確かに、中国ではおにぎりって謎な食べ物ですよね。コンビニで最近売られるようになりましたけど、向こうでは普通に「チンしますか?」とかやってますし。
私もこの作品のこのシーンでずっこけた記憶が有ります。
まぁ、1巻目だったからしょーがないのかもしれませぬ。

あと作品については
「後宮小説は無しですか?」
「田中芳樹がかなり中国モノ書いてますよ」
といった事が。

スンマセン、すっかり忘れてましたorz
後宮小説はアニメ化もされてそっちは「雲のように風のように」という名前になっていますね。
第1回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
架空の中華系の王朝を舞台にして「皇帝のお嫁さんになる!」という女の子銀河が後宮にはいって〜というお話。作中の架空の王朝の描写や後宮の描写がすばらしかった記憶が。特に「後宮」については一般的に抱く退廃的でエロというイメージではなくある種の哲学にまでなっています。
あと、この作品のアニメについてはやはり中国オタクも宮崎アニメとの区別で混乱している模様ですね。

田中芳樹が出している中国系の小説(アンソロジーもありましたね)は、当時「銀河英雄伝説の最後の一巻とアルスラーンの続きはまだか……」とかなんとか思いながら読んでましたが、銀河英雄伝説や七都市物語が好きな自分としては残念ながら期待外れでした。
あ、でも纐纈城綺譚の挿絵を藤田和日郎がやってたのはスゴイ嬉しかったですね(笑

とりあえず、こんな所で。
色んな情報どうもありがとうございました。

ライトノベルと中華系ファンタジー

中国のオタクの間にもライトノベルがびみょーに入っている今日この頃ですが、
「ライトノベルで中華系の世界観や設定の話はどれくらい有るのか?」
という事を聞かれましたので、今日のネタはそれを有難く使わせていただきます。

ただ「ライトノベル」(中国語ではまんま「軽小説」)の定義が非常に難しいので今回はもう開き直って大雑把に私がライトノベルっぽいと思う作品という辺りでいきます。あと、データをしっかり調べているわけではないのでホントいい加減なモノでございますorz

それで中華系や中華ファンタジーの作品ですが、その筆頭はやはり十二国記
中華系の伝説を散りばめながら、それをきちんと理詰めで構築して世界を作っているとでも言いますか。この作品が有るだけで中華ファンタジーというジャンルはずっと残り続ける事が出来るのではないかとさえ思えます。
最近ではアニメ化された彩雲国物語も有名でしょうか。後宮に入るのではなく科挙を受けて宮廷に行く主人公が面白い作品で、当然美形の皇帝やら文官武官のお兄さんが出てくる逆ハーレム(?)な部分も。

現在勢いの有る作品はこの二つだと思います。
私がまず思い浮かべたのもこの二つでした。
しかし、私は少女向けのレーベルの作品がほとんど分からないのでそっちの方は勘弁してくださいorz
↑の2作品の他はほとんど分かんないので少年向けのみで。
以下、適当に思いついた作品を書いてみます。とりあえず富士見と角川では

ろくごまるにの封仙娘娘追宝録
嬉野秋彦のチキチキ美少女神仙伝!
冴木忍の夢天幻想譚

とかでしょうか。冴木忍は他にも天高く、雲は流れシリーズが中国風っぽい世界設定だったような気が。

他に少々毛色は変わりますが武侠というかアクション系で
栗本薫の魔界水滸伝
吉岡平の妖世紀水滸伝
高千穂遙の神拳李酔竜
なども。

なんか思ったよりも少ないですな>中華ファンタジー
角川も富士見ももうちょっと有るかと思ったんですが、いざ考えてみるとそんなに思いつきませぬ。

あと電撃文庫はデータがネットで見つかり易いので既刊をざっと調べてみたのですが、中華系の話がほとんど無いという個人的にちょっと意外なことに。
電撃小説大賞を取った大唐風雲録やTRPG系の央華封神が有るので中華に強いイメージ(?)が有ったのですが、いざ探してみるとそれ以外の作品がなかなか見つからず、結局見つかったのは
都市シリーズの風水街都 香港
古橋秀之のIX(ノウェム)
というかなり変化球っぽい作品でした。うーむ。
中華系のライトノベルは印象に残る作品はそこそこ有るが数はやはり少ない、といった感じでしょうかね。

ライトノベルと中華系ファンタジー 続き

中華系ヒロインの名前は難しい

えー、日本のエロゲ「紅楼館の隷嬢達」がパッシングされた件についての記事で「中華系ヒロインの名前に困ったシナリオライターが適当に名前をパクッたんじゃないか」という推測を書きましたが、それについての同意と質問が有ったのでちょっと追記を。

まず、ぶっちゃけて言ってしまうと日本人は「中華系の女性の名前のストックが非常に少ない」のですな。
日本でも日常生活や名前で漢字を使っているので日頃はそんなに意識されませんがこれは結構大きいです。
漢字を並べて名前っぽくする事は出来ますが、あくまでそれは日本人から見ての名前であってその名前が実際に中国人から見てどんな感じか、実際に有りえる名前なのか、といった事は分かりません。
中華系のキャラを出す上で、そのキャラの背景に一定の文化的なもの、はっきり言ってしまえば中華系の文化を背負っている事が多いですから名前も出来れば風流というか雅なものというか、古風なものが好まれますがそういった古風な中華名について、一般的な日本人はほとんど知らないんですね。
ただ、男性名については全くといっていいほど問題無かったりします。

何故か、それはもうアレです。
三国志や水滸伝に女性の名前がほとんど出てないからだと思われます。
私もそうなのですが、日本人が大量の中華系の名前に出会うのは三国志や水滸伝からというのがほとんどだと思います。
しかし、この作品の中には女性キャラクターがほとんど出ません。
出ても○夫人とか○氏とか○娘とかで、キッチリ名前が決まっているのはそれこそ貂蝉とか潘金蓮とか瓊英等で男性キャラに比べると極めて少ないです。

こういった事から、日本では中華系の女性の名前のストックが少ないので、名前の響きや組み合わせを判断しづらいので、無難な所で鈴とか華とか蘭とか美とか麗とか蓮とかいれておくといった事が多くなっているんじゃないでしょうか。
先日の「紅楼夢」と「紅楼館の隷嬢達」の同名キャラの問題もこの辺のことがあるのではないかと思い、上記の推測になったわけですな。

「紅楼館の隷嬢達」と紅楼夢と中国のネット

先月から日本のエロゲ「紅楼館の隷嬢達」が紅楼夢を元にしており中国文化冒涜だ、という事で中国のネットで火の手が上がっていましたが、それもそろそろ落ち着いてきています。

日本の記事ではITmediaのコレあたりを参考に。あとは直接捜狐に行ってみては。

この件について幾つか意見とか質問を頂いたのですが、個人的には「毎度の事」という様に思えます。
今回はロイターにまで載っちゃったので話が大きくなってますが、私の周りではこのエロゲについては今年8月に発売される時に少々話題になっただけで流れてしまっていました。

上海をネタや舞台にしたエロゲは昔から有りますし、
当時出た意見は
「ヒロインの名前もーちょっとひねれよ!」
くらいでした。

あと、中国ネタパロディでは萌え三国志というトンデモないものが有りましたし。
今回も中国が日本のエロゲに怒ったということを聞いて、萌え三国志の方がついに逆鱗に触れたか!?と最初は思ったのですがこっちの方だと判明し、ちょっと拍子抜けしたというか。

以前も書きましたが、
「怒る人は何聞いても怒るし、エロ関連の話題はその内容に関係なく問題になりやすい」
ですから日本でエロゲが生産され続ける限りこの手の事は無くならないと思います。
文句言う側は作品をプレイ「できないことになって」いますし、日本側では作品に対する感覚が違います。議論は平行線というか、そもそも議論にもならないかと。

それに作品が発表されてしまっている以上、受け手がそれをどう感じるかはそれぞれの自由ですし、他人の頭の中まで規制することもできませんからこの件はどうしようも無い事のようにも思えます。

例えば銀河英雄伝説に歴史大河ドラマ的なものを感じるか、政治的なモノを感じるかそれとも出てくる美形の男キャラの交流にハァハァするかは読者次第(?)ですし、影響を受けたりパロディになったりするにしても作り手側の思い通りにはいかないでしょうからね。

ただこの作品については、ITmediaの記事によれば紅楼夢とはほとんど関係無いとあるので、中華系ヒロインの名前に困ったシナリオライターが適当に名前をパクッたんじゃないかとも思えます。
どっちにしろ、紅楼夢をどうこうしようという意図は無い、というかあんまり深く考えてないんじゃないでしょうか。
(私はこのエロゲは未プレイなので間違っていたらゴメンナサイ)

日本のエロゲには某円卓の騎士の王様を女性にしてヒロインにした超大作とかありますし、有名な作品はそれだけパロディやモトネタにされる頻度が高くなります。
中国側もココは一つ、自国の文学作品が日本に非常に深く浸透していることの証明くらいにして、大目に見てくれたらなーとか思っちゃったりもします。

まぁ、どっちにしろこの件は時間が経てば落ち着くと思います。
中国側も皆が皆怒っているわけではないでしょう。
というか、今回の一件の中心地である捜狐のアニメ漫画サイトでは
このエロゲのCGの特集を勝手にやってたりしますし
(ゲーム中に使われているCGを吸い出したものっぽいです)
大部分の人はまず興味が先になっているんじゃないですかね。

10月開始のアニメ、中国で注目されている作品

9月、10月とアニメも新番組となる時期です。
それらの作品のなかで中国で注目されている作品について。

まずはやはり「DEATH NOTE」こと「死亡筆記」
中国で勝手に販売されたデスノートを模したノートによるいじめが社会問題になっちゃったりしたくらい知名度は高いです。
NARUTO、テニスの王子様に続くジャンプアニメの代名詞になるかもしれません。

オタク層というか日本アニメ好きの面々から期待されているのはとりあえずの所で

スーパーロボット大戦OG 〜ディバイン・ウォーズ〜(超級機械人大戦OG)
ギャラクシーエンジェる〜ん(銀河天使)
ときめきメモリアル 〜Only Love〜(心跳回憶)


の3つでしょうか。
特にスーパーロボット大戦は原作ゲームの人気が非常に高く、シリーズを通じて中文版が勝手に制作されているくらいですからかなり期待されていますね。
スパロボシリーズオリジナルのロボットは「魔装機神」のサイバスターに始まり、最近のオリジナルジェネレーションに出てくるロボットまでどれもかなりの人気が有ります。スパロボ原作のアニメは昔サイバスターでアニメ独自の要素を入れまくって大失敗した過去が有りますので、中国オタクも「原作そのままにつくってくれれば……」と祈っていたりするようです。

ギャラクシーエンジェルはこの3つの中では最もマニア向けという感じです。
日本ではいろんな意味でオタク向けアニメの金字塔といった感も有りますが、この作品が一番流行っていた時期は中国だとまだブロードバンド環境が整っていませんでしたし、日本のアニメを見る層も今ほど育っていなかったので「知る人ぞ知る」といった感じの評価を受けています。今回も自らを「オタク」と認める人が推しているみたいです。

ときめきメモリアルはゲームの方が中国のパソコン普及黎明期に大流行したソフトで未だにその経験を覚えている人が結構います。
それに関連してだかわかりませんが「なんだか気になる作品」になっている模様です。果たしてどうなるやら。


それから、個人的に目をひかれたのは「蒼天の拳」でしょうか。
恐らく中国で最も有名な日本のアニメ「北斗の拳」の姉妹作品。
「北斗」ほどの人気は臨むべくも無いでしょうが、ちょっと気になりますな。

とりあえず、こんな所で。

海賊版はココまで来ている

普通、「海賊版ソフト」というと粗悪なものをイメージされるかと思います。
例えば怪しげな店で売られている、再生できるんだか良く分からないCD,といった感じでしょうか。
しかし最近では海賊版業者の技術向上と購入者のニーズの変化により以前とはかなり違う海賊版が出ています。
まぁ、一言で言ってしまえば「ブランドものの海賊版」といったなんだか分かり難いものが出ているのですな。
具体的には日本の「限定版」を付属物やパッケージに至るまで完全にコピーしようとした海賊版等が。

最近は中国でもオタクというかマニア層が形成されているのは当ブログのネタを読んでいただければ分かると思いますが、そういった層は付加価値の高いものを求めます。
中国でも最近は英雄伝説シリーズ等の一部のPCソフトに限定版や豪華版といった形の物が売られていますし、基本的に良く売れているようです。
そんな訳で、売れるものがあればそれを作っちまえ!と中国の海賊版にも高級志向というかマニア向けの海賊版が出ております。
中国オタクのコレクター魂を刺激する海賊版。
アニメDVDの印刷物を付属したり日本のものと同じパッケージにするのに始まり、現在はいよいよ限定版に付属する類のもの、トレーディングカードやらキーホルダーやバッジなんかが作られているそうです。
最近ではこういったブランド海賊版(?)は日本の実物を見慣れていないと見分けがつかないといった感じになっているようです。
この辺の事情は、何と言うかどのあたりで自分の趣味や欲求と妥協するかのチキンレースといった感じも。
大まかに言って中国のオタクが物欲を満たすには

日本から直接買い付けを行う
豪華な海賊版や非合法のルートを通って入ってきた物を買う
安い海賊版を買ったりネットでダウンロードする


の3つが有ると思います。
資金が許すならば全部オリジナルを……というのが有るのでしょうが、そこはそれ一つのコンテンツに全額をはる訳にもいかないということで、どこにどれだけ使って、どこを諦めるかとなるようです。
ちょっと日本とは違う所もありますがコレクターというかオタクの悩みの根底はどこの国でも似ていますな。
百元籠羊
十数年の中国生活をとりあえず終えて帰国。のんべんだらりと生息中。
中国でのエネルギー源は刀削麺と煎餅果子(中華クレープ)でした。最近は日本でも刀削麺の美味しいお店が増えてきて嬉しいです。

中国に広まっちゃった日本のオタク文化や、中国のオタクな若者達に関する質問、更には当ブログへのネタ提供にツッコミなど大歓迎でございます。

コメントに書くのは何だというのでしたら、baiyuanlongyang「at」gmail.com (「at」を@にかえてください)の方にメールを送ってくださいませ。
このブログのまとめ+αな本 「オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力」 が出ています。
ちなみに「中國宅宅的憂鬱:日本萌力,平息中國人的怒氣」というタイトルで中国語繁体字版も出ております。 こちらの記事で書籍内容についての簡単な紹介をさせていただきました。
「日・韓・中 トンデモ本の世界」で、中国オタク事情に関するコラムを2本書かせていただきました。

ブログではまとめたり詳しく書いたりするのが難しい内容を書く機会をいただけたのはとても有難かったですし、トンデモ本シリーズなので読者層も濃いということで「ある程度濃い方向で書いてもOK」と、昔出したブログのまとめ本よりもツッコんだ内容を書けたのも楽しかったです。
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このブログの親玉やネタ元

北京留学日中交流

日本からだと存在そのものを疑われる事も有った北京の漫画喫茶B3は現地の制度変更や地価高騰の影響で伝説の彼方の存在となってしまいましたが、中の老板は相変わらず活発に動いてらっしゃいます。このブログもここのコンテンツの一つということになっている・・・のかしらん?

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