テレビアニメも順調に進んでいる、SDガンダム+三国志な
SDガンダム三国伝(アニメ公式サイト)
ですが、この番組について中国の反応はどうなのかという質問をよくいただいております。
日本の感覚からすれば、三国志ならば中国では親しみやすく人気になりやすいと思われるかもしれません。
現に中華圏という観点から見れば人気は高いようで、香港や台湾では好評のようです。
しかし、実は大陸の方にいる中国オタクに限って言えばこの作品はむしろ
「人気が出るのがかなり難しい」
部類に入る作品だったりします。
今回はその辺の難しい事情についてを、例によって私のイイカゲンな観点から紹介させていただきます。
まずは題材の
「三国志のパロディ」
という点から。
中国では社会的に名作古典のパロディを許さないといった風潮がありますが、
中国オタクの多くは若い世代なのでこれについてはそれほど問題ないかと思います。
ただ三国志のパロディが問題にならないからと言って、人気が出るというわけではなかったりします。
そもそも中国が三国志の本場で伝統的に人気の高い作品と言っても、日本に比べるとそのパワーはかなり落ちます。
また、日本の三国志好きな人のレベルで「三国志を知っている」人も少ないです。
以前の記事でもちょっと書きましたがいくら本場とは言っても、
中国で三国志が一般常識になっているわけではありません。
むしろ日本の方がよほど「一般常識レベル」です。
中国では劉備関羽張飛諸葛亮に曹操や呂布といった超メジャー所はともかく、
それ以外の武将についての名前と故事といった話になるとかなり厳しいかと。
乱暴な例えですが、日本で源氏物語の主人公が光源氏だというのは知られていても、それ以外の登場人物はあまり知られていないようなものでしょうか。
中国における三国志の扱いは、あくまで中国の代表的な古典の一つであって、三国志だから無条件に好まれる、興味をひけるわけではないようです。
次に
「SDガンダム」
について。
中国オタクは基本的にSDガンダムの出るゲームは特に違和感無く遊んでいるようなので、SDという表現そのものについて嫌われているわけではないようです。
しかし、
「SDガンダムによるストーリーモノ」
になるとあまり手を出す気にはならないとも。
日本ではSDガンダムがガンダムの生命線になっていた時期もありますし、
武者ガンダムや騎士ガンダムがブームを築いたこともあるので、
ガンダムファンのなかでSDガンダムに対して好意的な層はかなり多いかと思います。
しかし、中国オタクの多くはそういったSDガンダムの作品に触れていないので、スパロボやGジェネレーションのようなゲーム中の表現としてのSDガンダムならまだしも、
「SD化されて個々の人格を持つキャラクターとなったガンダム」
による
「ガンダムの二次創作」
というのにはちょっと抵抗があるそうです。
そして
「中国オタクを構成する年齢層」
による影響について。
中国オタクの大多数を占めるのは大学生です。
中国の低年齢層は厳しい受験戦争を勝ち抜かなければならないので、あまり自由に遊んでいる時間はありませんし、親の管理も厳しいのでオタク系の趣味にハマるのは難しい環境にあります。
メインターゲットとなるであろう低年齢層に余裕が無いというのは、SDガンダムにとってかなり厳しいでしょうね。
そして、中国オタクの大多数を占める大学生、そしてその上の年代の若者達は自分たちの楽しんでいるアニメや漫画を
「自分達の世代がハマるだけの価値のあるカルチャー」
として捉え、それと同時に
「アニメや漫画は子供向けのもの」
と見なされるのを嫌う傾向があります。
そのため、子供向けアニメに関しては基本的に眼中に無い状態です。
ガンダム自体については人気が高いものの、
SDガンダムについてはどうしても「子供向け」と見なされてしまうので、
「オタクとしてカッコイイのはやはりリアルサイズ」
と考えている中国オタクの大多数からは評価されません。
またアニメ放映の時期も悪く、
三国伝と近い時期に最近三国志ネタのアニメが多くあったこともあり
「三国志」+「SDガンダム」
という組み合わせが中国オタク達には子供向けの露骨というか安易な組み合わせと見え、最初からかなり「引かれている」状態だったのもよく無かったですね。
そして最後に
「ガンダム情報ネットワークの不足」
という点があります。
日本ではガンダムに関する情報についてメディアや玩具など広範な分野にわたるネットワークが存在しますが、中国にはそういったガンダムに関する強力なネットワークがありません。
中国本土にはSDガンダム関係の情報を発信する「コミックボンボン」のようなガンダムとタイアップした企画の載る雑誌はありません。また、ちゃんとしたおもちゃ屋や模型店もそれほど多くないですし、有ったとしても忙しく管理の厳しい中国の子供が頻繁に出入りするのは難しいです。
一応、中国本土でもSDガンダムのプラモはそこそこ出回っているようですが、SDガンダムの情報を得たり共有したりできるネットワークが無いので、なかなか盛り上がらず、盛り上がっても狭い範囲で終わってしまうことが多いとか。
そして特に低年齢層ではネットの使用もそう好き勝手には出来ませんから、彼等が興味をひかれるようなSDガンダムの情報はなかなか届かないようです。
とりあえず考えられるものを勢いで書いてみましたが、
以上のような事情から中国本土では「SDガンダム三国伝」はあまり人気が伸びていないのではないかと思われます。
それにしても、中国オタク的にはSDガンダム三国伝がコンテンツの内容を吟味される以前の段階でほとんど止まっているのはなんとも残念ですね。
私は子供の頃「武者ガンダム」「騎士ガンダム」「ガンドランダー」などにハマっていたので、実はこのSDガンダム三国伝についても結構気に入っています。
この間もうっかり昔の気持ちが蘇って
真紅蓮装 曹操ガンダムと玄武装 呂布トールギス
を買ってしまいました。
リアルなMGとかも良いですが、こういう豪華なアレンジをされたSDガンダムも良いと思うんですけどね。
こういったカッコよさが伝わらないのはちょっともったいなーと思ってしまいます。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国と日本の「三国志一般常識」についての差
SDガンダムBB戦士三国伝への中国オタクの反応
(放映開始直前の頃の反応です)
SDガンダム三国伝(アニメ公式サイト)
ですが、この番組について中国の反応はどうなのかという質問をよくいただいております。
日本の感覚からすれば、三国志ならば中国では親しみやすく人気になりやすいと思われるかもしれません。
現に中華圏という観点から見れば人気は高いようで、香港や台湾では好評のようです。
しかし、実は大陸の方にいる中国オタクに限って言えばこの作品はむしろ
「人気が出るのがかなり難しい」
部類に入る作品だったりします。
今回はその辺の難しい事情についてを、例によって私のイイカゲンな観点から紹介させていただきます。
まずは題材の
「三国志のパロディ」
という点から。
中国では社会的に名作古典のパロディを許さないといった風潮がありますが、
中国オタクの多くは若い世代なのでこれについてはそれほど問題ないかと思います。
ただ三国志のパロディが問題にならないからと言って、人気が出るというわけではなかったりします。
そもそも中国が三国志の本場で伝統的に人気の高い作品と言っても、日本に比べるとそのパワーはかなり落ちます。
また、日本の三国志好きな人のレベルで「三国志を知っている」人も少ないです。
以前の記事でもちょっと書きましたがいくら本場とは言っても、
中国で三国志が一般常識になっているわけではありません。
むしろ日本の方がよほど「一般常識レベル」です。
中国では劉備関羽張飛諸葛亮に曹操や呂布といった超メジャー所はともかく、
それ以外の武将についての名前と故事といった話になるとかなり厳しいかと。
乱暴な例えですが、日本で源氏物語の主人公が光源氏だというのは知られていても、それ以外の登場人物はあまり知られていないようなものでしょうか。
中国における三国志の扱いは、あくまで中国の代表的な古典の一つであって、三国志だから無条件に好まれる、興味をひけるわけではないようです。
次に
「SDガンダム」
について。
中国オタクは基本的にSDガンダムの出るゲームは特に違和感無く遊んでいるようなので、SDという表現そのものについて嫌われているわけではないようです。
しかし、
「SDガンダムによるストーリーモノ」
になるとあまり手を出す気にはならないとも。
日本ではSDガンダムがガンダムの生命線になっていた時期もありますし、
武者ガンダムや騎士ガンダムがブームを築いたこともあるので、
ガンダムファンのなかでSDガンダムに対して好意的な層はかなり多いかと思います。
しかし、中国オタクの多くはそういったSDガンダムの作品に触れていないので、スパロボやGジェネレーションのようなゲーム中の表現としてのSDガンダムならまだしも、
「SD化されて個々の人格を持つキャラクターとなったガンダム」
による
「ガンダムの二次創作」
というのにはちょっと抵抗があるそうです。
そして
「中国オタクを構成する年齢層」
による影響について。
中国オタクの大多数を占めるのは大学生です。
中国の低年齢層は厳しい受験戦争を勝ち抜かなければならないので、あまり自由に遊んでいる時間はありませんし、親の管理も厳しいのでオタク系の趣味にハマるのは難しい環境にあります。
メインターゲットとなるであろう低年齢層に余裕が無いというのは、SDガンダムにとってかなり厳しいでしょうね。
そして、中国オタクの大多数を占める大学生、そしてその上の年代の若者達は自分たちの楽しんでいるアニメや漫画を
「自分達の世代がハマるだけの価値のあるカルチャー」
として捉え、それと同時に
「アニメや漫画は子供向けのもの」
と見なされるのを嫌う傾向があります。
そのため、子供向けアニメに関しては基本的に眼中に無い状態です。
ガンダム自体については人気が高いものの、
SDガンダムについてはどうしても「子供向け」と見なされてしまうので、
「オタクとしてカッコイイのはやはりリアルサイズ」
と考えている中国オタクの大多数からは評価されません。
またアニメ放映の時期も悪く、
三国伝と近い時期に最近三国志ネタのアニメが多くあったこともあり
「三国志」+「SDガンダム」
という組み合わせが中国オタク達には子供向けの露骨というか安易な組み合わせと見え、最初からかなり「引かれている」状態だったのもよく無かったですね。
そして最後に
「ガンダム情報ネットワークの不足」
という点があります。
日本ではガンダムに関する情報についてメディアや玩具など広範な分野にわたるネットワークが存在しますが、中国にはそういったガンダムに関する強力なネットワークがありません。
中国本土にはSDガンダム関係の情報を発信する「コミックボンボン」のようなガンダムとタイアップした企画の載る雑誌はありません。また、ちゃんとしたおもちゃ屋や模型店もそれほど多くないですし、有ったとしても忙しく管理の厳しい中国の子供が頻繁に出入りするのは難しいです。
一応、中国本土でもSDガンダムのプラモはそこそこ出回っているようですが、SDガンダムの情報を得たり共有したりできるネットワークが無いので、なかなか盛り上がらず、盛り上がっても狭い範囲で終わってしまうことが多いとか。
そして特に低年齢層ではネットの使用もそう好き勝手には出来ませんから、彼等が興味をひかれるようなSDガンダムの情報はなかなか届かないようです。
とりあえず考えられるものを勢いで書いてみましたが、
以上のような事情から中国本土では「SDガンダム三国伝」はあまり人気が伸びていないのではないかと思われます。
それにしても、中国オタク的にはSDガンダム三国伝がコンテンツの内容を吟味される以前の段階でほとんど止まっているのはなんとも残念ですね。
私は子供の頃「武者ガンダム」「騎士ガンダム」「ガンドランダー」などにハマっていたので、実はこのSDガンダム三国伝についても結構気に入っています。
この間もうっかり昔の気持ちが蘇って
真紅蓮装 曹操ガンダムと玄武装 呂布トールギス
を買ってしまいました。
リアルなMGとかも良いですが、こういう豪華なアレンジをされたSDガンダムも良いと思うんですけどね。
こういったカッコよさが伝わらないのはちょっともったいなーと思ってしまいます。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
中国と日本の「三国志一般常識」についての差
SDガンダムBB戦士三国伝への中国オタクの反応
(放映開始直前の頃の反応です)