ありがたいことにネタのタレコミをいただきましたので今回はそれについてを。
近頃は中国オタク界隈でも注目を集める「吸血鬼」的なキャラの出てくる作品が幾つかあるそうです。しかし中国では近頃の諸々の規制強化でバイオレンスネタやホラーネタがいよいよ難しくなってきているのもあり作品自体が直接入ってくるのは困難ということで、中国オタク的になんとも歯がゆい状態になっているとのことです。
しかし作品関連のネタとしては相変わらず意識されているそうですし、改めて吸血鬼関連のイロイロな話題も出ているのだとか。
中国オタク界隈ではそんな話題の一つとして
「吸血鬼が格の高い強キャラとして扱われるようになったきっかけや過程」
といったことなどに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
吸血鬼って強キャラが多いと聞くが、どんなキャラがいるの?二次元ではどの辺りからハッキリとした格の高い強キャラになったの?
ネタ成立の過程や影響を及ぼした具体的な作品などを知りたい。
吸血鬼って怪物だけど美形、貴族設定がテンプレでつけられるから昔からということで間違いないとは思うが……どんな作品かとなるとすぐに出てこないな。
すぐ死ぬ吸血鬼がネタとして笑いを取れる、キャラが立って人気作品になるくらいだから、二次元では確固たる強種族、強属性のイメージを確立しているのは間違いない。
私が思い付くのはDIOだったが吸血鬼として強いイメージがあまり無いかも……
DIOも初期は吸血鬼としての強キャラではあったんだけど「ジョジョ」はその後にスタンドによる独自の世界観や強さが確立されてしまったからね。
「悪魔城ドラキュラ」は昔の作品では珍しい吸血鬼が絶対的なラスボスの作品だが、これが出たのが1986年だ。
このシリーズの吸血鬼は設定がインフレしてトンデモナイことになっていく。
日本の二次元妖怪ネタの大元である水木しげる作品はどうなんだろう?
ぬらりひょんの強キャラ化は水木しげるだという話だが、吸血鬼は欧米の映像作品や舞台、小説の時点で強キャラだからたぶん違う。
「鬼太郎」にも吸血鬼は出ているけど中ボス的な存在だったような?弱くはないんだけど、今のような主役級の扱いではない。
「血界戦線」の吸血鬼はハッキリとした敵で、真祖は無茶苦茶強いという設定だったな。
「血界戦線」ではいわゆる真祖的な存在はいるけど真祖呼びはしていなかったはず。
……そう言えば日本の二次元で「真祖」という言葉や概念を広めた、定着させた作品に関しても諸説があるらしいな。
「トリニティ・ブラッド」も突出して強い吸血鬼のイメージで作られた世界観の作品だったけど時期的には吸血鬼ネタとしての「真祖」がもっと前にある作品かね。
二次元の吸血鬼キャラで分かりやすい記号的なのは、例えば「ネギま」のエヴァンジェリンなんかだと思うけどネタや作品内の格といった扱いの影響を考えるとよく分からん。
「ネギま」という作品自体がテンプレ、同人ネタの集合的なものになっているはずだから以前以後的に見ていくこともできるのだろうけど。
ウチの国だとあまり意識されないけど「BASTARD!!」も吸血鬼ネタの影響は大きいとか。「真祖」という言葉、概念を広めた作品の有力候補とされている。
二次元の突き抜けた強キャラな吸血鬼だと「月姫」以前を探せば良いのでは?
型月はイメージを広く拡散、固定するけど同人出身なのもあってか元ネタが存在するオマージュな部分も多いから。
同意したくなる話だな。
私も強い吸血鬼のイメージはアルクェイドからだ。初見のときは吸血鬼が最強の世界観に驚いたのを覚えている。
たぶん「吸血鬼ハンターD」の世界観からだろうね。貴族的なキャラだけでなく、明確に支配者たる吸血鬼と家畜と見做される人間という関係に加えて吸血鬼が世界の支配者的で、しかもホラーと中世ファンタジーとSFの混じった強さだから超強い。
この作品が日本の二次元の伝奇世界観に与えた影響は極めて大きいとされている。
菊池秀行作品はかなり有力だろうね。
真祖(日本語では「神祖」と発音が同じ)設定への影響もあると思われる。
昔の日本の伝奇系作品だと武内崇が再刊のときに挿絵を描いた笠井潔の「ヴァンパイヤー戦争」ってどうなんだろう?
月姫の元ネタだったりするの?
私も全部読んだわけじゃないけど、設定の印象では月姫の元ネタとしての影響が大きいのは「吸血鬼ハンターD」の方だと思う。
ただ「ヴァンパイヤー戦争」の方が「吸血鬼ハンターD」より丸1年早く出ている上に、最初のバージョンの挿絵がどちらも天野喜孝なんだよね。だから「ヴァンパイヤー戦争」の影響を受けたかその人気の路線を狙って「吸血鬼ハンターD」が書かれたことは否定できないと思う。
「ヴァンパイヤー戦争」の最初のバージョンのイラストは天野喜孝じゃなくて生頼範義だな。この絵師も当時の日本の伝奇小説のイラストをたくさん描いている。天野喜孝になったのは文庫版からだ。
そうなのか。教えてくれてありがとう。
しかしそうなると俺の思い込みがかなり怪しくなってきたなあ……
個人的には日本の二次元というか娯楽分野で吸血鬼がミステリやSFから伝奇のモチーフ移行した流れが気になるかな。
「ヴァンパイヤー戦争」や「吸血鬼ハンターD」の時期は作家のスタイルに加えて内容に関してもまだ何と言うかSFのモチーフに吸血鬼的な何かを持ち込んだような印象が。
真祖設定はさておき、強い吸血鬼というなら「HELLSING」の影響は無視できないだろう。
確かに。アーカードより設定上スゴイことになっている吸血鬼というのはいくらでもいるけど、アーカードほど強いという印象を刻み込んでくるのはなかなかいない。
最強談義みたいな場面でなければ吸血鬼の強キャラということでアーカードを出したら皆納得するからな。
90年代後半以降の二次元における吸血鬼の地位向上は「HELLSING」と「月姫」の影響が大きいと考えていいと思うのだが、それ以前はやはり曖昧に感じられるね。
そう言えばウチの国の二次元だと吸血鬼関係で影響が大きそうなのは他にどんなキャラがいるだろうか。
ウチの国だと東方シリーズの紅魔館の面々は影響が大きいな。
あとは昔だと「吸血姫美夕」から吸血鬼キャラに憧れていった人が多かった。その後は「ヴァンパイア騎士」「ロザリオとバンパイア」かな?他のジャンルと同じく、ウチの国では基本的にはアニメの影響が強いと見ていいかと。
一応「物語シリーズ」もウチの国に吸血鬼キャラ方面の影響を与えた作品と見ていいだろう。
ただ「傾物語」の忍野忍の完全体的な強さについてはそれほど突飛なものとは感じなかった気がするし、あの当時で既に自分の中では今の強キャラで格の高い吸血鬼ネタは入っていたのかも。
この数年だと「となりの吸血鬼さん」で吸血鬼系ヒロインに改めてハマった自分みたいなのもいるよ!
そしてこの話題の流れの先が今の「鬼滅の刃」になるとしたら……和風吸血鬼というネタに関しても気になってきたなあ
とまぁ、こんな感じで。
現在の中国オタク界隈で知られている吸血鬼系キャラの名前と共に考察が行われていました。
またこのネタを教えてくれた方からも
「時期的なものは私も記憶が曖昧ですが、昔の中国では男性はアーカード、女性は美夕で二次元的な吸血鬼のイメージが形成されていたように思います」
といった話がありました。
今回の吸血鬼に限らず、中国オタク界隈における人外系種族のイメージの変遷や現在の認識といったものは気になりますね。例えば今では国産狐耳によってほぼ淘汰されてしまった獣耳持ちの獣人キャラなど、イロイロと気になる所が思い付きます。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。
近頃は中国オタク界隈でも注目を集める「吸血鬼」的なキャラの出てくる作品が幾つかあるそうです。しかし中国では近頃の諸々の規制強化でバイオレンスネタやホラーネタがいよいよ難しくなってきているのもあり作品自体が直接入ってくるのは困難ということで、中国オタク的になんとも歯がゆい状態になっているとのことです。
しかし作品関連のネタとしては相変わらず意識されているそうですし、改めて吸血鬼関連のイロイロな話題も出ているのだとか。
中国オタク界隈ではそんな話題の一つとして
「吸血鬼が格の高い強キャラとして扱われるようになったきっかけや過程」
といったことなどに関するやり取りが行われていましたので、以下に例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
吸血鬼って強キャラが多いと聞くが、どんなキャラがいるの?二次元ではどの辺りからハッキリとした格の高い強キャラになったの?
ネタ成立の過程や影響を及ぼした具体的な作品などを知りたい。
吸血鬼って怪物だけど美形、貴族設定がテンプレでつけられるから昔からということで間違いないとは思うが……どんな作品かとなるとすぐに出てこないな。
すぐ死ぬ吸血鬼がネタとして笑いを取れる、キャラが立って人気作品になるくらいだから、二次元では確固たる強種族、強属性のイメージを確立しているのは間違いない。
私が思い付くのはDIOだったが吸血鬼として強いイメージがあまり無いかも……
DIOも初期は吸血鬼としての強キャラではあったんだけど「ジョジョ」はその後にスタンドによる独自の世界観や強さが確立されてしまったからね。
「悪魔城ドラキュラ」は昔の作品では珍しい吸血鬼が絶対的なラスボスの作品だが、これが出たのが1986年だ。
このシリーズの吸血鬼は設定がインフレしてトンデモナイことになっていく。
日本の二次元妖怪ネタの大元である水木しげる作品はどうなんだろう?
ぬらりひょんの強キャラ化は水木しげるだという話だが、吸血鬼は欧米の映像作品や舞台、小説の時点で強キャラだからたぶん違う。
「鬼太郎」にも吸血鬼は出ているけど中ボス的な存在だったような?弱くはないんだけど、今のような主役級の扱いではない。
「血界戦線」の吸血鬼はハッキリとした敵で、真祖は無茶苦茶強いという設定だったな。
「血界戦線」ではいわゆる真祖的な存在はいるけど真祖呼びはしていなかったはず。
……そう言えば日本の二次元で「真祖」という言葉や概念を広めた、定着させた作品に関しても諸説があるらしいな。
「トリニティ・ブラッド」も突出して強い吸血鬼のイメージで作られた世界観の作品だったけど時期的には吸血鬼ネタとしての「真祖」がもっと前にある作品かね。
二次元の吸血鬼キャラで分かりやすい記号的なのは、例えば「ネギま」のエヴァンジェリンなんかだと思うけどネタや作品内の格といった扱いの影響を考えるとよく分からん。
「ネギま」という作品自体がテンプレ、同人ネタの集合的なものになっているはずだから以前以後的に見ていくこともできるのだろうけど。
ウチの国だとあまり意識されないけど「BASTARD!!」も吸血鬼ネタの影響は大きいとか。「真祖」という言葉、概念を広めた作品の有力候補とされている。
二次元の突き抜けた強キャラな吸血鬼だと「月姫」以前を探せば良いのでは?
型月はイメージを広く拡散、固定するけど同人出身なのもあってか元ネタが存在するオマージュな部分も多いから。
同意したくなる話だな。
私も強い吸血鬼のイメージはアルクェイドからだ。初見のときは吸血鬼が最強の世界観に驚いたのを覚えている。
たぶん「吸血鬼ハンターD」の世界観からだろうね。貴族的なキャラだけでなく、明確に支配者たる吸血鬼と家畜と見做される人間という関係に加えて吸血鬼が世界の支配者的で、しかもホラーと中世ファンタジーとSFの混じった強さだから超強い。
この作品が日本の二次元の伝奇世界観に与えた影響は極めて大きいとされている。
菊池秀行作品はかなり有力だろうね。
真祖(日本語では「神祖」と発音が同じ)設定への影響もあると思われる。
昔の日本の伝奇系作品だと武内崇が再刊のときに挿絵を描いた笠井潔の「ヴァンパイヤー戦争」ってどうなんだろう?
月姫の元ネタだったりするの?
私も全部読んだわけじゃないけど、設定の印象では月姫の元ネタとしての影響が大きいのは「吸血鬼ハンターD」の方だと思う。
ただ「ヴァンパイヤー戦争」の方が「吸血鬼ハンターD」より丸1年早く出ている上に、最初のバージョンの挿絵がどちらも天野喜孝なんだよね。だから「ヴァンパイヤー戦争」の影響を受けたかその人気の路線を狙って「吸血鬼ハンターD」が書かれたことは否定できないと思う。
「ヴァンパイヤー戦争」の最初のバージョンのイラストは天野喜孝じゃなくて生頼範義だな。この絵師も当時の日本の伝奇小説のイラストをたくさん描いている。天野喜孝になったのは文庫版からだ。
そうなのか。教えてくれてありがとう。
しかしそうなると俺の思い込みがかなり怪しくなってきたなあ……
個人的には日本の二次元というか娯楽分野で吸血鬼がミステリやSFから伝奇のモチーフ移行した流れが気になるかな。
「ヴァンパイヤー戦争」や「吸血鬼ハンターD」の時期は作家のスタイルに加えて内容に関してもまだ何と言うかSFのモチーフに吸血鬼的な何かを持ち込んだような印象が。
真祖設定はさておき、強い吸血鬼というなら「HELLSING」の影響は無視できないだろう。
確かに。アーカードより設定上スゴイことになっている吸血鬼というのはいくらでもいるけど、アーカードほど強いという印象を刻み込んでくるのはなかなかいない。
最強談義みたいな場面でなければ吸血鬼の強キャラということでアーカードを出したら皆納得するからな。
90年代後半以降の二次元における吸血鬼の地位向上は「HELLSING」と「月姫」の影響が大きいと考えていいと思うのだが、それ以前はやはり曖昧に感じられるね。
そう言えばウチの国の二次元だと吸血鬼関係で影響が大きそうなのは他にどんなキャラがいるだろうか。
ウチの国だと東方シリーズの紅魔館の面々は影響が大きいな。
あとは昔だと「吸血姫美夕」から吸血鬼キャラに憧れていった人が多かった。その後は「ヴァンパイア騎士」「ロザリオとバンパイア」かな?他のジャンルと同じく、ウチの国では基本的にはアニメの影響が強いと見ていいかと。
一応「物語シリーズ」もウチの国に吸血鬼キャラ方面の影響を与えた作品と見ていいだろう。
ただ「傾物語」の忍野忍の完全体的な強さについてはそれほど突飛なものとは感じなかった気がするし、あの当時で既に自分の中では今の強キャラで格の高い吸血鬼ネタは入っていたのかも。
この数年だと「となりの吸血鬼さん」で吸血鬼系ヒロインに改めてハマった自分みたいなのもいるよ!
そしてこの話題の流れの先が今の「鬼滅の刃」になるとしたら……和風吸血鬼というネタに関しても気になってきたなあ
とまぁ、こんな感じで。
現在の中国オタク界隈で知られている吸血鬼系キャラの名前と共に考察が行われていました。
またこのネタを教えてくれた方からも
「時期的なものは私も記憶が曖昧ですが、昔の中国では男性はアーカード、女性は美夕で二次元的な吸血鬼のイメージが形成されていたように思います」
といった話がありました。
今回の吸血鬼に限らず、中国オタク界隈における人外系種族のイメージの変遷や現在の認識といったものは気になりますね。例えば今では国産狐耳によってほぼ淘汰されてしまった獣耳持ちの獣人キャラなど、イロイロと気になる所が思い付きます。
とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。