通訳や翻訳で頭の痛い問題に「ことわざ」が有ります。
ことわざは基本的にその言葉の使われる文化に根ざしたものが多いので意味を直訳しても通じないものが多かったりで。

ただ、日本語と中国語の場合故事来歴をもとにしたことわざや成語が多いので翻訳する場合はそこから攻めると案外楽になったりします。
しかし、通訳だとよほど使い慣れていないとダメだったりします。
調べる時間が無いのは当然ですし、考え込んで言葉が止まったらアウトという場面がほとんどなもので……
通訳していてことわざや成語が出ると冷や汗どころの騒ぎじゃないですorz
これに加えてどこぞの偉人の発言の引用まで入ると、もう、喋ってる人間に殺意を覚えたりなんだりでw

それはともかく、
日本語と中国語のことわざや成語では

虎穴に入らずんば虎子を得ず 不入虎穴焉得虎子
類は友を呼ぶ 物以類聚

といった様に同じ来歴のものが有ります。
こういったものは分かりやすくて助かるのですが、そればかりではないので何とも。
しかし中にはそれぞれの言葉による別の表現で同じ様な事柄を表しているのも有ります。
例えば

坊主丸儲け 不労而獲
噂をすれば影がさす 説曹操曹操就到
猿も木から落ちる 智者千慮必有一失


といった辺り。
「説曹操曹操就到(曹操の事を話すと曹操がやってくる)」などは個人的にお気に入りでございます。
三国志関連はこういった言葉の宝庫で、「老いてますます盛ん」という意味で「黄忠七十不服老」というのも有ります。


こういった別の言語の言葉なのに同じ様な事柄を表す言葉はネット用語にも有ります。
前置きが長くなりましたが、ここからが本題。
日本語のネット用語「あぼーん」についてです。
「あぼーん」は2ちゃんねるの投稿削除から発したもので、削除や抹消、更にはアカウントの消失やPCが壊れたりといった自分の力の及ばない所での消失や破損などについて使われる言葉でございます。

そして、これと似たような意味で中国のネット上で使われる言葉というか、ほとんど同じ意味の言葉が
「和諧(hexie)」

「和諧」という言葉は本来「調和のとれた」という意味で、「和諧社会」といった様な感じで政治的な発言や談話などでも使われています。
それがなんであぼーんという意味になったかと言うと、これもまた面白い事に中国の方でもネットの掲示板が発端だったりします。

中国の大手掲示板「百度貼吧」でスレや発言が「不適当」と言う事で削除される時に
「和諧環境」を確保するために削除する
と表示されるのですな。
そこから転じて削除されたり抹消されたりする意味として使われる様になったとのことです。
「被和諧了」
というのは「抹消された」という感じの意味になります。
この「和諧」、用いられる範囲がどんどん広まっているのも日本の「あぼーん」と同じですね。

ことわざもそうですがネット用語、特に「2ちゃん用語を外国語に訳す」というのは非常に難しいものです。
ネット用語は文化的な問題に加えてダジャレなどの言葉遊びの要素もあるので、もう、何がなんだか。
2ちゃん用語満載の「電車男」の訳者は冗談ではなく偉業を為した方だと思います。
しかし、そんな翻訳不可能とも思えるネット用語にも「あぼーん」と「和諧」のようにピッタリとはまるものが有ったりします。
こういった言葉を知ると、なんだか嬉しくなってしまいますな。

とりあえず、こんな所で。
長々と書きましたが、例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。