たまに思いついてやりたくなる三国志ネタ、
今回は「呂布」についてです。

呂布といえば
「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」
と称される三国志最強の武将にして、
裏切りにに満ちた生涯を送った悪役というイメージがあるかと思います。
この辺の認識に関して「最強」という認識は変わらないのですが、「悪役」という点については日本と中国で少々違ったりします。

三国志の悪役ポジションと言えば、董卓、呂布、曹操といった辺りが有名かと思います。
日本の感覚では董卓は文句無しの悪役、曹操は演義のストーリー構成上割り振られた悪役といった感じで、呂布については董卓や曹操とはまた違った「人気の有る悪役」的なポジションではないかと。

しかし、中国における呂布の評価はもう最悪です。
曹操については演義において悪役的な扱いをされているとは言え、
「好きな武将は曹操」
という話はまだどうにか理解してもらえます。
しかし、
「呂布が好きだ」
などと言ったら人格を疑われてしまいますな。

呂布の中国における認識は、好きになれる要素がない完全な悪役という記号になっているようです。
三国志も含む日本のオタ事情に詳しい中国オタクの方でも
「日本で三国志の人気が高いのはともかく、呂布の人気が高いのはホントによく分からない」
とぼやいていたりします。

これまた中国の宴会の席での話ですが、日本の方が中国の武将について話題にした際に、
呂布と項羽を同じような扱いで語ってしまい中国の方に怒られてしまったなんてことも有りました。
その日本の方曰く
「呂布も項羽も自らの武力を頼みにして最後は破滅しているし、美女がその人生に関わってくるからいいじゃないか」
ということだったのですが……

確かに似ているように思える所も有ると思いますが、中国の感覚だと項羽と呂布を同じカテゴリに入れるのはものすごい抵抗の有る話なのだとか。
裏切りまくりの悪人呂布と悲劇の覇王項羽を同じ扱いにしてはイカン、という感じですかね。
そもそも項羽はライバルの劉邦が「史記」から伝統的に評判が悪いので、どちらかと言えば主役のポジションですしね。

このブログでも何度か触れていますが、
中国における三国志の知識はほぼ演義ベースで、しかも全体の流れを通して把握している方は多くなく、各エピソードごとのストーリーで把握している人が多いといった感じです。
演義ベースとなると呂布関連の良い記述は有りませんし、そういったことから呂布については裏切りまくりの悪役というイメージしかないようです。
また呂布が悪役だという認識については、ゲームから三国志に入ったりする中国の若い層からは評価の高い曹操と違って、ゲームをやっている若い層でもそんなに変わらない模様です。

呂布は日本では破滅の美学や、純粋な強さ、更にはダメ人間っぽいところを評価されたりもしますし、部下には張遼や陳宮のような優秀な武将もいるということでわりと好きな人もいるかと思います。
この辺の違いについては、やはり日本のように呂布が魅力的に描かれるコンテンツが出回っていないということや、月並みですが中国の倫理観から来ると思われる義理とは言え親殺しをやらかすことへの強い拒否感、そして滅びの美学というものへの感覚の違いといったものが影響しているのではないかと思われます。

とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

日中で違う三国志についての認識 曹操編