「日本における中国古典の扱いについて、中国ではどう思われているのか?」
という質問をいただきました。ありがたやありがたや。

中国オタクの間でも、三国志をはじめとした中国の古典名著が日本でどの程度まで知られているのかというのは気になっているようで、中国のソッチ系の掲示板でもそういった話題に関連したやり取りを見かけることが有ります。そんな訳で、今回は中国オタクの考える「日本における中国古典」に関するやり取りについて一つ。
それでは以下、中国のソッチ系の掲示板で見かけた反応を、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


日本で中国の古典ってどのくらい研究されてるのかね?
とりあえず三国志は多いみたいだけど。

三国志以外の作品を研究していない方がおかしいだろ。
この間も確か水滸伝で娘化画集出たらしいし。

中国で小説書いてる人間で、源氏物語の名前を知らない人間はいないだろうし、日本でも詳しい内容は伝わってないにしろ、中国古典の名前は知られているんじゃないかね。

日本の漫画は何でもネタにするよね。東西の歴史や神話、聖書などの宗教、古典作品。三国志ネタの作品も多いし、我が国の他の作品もかなり知られていると見ていいと思う。

三国志は日本で最も著名な中国の書籍らしい。
確かにアレは中国の古典書籍の神髄の結晶的なものだし、日本でも自国の文化に中華文明の影響があるとちゃんと認めている。

中国には悠久な歴史があるからな。
日本は初期の頃に中国の影響をかなり受けたから、現在でも中華系の神話や故事をネタにした漫画やアニメが多いんじゃないかな。

ちょっと不安なのは、日本で中国の古典が研究されているということと、中国文学が面白いということが直接結びついていないのではないかということだ。
「歴史」と「文化的な距離」が理由の大きな部分を占めるんじゃないかとも思ってしまう。四大名著以外の書籍は日本でどれくらい知られているのだろう。

日本で表に出てくるのって三国志の作品がほとんどだ。
他の時代の作品ってほとんど無いし、日本では三国志以外研究されていないのではと不安になるのも確か。それにしても、日本であそこまで三国志が偏愛されるのが不思議だよ。

現在は多くの人間がゲームを遊ぶ為に日本史を学んでいたりするけど、実際に勉強している俺はちょっと卑屈になってしまう。
日本人は他の中国の名著をほとんど研究してないよ。

やはり三国志ばっかりだよな。アニメや漫画、ゲームの数から明らかだ。
他の著作はどれもたいして変わらん。特に紅楼夢なんかほとんど分かってない。

小説にしても明代と清代を舞台にした作品か、その時代に書かれた作品ばかりだよね。三国志や水滸伝も明代の作品だし。他の時代については田中芳樹が岳飛伝を書いているくらいじゃないか?
紅楼夢なんてほとんど知られてないみたいだし、水滸伝を知る人間もごくわずかだ。
中国ではわりと熱心に日本語を勉強している人間も少なくない。私達は日本の歴史の古代の大国主の時代、平安時代や戦国時代、江戸時代の幕末、何でも知っているのに……

書籍として研究しているのか、文化として研究しているのかという違いはあるかもね。
中国でも外国の文化をそういったルートで研究しているし、日本が中国古典を研究する理由に歴史や地理的な要因が含まれるのは否定できない。

三国志の日本における地位は確かにオドロキだが、他の作品からの影響も見受けられるよ。
私は以前十二国記を読んだとき、作者が「山海経」を深く研究しているのに驚いた。

日本は伝統的に中国の古典を研究しているぞ。
江戸時代の武士階級の基礎教養では漢詩や古典が必須だったそうだ。
中国の古典は日本の娯楽と教養にかなり影響があったのは確かだろうね。

日本がウチの国の文学を研究した時間は非常に長い。その研究行為は既に彼等の歴史になっているいう言い方も出来ると思うね。

名著というものは世界中で読まれるからこその名著だし、日本で読まれたり研究されたりというのも、著作自体にそれだけの力があるからじゃないかな。
私は川端康成の「花は眠らない」を高校の教科書で知ったが良い作品だと感じた。三国演義の日本での扱いもそういったものがあるんじゃないかと。
日本文化だとか中華文化だとかにこだわりすぎる必要は無いと思うよ。

日本がずっと中国の歴史や著書を研究していたのは間違いない。
日本では年号を四書五経からとっているくらいだしね。
ただ、現代の日本の人間が中国の歴史をどれだけ知っているかについては疑問が残る。

気になるのは今の日本の若者の考える中国のイメージがどうなっているかだね。
お姉ちゃんがチャイナドレスを着て、パンダがいっぱいいて、老若男女全員がカンフーが使える場所とか思われているんじゃないかと不安。
まぁ、中国の方でも日本のイメージが秋葉原と同人誌とかになっちゃってる気もするが……

彼等がウチの国の歴史文化を研究しているように俺たちも彼等のオタク文化を研究しているからな!
文化とは相互に影響しあうものだ。

そもそも名著を研究するというのは世界規模の話しだし、そのなかで中国の文化に興味を持ってもらえるのはいいことだと思うよ。
それに、ウチの国の若者が書いている同人誌ってほとんどが日本の作品をネタにしているか、その影響を受けているものだぜ。



とまぁ、こんな感じで。
こういったことをじっくり考える層は比較的冷静なのか、どこもある程度落ち着いた議論となっていました。

とりあえずざっと見て感じたのは
「日本人は三国志しか知らない」
というのがある種の決まり文句になっているところですね。

それと、日本の歴史についてかなり詳しい中国オタクも多いようでそういった人からは
「こっちはこんなに日本の歴史を知っているのに、日本では中国の歴史が知られていない」
とも思われているようです。

日本における中国歴史分野についてはプロアマ問わずスゴイレベルの人間が多いことや、三国志以外でも中国関連の作品が少なくないということ、日本の国語教育で中国古典が学ばれているといったことなどはちゃんと伝わったいないようですね。
ただこれは日本でも中国に「日本の歴史に詳しい人間がいる」とはあまり思われていませんし、お互い様でしょうか。

この辺についての情報のやり取りは難しいもんだと思いますが、
個人的には日本側も中国側も
「相手はこっちの国の歴史を知らない」
というイメージを抱いているのがちょっと面白いとも感じてしまいますね。

考えてみれば、自国の歴史が別の国でどのくらい知られているかについて知る機会というのは案外少ないのではないかと思います。
恋姫無双や乙女絵巻水滸伝などの「とんがった」情報

はニュースになりますが、一般の社会における認識と言うのは「あたりまえ」のことですから、なかなか「ニュースになる情報」としては出てこないかと思います。
そういったことからも「どうせ知られていないだろう」と思ってしまうのかもしれませんね。


とりあえず、こんな所で。
例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

7/9修正:日本語の間違いを修正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

中国と日本の「三国志一般常識」についての差